キヴォトスに転生したので幼なじみの聖園ミカを幸せにする話   作:グリムリーパーRS

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私だって

「キヴォトス行ったら何したい?」

 誰の声だっけ?なんか聞き覚えがあるな。

 

「ん?いや、よくあるもしもの話だよ。ヘイローはあっても無くても良いよ。」

 ああ、思い出した。前世で先生仲間だったクラスメイトの声だ。

もう、顔も名前も思い出せないのに声だけは覚えてたんだ。

 

「あ、バレた?実は最近二次創作なる物を読み始めてね。サイト送るよ。で、ここにある原作をブルーアーカイブに設定すると......ほら、ブルアカの小説が見れるってわけ。転生モノにすっかりハマっちゃってさ。」

 楽しそうに話すなぁ。そういえば誰が推しだったんだっけ。

 

「え?そらミレニアムでセミナーするの一択じゃん!ユウカの隣に座る。」

 そうだ、ユウカだ。ティザーPVで一目惚れしたって言ってきて事前登録誘ってきたんだったな。体操服ユウカを60連で引いて、天井煽りしたらキレられたのが懐かしい。

 

「こっちは答えたけどそっちはだんまり?」

 

「......キヴォトスに行くなら当然───」

 

 

 このときなんて答えたんだっけ。

 

 

 

 

 

───補習授業部が桐藤ナギサを襲撃する24時間前

 

 

「もー、秘匿された回線があるのにどうしてわざわざこんなところまで呼び出すかなぁ。しかもこんな時間に!」

 服が汚れるじゃん。と、ライトを振り回しながらトリニティの廃墟街を歩くのはティーパーティー、聖園ミカ。

 

「秘匿されてる回線が盗聴される訳無いのにー。」

 世の中にはシャーレのオフィスなどに盗聴器を仕掛けまくっている人物(ミレニアムガクエン)がいるのだが彼女はそんな事を知るよしも無いだろう。

 

「指定された座標はここで良いんだよね?......なんか瓦礫の山しか無いんだけど。」

「来たか。」

「あー、遅いよー?」

 瓦礫の影から現れたのはアリウススクワッド、リーダー錠前サオリ。

 

「もー、何かあったら通信で伝えればいいじゃーん。」

「実際に見てもらったほうが早いからな。......これはこの中から掘り出した物だ。」

 よく見れば何か掘り起こした後が見える。なになにー?と思いながらミカは投げ捨てられた物を見る。ボロボロで全体が歪んでおり、最初は気づかなかったが、眺めるにつれて気づいてしまった。

 

「これ......リっちゃんの銃......っ!?」

 白い本体に炎のようなレリーフ。片方(Seraph)は見たことが無かったがもう片方(Lux dei)は確かに見覚えがあった。

 

「......なんでこれをリっちゃんはどうしたのその返答次第で今すぐヘイローを壊す!」

「私達は昨日そいつに襲撃された。」

「......は?どういう事。リっちゃんがそんな事─」

「確かだ。さらに計画も知っているようだった。だからやむを得ず.........ヘイローを破壊した。」

 次の瞬間、サオリは地面に叩きつけられていた。

「グッ......。」

「サオリ!!!」

 首を締められるサオリを見て駆け寄ろうとするミサキを手で制止する。

 

「全ての計画が崩れるところだったんだ......っ!仕方ないとは言わないが......っ!受け入れろ......っ!」

 

「......そうだね。そうだ。そもそももうセイアちゃんがいたんだった。」

「わ、かったか。」

「うん、ごめんごめん。冷静じゃなかったよ。」

「......ならいい。......他にも計画を知っている者がいるかもしれない。細心の注意をしろ。それとそれは持っていっても構わない。」

「ふーん。いいんだ。」

「適切な方法で処分しろと命令があった。」

「そ。......遺体は?」

「不明だ。」

「は?」

 ヘイローを破壊したなら残るはずでしょう。とミカが詰め寄る。そこでサオリは瓦礫の方に視線を誘導する。

「死体はなくなっていたが血痕がかなり広がっていた。この出血量ならどこかへ逃げていたとしても長くは無い。」

「......今ここに無いならいいや。じゃあね。」

「明日は我々も参加する。」

「そ。」

 

 

 しばらく歩き、瓦礫の山からある程度離れたところでミカは崩れ落ちる。

 

「なんで......っ!!なんでぇっ!!!!」

 

 何の音もしない廃墟街にはよく嗚咽が響いた。

 

 

(ああ、もう、いいや。私は、もう。)

 

 

 

 

 

 

 

“アズサ!そのまま弾幕張り続けて!コハルはサポート!ヒフミは一旦引いてハナコは応急お願い!!”

 

「裏切り者めっ!」

 弾幕を張るアズサに近づく2人のアリウス兵。アズサは戦場の音にかき消されてその声に気が付かない。

 

「させないっ!!」

 否、仲間を...友達を信頼していた故の行動だった。

 

「コハル、すまない。」

「なに言ってるの!こういうときはありがとうでしょ!自分で言うのも変だけど。」

「そうか...コハル、助かった。ありがとう。」

「あーーもう!さっさと前向きなさいよ!」

「私はずっと前を向いているぞ。」

「う、うるさい!気持ちの話よ!」

 

(ヒフミはもう限界か......。)

“ヒフミは下がったまま攻撃の補助!基本は任せるけど攻撃してほしい箇所ができたらまた言う!ハナコ!!ヒフミの代わりに前衛に出てほしい!行ける!?”

「わかりました。ヒフミちゃんここで─「いえ、行けます!」ヒフミちゃん?」

「友達が頑張っているのに、ここで引き下がる訳にはいきませんっ!!!」

“......わかった。ポジションはそのままで、だけど私が無理だと判断したら下がってもらうね。”

「ありがとうございます...!!」

「ヒフミちゃん、無理だけはしないようにお願いしますね。」

「この後には試験も控えているんです!ここでダウンしてる暇はありません!!」

 ヒフミは前を向き前線に向かう。

 

「ふーん、みんながシャーレシャーレ言うだけはあるね。かなり厄介。なら」

 

私も出るしか無いじゃんね☆

 

しかしここで聖園ミカが戦闘に参加する。

「っ!不味い!!先生!」

“うん!アズサはミカを頼む!みんなはアリウス兵との戦闘に集中してほしいけど何かあったらアズサのサポートに回ってもらう!”

 

 高速で飛んでくる高威力の銃弾を躱すと迫ってくるのは同じく高威力の拳。

「ぐ...っ......あっ!」

“っ、ヒフミはアズサの─「いや、私1人で抑える。」だけど!”

「大丈夫。私なら抑えられる。それに、ヒフミがこっちに来たらアリウスに押し切られる可能性が高くなる。......先生がいればそんな事も無いだろうけどこれ以上負担を大きくしたくない。」

「アズサちゃん......。」

“......わかった。ヒフミ!コハル!ハナコ!できるだけ早くアズサのサポートに向かおう!”

「わかりました!「「了解!」です!」」

 

“ハナコ、『アレ』を!」

「『アレ』ですね〜!」

 

 先生の合図でハナコが投げたそれは戦闘前にアズサから託されたスモークグレネード。

「くそっ煙幕か!」

「慌てるな!サーマル装備に切り替えろ!」

“コハル!!手榴弾を敵集団真ん中に何個も!ヒフミ!!デコイを敵後方に!その後一斉攻撃!”

 

 いくら訓練されていようとも、視界が確保されていない状態で敵影の増加、複数の爆発、一斉攻撃が組み合わされば混乱が生じる。

“ハナコ、切らさないように”

「了解です。」

 

 しかし、少しすればその混乱も収まる。が、その間に大きく削られた頭数までは戻らない。

 

 

「こ、これで終わり?」

「みたいですね......。」

「は、早くアズサちゃんの元に向かわないと.....っ!アズサちゃん!!」

 

 アリウスとの戦闘を終えたヒフミ達の足元にアズサが転がってくる。

 

「アズサちゃん!?大丈夫ですか!?!?」

「だいじょう...ぶだ。っ..........はやくミカを止めないと...っ!!」

「ははっ☆みんな満身創痍じゃん。そんな状態で戦えるの?」

「もちろん、ですっ!」

 

 ハナコが再び煙幕を張る。

 

「こんなので止めたつもり?攻撃が来た方向に行けばいいだけなんだから意味ないって☆」

 そう言ったミカの足元に手榴弾が転がってくる。

 

「ふーん。」

 来た方向に戻るっていくようにそれを蹴り飛ばし、爆発音と共にコハルの悲鳴が聞こえてくる。

 

「これで終わり?」

「まだです!!!」

 背後から聞こえてくるヒフミの声。煙幕を張った理由はそれかと振り返ると飛び込んできたのは多分鳥。

 どこで売っているんだランキングがあるとすれば上位に入るであろうペロロデコイだ。そしてそれを初めてみたミカは─。

 

「......え?なにこ───キャッ!」

 

「隙ありです。」

「このまま押し切ろう、ハナコ。」

 背後から2人の銃撃が突き刺さる。

 

「っ!だから!こんなので───」

 頭にコハルの狙撃が襲いかかる。

 

「私も行きます!!」

 同時射撃にヒフミが加わる。

 

 

 だが足りない。

「もう、弾も尽きるでしょ!!?もう足掻くのはやめなよ!!!」

 

「それでも諦めるわけには!」

「諦めなって!!!」

 

 銃撃を無視して突撃したミカはハナコとアズサを蹴り飛ばし、ヒフミを投げてコハルにぶつける。

 

“みんな!!”

「これで本当のチェックメイトだね、先生☆」

 

「ま、まだ...!み、ミカ......!せ、セイアは.........。」

「だ、だめ!あず、さちゃん......!」

 ハナコの制止を聞かずに告げる。

「セイアはまだ生きてる......っ!だから...だからこれ以上は......!」

 

 

 

 

「ふーん。で?それが信じられるとでも?動揺を誘う嘘にしか聞こえないよ?」

「それは......。」

「それに、それが本当だとしてもリっちゃんの事は変わらない。ううん、セイアちゃんが死んでるって勘違いして殺したって事になるから余計駄目だね。」

「ミカさん......。」

「どっちにしろ私はもう引き返せないの。2人だろうが1人だろうが、もう、駄目なんだよ。」

 

「でも!」

 

「当然でしょ!!?もう、私は......。.........リっちゃんもセイアちゃんも私の不幸を望んでる。」

 

“そんな事は──”

だって!だって私が殺したんだよ?私の事を恨んでるに違いないよ。もう私に幸せになる資格も生きる資格も───。」

 

 

そんなわけ無い!!!!!!!

 

 


 

 

 いっててて。懐かしい夢を見たな。もう、前世の事考える時間なんてほぼ無かったのに。

 

 ここは......、どこだ?どこかの部屋、スラム辺りか。なんでここにいるのかさっぱり記憶にない。確かアリスクに会いに行って......あ。ヘイロー破壊爆弾使われたんだった。

そこから記憶がないから無意識にここに逃げ込んだってことか。

 

 生きてるってことは無意識に遮蔽に隠れたのかな。そして、体を見るにいわゆる『神秘ガード』を貫通する攻撃ができる爆弾って感じか。

 

 スマホは......バキバキだけど付くな.........。今は...2日後、ナギサ攻防戦中かな?長い事眠ってたんだね。

 

「まあ、無理もないか。」

 

 普通の人間が爆発をまともに受けて生きてるわけなんだからむしろこの期間で済んで良かったレベル。

 えーと、うわ!モモトークすっごく溜まってる!送って来てるのが......補習授業部に先生、それに、ミカ、か。

 

「『生きてる?』『見てたら連絡して』『おねがい』『ごめんなさい』......はぁ、そっか。」

 

 ミカはアリウスと繋がってるわけだから私の事伝わっててもおかしくない......いや、伝わってるのが当然か。

 

……最低だな。私。原作になるべく沿っていって、綱渡りのエデンを乗り越えて、その間はミカのフォローをしたら、なんとか、原作よりは良くなる、って思って行動して。

 

 突然やっぱり原作破壊しますって行動した結果が勝手に死にかけて。人に心配かけて、人に迷惑かけて、人に.........幼なじみに............ミカを傷つけて......。

 

 

 

 

 

 

 

 

なにが

 

─みんなともっとなかよくする!─

 

 

 

なにが

 

─私にしか出来ない、からね。─

 

 

 

なにが

 

─先生の言葉を借りるなら、『私は私のやり方で、その問題に対処させてもらうね』。─

 

 

 

なにが

 

─エデンのメインキャラの設定がすぐ出てこなかったのはマズい!!!!!!─

 

 

 

なにが

 

─さて、アズサちゃんにああ言ったからには、少しはリスクも取ってみますか。─

 

 

 

なにが

 

─今ハスミの回想入ったな。─

 

 

 

なにが

 

─総括すると、『元来同居できない物を無理やり1つにした結果できた産物である』、だね。不純物だよ不純物。─

 

 

 

なにが

 

─全部ほっぽってトリニティに来ない?─

 

 

 

なにが

 

 

 

なにが

 

 

 

なにが

 

 

 

なにが

 

 

 

「なにが青春の見聞録(ブルーアーカイブ)だ!!!」

 

 (リエル)が関わっている時点で原作通りは無理だろ!!!!!

それを中途半端に引っ掻き回して!!!!!

 

「なに傍観者面してるんだよ!!!!!!!」

 

なにが肯定だ!!!なにが否定だ!!!

 

 

私だって!!!私だって生徒だろぉぉぉぉ!!!!!!!!!!

 

 銃は、予備のグロックだけ!マガジンは本体に入っているのを含めて2つ!!充分!!!

 

体はめっっっっちゃ痛い!動ける!!充分!!!

 

 現在地は......わかる!全力で走ったら多分間に合う!!!

 

 

「これ以上!!これ以上!!!これ以上っっ!!!!!」

 

 走れっ!!少しでも遅れたら死ぬっ!!そう考えろ!!!!

 

「お?良いカモが来たなぁ。」

「はっはっは!ここを通りたけりゃもちもん全部置いてけ!」

「......いや、アイツ。まさか、不味いぞ!!!」

「あ?ボロボロの1人だぜ?ビビってんのか?」

「違う!!あのオレンジのパーカー!!トリニティ七不思議の1つ!!スラムを蹂躙するオレンジパーカーだ!」

「は?そんなの信じてんのか?馬鹿だ───」

 

そこをどけぇぇっっっっっっ!!!!!

 

 ワンマガ分全部使う。当たったかどうかなんで関係無い。前しか見てない。

 

 

 

 絶対生きてるって伝える。絶対謝る。ミカに、ミカに全部。

 みんなにも心配かけてごめんって言わないと。無事だって言わないと。

 

 

「っ!学校とアリウス!!」

 戦闘は確か合宿所の体育館!アリウス突っ切るのが最短ルートか!

 

 

「おい!そこのお前!止まれ!」

「ごめん急いでる!」

 

 固められてる門には目もくれずに横の塀を駆け登って進む。

 

「は?あ、う、撃て!」

 

 背中からの銃弾なんか気にしない。気にできない。

 

 遠くからツルギの笑い声が聞こえる。

来てくれたんだ。ということは、多分、ハスミも。

 

「ありがとう、2人とも。」

 

 突如頭に衝撃が走る。狙撃か、でも、コンマ1秒たりとも進むのを止めない。

 

 ようやく見えてきた。

 

 玄関を通って、もう見慣れた廊下を駆け抜けて、みんなで勉強した大部屋を通り抜けて。

 

 さっきまで響いてた銃声が全くしなくなった体育館が近付く。

 

「......もう私に幸せになる資格も生きる資格も───。」

 

 

そんなわけ無い そんなわけ無い!

 

そんなわけ

 

そんなわけ無い!!!!!!!

 

 

 

 

『こっちは答えたけどそっちはだんまり?』

 

『......キヴォトスに行くなら当然───』

 

 

───ミカの幼なじみになって幸せにするよ。───

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