Fate/Imagenary Friend   作:silika

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第一話 聖杯戦争……って何さ

 「……はぁ、やっと終わった」

 黒い髪に狐面を掛けた女性が言う。その周りにいた人物たちは、一人を除いて一応見守っていた程度なので、初期の目的も、その後の見守りも果たしたら、あとは帰るだけである。

 「お疲れ様、お母さん」

 「あいよ。これで妙な殺人事件も起きなくなるよね?」

 「多分ねー」

 姉妹と思しき、赤い髪の少女の二人組のうちの一人がそう返す。その脇では、紫髪の美少女二人が、同じ色合いをした髪を持つ長身な女性に戯れ(たわむれ)(まと)わりついている。彼女たちにとっては、邪魔なルールがやっとこさ消えて、可愛い可愛い姉妹を()でる障害が失われた直後であるので、いつにも増して愛に溢れたものになるのも致し方(いたしかた)なし。

 

 「んじゃ、帰りますか。そこの三姉妹分の戸籍とか作んないとなんないしね」

 

 ◇

 

 よくよく考えてみれば、キャスターのマスターになったからと言って、学校に行く必要がなくなるわけじゃない。つまり……宿題やる時間が削れるだけなのでは?

 (……あー。魔法少女って……そういうものだから……ね? 私も宿題はヤバかったし)

 桜ちゃんと念話で話す方に忙しくなり過ぎて、朝ご飯を食べる速度がゆっくりになったのを怪しまれたりしながらも、頑張って学校に行く。

 

 「おはようございます、雨子」

 こうやって声を掛けてくるのは、長い綺麗な白髪の女の子、私の友達のノエルちゃん。胸にかかった十字架がなかなかに似合っている。いつもそうであるように、今日も抱き締める。向こうからも抱き返される。

 

 話すのは昨日のテレビの話とか。もしくはこんな事件があったとか。大体の場合、私が鈍臭いものだから、主なニュースの知らせ元はノエルちゃんになる。

 「…………」

 だからノエルちゃんが静かになるとちょっと困る。

 「どうしたの?」

 「……いいえ、なんでもありませんよ」

 ならいっか。うん、きっと大丈夫。わからないことは何をどうしても分からないし。と思っていると頭を撫ぜられた。

 

 「本当に、気をつけてくださいね? 色々と。連続少女誘拐犯まだ捕まっていませんし」

 ……多分、既に手遅れ。昨日、あの時キャスターの助けがなかったら、どうなってたんだろう……。

 (さあ? あの部屋には色々あったからね、うん。女の子の首の骨から作った礼装とかね)

 ひうっ……。良かった、無事に帰って来れて本当に良かった。

 

 その日の放課後、わたしはノエルちゃんに手を引かれて、教会に来ていた。教会というよりは、ノエルちゃんの家の一角に建てられた、礼拝堂のようなものだけど。結構お邪魔したことがある、一種慣れた場所。

 「えっ……ノエルちゃん?」

 それで私は、礼拝堂の椅子に座らされて、ノエルちゃんに剣を突きつけられていた。昨日あった恐怖がもっかい甦ってきた。殺されるかもしれない、何されるか分かんない、そういう恐怖。

 

 「……はぁ。ねえ分かってるの? 雨子。ここは私の家、つまりは私の工房なのよ」

 ノエルちゃんの口調が、一気に雑なものに変わる。ノエルちゃんのお家にお邪魔した時にしか聞いたことのない声。

 工房、ってなんだろう。何の話だかよく分かんない。

 (あー、そういう。……まずい、うんこれはまずい。間違いなく洗礼詠唱の使い手だよ、今のままじゃ勝ち目がないからさっさと逃げよ?)

 キャスターがなんか言ってるけど、よく分かんない。洗礼詠唱って何?

 

 「……馬鹿は私の方ね、多分」

 ノエルちゃんが何かに納得したように剣を下ろした。

 「で、雨子のサーヴァントはどこ? クラスと姿は見せてくれない?」

 ノエルちゃんに言われるがままにキャスターを実体化させる。

 

 「……それで、どこでサーヴァントと契約したかしら?」

 「契約……?」

 「あの、マスター? 昨日説明したよね?」

 ノエルちゃんの口調が他所(よそ)行きと崩したのの中間になった……。キャスターこと桜ちゃんに突っ込まれるけど、わかんない事覚えてられる訳ないじゃん。むしろそのままキャスターが説明してよ。

 

 「んー、僕としてはマスターをまさに殺そうとしてた人に詳細な説明とかしたくないんだけどなー」

 「それを言われるとキツイのだけど。ただ、聖杯戦争なんだから、私の行動も仕方ないと思わない?」

 ノエルちゃんと桜ちゃんがばちばち言い合ってる。なんかやっと理解してきた。わたしは、乱入者。でも本当は、聖杯戦争は魔術師7人でやるもの、あれ?

 

 「ノエルちゃんは魔術師である……?」

 「……にぶちん」

 「……もしかして、僕のマスターってかなりポンコツ?」

 ぼこぼこに言われてる。なんでさ。わたしがポンコツなんじゃなくて、みんなが頭良いだけだと思うの。

 

 「なんか、気が抜けた」

 「可愛いでしょ?」

 ノエルちゃんに褒められた。やったぁ。

 

 ◇

 

 大体桜ちゃんが説明してくれた。状況を纏めるがとっても上手だった。

 「朝の時点で手遅れだったのね……」

 ノエルちゃんが頭を抱えてしまった。そんなに気にしないで欲しいんだけど。私がどうなっても、ノエルちゃんには関係ないんだから。

 そのまま、ノエルちゃんがあーとかうーとか言っているのを眺めていると、いきなりバンッ、と机を叩いた。かと思うと、どっから出たのかわかんない紙に何かを書き始めた。

 

 「ライダー、署名なさい!」

 虚空にノエルちゃんが呼びかけると、入り口からライダーと呼ばれた人がやってきた。虫っぽい仮面を被って、大きなベルトをつけたライダーだった。というか直球に言いまして。

 「仮面、ライダー……?」

 「一発で真名バラすのはやめて。いくら見れば分かる感じでも」

 半分茶番みたいなことをやってると、ペンを渡された。そして書面も渡された。

 

 「なにこれ?」

 「自己強制証明(セルフギアス・スクロール)だね、マスター。なになに……正気?」

 え、何を書いてあったんだろう。

 「相互不可侵、は良いとして。そっちの分のペナルティが極端に重くない?」

 紙を見ても、なんて書いてあるのかさっぱり分からない。傾けてみたりするけど、全然分からない。

 「別に。雨子の命が掛かってるんだからその程度は軽い」

 眺めていたら、この文字たちなんか凄いかっこよく見えてきた。わたしも勉強したら読み書きできるようになるかな、なると良いなー。

 

 「じゃそういうことで」

 「はいよ」

 改めてペンを渡されたので署名する。天野雨子(あまのあめこ)、っと。

 「で、これなに?」

 「私と雨子で協力しよう、ってこと」

 




キャスター:魔法少女(概念)
ライダー:仮面ライダー(概念)
どっちもナーサリー型の英霊ですね。人呼んで子供の夢コンビ
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