Fate/Imagenary Friend   作:silika

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第十三話 一難越せばまた一難

 「外したか……座で寝てる間に鈍ったか?」

 破裂音が鳴った方を見ると、軍服の人間が1人立ってた。えーっと……ランサーがさっき居なくなって、セイバーとアサシンがあっちにいて、ライダーはノエルちゃんのでキャスターは私の。じゃあ……バーサーカーかアーチャーなのかな? 銃を使ってるしやっぱりアーチャーなのかな。

 「丁度いい。改めて自己紹介だ。ライダーだのセイバーだの散々嘘言って悪かったな、俺はアーチャーだ。さぁ、戦争しようぜ!」

 土手の上から銃とサーベルを持った人がセイバーとアサシンの方へ切りかかった。

 

 「マスター、もうちょっとこっち来て貰っていいかい? そう、そう。”ここは聖域なり。不浄なる物は外にあり、ただ穢れあるとするなれば、其れ即ち聖性による物なり。聖なる穢れはここにありて罪非ざりき、故に祓う事無し。穢れなき世に病はなく、呪いはなく、恨みはない。人を冒す魔は放され、近寄ることは許されず”『聖浄域(ホーリーフィールド)』 ……これぐらいで効けばいいんだけど……」

 キャスターが何か呪文を唱えてた。唱え終わってすぐくらいから、まわり全部で黒い靄が出始めた。なんか気持ち悪い気がするけど……なんだろうこれ。キャスターの周りだけは黒い靄が来てないし、安全地帯かな。

 

 「待ってたぜ、やっとバーサーカーの到着か」

 「バーサーカー……ってことは不味い、セイバー!」

 「分かってます!」

 慌てて逃げようとするセイバーと榛名さん。でもその直後に、アーチャーが倒れた。凄い咳き込んでる。どうしたのかな……?

 「マスター、ステイ。僕の側から離れないで。この靄を吸ったら確実に倒れるよ」

 へっ? え……こわ……。

 「……そう言うことか。あのアーチャー、口を布で覆ってるでしょ。アレが対策だろうね、間違いなく」

 ノエルちゃんが身内用の話し方で解説してくれる。アーチャーとバーサーカーがコンビを組んで襲ってきてて、無差別な全体攻撃っぽいバーサーカーの攻撃をどうにかしてアーチャーは回避してるはず、ってこと? じゃあ、あのマスクを剥いだら逃げたりしてくれないかな。

 「……流石に無理だね。あの激しい動きの中をどうにかするのは流石に無理だ。むしろ問題は、あの二組を助けに行くか、だと思うんだけど」

 血を吐きながらセイバーが戦い、アサシンも少々辛そうに戦ってるけど、アーチャーの方はイキイキとしてる。バーサーカーの到着って言ってたけどモヤしか見えなくて、バーサーカーの本人は見えない。

 

 「————『————』!」

 女の子の声がした様な気がしたら、いきなり靄が晴れてきた。……えっと……?

 「どう言うことだ? サーヴァントはそこのキャスターライダー、そっちのセイバーアサシン、俺とバーサーカーで以上終わりの筈だが……」

 そして、メールが届いた。

  『”バーサーカー” が 何者か の 襲撃 に より 霊核 を 破壊 され 退去 しました

  戦闘 に 参加 した サーヴァント は いません

  各々 の 使える 手札 を 使い 勝利 を 掴んで ください

  残り の サーヴァント は 五騎 です』

 

 「……また、聖杯戦争参加者以外の手によって脱落者が出た。一応一人目は私たちがやったけど、実質的には正体不明の人物が落とした様な物。見えない監督者、不明な戦士、一体何が起きてるのやら」

 そんなこと、わたしに聞かれても全く分かんない。

 

 「……こりゃどうしようもねえな。マスターにも言われたなら仕方ねえ。あばよ!」

 速攻で逃げ出したアーチャー。4対1での喧嘩なんてやってられるか、ってこと? ……キャスター、キャスター、ここで仕留められないかな……?

 「”鎖は人を縛り繋ぐ物。いざ伸びよ”『捕縛鎖(チェーンバインド)』!」

 キャスターが呪文を唱えると、にゅっと鎖が伸びて、アーチャーの手足を引っ掛ける。そこにライダーとアサシンが殴りかかった。

 

 アサシンの剣とライダーのグーをアーチャーがすり抜けつつかわしてく。キャスターが伸ばした鎖は一瞬アーチャーを縛って、そこにアサシンかライダーの攻撃が命中する。早い魔法以外じゃないと当たらないからキャスターは速射を続けてるけど、速射してもあんまりダメージが入ってる様には見えない。

 ガンッ! って大きな音がしたからそっちを見ると、榛名さんが見たことないグラマラスなお姉さんと剣をぶつけ合ってた。

 「へろー、邪魔させて貰うわね」

 「邪魔するなら帰ってよ! あなたがアーチャーのマスター?」

 「せいかーい。良い子にはご褒美あげちゃう!」

 アーチャーのマスターと榛名さんが何かを話して、そしてアーチャーのマスターが胸から何かを取り出して投げ上げた。榛名さんとアサシンのマスターが全力で逃げに掛かる中、アーチャーんpマスターが投げ上げた物を鉄砲で撃ち抜くと、あたり一体が全部煙に包まれた。

 

 ◇

 

 煙に乗じて今度こそ撤退したアーチャーとアーチャーのマスターはそのまま二十四時間営業のホームセンターへとやってきていた。

 「何か良い案はあるかしら?」

 「悪いが俺は罠は使えん。マスターに任せる」

 ロープ、足場、金属板、燃料などの各種工作材料をかき集める。爆弾や銃火器などの直接的な道具はいざ知らず、それ以外の材料を集めるにはホームセンターは酷く便利なのである。

 「追加の資材はこれくらいで良いかしら。魔力探知してくる相手には本当によく効くのよね、物理トラップ」

 

 持ち帰った資材を手分けして使って、より工房の防御力を高める。世の中にはホテルを丸々一棟借り上げ、さまざまな魔術的トラップを配置して回る者も居ると言うが、彼女の場合はまた一味違う。山がちなこの衣川市で戦うにあたって、彼女は山を丸々一つ買い上げた。本質的に二束三文で叩き売りされている様な物なので、魔術使いの傭兵として働く彼女には余裕で払える金額であった。そしてその地下に自分の巣を作成、山全体とその巣への通路に片っ端からベトナム戦争宜しくのトラップを張り巡らしたのである。投石放火毒矢落とし穴などの、完全に物理的なトラップに悪霊によるポルターガイストなどの魔術的トラップなどどう転んでも殺意に溢れた特殊陣地が形成されていた。

 その中をルンルン気分でどう迎え撃つか算段している最中、唐突に顔が曇る。

 

 「誰かしら、隠れてないで出てらっしゃい?」

 虚空に向かって声を掛ける。自分の巣に残された僅かな形跡から、侵入者がいることを察知したのだ。

 「仕方ないか……。私はこの街の安寧を願う単なる探偵アイビス。お前は魔術傭兵ルカ・モンテゴに相違ないか?」

 「ええ……そうだけど」

 「じゃあ、この山をこう言うレベルの危険地帯に改造したのも、六年前に瑞城(みずのき)、不爾《しからず》で起きた殺害事件を起こして巳酉(みずとり)朱音(あかね)を殺したのもお前だな?」

 「……六年前六年前……ああ、そんなこともあったかしらね。標的の名前は覚えてなかったけれど」

 現れたのは街の探偵アイビス。相も変わらず手ぶらのまま、相手の余罪を問い詰める。

 

 「安心しろ、山の改造の方は、あくまでも私有地な上に爆発物や刀剣銃火器はないからな、法的な見地では言えることはないし、あくまでも住民として抗議するだけだが……。一応私は日本の警察の神秘対策局の外部協力者ってことになっててな。魔術は使えねえのだけども、神秘を用いて犯罪を起こした奴を止めるのは給料が出るお仕事なんだよ」

 「あらあらそれはつまり、私を捕らえる、と言うことかしら?」

 「勿論。大人しく降伏してくれるとありがたいんだけどね」

 「そんなこと有り得ると思って?」

 アイビスから為された投降勧告を雑に突っぱねると、太ももに差してあった拳銃を早撃ちする。魔術を使えない人間が5mと離れていない環境で速射された拳銃に対処できるわけがないと言う判断である。だが。

 

 「あっぶな。とりあえずこれで銃刀法違反と傷害未遂の現行犯だな」

 避けるのみならず、アイビスはその動きの中でルカへと殴りかかっていた。鳩尾へと飛んでくる一撃をルカは真っ直ぐ後ろへと下がることで回避するも、殴る動きの中でカモフラージュされた指弾を胸に受ける。魔力による身体強化を貫通して、咳き込むほどのダメージをそれは与えた。

 「アーチャー! アーチャー!」

 「お宅の軍服さんなら、今まさに別所で交戦中だよ。別れててくれて助かったんだわ。令呪を切れば連れてくることも可能だろうが……どうする?」

 嫌がらせの様な言葉を吐きながら、休ませず、詠唱もできない程度に素手での攻撃と投擲を織り交ぜる。

 

 「糞が(fuck!)……舐めやがって、この阿婆擦れめ(you are bitch)絶対殺してやるよ(I’ll kill you for my god)

 「うわ……本当にいきなり口が悪くなるな」

 殺すつもりの攻撃が一発たりともないことに余計に腹を立てつつも、今の間合いにおいて勝ち目が全くないことを理解している上に、アーチャーから向こうは2対1で戦闘が進行していることを知ったルカは、盤面を返すために、どうにか距離を取ろうとしていた。とにかく罠に引っ掛け距離を取り、目の前の女を仕留めた後、アーチャーの方に向かう心算だった。だが幾度落とし穴の存在するルートを取ろうとも、引っ掛けることができないでいた。

 「何だそのキモい挙動。単なる人形じゃねえのかよクズが」

 「お宅の目線が見やすいだけだってば。罠があるとこに目向けたらバレるに決まってるでしょう」

 ルカにアイビスの膝蹴りが突き刺さる。飛び蹴りの形であり、その着地点たり得る場所にもトラップを仕掛けているため、これ一発ぐらいは引っ掛かるだろうと考えていたルカはその思惑を外される。アイビスは落下する前に木々に触れて軌道を変え、ルカ自身が移動するために設定した安置に降り立つと、そのまま首を極めて抑え込む。あまりに綺麗に入った絞め技は人の意識を眠る様に三秒で刈り取り、気絶へと追い込む。

 

 「はあ、疲れた。調べたら余罪が出てくるとか聞いてないんだよな。そして、前回の方のキャスターは何を企んでいるのやら。ランサーこそ大英雄だけど、他が弱過ぎる。バーサーカーは範囲特化で本体性能はほぼ無し、他五騎に至ってはそもそも本来的には英霊じゃないんじゃないかな……」

 アイビスは気絶したルカの口に猿轡を嵌め、改めて縛ると、収監担当へと電話を入れる。今まさに別働隊としてアーチャーと戦っている百鳥達の救援に向かうためである。その後は改めて、前回の聖杯戦争のキャスターの捜索と目的の追求及び阻止、山中に仕掛けられた罠の撤去など、やらなければならないことは数多くあった。

 

 ◇

 

「腕が上がっていないか?」

「忌々しき探偵、魔術師殺し」

「だけどこれで話は進みましたよ」

「時代を冠する武芸者が二人、そして死の象徴を拡げる者」

「あとは……血を以って刀を研ぐか」

「ああ、今回ばかりは感謝しようぞ、探偵。貴様のお陰で、無事に聖杯戦争は進行している」

「だが危うい。既に拠点を五つは破壊されたぞ」

「排除か。やはり排除か」

「焚き付けよ、不信を煽る仕込みは出来ている」

「鍛治師に修道女、アレらを排除せねば話は進まぬのでは」

「あははは、本来のキャスターのマスターでも解放してみる?」

「収監者を使うのは難しくな〜い? だってあの探偵さんが主導でしょ〜? だったら、計画は持ち越して、戦力増強だけにした方が良いじゃんね!」

「然り。道理なり。座を改竄せよ、次に備えてな」

「決をする。聖杯を以って式を組み、是を用いて伝承を改竄する。次を待とう」

 




巳酉朱音:世にときめいていたアイドルにして魔術師。唐突に殺されたので悲劇のアイドルとして持て囃されました。犯人は色々噂されていましたが不明。なお今捕縛されたわけです

捏造設定:アメリカ政府に魔術関連組織があるなら日本にもあるだろ
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