Fate/Imagenary Friend   作:silika

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第七話 魔術と夢と魔法

 「ちなみに、あたりは付けてるの?」

 「何がさ」

 アイビスとターシャは衣川の街のとことこ、まるで世界が平穏無事であるかの様に歩く。 道を歩く最中、ちょこちょこと色々な人に声を掛けられる。

 「あら探偵さん、今日はどこへお出掛け?」

 「猫を探してるんだわ、こういう子なんだけど見覚えない?」

 「悪いわね……」

 猫の似顔絵を見せながら話しかけてきたお婆さんと話すアイビス。その後ろをにこにことした顔で百鳥がついていく。そのとても気の抜けた雰囲気に、既に六年の付き合いとはいえやはり不思議そうな顔をしているのはターシャである。

 

 「で、なんだっけ」

 「捜査の方針。さっきあれやこれやと並べてたけど、何しに出てきたか言ってないんだわ」

 苦情を訴えるターシャ。依頼をした直後、取る物を取る程度の時間しか寄越さずに連れ出されたのであるから、当然すぎる抗議である。

 「あ、言ってなかったか。仕掛け人を探そうと思ってね。今行われている聖杯戦争には監督役がいない。呼び掛け人はいるから、そっちから何が思惑なのかを探ろうかな、と」

 言いながらも道を行く。その道筋を眺めて、なるほどと、一つ頷いたターシャ。

 「こっちは聖杯のある方か」

 「そうそう、取り敢えずまずはここだよね、ってこと。前回のキャスターみたいなのがいたらヤバいし」

 

 ◇

 

 「にゃーん、無粋な奴がいる気がするにゃー」

 「問題はあるまい、部外者である以上関われる道理はない」

 「それなら良いのですけど……前回は負けた相手でしてよ?」

 「構わん。魔術も使えない雑魚に三流だ。サーヴァント無しで何かが出来るわけもあるまい」

 暗闇の中、一人の人物が佇む。佇んで独り言をするが、その声音は幾つもに変化した。時に幼女に、時には老人に、時には老婆に。複数の人格と体を持つかのように言葉がくるくる入れ替わる人物が一人、レンズを見ながら観察を続ける。

 「英霊未満が5騎、これは面白いだろう」

 「ごった煮のつぎはぎ、想像の具現。仕掛けは上々。座の捏造も夢ではない」

 

 ◇

 

 今日は土曜日なので学校はお休み。お休みの日の醍醐味といえば、そう、二度寝である。ノエルちゃんに叱られることもなく、思いっきり布団の上でごろごろする。ごろごろ〜ごろごろ〜。

 「あ、起きた? ご飯食べる?」

 食べる。ノエルちゃんのご飯を抜く選択肢はない、無いったら無いのだ。食べたらまた寝よう。それが良いね、うん。

 「マスター、流石にそれはどうかと思うんだけど……」

 「えー、逆にキャスターはお布団背負って歩いたことないの?」

 「僕は勤勉だったし。魔法少女になってからは、魔法の練習が欠かせなかったからね」

 やだ……私だけ? ノエルちゃんはいつだって早起きしてテキパキ動いてるし、キャスターも勤勉だったらしいし、パパもママも早くから起きてるし、高橋も大体学校に早くきてるし、もしかしてお布団が好きなの私だけか、そっかあ……。

 「あ、そうだ、魔法の練習ってどんななの?」

 「うーん……見せても良いけど……家主に許可を取った方が良いかな」

 

 「ノエルちゃーん、良い?」

 先に居間に行っていたノエルちゃんに聞いてみる。まさに食卓の用意をしてる最中だったので、後にしろって叱られた。

 今朝のメニューはトースト、目玉焼き、ベーコン。いかにもって感じの朝ご飯だ。普通のなんの変哲もないご飯で、つまるところ美味しいのである。

 「で、なんだっけ、魔術の練習?」

 「ううん、違う違う、キャスターが魔法の練習を見せてくれるって」

 ノエルちゃんが物凄い顔をする。どこに反応したんだろ。そこから一瞬悩む顔になったけど、すぐに頷いた。庭の真ん中の方へと誘導される。

 

 「ま、一応戦力情報だからあんまり見られたくは無いんだよね」とのこと。言われてみれば確かに、ということでこの馬鹿みたいに大きい屋敷の庭の真ん中の方に行く。

 「あれ、そういえばなんで教会の人なのに大きな屋敷を持ってるの?」

 ふっと湧き上がって来た疑問がそのまま口から出てきた。なんかやばい台詞を吐いた気がするんだけど……。

 「清貧を良しとするのが教会だけど、こういうのを禁止してるわけでも無いからさ」

 そうなんだ、これも一つ発見かな。

 

 庭の真ん中に来ると、キャスターは一つの小石を拾った。

 「魔力充填……よし。じゃ、見ててね。『細星(リトル・スター)』」

 キャスターが魔力を溜めて光る球を作ると、石を上に放り投げてから、それを放った。

 「Uno, dos, tres」

 キャスターが指を動かすと、その通りに光球がくるくると動いて、一人バレーみたいな感じで石がこんこん跳ね上げられた。一回、二回、三回、四回、五回、六回。

 「diez, once, doce」

 十回を超えたところから、打ち上げる高さが倍になった。

 

 「Cinquenta, y uno, dos」

 50回を超えたら、今度は小刻みに打ち始めた。一人卓球みたいな感じ、が一番近いと思う。ぺしぺしぺしと光球が往復しながら石が弾かれていく。そして100回目。

 「シュート!」

 光球を素早くくるっと動かして、石がスパイクみたいに飛んでいった。そしたら今度は石をもう一回拾い上げた後、光球を二つ作った。そして石を放り投げると今度は二つの光球が順番に弾きあってお手玉をし始めた。

 「ま、ざっとこんな感じかな」

 最終的に10個の光球で15個の石を同時にお手玉してから、それが綺麗な円形になるように同時にスパイクを撃ってフィニッシュしてた。何がどうなってるのかさっぱり分かんないけどすごく上手だったから何も考えずに拍手をしてた。ほんとにすごいと思う。私にはジャグリングなんてできないし。

 

 「ちなみにそれは何の練習で?」

 「魔力操作、みたいなものかな。最初はこれ精度が出なくて難しかったんだよね」

 へー、そうなのか。体育の授業みたいな地味さだね。でも、これがあの魔法に変わるのは中々にふっしぎー。どうやったらあんな砲撃ができるかな。私にもできたりしないかな。

 「実際のところどうなのさ、キャスター」

 「んー、僕に聞かれても、ねえ? キューちゃんがいればまだしも、私本人にそんなことを分かるような能力は無いんだよね。はいそこ、役に立たないとか思うな!」

 キャスターとノエルちゃんがプロレスを始めた。大体7:3くらいでノエルちゃんが有利だ。これは……キャスターが凄く弱いんだな、きっと。じゃーまんすーぷれっくす、だっけ。よく分かんない。

 

 そんなこと言ってたら眠くなってきた。……うん、良い感じに暖かいし、お昼寝するかー。

 




雨子の認識:魔法=魔術=なんか凄い不思議な力
キャスターの認識:魔法=第一から第五までの物と、自分の生前に使用していた物の2種。扱い的には魔術が近いが、出来ることには魔法級も含まれる
魔法と魔術の違いをノエルもキャスターも雨子に説明していません。徹頭徹尾一般人の雨子はそんな事は知らなくて良いという判断ですね
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