特異点F崩壊より3時間。管制室に、ハルの姿があった。
「まさかあの英傑神と出会えるなんて、光栄だよ。改めて、ロマニ・アーキマンだ。よろしく。みんなからは、Dr.ロマンと呼ばれている。」
2人は、堅い握手を交わす。
「狐神ハルです。お見知り置きを。何はともあれ、現状を教えていただけますか?」
「ああ、勿論だ───」
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数十分後。扉が開き入ってきたのは、藤丸立香だ。
「おはようございます、先輩。無事で何よりです。」
「おはよ。助かったんだね、マシュ。」
「はい。先輩のおかげで。手を握ってくれて、ありがとうございました。」
「……コホン。再会を喜ぶのは結構だけど、今はこっちにも注目してくれないかな。まずは生還おめでとう、立香ちゃん。そしてミッション達成、お疲れ様。なし崩し的にすべてを押し付けてしまったけれど、君は勇敢にも事態に挑み、乗り越えてくれた。その事に心からの尊敬と感謝を送るよ。君のおかげでマシュとカルデアは救われた。所長も、ハルちゃんのおかげで無事だ。」
「良かったです。ありがとね、ハル!」
ハルはすっと片手を上げて応えた。
「続けよう。マシュから報告を受けたよ。聖杯と呼ばれた水晶体とレフの言動。カルデアスの状況から見るに、奴の言葉は真実だ。外部との連絡はとれない。外に出たスタッフも戻ってこない。……おそらく、既に人類は滅んでいる。
「解決策が、あるんですか?」
「もちろん。まずはこれを見て欲しい。復興させたシバで地球の状態をスキャンしてみた。未来じゃなくて過去の地球のね。冬木の特異点は君たちのおかげで消滅した。なのに未来が変わらないということは、他にも原因があるとボクらは仮定したんだ。」
ハルがコンソールを叩きカルデアスを操作する。そこには、光る点のようなものが7つ。
「それが、これです。特異点Fとは比べ物にならない時空の乱れ。フィクションでは過去を変えれば未来が変わると言いますが、少しくらいじゃ未来は変わらない。歴史には修復力というものがあり、1人2人くらいなら救えても、時代における結末、つまり決定的な結果は変わらないようになっています。」
「でもこれらの特異点は違う。これは人類のターニングポイント。」
「"この戦争が終わらなかったら"
"この航海が成功しなかったら"
"この発明が間違っていたら"
"この国が独立できなかったら"
これらはそういった、現在の人類を決定づけた究極の分岐点。」
「それが崩されるということは、人類史の土台が崩れることに等しい。この七つの特異点はまさにそれだ。この特異点ができてしまったことで未来は決定してしまった。レフの言うとおり、人類に2017年はやってこない。」
「けれど、カルデアだけは違います。まだその時間軸に到達していないからです。」
「分かるかい?ボクらだけがこの間違いを修復できる。今こうして崩れている特異点を元に戻すチャンスがある。結論を言おう。この七つの特異点にレイシフトし、歴史を正しいカタチに戻す。それが人類を救う唯一の手段だ。けれどボクらにはあまりにも力がない。マスター適性者は、君と、
彼は一呼吸おき、
「マスター適性者48番、藤丸立香。君が人類を救いたいのなら。2016年から先の未来を取り戻したいのなら。君は、仲間たちを含めたたった9人で、この七つの特異点と戦わなくてはならない。その覚悟はあるか?君にカルデアの、人類の未来の一部を背負う力はあるか?」
「…………私に、できることなら。」
「──ありがとう。その言葉で、ボク達の運命は決した。これよりカルデアは当初の予定通り、人理継続の尊命を全うする。」
「目的は人類史の保護、及び奪還。探索対象は、各年代と、原因となる聖杯です。僕達の前に立ち塞がるは多くの英霊、歴史そのものです。それは挑戦であると同時に、過去に弓引く冒涜。人類を護るために、人類史に立ち向かうのですから。」
「けれど、生き残るにはそれしかない。いやさ、未来を取り戻すにはこれしかない。たとえどのような結末が待っていようとも、だ。」
「以上の決意をもって、作戦名の変更を立案します。ファーストオーダーより、人理守護指定、
「……認めましょう。」
「所長!?もう起きたのですか!?」
「人類のピンチよ。呑気に寝ていられません。
カルデア最後にして原初の使命、魔術世界に於ける最高位の使命をもって、我々は未来を取り戻します!さあ、入ってきなさい。」
扉が開き、7人の男女が管制室へ。マシュは彼らを見て目を見開いた。
「──君だね、私達の代わりに特異点を攻略してくれたのは。
私は、キリシュタリア・ヴォーダイム。カルデアAチームマスターだ。よろしく頼むよ。」
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「さて、ではワクワクドキドキの召喚タイムと行きましょう。Aチームの皆さんのついでに、僕のサーヴァントも喚びたいですね。」
「……まさかあの英傑神があんな少女だなんてな。」
「びっくりだよな、本当に。おまけにボクっ娘と来たもんだ。」
「やめておきましょう、私達は彼女に助けられたのだから。」
「……そうだな。」
行き着いたのは、召喚のための設備が整えられた場所、通称召喚ルーム。
まずはAチームから。キリシュタリアはランサー・カイニス。カドックはキャスター・アナスタシア。オフェリアはセイバー・シグルド。ヒナコはライダー・赤兎馬。ペペロンチーノはアーチャー・アシュヴァッターマン。ベリルはルーラー・ジャンヌダルク。デイビットはバーサーカー・ランスロット。アサシンを除くサーヴァント7騎。最後に、ハルの番。召喚サークルが乱回転し、虹色の光を放ちはじめた。
「な、なんだ!?こんなこと初めてだぞ!?」
ロマンも悲鳴をあげるが、光が収まり、そこに居たのは1人の少女。
「こんにちは。貴方が私の召喚者、ですね?」
ハルの脳裏に、風景が流れてゆく。眼前の少女と、魔術を研究し、旅をした、そんな
「…………トネリコ?」
「どうして、私の名を……?」
「……分からない。ただ、何となく分かるんだ。雨の魔女、トネリコ。それが、君の真名。」
「……奇遇ですね。私も、貴方が何となく分かるんです。よろしくお願いしますね、ハル……いいえ、マスター。」
ハルの令呪
四尾の狐を模した絵柄。尾2本でそれぞれ1画、狐本体で1画である。ハルの存在としての特異さ故に、残り1画、つまり尾がなくなり狐本体を残すのみになると、とある特性が発動する。