ホワイトルームが少子化対策組織だったら   作:二見健

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「清隆くん……こんなところでダメだよ……」

 

 オレは愛里を後ろから抱きしめていた。

 

 一週間も禁欲生活をさせられるのである。今までの頻度で行為に及べない以上、積極的にチャンスを作って女を抱くつもりだった。

 

 と言うわけでオレは愛里と探索チームに立候補し、森の中でイチャイチャしていた。すると近くの洞窟で男子がやらかしていた。その男子は洞窟の入口に立って、わざとらしくキーカードを見せびらかしていた。

 

 探索から戻った後、オレは桔梗に尋ねていた。

 

「桔梗。一年生で丸坊主の男子生徒を知らないか?」

 

「Aクラスの葛城くんだね。それがどうかしたの?」

 

「リーダーのヒントになりそうだったからな。それで、葛城が弥彦って呼んでいた男子がいるんだが、そいつのフルネームもわかるか?」

 

「戸塚弥彦くんだったと思う。葛城くんを慕っている男子だよ」

 

 これでAクラスのリーダーはほぼ確定だ。

 

 ちなみにDクラスのリーダーは堀北である。

 

 当初オレは平田に進言して桔梗にリーダーをやらせるつもりだったが、まさかの堀北が立候補してきたのだ。

 

 堀北は期末テストでオレに惨敗を喫しただけで、クラスには何一つ貢献できていない。女子からはお高く留まった性格が嫌われており、一部の男子からは須藤を見捨てたと逆恨みされていた。そんな状況を打破するため、今回の特別試験で活躍しようとでも思ったのだろう。

 

「あーあ、堀北のやつ、自分から地獄に飛び込んじゃったよ」

 

 オレの隣で桔梗が暗い笑みを浮かべていた。

 

 堀北は一目でわかるほど孤立していた。

 

 チームを編成する時は最後まで余り、発言しようとしても女子が嫌味を言って遮ってくる。堀北とチームを組まされた女子はあからさまに嫌そうな顔をしていた。

 

 女子の虐めは陰湿である。学校側が虐めには厳正な対処をすると言っているため、虐めと判断されない微妙なラインを突いていた。そんな状況下でリーダーを引き受けてしまったのである。一週間もこんな生活が続くのだが、果たして堀北に耐えられるのだろうか。

 

「清隆くん。堀北さんを助けてあげないの?」

 

「オレが口を挟んで解決するならそうするが」

 

「無理だね。清隆くんに媚びを売ったビッチ扱いされるだけ」

 

 それがわかっているからオレは堀北を放置していた。

 

 堀北にはここで限界まで消耗して貰う。すべてはオレのハーレム計画のためだ。

 

「さて、そろそろ仕事をするか」

 

 休憩は終わりだ。

 

 オレは平田に声をかけて枝拾いに出かけた。暗くなる前に焚火ができる態勢を作っておきたかったからだ。

 

「清隆くん、一緒に行こっ!」

 

 一人で行くつもりだったが、オレに気付いた麻耶が駆け寄ってきた。

 

 池がなぜか物言いたげな視線をこちらに送っていたが、池がこちらに声をかける前にオレの腕に麻耶が抱き着いてきた。

 

「どんな枝を集めればいいの?」

 

「そうだな。乾燥していて、曲げるとすぐに折れるやつがいい」

 

「わかった! 私、頑張るね!」

 

 オレはベースキャンプから充分に離れたことを確認してから、麻耶の肩を抱き寄せた。

 

「あっ」

 

「悪い、麻耶。もう我慢できない」

 

「もう。ここでするの?」

 

「駄目か?」

 

「いいよ。清隆くん、来て……」

 

 その後。

 

 疲れ切って動けない麻耶をベースキャンプに戻してから、オレは改めて一人で枝を回収した。ついでに着火剤になる落ち葉も集めておく。

 

 食料も見付けたが、回収せずに場所だけ覚えておくことにした。

 

 やはりこの島には人の手が入っているようだ。

 

 無人島には自生していないはずのトウモロコシが大量に実っている。食料を購入しなくてもやっていけるように、学校側が植えたのだろう。これでは完全なサバイバルとは言えないが、所詮は学生にやらせる試験である。本格的なサバイバルでないのは当然だ。

 

 ベースキャンプに戻った後、平田が演説を打ってポイントで物資を購入することをクラスメイトに納得させていた。トイレだけでなくシャワーや追加のテントの購入が決まり、愛里たちも安堵していた。

 

 その他、池と山内がCクラスの女子を連れてきていた。

 

「きよぽん。あれって……」

 

「あの時の女子だな」

 

 波瑠加の事件の際、オレたちを取り囲んできた女子である。

 

 名前は伊吹澪。Cクラスの方針と対立してクラスから追い出されたらしい。その証拠として頬に殴られた痕が残っていた。

 

「どう見てもスパイでしょ。受け入れちゃっていいの?」

 

「クラスのみんなが受け入れる方向でいる以上、オレに言えることはない」

 

「きよぽんが反対したら、みんな納得すると思うんだけどな……」

 

 確かにそうだろうが伊吹には利用価値がある。

 

 オレの計画にCクラスのスパイという要素が加わり、堀北を追い詰めるまでの道筋がほぼ完成していた。

 

 日没後に点呼が行われる。その際に高円寺がリタイアしたことが発表されるなど、ひと悶着ありながらも消灯時間になった。

 

 オレは寝るためにテントに入ろうとしたが、中にいた池が凄い目をしてこちらを睨み付けてくる。

 

 山内がだるそうにオレを眺めながら、嫌味たらしく告げてきた。

 

「クズの小路。お前は外だ」

 

「それは流石に酷くないか?」

 

「うるせぇ! お前は女子のテントにでも入れて貰えよ!」

 

 テントの中にいる男子は池たちと同じようにオレに不快感を示しているか、後ろめたそうに顔を背けている者しかいなかった。

 

 平田に仲介を頼もうかと思ったがやめておいた。ハーレム計画の過程で男子から嫌われるのは想定の範囲内である。

 

 オレは野宿に適した場所を探すために夜の森に入っていった。真っ暗な森の中を歩くのは危険だが、オレにとっては大したことではない。

 

 今日は無理だが明日は簡易的なシェルターを作ろうかと考えていると、近くで枝を踏み折る音が聞こえてきた。

 

 何者かが近くにいる。オレは気配を消して闇に溶け込んだ。

 

「はぁ」

 

 森の中で溜息を吐いているのは堀北だった。

 

 まさかとオレは思う。流石にこれはやり過ぎだろう。

 

「ここで何をしている」

 

「ひゃぁっ! あ、綾小路くん!?」

 

 堀北がびっくりして飛び上がっていた。

 

「驚かさないで! 刺すわよ!」

 

 堀北が枝を構えている。流石にそれは洒落にならない。

 

「テントから追い出されたのか?」

 

「違うわ。気晴らしに散歩しているだけよ」

 

「こんな真っ暗な森の中で?」

 

 堀北が黙り込む。

 

 どうやら図星だったようだ。おそらく堀北は追い出されたと言うより、寝るスペースを分けて貰えなかったのだろう。あのテントは七人用である。それを十人で使っているのだ。堀北にスペースを譲らないだけで、こうやって追い出すことができるわけだ。

 

「あなたの方こそ、ここで何をしているの? 言わなくてもわかるわ。どうせ池くんたちに追い出されたんでしょう?」

 

「堀北の想像通りだ。オレは池と山内から嫌われまくっているからな」

 

「日頃の行いが悪いせいね。この機会に反省しなさい」

 

「お前もな」

 

 堀北はまたもや黙り込む。

 

 言い返せないようだなと勝ち誇ろうとして、オレは気付いた。堀北の肩が震えていた。風邪か。タイミングが悪い。

 

「堀北、やはりテントに戻った方がいい。女子に頭を下げて入れて貰え」

 

「放っておいて」

 

「だが、このままだと風邪を引くぞ」

 

 風邪が悪化してリタイアされたらオレの計画はすべてご破算だ。堀北には最終日直前まで試験に残って貰わないと困る。

 

「放っておいてと言ったでしょう。何度も同じことを言わせないで」

 

 堀北は頑なだった。こうなっては梃子でも動かないだろう。

 

 オレは有無を言わせず堀北をその場に座らせると、ジャージの上着を堀北にかけた。

 

「え、ちょっと、あなたが風邪を引くわよ?」

 

 半袖一枚になってしまったが、この程度で風邪を引くほど柔ではないつもりだ。

 

 オレは堀北の隣に腰を下ろす。

 

「悪いな。明日までにはシェルターを用意しておく。今日はこれで我慢してくれ」

 

「余計なお世話よ……何考えているのよ……もう……」

 

 堀北は言葉こそ辛辣だったが、態度はしおらしくなっていた。そして疲れていたのだろう。あっと言う間に寝息を立て始めた。

 

 初日から前途多難すぎる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 試験二日目。

 

 Cクラスの男子たちがオレたちのキャンプに現れた。

 

「何だよおまえら!」

 

 池が怒鳴り声を上げるも、Cクラスの男子たちはニヤニヤと笑い、池を散々に挑発してからスナック菓子の袋を投げ付けた。

 

 Cクラスの龍園という男からの呼び出しである。

 

 池が腕まくりをして殴り込みに行こうとしているのを平田が必死に止めていた。

 

「平田。Cクラスに煽られたからではないが、他クラスの様子が気になる。偵察に行きたいんだが許可を貰いたい」

 

「綾小路くんがそう言ってくれるなら助かるよ。ちょうど僕からも同じことを誰かに頼もうと思っていたんだ」

 

 平田から許可を貰ったので、次は波瑠加でも連れて行こうかと思っていると、堀北がオレに近付いてきた。

 

 堀北は不服そうに唇をきゅっと結んでいたが、オレの顔を見ると頬が赤く染まっていった。堀北の中で複雑な感情が渦巻いているのが見て取れる。

 

「風邪か?」

 

「わかってて言ってるでしょう。やっぱりあなたは女の敵ね」

 

 堀北がオレを恨めしげに睨む。

 

「他クラスの偵察に行くのでしょう? 私も同行させて貰うわ」

 

「いいのか? お前はリーダーだ。あまり積極的に動くところを見せるのはよくないと思うが」

 

「当てずっぽうで指名してくれるなら、むしろ喜ぶべきところね。Dクラスには平田くんや櫛田さん、あなたみたいな優れた人材がいる。今の私はあなたたちよりも一歩劣るもの。狙われる可能性は低いはずよ」

 

「それは卑屈になり過ぎだろう。堀北は平田や櫛田にも引けを取らないとオレは思うぞ」

 

 堀北の頬が一瞬だけ緩んだ。すぐに仏頂面に戻っていたが。

 

 ともあれオレたちは、最初にCクラスの偵察に向かうことにした。

 

 そして堀北は絶句した。

 

 Cクラスの拠点は砂浜だった。生活するには不向きな場所だが、大量のポイントを使えばその限りではない。

 

「Cクラスは勝負を捨てたの?」

 

 堀北は湯水のようにポイントを消費しているCクラスに唖然としていた。

 

 追加のテントや仮設トイレ、シャワーなどは当然のように設置されていた。さらに彼らはバーベキューをしており、クーラーボックスからは冷えたジュースを取り出している。ビーチバレーやサーフィンをしている者までいた。

 

「あっ、お前は……!」

 

 オレたちに気付いたのはガタイのいい少年。以前、長谷部の件で絡んできた男子だった。オレに折られた鼻は治っているようだ。

 

 心を折られたせいで男子の膝が笑っていた。こちらに向かってくる様子はなさそうだ。

 

 オレはその男子の横を通り過ぎようとする。

 

「ま、待て! いや、待って下さい!」

 

 意外にも呼び止められた。

 

 振り返る。それだけで彼は泣きそうな顔になった。

 

「ひっ! そ、その、すいませんでした!」

 

 突如、頭を下げられる。

 

「何のことだ?」

 

 なぜ謝っているのか理解できなかったので問い返してみた。

 

「綾小路さんの女を襲うって言ったことです! あれは本心じゃありませんでしたが、だからと言って許されることじゃなかったです! どうもすいませんした!」

 

「そうか。もう終わったことだ。気にするな」

 

 女を襲うと言うのは、オレを挑発するための方便だった。心を折るまで殴ったのは念のためだ。別にオレもそこまで心配していたわけではない。

 

「っす! ありがとうございます!」

 

「礼は不要だ」

 

 それにしても暑苦しい奴だった。同年代なのに敬語を使ってきているし、堀北から「何をしたのよ、あなたは?」と疑惑の視線が向けられている。これ以上相手をするのも面倒だったので、肩を叩いてから別れることにする。

 

「か、かっけぇ……」

 

 暑苦しい視線を背中に注がれながら、Cクラスの中に入っていった。

 

「ようやく来たか。遅かったな」

 

 ベンチに座って寛いでいた男子が声をかけてくる。

 

 以前、学校の廊下で遭遇したロン毛の男子だった。こいつがCクラスを率いている龍園なのだろう。

 

「ククク。久しぶりだな、綾小路」

 

 オレは周りを見回した。探していたのは椎名ひよりだ。

 

 ひよりとは連絡先を交換してから、たまに昼食を一緒に取ったり、読んだ本の感想などを送り合っている仲である。

 

 ひよりはパラソルの下で心配そうな顔を覗かせていた。

 

 友達は少ないと言っていたが悲壮感は見えない。それなりに上手くやっているようだ。

 

「おいおい、綾小路。女を物色する前に俺の相手をしてくれよ」

 

「悪いが男に興味はない。他をあたってくれ」

 

 Cクラスはひより以外に目ぼしい女子がいないのが残念だった。うちのクラスにスパイに来ている伊吹は可愛かったが、他は駄目そうだ。

 

「ククク。つれないことを言うなよ」

 

「帰っていいか?」

 

「まぁ待てよ。石崎たちの報復と行きたいところだが、どうやら今回はそういった試験ではないらしい。悪いが次の機会まで待ってくれ」

 

「そんな機会は永遠に来て欲しくないんだが」

 

「雑魚のフリはやめろ。寒いんだよ」

 

 龍園は突然持っていたジュースのビンを堀北に投げ付ける。

 

 堀北の顔面にビンがぶつかる直前、オレの手がビンを掴み取っていた。

 

「あ、綾小路くん……助かったわ……」

 

 冷や汗を垂らしている堀北に頷き返してからオレは龍園に向き直る。

 

「どう言うつもりだ?」

 

「悪いな。手が滑った」

 

「そうか。お前がそのつもりならオレの手も滑ることにする」

 

 オレはわざと怒っている姿を見せ付けることにした。

 

 ビンをテーブルに叩き付ける。ガラスが割れた音が辺り一面に響き渡った。

 

 周りで遊んでいたCクラスの生徒たちが静まり返り、怖ろしいものを見るような目でオレを眺めていた。

 

「怒るなよ。ちょっとした冗談だろう?」

 

 それでも龍園の余裕は消えなかった。

 

「綾小路。やっぱりお前は面白いな」

 

「見解の相違だな。オレはまったく面白くない」

 

 オレは踵を返す。堀北が慌てて後ろについてきた。

 

 そして気付いた。伊吹のことを聞き出すのを忘れていた。どうやらオレは堀北を傷付けられそうになって冷静さを欠いていたらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 次はBクラスの拠点だ。

 

「止まって下さい」

 

 オレたちを静止したのはショートヘアの少女だった。

 

「あなたは?」

 

「Bクラスの白波です。ここから先はBクラスの拠点があります。すいません、あまり近寄らないで欲しいのですが」

 

 堀北に問われ、白波と名乗った少女が申し訳なさそうに答える。

 

「ここがスポットの占有エリアなら従うが、そうでないなら立ち去る理由はないはずだ」

 

「それはそうなんですけど……ちょっと待っててくれますか?」

 

 オレが口を挟むと白波は困った顔をして小走りに去って行った。

 

 しばらく待っていると理知的な男子と、ロングヘアの巨乳美少女が現れる。その背後には白波もいた。

 

「ごめんね。まずは君たちのクラスと名前を教えてくれるかな?」

 

 巨乳美少女が言う。

 

 オレたちの名前すら聞いていなかった白波は恥ずかしそうに巨乳美少女の背中に隠れていた。

 

「Dクラスの綾小路清隆。こっちは堀北鈴音だ」

 

「綾小路くんと堀北さんね。あれ、綾小路くんって……?」

 

 一之瀬がオレの顔を眺めて頬を赤らめた。オレの噂話を聞いていたのだろうが、その程度で照れるとは初心な奴だ。凶悪なおっぱいの持ち主なのに、思いのほか純真なようである。

 

「悪事千里を走る、ね」

 

 堀北がジト目をオレに向けてくる。

 

「え、えっと、話の腰を折ってごめんなさい。私は一之瀬帆波。Bクラスの委員長をしているの。で、彼は神崎隆二くん。私の補佐役みたいな立場かな」

 

 二人はBクラスのリーダーとサブリーダーのようだ。

 

 委員長という役職はこの学校には存在しないはずだが、一之瀬はクラスで委員長のような役割を担っているため、便宜的にそう名乗っていると判断すればいいだろう。

 

「それで、綾小路くんたちは何の用なのかな?」

 

「偵察に来た。拠点の様子を見せて貰えないだろうか」

 

「うわ、はっきり言うね。私は問題ないと思うんだけど……」

 

「一之瀬」

 

 神崎が咎めるように言う。一之瀬はオレたちに苦笑を見せた。

 

「こんな感じでクラスのみんなが嫌がるから、ごめんなさいとしか言えないかな」

 

「いや、駄目元で言ってみただけだ。気にしないでくれ」

 

「ホントにごめんね。うちのクラス、Cクラスに色々とちょっかいをかけられているから、みんな神経質になってるんだよね。綾小路くんたちは悪い人には見えないけど、今回はタイミングが悪かったかな」

 

「一之瀬さんのクラスもCクラスの被害に遭っているの?」

 

「うん。そっちのクラスの三宅くんとか山内くんと似たようなことが何度かあってさ。ほんと、嫌になっちゃうよね。仲良くできればいいのに」

 

 オレたちのクラスのことも把握されているようだ。Bクラスの情報収集能力は優秀らしい。

 

「話は変わるがCクラスの様子は知っているか?」

 

「知ってる知ってる! うちのクラスも今朝からその話題で持ち切りだよ!」

 

「Cクラスは試験を放棄した。それだけのことでしょう」

 

「まぁ、そうとしか思えないよね」

 

 堀北が冷たく吐き捨てる。一之瀬も苦笑しながら同意していた。

 

「あとこれはもしかしてなんだが、Cクラスの生徒がそっちにも逃げ込んでいないか?」

 

「よくわかったね。あ、そっちのクラスにも?」

 

 一之瀬は目を丸くしていたが、すぐに気が付いていた。頭の回転も早そうだ。明るくて性格もよさそうで能力も申し分ない。Bクラスのリーダーは手ごわい敵になるかもしれない。

 

「金田くんっていう男子なんだけど、こっちの仕事を手伝ってくれてるよ。Cクラスの思惑はわからないけど、私たちのクラスは正々堂々この試験を乗り切るだけ。だから何の問題もないよ」

 

 流石にそれはお人好しが過ぎると思った。

 

 Dクラスも伊吹を受け入れているが、ここまで明け透けな態度は取れない。警戒しているため仕事を任せることもなく、伊吹はベースキャンプで手持無沙汰になっていた。

 

 オレはAクラスの拠点の場所を聞き出してから一之瀬たちと別れた。

 

「一之瀬さん、手強そうな相手だったわね」

 

「そうだな」

 

 愛里や波瑠加に匹敵する巨乳の持ち主がまだ残っているとは、これは思わぬ収穫だった。

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