キヴォトスに転生したので幼なじみの聖園ミカを幸せにする話   作:グリムリーパーRS

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覆水は盆に

 ナギサは学園内に合計87個ものセーフハウスを所有している。使用順が決まってはいるものの時折変則的な使用の仕方も混ざっており特定は困難───

 

の、はずだった。

 

「まさかここが特定されるとは。......その話ももう良いですね、貴方がたが裏切り者だったと。」

 

 そう問われた少女が2人。浦和ハナコと白洲アズサ。

 

「それは早計ですね。指揮官は別にいますよ。」

シュコーシュコー

 

「ナギサさん、お聞きしたいことがあります。」

「......今更なんですか?」

シュコーシュコー

 

「元から怪しかった私やアズサちゃんはともかく...コハルちゃんやヒフミちゃん...リエルさんを巻き込む必要はなかったのでは?あなたはヒフミちゃんと仲が良かったみたいですし......リエルさんは、あなたの幼なじみですよね?」

シュコーシュコー

 

「...もう私個人の考えで決める段階はとうに過ぎていました。ヒフミさんの事は特別に思っています。しかし、ブラックマーケットに出入りしていたり、裏社会の組織に所属していたりとそういった噂が流れています。私は、それを見過ごすわけにはいきませんでした。」

「......。」

シュコーシュコー

 

 

「それにリエルさんが怪しくないというのも情報が古いです。」

「というと?」

シュコーシュコー

 

「リエルさんは昔から夜中に出歩いたり、許可なくブラックマーケットに向かったりと不穏な行動が多く見られます。」

「ならなぜ最初から補習授業部に入部させなかったのですか?」

シュコーシュコー

 

「......リエルさんにその事を問い詰めるとすぐに平謝りをし始めます。もし、本当に裏切り者であるならばその繋がりを否定するハズだと.........思っていました。」

 

「現実には自ら補習授業部に近づき、まるで全てを見透かしているような行動をし始めました。それに第1次特別学力試験のすぐ後、私に接触をしてきました。そこで、」

 

『今更だけど私も補習授業部でいいから。』

 

「リエルさんは退学がリスクでは無いかのような振る舞いでした。......現在は姿をくらましているようですが、退学を恐れて逃げたのなら私が間違っていただけということになり、そうでないのならば......。」

「そうですか。では、最後に伝言が2つほど。

『あはは......えっと、それなりに楽しかったですよ。ナギサ様とのお友達ごっこ。』」

 

「......っ!?ま、まさか、ということは......!?」

 

「そしてもう1つ。

『長い間ニヤけるのを我慢するのが大変だったよ、ナギサ。ずっと気づかないもんだからさ、いい暇つぶしにはなったよ。』とのことです♡」

 

「............は?....それってリエ───」

シュコー

 

 それを最後にナギサの意識は途絶えた。莫大な驚愕と深い絶望を胸に......。

 

 


 

 

「ハナコ、最後のは必要だったのか?」

「ええ、ちょっとした意趣返しのようなものです。...ですが、少しやりすぎてしまったかもしれません。事が終わったら誤解を解くのと同時に謝らなければいけませんね。」

「ああ、きっとそれがいい。じゃあ計画通りに。」

「えぇ。ではまた。」

 

 リエルが残してくれた「保険」も含めて。私が失敗するわけにはいかない......!

 

『あら?参考書の最後のページにこんなメモが。』

 

──最後の日の0000、私の保険が到着する。

 

『保険......って何でしょう。』

『分からない。ただ、これが私達にとって重要だろうということだ。』

 

 リエルの「保険」がある限り、私が失敗しなければ絶対にこれは成功する...。

 

「リエルっ......!」

 

 ......そろそろマスクを付けるべきか。

 

 

「.........。」

 

「......何をしている。」

 

 

 

「サオリ.........すまない。」

 

 

 

 

───補習授業部合宿所体育館

 

「ただいま戻りました。」

“おかえり。大丈夫?”

「ええ。後はアズサちゃんの到着を待つのみですが......。」

 

 直後、大きな破壊音と振動が補習授業部を襲う。

「来たっ...!」

「アズサちゃんですね!迎撃の準備を───」

「...待ってくださいヒフミちゃん!なにか、何かがおかしいです!」

 

 ハナコは絶えず響く破壊音と振動に違和感を覚える。

 

 仕掛けたトラップはここまでの物だと言っていただろうか。

そして、味方の近くでこの規模の爆発を起こすだろうか。

 

 そこまで考えて壁が砕けた。その中から出てきたのは、

 

「っ!アズサちゃん!!」

「に、逃げろ...っ!」

「逃げれるとでも思ってるのか?」

 

「アズサちゃんあの人達が!」

「うん、アリウススクワッド......!」

「......ほう、お前がシャーレの先生というやつか。」

 

「なるほど、ここまでとは......。」

「こうなった以上作戦の継続は不可能だ......。私が殿を務めるからみんなだけでも......。」

「な、何言ってんのよ!?あんたもいなきゃ意味ないでしょ!?それに!」

『このような時のために、リエルさんは私達をよこしたのでしょう。』

 

「ほ、報告!部隊後方から敵襲!正義実現委員会の剣先ツルギです!」

「何?受け取っていた情報と違うぞ。予定では正義実現委員会は動かないはずだろう。」

『コハル、スピーカーの出力を上げてください。...ありがとうございます。聞こえますか?私は()()()()()()()()()()()()羽川ハスミです。』

 

 コハルの持つ端末から響くハスミの声が部屋中に反射する。

『あなたのおっしゃるとおり現在正義実現委員会は全員とある建物で待機中です。『が』、』

 

 

『私とツルギは今日1日休暇ですので。』

 

「......予定を前倒してここに来たのは正解だったな。ヒヨリは羽川ハスミの居場所の特定と排除。姫とミサキは私と剣先ツルギの制圧に向かう。」

「わ、わかりましたぁ。無理かもしれませんがやってみます......。」

「了解。でもリーダー、桐藤ナギサはどうするの?」

「そこは私に任せてよ☆」

 

 遠くで戦闘音がするだけの薄暗い部屋の中によく通る声。この場にいる誰もが何度も聞いたことがある声。

 

「簡単に言うと黒幕登場☆ってところかな?」

ティーパーティー、聖園ミカ。

「そんな...ミカ様が......。」

「そう、私が()()のトリニティの裏切り者。...ってことで後は任せてね☆」

 

「というわけだ。行くぞ。」

 

 ミカの登場とすれ違うようにスクワッドが去っていく。

 

「ツルギちゃんもハスミもすごい度胸だね。一歩間違えれば停学だってあり得るのにここに来ちゃうなんて。」

『友人からの頼まれごとですので。』

「ふーん。そういうの嫌いじゃないよ。」

 

「まあそんな事話してる時間無いか!......ナギちゃんはどこ?」

 

 ミカがそう問いかけるが......。

 

「えー?無視?寂しいなぁ。......ここにいる全員を消し飛ばしてから、ゆっくり探しても良いんだけどそれはお互い面倒でしょ?」

“ミカ......なんで。”

「んー知りたい?まあ先生に聞かれたら答えるしか無いか。」

「それはね、ゲヘナが嫌いだからだよ。」

ミカが語り続ける。

 

「私は本当に、心から......心の底からゲヘナが嫌いなの。それなのにナギちゃんがエデン条約とか言うものを進めようとするからさぁ。それで仕方ないから───」

 

「下手な芝居はもう終わりにしませんか?」

 それをハナコが遮った。

 

「えーと...浦和ハナコだっけ。大聖堂で水着になってた。...懐かしいね。.........それはまあいいや、それで?芝居って?」

 

「......先程から瞬きが多かったり、眉毛を軽く引っ張ったり、つま先で床を鳴らしたり、いつもよりも若干早口だったりと。それらは全て不安やストレスから来る動作です。......ミカさん、何を隠しているのですか?」

 

「普段の話し方すら把握してるって怖いなー。もしかして私のファンだったり「ミカさん。」......そんな事暴いてなんの意味があるっていうの?」

「あなたの助けになるかもしれません。」

 

「ふーん。でも私はそんな事望んでないしなぁ。」

 

「......私や先生が望んでいることです。そうですね、たとえばセイアさんの事やリエルさんの事とか。」

 

 その言葉にミカは

 

 

「ははっ。」

 

 

笑った。

 

 

 

 

─少し前

 

「きゃはははははははは!!!!!!!」

「チームⅣ!Ⅴ!前へ!!くそっ!!!何なんだこいつ!イかれてる!!」

「負傷したチームⅠからⅢを速やかに退避させろ!!!」

 

 補習授業部が集まる合宿所体育館に近い地点で。

 

「けひひひひひ!!!!!こんなものかぁぁぁ!?!?!?!?!?!?!?!?」

 

通常制服姿のツルギは暴れていた。

 

「剣先ツルギの相手は私達がする。お前らは向こうの増援に向かえ。」

「了解。」

 

「......お前らがアリウススクワッドか。」

「正面からは危険だ。アズサが仕掛けたトラップを利用する。位置は把握しているな。」

「(コクリ)」

「カモフラージュしてあるけどアズサの癖が出てる。」

「ヒヨリが狙撃を抑えている内に終わらせるぞ。」

「「了解」(コクリ)」

「話し合いは終わったな?なら、」

 

 ツルギは口角を吊り上げ、

 

「行くぞ。」

突撃を宣言した(地獄が始まった)

 

「来るぞ────っ!?」

 

 ツルギはサオリが身構え終わるまでの間に懐に入り込み、ショットガンをぶち込む。

 

(予想はしていたが!これはアイツとは別ベクトル!!)

 

「リーダー!」

「止まるな!!やられるぞ!!」

 

(パワーで全部賄うタイプ!気を抜くと一瞬で持っていかれる!)

 

「だが、意識外からの攻撃は無理だろう。姫、仮称ポイント甲に誘導。ミサキはサポート頼む。」

 

「ぐははははははははははは!!!!!!」

 

 高速で突進と攻撃を繰り返すツルギに対してパリィと回避を繰り返して凌ぎ切るスクアッド。

 

「そんなものかぁーーー!?!?!?!?!?」

 

 振り抜かれたショットガンをサオリはスレスレで躱しながらARを撃つが大きくのけぞったツルギには当たらず逆にショットガンに被弾してしまった。

 

「ぐっ。」

「リーダー!」

「問題ない!!それより!」

 

 サオリ達は目的の場所にたどり着いていた。

 

「起動!!ミサキ!追撃だ!」

 

 アズサの仕掛けていたトラップだけでなくロケットランチャーを直撃させ、追加のグレネードを転がす。

 

 

 

「準備運動は終わったか?」

 

「アイツもここまですれば怯んだぞ....!」

 

 煙の中から未だ健在のツルギが出てくる。

 

そのままミサキは飛びつかれ、

 

「っ。」

 

盛大に吹き飛ばされる。

 

「......中距離で耐久をしつつ決定的な隙を待つ。」

「(了解)」

 

 

 そこから先は一方的であった。攻め続けるツルギに逃げのスクワッド。

逃げ続けることができればより体力を消費し続ける攻めがが不利になるだろうが、相手はツルギだ。体力消費による隙が訪れるのははるか先である。

 サオリはそれに気づき、次第に攻めに転じていく。

 

 

 

───同刻体育館

 

「え?」

 漏れたのは誰の声だったか。

 

「えー、聞こえ無かったのー?......良いよ。もう一度言ってあげる。」

 

 

 

 

 

 

 

結リエルのヘイローを壊した(を殺した)のは私だよ。

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