昨日と変わらず、太陽の光が強く降り注いでいる。
腕時計を見ると、今の気温は45℃だと表示されていた。
これが今のこの国――いや、
文明と呼べるようなものはこの島から失われた。
雑草か虫を、水たまりで汲んだ水でよく煮て食べる。
道端に上着を敷いて寝て、起きたら仕事をする。終われば寝る。
毎日がその繰り返しだ。
俺の名はタナカタツヤ。25歳。
日差しから身を守るため、黒いコートと長ズボンを履いている。
こんな気候にしては変な恰好だが、便利なことの方が多い。
いろいろと物騒なことも多いからな。
人と会ったときは元公務員だと名乗っている。
嘘というわけでもないし、相手に好印象を持ってもらえる。
なるべく相手に警戒心を持たせないことが、俺の仕事において重要なのだ。
今の俺は、日本中――日本という国はもはや存在しないが、便宜上そう呼ぶ――を歩き回って仕事をしている。
さながら大昔の旅役者のようだが、俺の仕事はそのような浪漫のあるものではないのが残念だ。
仕事を始めてから、もう5年近くは経っただろうか。
こんな世界ではカレンダーなんて無いからな。
今が西暦何年だなんて意識もしなくなってくる。
肝心の仕事というのは、その……まあ、言いにくいことなんだ。
だけど俺は、ある理由からこの仕事を続けている。
もっとも、自己中心的で大した理由でもないんだけどな。
理由ってのはあるのが重要だろう。
そう信じて、今まで仕事をこなしてきた。
大した見返りも得られないのにな。
さて、俺の旅には同行者がいる。
ゼロという女性型ロボットだ。
初めて会ったときにゼロだと名乗ったのでそう呼んでいる。
ロボットというものの、外見的にも機能的にも人間と区別がつかないと言っていい。
だがメイド服を着ているのはなぜなんだろう。
ゼロは鼻筋の通った綺麗な顔立ちをしていて、いわゆる美人という奴だ。
ロボットは美「人」ではないだろうとも思う。
だが美人と呼ぶとゼロが喜ぶので、そういうふうにしておく。
年代的には、10代後半くらいの見た目をしている。
もっとも、おつむの方はそうではないようだ。
常識というものを知らないし、なんだか心配になるレベルだ。
こんな世界に常識という概念があるのかは疑問だが。
これから皆に紹介するのは、ゼロと旅をした最後の半年間だ。
皆にとって、何かの足しになれば幸いである。