人修羅アーカイブ   作:山吹色ノ大妖精

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委員会の事情

 アビドス対策委員会とシャーレはカタカタヘルメット団の前哨基地へ襲撃を仕掛けた。今回の戦闘はシンは前に出ず、先生と護衛として前線には出ないことになっている。アヤネを除くアビドスのメンバーは先生の指揮のもとで今までの鬱憤を晴らすためにやる気満々で攻撃している。

 

「数はこちらが上だ!囲んで潰せ!」

『ノノミ、囲まれる前に敵が固まっている箇所の11時の方向にミニガンを斉射。ホシノは盾でノノミを守って。シロコとセリカは分散している敵を仕留めて』

「了解です!一斉射撃ー!」

『ギャーッ!?』

 

 ノノミのミニガンによる広範囲の攻撃でヘルメット団の大半が気絶。残って反撃したものの、ホシノが展開した盾によって防がれノノミはことなきを得た。他の散開しているヘルメット団もシロコとセリカのツーマンセルで撃沈した。これによってカタカタヘルメットはアビドスの連携によって退却した。残された弾薬や武器も回収したことでカタカタヘルメット団は攻勢に入ることができなくなったことで、学校に帰還した。

 

「おかえりなさい。皆さん、お疲れ様でした」

「ただいま〜」

 

 帰ってきたメンバーを笑顔で迎えるアヤネ。前回の襲撃からすぐに攻勢に出たため、もう長く時間が経ったと感じる。

 

「火急の事案のカタカタヘルメットを片付けたことで、一息つけそうです」

「そうだね。これでやっと、重要な問題に集中できる」

「うん!先生のおかげだね、これで心置きなく全力で借金返済に取り掛かれるわ!ありがとう、先生!この恩は一生忘れないから!」

 

 不意に出たであろうセリカの一言に先生とシンは反応した。

 

「借金って?」

「そ、それは・・・・・・」

「ま、待って!アヤネちゃん、それ以上は!」

 

 問いかけた先生にアヤネは答えようとするが、セリカが止めた。シンは様子見に徹していているため襲撃に出てから何も喋らない。

 

「いいんじゃない、セリカちゃん。隠すようなことじゃあるまいし」

「か、かといって、わざわざ話すようなことでもないでしょ!」

 

 落ち着かせるように話すホシノに対してセリカは反論する。シンはアビドスが砂漠化と借金によってここまで追い込まれたと考えたところで口を開けた。

 

─全部話せとは言わないけど、ある程度は話してくれないと僕たちは何が原因で、どうすればアビドスを助けることがわからない。だから、話してくれると嬉しい

 

 シンの言ったことに先生は頷いて同意する。ホシノたちもセリカを除いて話すべきだと考えているようだ。

 

「うぅ・・・・・・私は認めないから!」

 

 それに居た堪れなくなったセリカはそう言って飛び出した。同学年のアヤネは驚いて固まり、ノノミは様子を見て行くと言いセリカを追いかけた。残ったうちのホシノは少し黙ったのちに話し始める。

 

「えーっと、簡単に説明すると・・・・・・この学校、借金があるんだー。まあ、ありふれた話だけどさ」

─問題はその額?

「うん。ざっと9億円ぐらいあるんだよねー」

「・・・・・・9億6235万円、です。アビドス・・・・・・いえ、私たち対策委員会が返済しなくてはならない金額です」

 

 たった数名の学生が残った学校にある現実に先生は拳を強く握る。返済できなければ、学校は銀行の手に渡り、廃校手続きにされる。これによって多くの生徒はアビドスを離れたようだった。これの借金に繋がったであろう原因はシンは思いついていた。

 

─砂漠化だね

「・・・・・・はい。数十年前、この学校の郊外にある砂漠で砂嵐が起きたのです」

 

 砂嵐はそれまでにもあったようだが、その時は今までのとは比にならないほど規模が大きかったらしい。その解決のためにアビドスは多くの資金を費やす必要があったが、都合よく融資してくれる銀行はいなかった。

 

「結局、悪徳金融業者に頼るしかなかった」

 

 序盤のうちは、すぐに返済できる範囲ではあったものの、砂嵐は年ごとに強くなり、リカバリーもできなくなるほどの悪化を辿った。最終的にはアビドスの自治区の半分以上が砂漠化。借金も増えて行った。そこでアヤネの説明が終わった。

 

「私たちの力だけでは、毎月の利息を返済するので精一杯で、弾薬も補給品も、底をついてしまっています」

「セリカがあそこまで神経質になっているのは、これまで誰もがこの問題にまともに向き合わなかったから。話を聞いてくれたのは、先生、あなたが初めて」

「・・・・・・まあ、そういうつまらない話だよ。で、先生のおかげでヘルメット団っていう厄介な問題が解決したから、これからは借金返済に全力投球できるようになったってわけー。借金のことは気にしないでいいからねー」

 

 最後にホシノは借金のことは気にしないでと言った。しかし、生徒を守り導くのが使命と胸に刻む先生は前に出てこう言った。

 

「私は、対策委員会を見捨てて戻ることはしない。私も対策委員会の一員として、一緒に頑張るよ」

「あ、はい!よろしくお願いします、先生!」

 

 アビドスの生徒が喜ぶ姿を見るシンは、悪魔の力で保管している宝石を思いだす。これらの中の最上位の物を一つでもオークションに出せば、アビドスの借金が一気に肩がつくだろう。しかし、それで良いのかと心の中で自問自答する。30秒ほど経って決心した。

 

─先生、僕は一回シャーレに戻ってユウカに先生の無事を報告しに行くよ。やっておくことを定めたし

「やっておくこと・・・・・・?」

─それまでに、アビドスの生徒たちと交流しておいて

 

 シンはそう言って部室から退出してアビドスを出た。手には、蒼白く輝くダイヤモンドを乗せて・・・・・・




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