「あんまりふざけるなよ、紡ぎ手。」
お前は
「ここが、冬木………?」
以前に訪れたことはあるが、こんなに酷くなかったはず。ごくごく普通の地方都市だったはずだが……。
カラカラと、音が鳴る。
振り向くと、骸骨が剣を持っていた。しかも1体ではない。槍や弓を持った個体もいる。
「行くぞ、
『機刀・龍丸』。最高傑作にして、僕の愛刀を抜刀する。魔術によって形作られる、蒼いビーム刃が展開した。
「せいっ!」
剣を振り抜き、その衝撃波だけで全て粉砕できる。脆いなら、やりようはある。
また、ぞろぞろと出てきた。どうやら数は多いらしい。
「……ならば、殲滅戦だ!」
─────────────
『藤丸君、その先に極大の魔力反応だ!なんだこれ!?ほんとにサーヴァントか!?でも霊基反応は観測されていないぞ!?』
通信で、ドクターが驚愕の声をあげた。
「サーヴァント並の力を持つ人間……!?魔術協会の幹部レベルじゃない!?」
所長も、その事実に驚いているみたい。
「遭遇したらすぐに逃げるわよ!そんなのと戦うなんて御免よ!」
「でも敵だとは限らないでしょ?ならまず話し合ってみよー!」
「はい!先輩!」
「ち、ちょっと待って!私を1人にしないで!」
しばらく行くと、轟音が聞こえてきた。何かが一気に崩れる音、爆発する音………。
その正体は、すぐに分かった。
『「有り得ない………。」』
2人の言うことももっともだと思う。だって、骸骨の残骸と思わしき山を、1人の和風少女が積み上げていたのだから。
剣、槍、弓や魔術を使って、出てくるそばから撃破、放り投げて山に加える。少なくとも、目を疑う光景ではある。
「ふぅ。……おや?」
終わったみたいだ。息を吐いて剣を背に収める。彼女が、こちらに気づいた。綺麗な顔だった。美少女とはまさにこの事なんだろう。
「こんにちは。いい天気……とはいえませんが。」
声も透き通っている。でも身長は私より高い。170近くはあるだろう。
「……どうなさいました?」
「あ、ごめん!私は藤丸立香!よろしくね!」
「藤丸さん、よろしくお願いしますね。そちらのお二方は?」
「私はマシュ・キリエライトといいます。先輩のサーヴァントです。」
「サーヴァント……?
とにかく、マシュさんですね。お願いします。」
「……答えなさい。貴女は何なの?どうしてあんな力を持っているの?あんな魔術、現代じゃ無理よ。」
「申し遅れました、僕は
『「「「えええええええええええっ!!!!!!?」」」』
「狐神 陽って、世界中の神話に登場するビッグネームじゃない!」
「私はギルガメシュ叙事詩の活躍が好きです!」
「日本人としては"
『凄い、凄いぞ!そんな最上級クラスの神霊がサーヴァントととして召喚されているなんて!!』
「その、先程から言っている、サーヴァント、とは何でしょうか……?」
───少女説明中─────
「成程……。えっとですね……、僕、まだ生きてます。」
『「「え?」」』
「ずっと昔に、時を越える術を編み出しまして。それで過去に行って、色々大暴れしたっていうか………。
あの頃は若かった………。」
『嘘だろう!?もうそれは魔法じゃないか!』
「だから時代も場所も違う神話や伝説に陽さんの名前が……。」
「そういうことです。あ、でも召喚の触媒にはなれると思います。あらゆる時代で、あらゆる英雄と関わってきたので。」
『あるいは、君自身がマスターになることもあるかもだ。今軽く計測してみたら、これ以上無いほどのマスター適性があるようだ。マシュ、盾をそこに置いてみなさい。ちょうどそこが霊脈になっている。』
「道理であんなに骸骨居るわけだ。」
「それを1人で殲滅する貴女も凄まじいわよ……。さすが、"英傑神"ね。」
「あはは、それほどでも。」
「謙虚ね。さあ、藤丸。召喚する時はこう言うの。」
──少女説明中────
「分かりました!じゃあ────
『
繰り返すつどに五度。満たされる刻を破却する。
告げる。
汝の身は我が元に、我が命運は汝の剣に。聖杯のよるべに従い、この意、この理に従うならば応えよ。
誓いをここに。
我は常世総ての善となるもの。
我は常世総ての悪を敷くもの。
汝三大の言霊を纏う七天、
抑止の輪より来たれ、天秤の守り手よ──────!!』」
光が収まって、現れたのは、マントを羽織った剣士。
「おっととと!悪い悪い、緊急召喚みたいな感じでな。えーと、真名シャルルマーニュ、クラスはセイバー!もっとメジャーな名前があるにはあるが、そっちは別口ってことでよろしく。伝説……いや、噂通りの英雄の姿、存分に見せてやるぜ!」
「……す、すごい。凄いぞ藤丸君!トップクラスのサーヴァントじゃないか!」
「おっ、アンタがマスターかい?よろしく頼むぜ!」
「うん!私は藤丸立香!よろしくね、シャルル!」
「おう!」
「お久しぶりですね、
「お前、陽じゃないか!いつぞやの戦以来だな!」
「懐かしいです。またお会いできるとは。」
『ほんとに知り合いなんだ……。』
「さて、では行きましょう。僅かな時間も惜しい。」
「あれ、召喚しないの?」
「ええ。自衛程度ならばサーヴァントが居なくとも出来ます。また、カルデアに行ってからで良いでしょう。」
「貴女も来るの?」
「当然。人々を護ることが我が使命。言葉の通り、命の使い途です。」
「かっこいいね!」
「ふふ、ありがとうございます。」
「サーヴァントがいなくても大丈夫って、どういうことよ……。」
『さすが英傑神と言うべきでしょうか……。』
解説:『ギルガメシュ叙事詩での活躍及び東方狐神伝について』
この小説の世界では、主人公はギルガメッシュやエルキドゥと共にグガランナに立ち向かい、倒したとされている。
東方狐神伝とは、この小説の世界において日本最古の"実在する人物を題材とした英雄譚"であり、主人公による飢饉救済、九頭龍討伐など、その内容は多岐に渡る。