Fate/Imagenary Friend   作:silika

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第十六話 探・偵・合・流

 煙が晴れると、そこには無傷の、だが表面の色や質感が大きく変化したあの化け物が残っていた。

 「は? 令呪を切った宝具を二発だよ。そこは死んでるべきじゃないの、常識的に」

 思わず、と言った感じで暴言が漏れたのは榛名。そして、考えれば考えるほど分からなくなる以上な再生能力。だが、それに関しては外から情報がやってきた。

 

 「成長せよ(growing)成長せよ(growing)成長せよ(growing)

 外からの闖入者、すなわちアナスタシア、百鳥、アイビスの三人である。アナスタシアは妹アガフィヤと電話を使ってタイミングを合わせ、植物を用いて化け物を縛り上げる。同時に百鳥の投げたナイフが怪物の側にいた山伏姿の人の喉を掻き斬る。致命傷を受けたそれは死体を残すことなく塵となって消え失せた。あまりの早業に、元々その場にいた彼彼女たちがそれに気づく事はない。

 「アレの再生能力は聖杯の魔力を利用した物だから、それを切断しなきゃ無理だよ」

 アイビスが全てをすっ飛ばして、化け物に関する説明を始めるが、それに雨子を除く三人が待ったを掛ける。アイビスにとっては自明の事実でも、彼らにとっては知らない話がある為だ。

 

 「ああ、そっか。私の立場をはっきりさせないとダメか」

 「あの、四番通りのところに事務所置いてる探偵の人、ですよね」

 「あ、そうそうそれであってる。まあ、どっちかと言えば前回聖杯戦争の優勝者ってとこなんだけど。……そんな顔しないでくれないかな。私は人殺しなんて絶対反対だし、前回のに参加したのも殺人を追ってたら、なんだから」

 「じゃあ今回は何を?」

 「キャスターの計画の阻止」

 「僕のこと?」

 目的を端的に説明すると、今回のキャスターである高町桜が反応する。

 

 「違う違う。前回、六年前の聖杯戦争のだよ。其奴が前回は暴れて、私とこっちの衣川の管理者(オーナー)とで解決して、聖杯をぶっ壊した。で、仕留めたつもりだったんだけどねえ……、何考えたんのかは分からんが、あの手の化け物を出してくるあたりからして、ね。生き残った挙句に碌でもないこと考えてやがるみたいだね」

 「……そう言うことだったんですね。両親からも、聖杯戦争関連の話題を途中で聞かなくなったのでどうしたのかと思っていましたが……」

 アイビスの口から明かされる前回聖杯戦争の顛末に、一応仮にも親が審判役だったノエルが驚きの声を上げる。

 

 「あー、それでさっきのセリフに帰ってくるのか。運営してるのがあのカスで、私らまとめて食べるために化け物を出してきた、と」

 「そそ、そう言うこと。だから聖杯と繋がって無限魔力の無限耐久だし、すでに脱落したサーヴァントの能力を使ってくると言うわけ」

 先ほどまで抱いていた全ての疑問が解消されたが、それはただひたすらに面倒な事実を表に引き摺り出していた。現状脱落したサーヴァントは四騎、その中には大英雄クラスのランサーが含まれている。それ単体でこの聖杯戦争に参加している他サーヴァント四騎近くの戦闘力を発揮し、そこにバーサーカーの範囲攻撃力とアーチャーの性格の悪さが合わさるという考えるだけでも強い組み合わせである。さらに、そこに聖杯による無限の魔力供給が加わるとなれば、ほぼ無敵と言っても過言ではない。

 

 「それ、倒せるんですか?」

 「倒せるかどうかって言ってもねえ、倒すしかないんだよ。だから私はここに来て、君たちに助けを求めてるんだわ」

 「って言われてもね……僕も結構キツいんだけど。とりあえずまずは聖杯との接続を切らないとダメなんだよね?」

 「らしいな。言っといてなんだが、私は魔術師じゃねえからな。魔術的な相談はターシャの方としてくれると助かる」

 「ちょい待って、アイビス。ここで私に振るの?」

 「仕方ないじゃん、知らんもんは知らんから」

 

 「接続、か。聖杯という魔力情報体と、魂という情報体の接続を切断する……それなら出来るかもしれない……」

 人が増えても出来ることは増えるわけではあまりないので、ただ悩む人数だけが増える。だがそんな中で、何かを思いついたのはジオである。

 「ちょっと、やってみたいことがあるんだが、いいか?」

 「どんなこと?」

 「俺の家系の魔術は情報、電脳関連でな。本質的には聖杯もサーヴァント———ってか魂も情報体だからな、そこのネットワークを遮断するだけなら出来るかもしれない。可能であれば、物理的な回線の遮断も重ねたいが、俺はそっちは持ってないんだよな、何かないか?」

 「物理的な切断、で良いんだよね? とにかく物理的に、LANケーブルを切る感じで」

 「ああ、そうだ」

 「なら私が。ただ準備させて欲しいから、後でで良い?」

 もう一人、切断係として榛名が立候補する。見えたかもしれない一筋の希望。失敗したらほぼ詰みだが、始めなければどうにもならない。おそらくは最後の決戦に向けての準備をするため、それぞれ己の拠点へと帰っていった。

 

 「ターシャは大丈夫?」

 「一応、この中じゃ一番強い魔術師だろうから、ここに残って監視と足止めをするつもり。アガフィヤには使い魔を飛ばしたから、準備の方も大丈夫。アイビスは?」

 「OK。私の方は……そうだね。十拳剣でも持ってくるかな。どうせ使わないだろうけど、一応二千年物の刀剣は幾らかあるんでね」

 「はい? そんな物どこで集めたし」

 「高校時代のクラスメイトに依頼してみたらあっさりね」

 「…………」

 

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