Fate/Imagenary Friend   作:silika

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第九話 対ランサー同盟

 夕方、ノエルちゃんのお家の門の所。

 「たのもー」

 「どちら様でしょうか……?

 「虫みたいな方のライダーのマスターであってる?」

 隣町の高校の制服を着た女の子がやってきてた。高橋の百鳥先輩と同い年くらいに見える。

 

 「あってますが……」

 「同盟の申し込みに来ました。アーチャーのマスター、犬塚榛名です」

 ノエルちゃんが話してる姿を眺める。やっぱいつ見ても美人だなって思う。綺麗な白い髪に白い肌と緑の目。良い感じに胸もお尻もおっきくて柔らかい。うん、美人だ。

 「同盟、と言うと?」

 「ランサーが強すぎて勝てないので戦力が欲しいんです」

 ランサー、か。ノエルちゃんも強すぎるから誰かと同盟を組まないと無理、って言ってたなー。犬塚榛名さん的にもそうなんだ、どんだけ強いのかな。

 「……あー、それなら、対ランサー同盟を組みましょう。他の参加者で誰か協力を取り付けていたりとかはしますか?」

 「セイバー陣営とは組めましたよ」

 「私はキャスター陣営と組めているので、これで四騎ですね」

 

 「キャスター? 正気? 今まさに街で流行してる病気ってキャスターのでしょ?

 「病気……ですか? え、違いますよ」

 ノエルちゃんと榛名さんの話し合いは新たな段階に突入していた。というか、キャスターが話題になってるの、もしかして。じゃあわたしも行ったほうがいいのかな……。

 「まあ、マスターは待っててよ。僕が言ってくるからさ」

 というわけで話し合いにキャスター参戦である。

 

 「僕のこと、読んだかい?」

 「……っ!

 「あら、キャスター」

 キャスターあっちに行った途端、犬塚榛名さんがなんか怖い感じになった。

 「ああほら、警戒しないで。疫病の方は多分バーサーカーだからさ」

 ばーさーかー? わたし知らないんだけどいつの間に調べたんだろう。キャスターはポケットからスマホを取り出して見せてた。スマホを仕入れてたことも初めて知ったんだけど。わたし、マスターなのにー!

 

 「……オーケー、今まで影も形もなかった七騎目の情報をありがとう。そして疑ってごめんなさい」

 「ま実際、僕だって疫病をばら撒いている奴がいたらまずキャスターを疑うよ」

 「……ところで、キャスター本人が来て、キャスターのマスターがいない理由とかって聞いても大丈夫かしら?」

 「僕のマスターはね……魔術師じゃないんだよね。流れで契約したようなものだから、こっち側のことはほぼ知らない。とても簡単にいうと……キャスターの僕を一般名詞の魔法使いと認識してる、ってのが分かりやすいかい?」

 キャスターが何かを言って、それに榛名さんがびっくりしてる。そんなに驚く要素あったかな。まあいいや、分かんないこと考えても仕方ないし。何をしようかな……キャスターに教えて貰った魔法の使い方の練習? そうしよう、うんそうしよう。

 

 まずは丸をかく。その中にピッタリ入るように正三角形を入れる。その中にピッタリ入るようにひっくり返した正三角形を入れる。そして、大きい方の三角形の頂点それぞれと円の中心を直線で結んで、外側に引っ張る。元々かいてた円のよりひとまわり大きい円にその伸ばした線を繋いで……完成。あとは何だっけか。

 「”燃えよ、燃えよ、高く燃えよ。汝が意志は既に決まれり。我がそれに名を与えよう。怒りである。憤怒である。憤激である。それが起こす行為は常に決まれり。復讐である。襲撃である。怨讐である。されば直ちに事を成せ”『業火炎(インフェルノ)』……だっけ?」

 キャスターから習った呪文を唱える。何語で何を言ってるのかさっぱり分かんないけど、確かこれであってたはず? これが炎を出す魔法の呪文だったはずだけど……違ったかな? 何も起きないような……あれそうでもない。紙が少しだけ焦げてる。じゃあ空を飛ぶ魔法を唱えたら出来るかな?

 

 キャスターに作って貰った杖を振りながら呪文を唱える。

 「”楽しめ、楽しめ、今を楽しめ。楽は宙に浮き、悦は空を駆る。魂の浮遊は偉大なり。ただ身体を寄せよ、さすれば魂に釣られ身体も飛ぶ。空を飛べ、宙を跳ねよ。それは喜びである。幸いである。悦みである。さあ跳ぶが良い、それが全ての始まりである”『遊空行(フライハイ)』」

 ……わっ。ちょっと浮いた? ちょっと浮いた? 特に意味はないけど、ぷかぷかして楽しい……。ちょっと地面を蹴ったらふわーっと上がって……あっちょ! これどうやって制御すれば良いの? 上下がぐるぐるして吐きそう……。

 結局私の醜態はライダーに回収されることで解決した。うん、お話に忙しかったからノエルちゃんにもキャスターにも見られてないっぽいし大丈夫大丈夫。

 

 ダメだったらしい。二人に揃って叱られた。どっちかが見張ってる時にしろ、だってさ。わたしのことをなんだと思ってるのさ。まさか犬か何かと思われてるんじゃ……。

 「犬扱いならさっさと首輪付けるし」

 なら人間扱い? でもにしたって問題児認定されてる気がするんだけど。私そんな問題起こしたことないじゃんか。……迷子にはよくなったような気がするけど。

 「遠足の自由時間に昼寝したまま集合時間に遅れた」

 ………

 「工場見学中に先生が目を離した隙に別の機械を危険なくらい間近で見た」

 ………

 「寝てる先生の背中に思いつきで張り紙して腕に腕時計を描いた」

 ………

 「ごめんなさい……。もうそれ以上言わないで……」

 その、なんていうか、キャスターと榛名さんの目が辛い。ああ、こいつはアホなんだな、って言うその目がすごく辛い、悲しい。

 

 「まあ、と言う感じにキャスターのマスターは魔術の魔の字も知らない単なる馬鹿ですから」

 「うん、分かりました。本当にごめんなさい、これは疑う必要はないわ……」

 榛名さんとノエルちゃんとキャスターが頷きあっている。むー、どこにそんな要素があったのさ。人を馬鹿にして共感するとか絶対ダメなんだぞー! 傷ついた、私の心が傷ついた、傷ついたんだもん!

 ちょっと拗ねたら速攻でノエルちゃんに頭を撫でられた。……えへへ。

 

 「さて問題は……あのランサー、真名って呂布で良いのかな?」

 「方天画戟を使う英雄を他に知りませんから、多分問題ないと思います」

 呂布って言うと……、三国最強? 単体性能がやたらと高いやつ。三国志のシミュゲーだと単体の戦闘スペックが大体最強だから、敵対ユニットの時には嵌め殺しするしかなくて本当に大変なんだよね。

 「……弱点なんかあった? 数で圧殺する以外の方法なんて思いつく?」

 「ネット上の呂布の話にヒントとかあったりしませんかね……」

 「美人の奥さんに駄々甘みたいな話無かったっけ」

 えー、どうにもならなくない? 色仕掛けみたいなのはやだよ、ノエルちゃんは私のだもん。

 

 『なあ、そもそも良いか。呂布って誰だ?』

 ネット越しにランサー対策会議に参加しているセイバーのマスターが変な質問をする。

 「三国志時代の最強の英雄、みたいな? 古代中国の内戦で殴り合いが一番強かった、と言い換えても良いわ」

 榛名さんがとても分かりやすい解説をしてた。三国時代ってそっか古代か。平安時代が1000年前で、その更に1000年くらい前だっけ……。

 『古代ってことは神秘的にも上等か……参ったな。マスターの方を落とすのはどうだ?』

 「常にあのランサーと一緒に居る奴を不意打ちワンパンする方法ある?」

 「やっぱしこれクソゲーじゃない? 対魔力も高い、ステータスはAB塗れ、宝具なしでも僕らは三発喰らえば脱落圏内。逆に僕らの攻撃は宝具が直撃してもダメージになるかすら分からない」

 物凄いため息の音がする。本当にどうすれば良いんだろう……。

 

 「あ、あの軍服を着ている方のライダーと同盟組んだりとかは?」

 「無理。お願いしに行ったら危うく切られるとこだったわ。戦って勝つことに主眼を置いてるらしいから」

 キャスターの質問に榛名さんがさっくり答える。どうしようもなくない? 本当にどうすれば良いのかなー。

 

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