キヴォトスに転生したので幼なじみの聖園ミカを幸せにする話 作:グリムリーパーRS
「ほんとにいいの?」
私はハンバーガーの包みを開けながら眼の前の少女、守月 スズミに問う。
「はい、何度も手を貸してもらっていますし、特に今回は危ないところを助けてもらったので。」
「んー、まあそういうことならここは大人しく奢ってもらおうかな。」
年上が奢ってもらうのもなんだかなぁと、思いつつもここで折れないとスズミ的に納得がいかなさそうなので素直に受け入れる。
「相手が私対策に遮光ゴーグルと耳栓を使用していたので助かりました。......リエルさんの強さはどこから来ているのでしょう?」
「んー、私はとにかく経験値を稼ぎ続けた感じだから......。それに、スズミが戦ってて私が横から入った戦闘は全部数で押され気味だっただけで普通に勝てそうだったし。自分で思ってるより弱くないよ。」
今回のだってそうだったし。...まぁかなり厳しい戦いになりそうだったから介入したけど。
「はむっ......そうでしょうか。...そういえばリエルさんはレイサさんと良く話しますよね?」
「んー、よくってほどではないけど話すね。」
「レイサさんが入学する前から知り合っていたみたいなので少し気になりまして。」
「あー、それかぁ。......ちょっと長話になるけどいい?」
「はい。」
───1年半前
「覚えてやがれ......!」
ふぅ、この辺りのスケバンはこれで最後かな?最近やりすぎちゃってこの辺りに来る数が少なくなってきてるし......。猟師の方達ってすごかったんだなぁ。
…..そろそろ帰らないと明日に影響出てくるし戻るか。
「おい!あんただろ!!トリニティのオレンジパーカーってのは!!」
もう1戦か。......猫耳のスケバン?
「......そのオレンジパーカーが私を指してるかはわからないけど確かに私はオレンジのパーカーだね。」
「なら確定じゃんか!!!私と勝負しやがれ!!」
「別にそれはいいけど──っ!いきなりだね。」
了承と同時に弾を放ってきた。
「そらぁ当然だろ!!!オレンジさんよぉ!!!」
「奇襲してくるより全然礼儀正しいね!!」
M16で射撃しつつ距離を詰め「おらぁぁぁっ!!!」「くたばれやぁ!!!」
「訂正、普通に奇襲してくるレベル。」
両サイドの物陰から2人現れたがどちらの攻撃も回避して片方には拳をみぞおちに、もう片方にはハイキックを頭に入れる。
「ちっ、流石にやれないか。」
「悔しいのか予想してたのかどっちか絞りなよ。」
迫る銃弾を、壁を蹴って空中で回避し、銃身で頭を殴りつける。
伏せて躱したか、同じように銃で殴ってきたか、受け止めて、ハイキック。
…この距離のを躱すか。
「やるね。」
「そっちこそな。噂どおりで助かったぜ。」
んー、マシンガン使ってる猫耳のスケバンとか心当たりしか無いんだけど。というか声とヘイローで確定だよね。
地味にキャスパリーグ時代は描写されてなかったけどこんなに好戦的だったとはね。よくああなったね。
「噂?さっきも『私はあれか?』とか聞いてきたけどそれはなに?」
「おいおい、本人なのに知らねぇのか?『トリニティのオレンジパーカー』。トリニティ自治区内のスラムに屯するスケバンやヘルメット団を片っ端から潰してく謎のオレンジのパーカー。顔はフードで隠れていて見えず、とにかく強い。」
正実さん、箝口令ぜんぜん機能してないじゃないですか。
まあ、かなりの頻度で戦闘してる私に問題があるし、...私だって特定されなくなってるだけ良し...か。
「最近ではブラックマーケットにも顔を出してるらしくてな。」
「......つまり?」
「ソイツをぶっ飛ばせば私が最強って事だよなぁ!」
なるほど。
「シンプルだね。」
「だろ!!??」
「でも。」
「でもぉ?」
「もっと他の人のほうが強いんじゃない?それこそ正実の剣先ツルギとか。」
ん?なんか笑い始めた?
「アイツよりあんたの方が強いと思った。それだけだ。直接戦った私が言うんだから違いねぇ。」
......え?
「直接戦ってその評価?私負けたんだけど?」
「いーやあんたが間違ってる!」
なんでだ!!!!
「あんたが最強だってことを私が証明してやる!!」
「意味解んなくなってきてるけど!?」
そうやって押し問答をしていると───
ミツケマシタヨ-
「......?」
「げっ。」
この声は確か......!
「トリニティのスラムに咲くスーパースター!宇沢レイサ!参上です!!!」
宇沢レイサだぁぁぁぁ!!!
「一旦待ってもらえますか?」
スズミが......頭を抱えてる?
「どうしたの?」
「いや、1つの戦闘をすごい熱意と長さで聞いてましたけど、序章なんですか?」
なるほどそういうことか。
「安心して。ここから更に続くから。」
「どこに安心できる要素が?」
「ちっ。」
「...知ってるの?」
「すみませんもう1度待ってもらって良いですか?」
「どうしたの?」
「さっきノリノリで『宇沢レイサだー』って言ってませんでした?なんで何者か聞いてるのですか?」
しまった、当時の思考のまま話してた。
「え?ナレーションあったほうが盛り上がるかな?って思って現在の主観も混ぜてみました。」
「そ、うですね。...いえ、こんがらがるので当時の様子だけでお願いします。後、キリが良い所まで飛ばすとどんな感じになりますか?」
「キリが良い所か.....なら───」
「よし、ここがオラオラヘルメット団の本拠地か。」
─やっぱり続きでお願いします。聞きたいと言ったのは私ですし。
─わかった。じゃあ、───
「ちっ。」
「...知ってるの?」
「ここ最近私に突っかかってくるやつだよ。......そうだ。私達だけが最強って言っててもアレだからな。おいお前!!今日の相手はこいつだ!!」
「え!?なにを言って!?!?」
そんなこと言ったら仲間だと思われるじゃん!?レイサは思い込みが激しいし、
「その姿は......あっ!トリニティのオレンジですね!!まさかキャスパリーグの仲間だったとは!!!」
「違う!」
あーもうこうなるじゃん!カズサは......もういないし!!
「覚悟ーー!!」
レイサはこの頃からショットガンか。対ショットガンはツルギで散々練習してるから......うん、行けるね。
3発連続で放たれた散弾をステップで回避。壁走りというより壁キックをしてレイサに急接近し、着地のフェイントを混ぜつつ頭に蹴りを───
「そうはいきません!!!」
っ!避けた!?
間髪を入れずにM16、避ける。
隠していた左手のグロックによる攻撃、強引に銃撃を入れてきて失敗。
次に───、いない?逃げた?いや、
「うおりゃぁぁー!!!」
上!
壁キック、いや、壁走りで死角から移動してきた!
(イベント時点でスケバン1派を1人で制圧できるレベルの実力はあるみたいだったし、)これぐらいはやってくるか!くそ!蹴りが入るっ!
「これで終わりです!......ってあれ?え?ちょ、ちょっと!離してくださーい!」
「誰が!」
ギリッギリで掴めた!後はこのまま力ずくで、
「そぉーい!!」
「うわああああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁ」
投げ飛ばして見失ってる間に逃げる!!もとから帰る予定だったしね!!
「ふぁう」
「さっきからあくびばっかりだけど大丈夫?リっちゃん。......もしかしてまた─」
「い、いやいや!最近はやってないよ。」
「ふーん、さ い き ん は ねぇ。」
「こ、言葉の綾だよぉ。」
翌日、ミカとショッピングに来て、朝食を頂いているところなのだが......眠い!
昨日キャスパと宇沢に絡まれたからギリギリ支障が出ないラインを超えてしまった......。そこを攻めた私が悪いところもあるか。
「ねぇリっちゃん、新作のコスメが─」
「うんー」
「ねぇリっちゃん、この香水─」
「うんー」
「ねぇリっちゃん、この前ナギちゃんが─」
「うんー」
「ねぇリっちゃん。」
「んー?」
「『パーカー狩り』、って知ってる?」
「......初めて聞いた。」
「じゃあ説明するね?」
最近ごく1部の悪い子とつるんでる子達から広まってる話でね?
近々とあるグループがなにか大きな計画を始めるみたいで、それの障害になりそうな『オレンジパーカー』を事前になんとかしておこう。って話みたい。
「ふぅん。......なら昨日のキャスパと宇沢はそれ関係?いや、キャスパはともかく宇沢はそういう事に手を貸さない......。キャスパも
「リっちゃんがそうだってバレたの?」
「んーん。箝口令のおかげで前の、私イコールオレンジって感じにはなってないみたい。とはいえ、これ着てると危ないかもだから今日はいい感じの上着も欲しいな。」
「私がリっちゃんに似合うの選んであげる☆」
「ありがとう。」
「ところで。」
「んー?」
「その箝口令云々ってどういうことかな?☆」
「うんー」
うん?
恐る恐る顔を上げてみるとはりついたような笑顔を浮かべるミカがいた。
「かん、こうれー?」
「急にわからないふりしないの☆」
「え、っとなんでそれを?超能力?」
「さっき全部自分で言ってたじゃんね。」
......寝不足でなんにも考えずに垂れ流してた......。
「はぁ。」
「ご、ゴメンナサイ。」
「んーん。ブラックマーケットじゃないだけマシって思っちゃって。」
「じ、じっさいそ「リっちゃんは言う権利ないよ?」ゴメンナサイ。」
「今無事だからいいけどさ、いい加減にしないと閉じ込めちゃうよ?」
「それ過去2回してどっちも脱出ゲームみたいになってるじゃん....。」
「リっちゃんが出ようとしなければいいんだよ。 じゃ、行くよ。」
「え?ち、地下室にですか......?」
「さっき上着欲しいって言ったでしょ?選んであげるからはやくいこ?」
「み、ミカぁ.........!」
まったく、やっぱりミカは最高だぜ!!