「おーおー、誰かと思えばアンタかよ。道理であんな派手な戦いするわけだわ。」
物陰から出てきたのは、蒼髪にローブを羽織った青年。
「お久しぶり。メイヴとやりあう前にちょこっと顔合わせて以来かな。」
「だな。」
「ハル、誰この人?」
「見たところサーヴァントのようですが……。」
彼の方を見ると、にやりと笑ってひらひらと手を振った。良いみたいだ。
「彼は、『クー・フーリン』。ケルトの伝説の戦士ですよ。」
「く、クー・フーリン卿だと……!?」
「あ、シャルル倒れた。」
『「えええええええっ!!?」』
「わわ!えっ……と、誰?」
『藤丸君、クー・フーリンを知らないのかい!?』
「クランの猛犬、アルスターの光の御子とも呼ばれる、凄い方なんですよ先輩!」
2人が大興奮で
「まあ、特に有名なのは彼の槍でしょうね。投げれば必ず心臓に当たる魔槍、『ゲイ・ボルグ』。」
「あ、それはゲームとかで聞いたことあるかも。」
「はい。その持ち主が、彼なんです。
……そういえば槍はどうした?」
「あー……、今はキャスターだからな。」
「ルーン魔術のほうで召喚されたの。そりゃ困難なことで。」
「他人事みたいに言うなよな。そういやアンタのクラスはよ?」
「あ、僕サーヴァントじゃないよ。」
「はぁ!?………いや、よく考えてみりゃそうか。悪ぃな。」
「構わない。見たところ、協力してくれるんだろ?この特異点とやらの元凶、倒しに行こうじゃないか。」
「へっ、アンタが居るなら百人どころか万人力だ。頼むぜ。」
「ああ。
『「「はぁ!!?」」』
「勝ち逃げしやがってよ、ほんっと………。」
「仕方ないだろ、事情があったんだから。」
「ま、戦力は申し分ねえか。じゃ、行くか。」
「ちょ、ちょっと!行くってどこによ!」
「オルガマリーさん、分かりませんか?あちらの方からとても強い魔力が立ち昇っているのを。」
彼女がそちらを見ると、確かに魔力が煙のように登っている………、ような?
「この感じだと、柳洞寺のあたりかな。たしかあそこには……。」
「ああ、アンタが思ってる通りだ。そして、そこに
「………そうか。反転したか。」
「そこまで分かるのかよ。流石だな。」
(それなら、
「でも、その前に。マシュさん。貴女、宝具が使えないのでは?」
「……はい。特異点調査のため、カルデアでは事前にサーヴァントが用意されていました。そのサーヴァントも、あの爆発でマスターを失い、消滅しつつあった……。ですがその直前、彼は私に契約を持ちかけてきました。」
「契約、ですか?」
「はい。"英霊としての能力と宝具を渡す代わりに、この特異点の原因を排除してほしい"と。」
『ではキミの中に英霊の意識があるのかい?』
「……いえ。彼は私に戦闘能力を託して消滅しました。最後まで真名を告げずに。」
「成程。確かに
「ですので、私は自分がどこの英霊なのか、自分が手にしたこの武器がどのような宝具なのか、まるで分かりません。」
「成程な。だが英霊と宝具はイコールだ。デミでも何でもお嬢ちゃんがサーヴァントとして戦えるなら、その時点で宝具は使えるんだよ。」
「そう、なのですか……?」
「ああ、そうだ。……少し時間をもらっても構わんな?」
「僕はいいよ。皆さんは?」
「私も賛成!マシュの必殺技、見てみたいし!」
「よし、多数決で寄り道しましょうか。」
「んじゃ、厄寄せのルーンを刻んでっと……。」
『エネミー反応多数!来るぞ!』
「この戦い、僕と彼は加勢しません。シャルルも、そのように。」
「ま、しゃーないか。」
いつの間にか復活していた彼も頷いた。
「な、何故ですか!?」
「貴女がやることに意味があるのです。それじゃ、サクッと限界超えましょうか。」
「彼女をどう見る、セタンタ。」
「純粋な原石っつーとこか。ありゃ、そのうち化けるぜ。」
「そうか。僕も同意見だ。
それにしてもあの盾……。内に潜んでいたか…?恐らく、かなり惨い真似したのだろうが。」
「どうかしたか?」
「……いや、何でもない。先達らしく見守ろうじゃないか。」