英傑神の旅路をここに   作:くらんもち

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9話

特異点F崩壊より3時間。管制室に、ハルの姿があった。

 

「まさかあの英傑神と出会えるなんて、光栄だよ。改めて、ロマニ・アーキマンだ。よろしく。みんなからは、Dr.ロマンと呼ばれている。」

 

2人は、堅い握手を交わす。

 

「狐神ハルです。お見知り置きを。何はともあれ、現状を教えていただけますか?」

 

「ああ、勿論だ───」

 

 

──────────────────────────

 

数十分後。扉が開き入ってきたのは、藤丸立香だ。

 

「おはようございます、先輩。無事で何よりです。」

 

「おはよ。助かったんだね、マシュ。」

 

「はい。先輩のおかげで。手を握ってくれて、ありがとうございました。」

 

「……コホン。再会を喜ぶのは結構だけど、今はこっちにも注目してくれないかな。まずは生還おめでとう、立香ちゃん。そしてミッション達成、お疲れ様。なし崩し的にすべてを押し付けてしまったけれど、君は勇敢にも事態に挑み、乗り越えてくれた。その事に心からの尊敬と感謝を送るよ。君のおかげでマシュとカルデアは救われた。所長も、ハルちゃんのおかげで無事だ。」

 

「良かったです。ありがとね、ハル!」

 

ハルはすっと片手を上げて応えた。

 

「続けよう。マシュから報告を受けたよ。聖杯と呼ばれた水晶体とレフの言動。カルデアスの状況から見るに、奴の言葉は真実だ。外部との連絡はとれない。外に出たスタッフも戻ってこない。……おそらく、既に人類は滅んでいる。カルデア(ここ)だけが通常の時間軸にない状態だ。崩壊直前の歴史に踏みとどまっている、というのかな。外の世界は死の世界だ。この状況を打破するまでね。」

 

「解決策が、あるんですか?」

 

「もちろん。まずはこれを見て欲しい。復興させたシバで地球の状態をスキャンしてみた。未来じゃなくて過去の地球のね。冬木の特異点は君たちのおかげで消滅した。なのに未来が変わらないということは、他にも原因があるとボクらは仮定したんだ。」

 

ハルがコンソールを叩きカルデアスを操作する。そこには、光る点のようなものが7つ。

 

「それが、これです。特異点Fとは比べ物にならない時空の乱れ。フィクションでは過去を変えれば未来が変わると言いますが、少しくらいじゃ未来は変わらない。歴史には修復力というものがあり、1人2人くらいなら救えても、時代における結末、つまり決定的な結果は変わらないようになっています。」

「でもこれらの特異点は違う。これは人類のターニングポイント。」

 

「"この戦争が終わらなかったら"

 "この航海が成功しなかったら"

 "この発明が間違っていたら"

 "この国が独立できなかったら"

これらはそういった、現在の人類を決定づけた究極の分岐点。」

 

「それが崩されるということは、人類史の土台が崩れることに等しい。この七つの特異点はまさにそれだ。この特異点ができてしまったことで未来は決定してしまった。レフの言うとおり、人類に2017年はやってこない。」

 

「けれど、カルデアだけは違います。まだその時間軸に到達していないからです。」

 

「分かるかい?ボクらだけがこの間違いを修復できる。今こうして崩れている特異点を元に戻すチャンスがある。結論を言おう。この七つの特異点にレイシフトし、歴史を正しいカタチに戻す。それが人類を救う唯一の手段だ。けれどボクらにはあまりにも力がない。マスター適性者は、君と、()()()7()()を除き凍結。所持サーヴァントも、マシュとシャルルマーニュのみ。これから召喚するにしても、戦力が少ないのには変わりない。この状況で君に話すのは強制に近いと理解している。それでもボクはこう言うしかない。」

 

彼は一呼吸おき、

 

「マスター適性者48番、藤丸立香。君が人類を救いたいのなら。2016年から先の未来を取り戻したいのなら。君は、仲間たちを含めたたった9人で、この七つの特異点と戦わなくてはならない。その覚悟はあるか?君にカルデアの、人類の未来の一部を背負う力はあるか?」

 

「…………私に、できることなら。」

 

「──ありがとう。その言葉で、ボク達の運命は決した。これよりカルデアは当初の予定通り、人理継続の尊命を全うする。」

 

「目的は人類史の保護、及び奪還。探索対象は、各年代と、原因となる聖杯です。僕達の前に立ち塞がるは多くの英霊、歴史そのものです。それは挑戦であると同時に、過去に弓引く冒涜。人類を護るために、人類史に立ち向かうのですから。」

 

「けれど、生き残るにはそれしかない。いやさ、未来を取り戻すにはこれしかない。たとえどのような結末が待っていようとも、だ。」

 

「以上の決意をもって、作戦名の変更を立案します。ファーストオーダーより、人理守護指定、G(グランド)O(オーダー)へ。」

 

「……認めましょう。」

 

「所長!?もう起きたのですか!?」

 

「人類のピンチよ。呑気に寝ていられません。

カルデア最後にして原初の使命、魔術世界に於ける最高位の使命をもって、我々は未来を取り戻します!さあ、入ってきなさい。」

 

扉が開き、7人の男女が管制室へ。マシュは彼らを見て目を見開いた。

 

「──君だね、私達の代わりに特異点を攻略してくれたのは。

私は、キリシュタリア・ヴォーダイム。カルデアAチームマスターだ。よろしく頼むよ。」

 

 

──────────────────────────

 

「さて、ではワクワクドキドキの召喚タイムと行きましょう。Aチームの皆さんのついでに、僕のサーヴァントも喚びたいですね。」

 

「……まさかあの英傑神があんな少女だなんてな。」

 

「びっくりだよな、本当に。おまけにボクっ娘と来たもんだ。」

 

「やめておきましょう、私達は彼女に助けられたのだから。」

 

「……そうだな。」

 

行き着いたのは、召喚のための設備が整えられた場所、通称召喚ルーム。

 

まずはAチームから。キリシュタリアはランサー・カイニス。カドックはキャスター・アナスタシア。オフェリアはセイバー・シグルド。ヒナコはライダー・赤兎馬。ペペロンチーノはアーチャー・アシュヴァッターマン。ベリルはルーラー・ジャンヌダルク。デイビットはバーサーカー・ランスロット。アサシンを除くサーヴァント7騎。最後に、ハルの番。召喚サークルが乱回転し、虹色の光を放ちはじめた。

 

「な、なんだ!?こんなこと初めてだぞ!?」

 

ロマンも悲鳴をあげるが、光が収まり、そこに居たのは1人の少女。

 

「こんにちは。貴方が私の召喚者、ですね?」

ハルの脳裏に、風景が流れてゆく。眼前の少女と、魔術を研究し、旅をした、そんな風景(記憶)

 

「…………トネリコ?」

 

「どうして、私の名を……?」

 

「……分からない。ただ、何となく分かるんだ。雨の魔女、トネリコ。それが、君の真名。」

 

「……奇遇ですね。私も、貴方が何となく分かるんです。よろしくお願いしますね、ハル……いいえ、マスター。」




ハルの令呪

四尾の狐を模した絵柄。尾2本でそれぞれ1画、狐本体で1画である。ハルの存在としての特異さ故に、残り1画、つまり尾がなくなり狐本体を残すのみになると、とある特性が発動する。
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