Fate/Imagenary Friend   作:silika

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第十二話 泣きっ面を見たら蜂を連れてこい

 キラキラと光る髪飾りを眺める。夕日に照らされて、青い宝石が紫に光ってる。今朝ノエルちゃんに貰ったものだ。小さな花びらが6枚ついた桜みたいな綺麗な髪飾り。真ん中には綺麗に光る青い宝石。本当の宝石かは知らないけど、綺麗なことには変わりない。鏡を見ながら良い感じにつける。よし、完璧。

 「で、おめかししたのは良いんだけど……わたしたち、どこ行くの?」

 「ランサーのところ。本当は雨子を置いていくつもりだったんだけど、私の家に一人で雨子を置いていたら逆に危ないし」

 ……置いてけぼりのされるとこだと聞いてビビる。一人は寂しいから嫌なんだけど。

 

 「だから連れてくって言ってるんじゃん。雨子、絶対にそのお守りは着けといてよ」

 「任せて。ノエルちゃんに貰ったものを失くすつもりはないもん」

 キリッとした顔で言おうとする。ほっぺたを引っ張られた。……うん、たしかにわたし消しゴムをしょっちゅう失くしてるし、信用はないよね……。それはもう、仕方ないこととして。なんでランサーのところにみんなで行くんだろう。

 「ランサーがあんまりにも強いから、弱ってる今のうちに全員で襲撃して倒しちゃおう、ってこと」

 分かりやすい。囲んで殴るがやっぱり一番ってことかな。喧嘩は1対1ならいざ知らず、1対2はとっても不利で、1対3はほぼ負け確定、だっけ。つまり、弱ってるランサーを四人で囲ってぼこぼこにする会ってことか。……これも戦場の倣い、悪く思うなよ、ってやればいいのかな。

 

 というわけでお出かけ。右手はノエルちゃん、左手はキャスターと繋いだ状態で三人で並んで道をとことこ歩く。これはいわゆる親子、なのでは?

 「まま……」

 「……マスター?」

 ノエルちゃんが無言で手を引っ張り上げたので、それに乗っかってぴょんと飛び上がる。人間ブランコだー! わーいたのし……いや恥ずかしいかも。これじゃあノエルちゃんと友達じゃなくて親子になっちゃうし、それはちょっと……。

 「今更すぎない? マスターに恥の概念なんてあったんだ」

 あーりーまーすー。わたしのことをなんだと思ってるのさ。まるで恥も外聞も気にしないろくでもないバカみたいな扱いとかしないでほしいんですけど! わたしは品行方正でおとなしい清楚な優等生ですもん。

 

 というわけで集合地点へとたどり着いた。この街の真ん中あたりを流れてる宮ノ川の河川敷に、アーチャーと榛名さんとセイバーとセイバーのマスターがいた。これで八人、全員集合である。めでたい、多分きっとめでたいことだと思う。

 「さて……キャスターさんよ、見つけたのか?」

 「あんまり得意じゃないけどね、僕の観測が間違いじゃなければそこの奥にいるはずだよ」

 キャスターが指差したのは大きめの横穴だった。ちょくちょく冒険好きの人たちが潜り込んでは叱られてる穴じゃなかったかな、あれ。あ、でもでもあの中って迷路みたいに入り組んでるんだっけ? 単なる下水道ではあるけど、中の地図が行方不明になってるとかなんとか聞いた様な気がする。

 

 「まずはアーチャーとライダーが先行してランサーを捜索、表へと誘導。そして表で待ち構えたキャスターが捕縛、そこにセイバーの一撃、で良いわね?」

 榛名さんが聞いてくれるけど、わたしは答えようがない。でも、キャスターが大丈夫そうだし、きっとこれであってるんだと思う。全員がうなづいて、作戦が始まった。でも、要するにアーチャーとライダーの姿が見えなくなっただけなので、どうなってるかはさっぱりわからない。

 

 「”境を越えるは世界の移動。世界の踏破は力を求む。是人の技ならざり、神の御業なり。神ならざる身にてそれを為さんと欲するなれば、許しを求めよ。認めること、これ即ち力を与えることに他ならず。許されぬ者は通れない。これぞ門の本質なり”『別天地(トゥルージャッジメント)』 それから……うーん。これくらい? “汝は罪人である。許可無くも門を越えるものは縛られよ。汝は罪人である。他人が土地に入る者は縛られよ。汝は罪人である。人を弑する者は縛られよ。罪には罰を。彼の者を縛り給え、正しく裁きを得るために”『閉塞門(ギルトリンク)』 ぐらいで行けるかなー?」

 キャスターががりがりと魔法陣を書いて、何か呪文を唱えていた。よく分からないけど、キャスターがこのタイミングでやるなら必要なものなんだと思う。今までキャスターが嘘をついたことなんてないし、無駄なことをしてたこともないから。

 

 しばらくぼーっと待ってると、ドタドタと走る音が聞こえてきた。

 「さて、来たね。三重くらいに拘束する魔術を使ってるけど突破されたらごめんね」

 「気にするな、その時はその時だ」

 ドンドン音が近づいてくるのと一緒に、他の音も聞こえるようになってきた。がしょんがしょんがしょんがしょんと機械っぽい音でとてもうるさく騒いでる。あまりのうるささに耳栓が欲しくなったけど、無いものは使えない。と思ったらノエルちゃんに差し出されたのできゅっきゅっと耳に付けてしまう。

 

 「……ちっ! 罠か、だが突破するしかないか」

 下水道の出入り口から一気に大きな何かが飛び出してくる。多分ランサーなんだと思う、早過ぎて姿を見れてないけど。

 「”許し無き者、門を通るに能わず”『護天域(ミラーフォース)』!」

 元々じゃらじゃらランサーに付いていた鎖がキャスターの唱えた呪文でさらに増える。両手両足に首胴体と徹底的に動けないように締め付けられていた。

 「さてさて、現実に時代を冠した最強の英霊、相手にとって不足なし。いざいざ参らん『約束された勝利の剣』」

 セイバーが構えた剣を振り下ろすと、剣からビームが発射された。……ビーム? かっこいいけどそれはそれとして反則じゃないの? 剣なら飛ぶ斬撃の方がそれっぽいと思うんだけど! 思うんだけど!

 

 「……げ」

 「これ、火力足りてないっぽいね。僕もやるか。魔法陣6面展開(アレンジ)、魔力集中、収束《レンズ》、終了(エンド)『群星翔』(スタースパーク)

 追加でキャスターが何かを詠唱すると、光線がいっぱい飛んだ。セイバーの発射したビームと煙で何も見えないけど、キャスターの光線が飛んだ瞬間うめき声が聞こえた気がした。

 「……まだ死んでるやるわけには行かないのでな! その魔力を寄越せ」

 煙の中からボロボロになったランサーが飛び出してきて、キャスターに襲い掛かる。キャスターが真っ直ぐ逃げるのを追いかけた瞬間、セイバーが後ろからぐさっと心臓あたりに剣を突き刺していた。

 

 ランサーが力を無くした様に倒れると、さらさらっと金の粒になって消えちゃった。そしたら、いきなりスマホが鳴った。

 『”ランサー” が 戦闘 に より 霊核 を 破壊 され 退去 しました

  戦闘 に 参加 した サーヴァント は “セイバー” “アサシン” “キャスター” “ライダー” です

  各々 の 使える 手札 を 使い 勝利 を 掴んで ください

  残り の サーヴァント は 六騎 です』

 スマホを見ると、知らない番号からメールが入っていた。……えっと、何の通知? ノエルちゃんと榛名さんとセイバーのマスターを見ると、びっくりしたり舌打ちをしたりしてた。どうしたんだろう。

 

 「……また? このアドレスで私は聖杯戦争の開始を知らされたんだけど」

 「ああ、俺もだ」

 「それより一つ聞いても宜しいですか? ……サーヴァントのクラスに関してですが」

 あ、それは気になってた。ここにいるのはセイバー、アーチャー、キャスター、ライダーのはずなのに、アーチャーじゃなくてアサシンってなってたもん。ア繋がりで打ち間違えたのかな。

 「……そこは一つ訂正させて欲しいんだけど。別に騙そうとしてたわけじゃなくてね……そこの剣士が先にセイバーを名乗ったのが悪い! だから思わず偽装できそうなアーチャーを名乗らせちゃった私は悪くない!」

 榛名さんがビシッとセイバーを指差して言った。……あれ? 先に青っぽい服装して剣を持ったセイバーがセイバーを名乗ったから、時代劇っぽい服装のアーチャーにアーチャーを名乗らせた? ってことはアーチャーがセイバーってこと???

 

 「ん? 何を言ってるんだ。セイバーは聖剣を使うクラスで、俺は今ここに聖剣を持ち込んでるんだから、俺のクラスはセイバーに決まってるだろ」

 青っぽい服装のセイバーが言い返した。……聖剣? え、どんなのか気になるんだけど。見たいなぁ……聖剣。さっきエクスカリバーって言いながらビームを出してたよね。そっか。あれが聖剣なんだ……。

 「いやいやいや、待ちなさいよ。うちのセイバーがセイバー、向こうの2人は申告どおり、ならあんたはアサシンで決まりでしょうが!」

 「……。嫌だ、暗殺者より勇者の方がかっこいいだろ」

 「そう言う問題? 大体、勇者って魔王暗殺者じゃないの」

 「ア゛? 俺は正々堂々正面から邪神だの魔王だのぶっ飛ばしてきたわ馬鹿野郎、決めつけで物喋るな!」

 「待て待て待て待てアサシン……じゃなかったセイバー。良いからちょっと落ち着け。今のままだとお前真名はおろか宝具まで喋っちまうだろ」

 「もう構わねえだろ三回も四回も見せてるんだからよ〜!」

 榛名さんとセイバー……じゃなくてアサシン……だっけの争いにセイバー……じゃなくてアサシンのマスターが仲裁に入る。すごくきつい口喧嘩に思わずノエルちゃんの後ろに隠れちゃったのだった。

 

 「……っ! マスター!」

 「おい伏せろ!」

 破裂する音が二つあって、気づいたら地面に転がってた。えっと……何が起きたの?

 




Q:キャスターの詠唱、なんか違くない?
A:系統が違うから。砲撃系は独学で使えるようになったけど、他の系統の魔法(慣用表現! not型月的ニュアンス)は習った物だから
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