キヴォトスに転生したので幼なじみの聖園ミカを幸せにする話   作:グリムリーパーRS

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暗闇に射す星明り

「はぁ…はぁ…」

「こっちだ!!追うぞ!!」

 後ろから足音が近づいてくる。

「いたぞ!」

「っ…!」

  銃弾の壁が私目掛けて迫ってくる。なんとか回避するも直ぐにヘルメット団が追いかけてくる。

「おらぁ!逃げんなや!!」

 必死に逃げているとだんだんと声が小さくなっていく。

「はぁ…はぁ…なんとか撒けたかな…。」

 だが地形は向こうの方が詳しい。逃げ足で勝つ事ができても直ぐに見つかってしまうだろう。

「誰か倒そうにも人が多くて直ぐにリカバリーされるしもう...どうしよう。」

 とにかくここを抜けなければ話にならない。大人数に追われたせいで自分がどこにいるか分からなくなっており、さらに携帯のマップも大まかな位置しかわからない。これだから治安悪い所はさぁ。

 

 なんとか 方角を頼りに脱出を試みるが先回りされてしまっていた。 人数はさっきより増えていて、恐らく色んな所に仲間がいるだろう。私の事を逃がすつもりは毛頭ないようだ。

「…しかたない。」

  私は隠れるのをやめてヘルメット団の方へ走り出した。

「あ!あいつだ!」

「撃て!!」

「応援を呼べ!」

「絶対逃すな!!」

  色んな声が前方から聞こえてくる。 その中から私は―。

「ぐぁっ!」

「後衛がやられた!?」

「あいつ、応援を呼ばせないつもりだ!!通信するヤツは下がれ!」

正確に言うと応援が来る前に蹴散らして脱出するのが目的だ。

「…ぅらぁぁ!!!!」

強引に前線をこじ開け連絡しようとしていた者を攻撃し突破を試みる。が、腕を掴まれて失敗する。

「離せっ!!!」

 掴んできたヘルメットの腹を蹴り、強引に引き剥がし追撃に銃弾を撃つ。

「ちょこまかとぉ!!」

 逃げ道は上手く閉鎖されるので走り回って弾を避けるしかない。体の周りを掠めていく音を頭からたたき出して駆け抜ける。いつ被弾してもおかしくない。 …だが。

「オラオラァ!!弾切れまで追い込むぞ!!!」

 大人数相手に単騎で連戦を強いられてる!残弾も心もとない! 装備の温存を考える時間はとっくの前に過ぎ去っている。今からでもサブウェポンのグロックを…。

「隙だらけだぜぇ!?」

「ああっ!!」

 足を引っ掛けられた!思考に気を取られすぎて接近に気づけなかった!

「くそっ!」

「っと、危ねぇな。」

 突き出したM16が掴まれ、盗られてしまった…。

「ウチのシマ引っ掻き回してくれちゃってよぉ?無事に帰れると思うなよお前。」

 首を掴まれ持ち上げられる。苦しい。さらに力が入り息苦しさが増していく。

「ほらほらさっきまでの威勢はどうし」 パンパン!ドサッ!

 グロックを下顎に撃ち込んだとたん体が地面に激突する。痛みに堪えてなんとか逃げ出す。 後ろから飛んでくる弾がいくつか体にあたって痛みが走る。それを我慢して走る。ただ逃げる事だけを考える。

「ああっ!」

 少し離れたところで足がもつれて盛大に転んでしまった。複数の気配が徐々に近づいてくる。あぁ、ここで終わりかぁ。見誤ったなぁ。 最初に死んでから十年以上も生きる事ができた、長いロスタイムだったなぁ。

…目を瞑る。

 

…色んな人の顔が浮かんでくる。

黒い制服に身を包んだ子達。

室内で本の修復をしている子。

きれいな金髪を持ち、聡明な眼差しをしている子。

優雅な雰囲気で、お茶をしている子。

そして―。

 

「まだ…死ねないっ…!」

 満天の星空のようなあの子の隣に立つまでは

「死ねないっっ…!!!」

 だけどもう体が言うことを聞かない。

ついには前方からも足音が近づいてくる。なにか手立てはないか全力で頭を回す。しかしそれももう追いつかない。

 顔を伏せ、その時を待つ… パァン!バババババババ!

 

 

 

 

 ……弾が当たらない。 不思議に思って顔を上げる。すると今顔を思い浮かべた二人がそこにいた。

「だめだよ?こんなところで夜遊びしてたら。」

「もう遅いよ?帰ろ?リっちゃん。」

 2人の幼なじみ、ナギサとミカが手を差し伸べてくる。二人の手には私が倒したヘルメット団から鹵獲したであろうハンドガンとSMGが握られており、さっきの銃声はそれらで後方のヘルメットを撃ったのだろう。。

  二人の手を借りてどうにか立ち上がると二人からデコピンを貰った。

「今までも何度か夜に出歩いてるのは知ってたけどまさかこんな事してたとはね。」

「…いつもはこんな事には——」

「はーい口答えしなーい。」

  またデコピンされた…。いたい…。

「とにかく、お説教はここを出てからだね。」

  気がつくとヘルメット団が大挙して押し寄せてきている。 目を拭って歪んでいた視界を戻す。

「うん…帰ろう…!」

 

 

…銃を回収して何とか帰宅すると空は少し白みがかってきていた。 少し仮眠を取って起きると、二人から大目玉を食らった。

 もうこんな無茶はしないと約束してどうにか許してもらった。 今回の事は色々学ぶ物があったけれど、二人が来てくれた事が本当に嬉しかった。 今はそれだけで良かった。

「───なんだよ?…ってリっちゃん聞いてるのー?」

「き、聞いてるよ〜だからほっぺつねらないで〜〜!」

 

 


 物心ついた頃から一緒だったナギちゃんとリっちゃん。

みんなで色んなものを見て、聞いて、話して。 ずっと一緒だって約束した。

 中学校に入ってからはリっちゃんが夜に火遊びしててナギちゃんと一緒に注意したなぁ。

…あれからもたまぁに行ってたようだけど。

 それ以外にも色んな思い出がある。

…ナギちゃんが紅茶を買いにブラックマーケットまで行こうとした時はさすがに危ないって全力で止めたなぁ…。

忘れられない日々でかけがえのない私の宝物。

今日はついにトリニティ総合学園の入学式!!

3人とも無事に入学出来たんだ!

「ミカー!?もう出ないと入学式遅刻しちゃうよー?」

「うんー!今行くー!」

 

こんな日々がずっと続きますように。

 




次回ついに入学です!
ここからも変わらず頑張っていきますのでよろしくお願いします!!
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