「集いしは
白銀の魔力を纏いし一閃が、セイバーに向け振りおろされる!
「
文字通り地を割り空を裂くその一撃は、彼女を呑み込み、霊核を粉々に打ち砕いた。そして、あまりに強大な光が収まり、立香達が視界を取り戻した後でも、セイバーは剣を手放さず、そこに立っていた。
「……見事であった。聖杯を守り通す気でいたが、己が執着に
「あ?どういう意味だそりゃあ。」
「キャスター!」
「キャスターさん、いつの間に?」
「おう、ついさっきアーチャーの野郎をぶっ飛ばして、急いで駆けつけてみればとっくに終わってると来たもんだ。
で、だ。セイバーテメエ、何を知っていやがる?」
「何れ貴方も知る、アイルランドの光の御子よ。
グランドオーダー──、聖杯を巡る戦いは、まだ始まったばかりだという事をな。」
そう言い残し、彼女は消滅した。何者かの存在を示唆して。
「オイ待て、それはどういう──おぉお!?
やべえ、ここで強制帰還かよ!?
チッ、納得いかねえがしょうがねぇ!お嬢ちゃん、あとは任せたぜ!次があるんなら、そん時はランサーとして喚んでくれ!」
聖杯戦争が終わったことにより、彼も現世から退去する。
「セイバー、キャスター、共に消滅を確認しました。
……わたしたちの勝利、なのでしょうか?」
『ああ、よくやってくれたマシュ、立香ちゃん!
所長もさぞ喜んで……、あれ、所長は?』
「……
「オルガマリーさん、確かに不可解ですが……、それよりももっと、大変なことになっているようですよ。
──コソコソしてないで、出てきたらどうだ。」
大聖杯の影より現れたのは、緑のコートを纏った男──いや、男というのは語弊があるかもしれない。
「おや、気付かれていたか。さすが英傑神といったところか。
まさかここまでやるとはね。計画の想定外にして、私の寛容さの許容外だ。48人目のマスター適性者、まったく見込みのない子供だからと、善意で見逃してあげた私の失態だよ。」
「レフ教授!?」
「お気を付けて。あれは、人間ではない。」
『レフ──!?
レフ教授だって!?彼がそこにいるのか!?』
「うん?その声はロマニ君かな?君も生き残ってしまったのか。すぐに管制室に来て欲しいと言ったのに、私の指示を聞かなかったんだね、まったく──どいつもこいつも統制のとれていないクズばかりで吐き気が止まらないな。人間というものはどうしてこう、定められた運命からズレたがるんだい?」
「マスター、下がって……下がってください……!」
「レフ……、ああ、レフ、レフ、生きていたのねレフ!」
「なっ!?待ってくださいオルガマリーさん!」
ハルの制止も聞かず、オルガマリーは一目散に駆けていく。
「良かった、あなたがいなくなったらわたし、この先どうやってカルデアを守ればいいか分からなかった!」
「やあオルガ。元気そうでなによりだ。君も大変だったようだね。」
「ええ、ええ、そうなのレフ!管制室は爆発するし、この街は廃墟そのものだし、カルデアには帰れないし!予想外のことばかりでどうにかなりそうだった!でもいいの、あなたがいれば何とかなるわよね?だって今までそうだったもの。今回もわたしを助けてくれるんでしょう?」
「ああ、もちろんだとも。本当に予想外のことばかりで頭にくる。その中でもっとも予想外なのは君だよ、オルガ。爆弾は君の足元に設置したのに、まさか生きているなんて。」
「────、え?
……レ、レフ?あの、それ、どういう、意味?」
「いや、生きている、というのは違うな。君はもう死んでいる。肉体はとっくにね。トリスメギストスはご丁寧にも、残留思念になった君をこの土地に転移させてしまったんだ。ほら。君は生前、レイシフトの適性がなかっただろう?肉体があったままでは転移できない。わかるかな。君は死んだことではじめて、あれほど切望した適性を手に入れたんだ。だからカルデアにも戻れない。だってカルデアに戻った時点で、君のその意識は消滅するんだから。」
「え……え?消滅って、わたしが……?
ちょっと待ってよ……カルデアに、戻れない?」
「そうだとも。だがそれではあまりにも哀れだ。障害をカルデアに捧げた君のために、せめて今のカルデアがどうなっているか見せてあげよう。」
レフが聖杯と呼ばれた水晶体を掲げると、空間が裂け、奥に地球儀のようなものが見える。
「な……なによあれ。カルデアスが、真っ赤になってる……?」
「マズイっ……!」
彼は駆け出した。立香が制止をしても聞く様子はない。
「嘘、よね?あれ、ただの虚像でしょう、レフ?」
「本物だよ。君のために時空を繋げてあげたんだ。聖杯があればこんなこともできるからね。さあ、よく見たまえアニムスフィアの末裔。あれがおまえちの愚行の末路だ。人類の生存を示す青色は一片もない。あるのは燃え盛る赤色だけ。あれが今回のミッションが引き起こした結果だよ。良かったねぇマリー?今回もまた、君のいたらなさが悲劇を呼び起こしたワケだ!」
「──そこまでにしろ、下郎。」
居たのは、これまでにないほどの怒気を纏うハルだ。俯いているためその顔は影になって判然としないが、凄まじい怒りだけは、誰の目にも明らかだった。
「おや?慈悲深き英傑神サマが、まさか怒っているのかい?」
「貴様の虚言、聞くに及ばず。故に。」
彼の手に、黄金の杯。──聖杯だ。彼が魔力を通すと、次元が裂け、昏き神殿のような場所へ繋がった。
──怒っているとも。彼は呟く。
「
一息にも満たぬ時間でレフに接近、龍丸が一閃。両断したレフの亡骸を裂け目の彼方へ蹴り飛ばし、憤懣やるたかないとばかりにさらに一撃を加え、神殿が大爆発を起こした。それと同時に、レフが開けた裂け目も閉じる。
「は、ハル……。」
泣きそうなオルガマリーに、彼が向き合う。
「オルガマリーさん。どうか、彼奴の言葉に、耳を貸さないよう。聞けば、カルデアというのはかなり大きい組織のようで。貴女は、その若さでそれを率いている。分不相応なれど、神と謳われし者として、言葉を託します。
──誇りなさい、人の子よ。貴女の活躍は、誰にでも出来るものではない。もう一度言う。誇りなさい。オルガマリー・アニムスフィア。」
「……はい………はいっ……………!!」
「そして、貴女の働きに免じ、僕が、加護を与えます。
───第三魔法、"天の杯"、起動。」
それは、一瞬の出来事。オルガマリーが白銀の光に包まれたかと思えば、すぐに光は霧散する。
「これでお終いです。さあ、戻りましょう、カルデアへ。そろそろこの特異点も限界のようです。」
『ああ、今言おうとしていた!特異点が崩れるぞ!位相の波の中、意識を強くもつんだ!』
「藤丸さん、マシュさん、お気を付けを。さもないと、冗談抜きで消えますから!」
2人が頷く。それを見届け、彼らの意識は闇へ落ちた。