Fate/Imagenary Friend   作:silika

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第三話 勇者とは……

 「まあ、このままおっ始めても良いんだがよ。殺す前に、クラスくらいは聞いとこうと思ってな」

 バイクに乗ったまま両手に小銃という、安全性やら運転性やら命中精度やらを完全に無視したスタイルの闖入者(ちんにゅうしゃ)は、狂犬のような笑いと共に問い掛ける。あまりのことに唖然とした他のサーヴァント二者は思わず喋る。

 「セイバーだ」

 「こっちはライダーだ」

 虫のような意匠をした仮面を被る者がライダーを名乗ったところ、狂犬のような小銃を持った軍服のライダーは、呵呵、と笑う。

 「奇遇だねえ、おい。じゃあ、テメエから死んでくれよ!」

 

 軍服のライダーが、仮面のライダーへとバイクを降りて襲い掛かろうと飛んだ瞬間、横合いから砲弾が襲いかかる。それはその場にいた三人のサーヴァントを標的としたものであり、つまるところ、更なる乱入者である。

 「外しましたか……まあ、良いでしょう。弾幕を貼れば十分ですから」

 そう宣うのはいかにも武士浪人に御座い、というような服装をした髪の長い人物だった。魚雷にしか見えない鉛筆サイズの棒を持った手を振り下ろすと、その人物の背面に展開された多数の砲門が纏めて火を吹く。

 「んで、テメエのクラスは?」

 「アーチャーですが何か?」

 

 場に集った4騎のサーヴァント、仮面のライダー、聖剣のセイバー、軍服のライダー、浪人のアーチャー。お互いに伏せられた手札が多過ぎ、他三人を巻き込めるような超火力はリスクを取らずに出せる札ではないため、結果として硬直した状態が続いていた。互いに打開するつもりもなく、消極的な睨み合い状態である。

 故に、状況の打開策は外からやってくる。

 

 この場での戦闘の始めから、ずっと潜んでいた者がいる。

 「子衛星(ポイント・サテライト)展開(アレンジ)十二機終了(エンド)。十五連豆型反射弾(バウンド・ミサイル)射出準備よし」

 キャスターである。この屋敷の敷地で、遠くで雨子の護衛がてら見守っていたキャスターは、ノエルへ連絡すると共に、状況を掻き乱すべく砲撃を開始する。

 「連鎖式反射型衛星砲(エンドレス・カーニバル)『Babel’s Light』、発射ー! あははは、消し飛んじまえ、どーせ死なないんだからさぁ!」

 唐突に物騒極まりない高笑いをし始めたキャスターに、雨子は驚いた。が、そんなことはお構いなしに光弾を放つ。

 

 尤も、そのまま直に射撃すると、下手人がバレる上に、キャスターが仮面のライダー陣営と協力していることまでバレるため、それを避けるための手段を講じている。そのための衛星で、そのための反射である。

 キャスターが生成した、疑似精霊を中核とした子衛星(ポイント・サテライト)十二個がそれぞれで、バラバラの位置で、質の違う魔力を持った十五連豆型反射弾(バウンド・ミサイル)を他の子衛星(ポイント・サテライト)に向かって射出する。射出された弾は、子衛星(ポイント・サテライト)にぶつかることで威力が分裂し拡大する。そうして増えた弾が他の子衛星(ポイント・サテライト)にぶつかることで更に拡大分裂し、というのを幾度となく繰り返す。それらの、弾丸強化ループは天で繰り返されているため、地上で戦闘している4騎は気付かない、いや、気付けない。

 

 だから、それが、例え始点では人間一人殺すのに八発いるような威力の弾が、強化の連続でサーヴァントに有効になるほどに反射を繰り返してもなお、回避行動を取りはしない。

 「さあ、とりあえずこんなもんかな。じゃあ、降り注げ(シュート)

 そうして拡大された、1000を超える光弾が、まさに格闘中の4騎の元に降り注いだ。

 

 「げえっ、これはキャスターか? 不利は負わない主義だからな、ずらからせて貰うぜ!」

 軍服のライダーは、降り注ぎ始めた時点で既に撤退を開始していた。残りの3騎はそれぞれの方法で対処していた。抜いた刀で光弾を捌く浪人のアーチャーに、さらに変形させて棒状にさせた、砲であり剣である武器で光弾を弾く仮面のライダー。聖剣のセイバーは、どこから取り出したのか、巨大な盾で攻撃を全て受け止めていた。

 「……夜明けも近いですね……一旦引きますか」

 「詳しくは知らないけど、神秘の隠匿だったかな? 俺も一旦引くぜ」

 襲撃した側である聖剣のセイバーと浪人のライダーは、それぞれ適当な理由をつけて撤収する。あれやこれやと言っているが、要するに今勝ち切る算段がついていないだけである。

 

 ◇

 

 ライダーとノエルちゃんが帰ってきた。わたしはいきなり変な笑い方をキャスターがしたこと以外は何も知らないんだけど、ノエルちゃんは疲れた顔をしてる。

 「出てきたのは三騎。それぞれセイバーとライダーとアーチャーを名乗った。でも、ライダーは私の、だからクラスの詐称。セイバーを名乗った奴は聖剣エクスカリバーを宝具にしていた。でも火力的にはそうじゃない。アーチャーは砲撃をしてたから多分真。でも受けに抜刀してるのは不明……」

 ブツブツと何かを唱えてるノエルちゃん。怖い……。日本語で話して欲しいんだよね。

 「なんとも言えないんだけどさ、僕の見立てる限り、僕らとセイバーとアーチャーは同類っぽいよ?」

 キャスターが帰ってくると、すぐにノエルちゃんの独り言に反応し始めた。私は何も分かんないから、聖書の写経をし始めた。

 

 ちょいちょい、とノエルちゃんに手で呼ばれると、どうせならこれで書き写してとペンを渡された。ボールペンじゃなくて羽根ペン。小学校の時には自由研究のねたにしたくらいにはお世話になったものである。

 「同類って言うと?」

 「存在がはっきりしない、って言えばいいの? 神秘の量とか色々感じて、ついでに魔法……じゃなくて魔術で測ったところ、ね」

 「それ単体だと英霊になれないから、他のものと集合することで霊基を成立させてる感じか」

 うーん、ここら辺はいつ読んでも分からない。ノエルちゃんに聞いても、よく分からないって言ってるしね。

 

 「ねー、結局どう言うこと?」

 「敵5人のうち、3人が見つかった……けど、相手の英霊が何か分からん。今わかる範囲で何できるか検証中」

 なるほど! 分からない。分からないことをわかりやすく説明されても、分かんないのはちょっとしか変わんなかった。でも、ほんのちょっとだけ分かったから、こんなポンコツなわたしでも、少しは役に立つ可能性を信じて

 「どんな人だったの?」

 「一人目、聖剣を振るセイバーは青い服の上に邪魔な派手な装飾のついた鎧を着込んだ男。聖剣っぽい聖剣を使って、真名解放……よりは必殺技の方が良いか、必殺技はエクスカリバー」

 分からない。分からないから、考えるだけ時間の無駄な気がするので、別のことをしようと思う。

 

 「ねーねー、ノエルちゃん。疲れたからゲームしよう?」

 「先に一人で始めといて」

 大きなゲーム機とコントローラーを4つ引っ張り出す。私の家じゃないけど、いっぱい泊まったことはあるから、どこに何があるかは覚えてる。えーと、そーだ、これこれ。

 プレイヤー4人まではマルチプレイできる仕様なのに、なんで全員別のジョブ固定なんだろう。そのくせ1Pは勇者固定だし。持てる武器は〇〇の聖剣で固定だし。いつも通り、右手の枠に闇を切り裂く聖剣をセット、左手の枠にトネリコの杖をセット、背中の枠に盾をセットじゃ。ふはははは、くらえ邪龍、これが二刀流(+盾)勇者の力じゃ!

 「……勇者?」

 「……そういえば、そうだね。聖剣を使うのは勇者だ」

 

 「でかした雨子」

 「マスター、凄いね。ここまで見越してたのかい?」

 ノエルちゃんに抱きしめられてキャスターに頭を撫でられた。ものすごいいきなりでびっくりしたせいで、一乙した。普段ならノーコンなのにー!

 いでっ! ノエルちゃんにデコピンされたー。ひどいんだー。

 「というか、冷静に考えて、寝なさい。今は午前四時、良い子はまだ寝る時間なの」

 

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