平安に生まれ変わったら九十九さんがいたんだが 作:位相波羅蜜光の柱
原作を見たところ少しですが天元などへ向ける言葉が堅苦しくなっていました。
オリ主との関係性から、ここでの羂索はラフな言葉と堅苦しい言葉の両方が混ざった喋り方をします。
オリ主以外には原作と変わりません。
前話から二日後の話です。
「小さい頃はコーヒーなんて黒い液体は嘲笑っていたけれど、今になって再び飲んでみれば美味くて──平安時代の飲み物と比較すればなんでも旨味溢れるのはそうなんだけど───良い苦味と言えるよ」
「……今になって思えば、君は昔から隠す事をしなかったな。いや、わかってはいたんだが今日改めてそれを実感したという方が正しいかな」
山奥の喫茶店にて、クロワッサンを頬張りながらコーヒーを口に入れ咀嚼して胃に流し込んでいたのは藤原穂乃果であった。
何一つ変わらない悪友を前に、羂索は溜息を吐きながらカップのコーヒーをかき混ぜていた。
「何言ってるんだい羂索、僕はどちらかと言えば隠し事だらけの人間だよ?」
「『昭和のジジイみたいな言葉』『ジャンヌダルクにでも仕立て上げるつもり?』『友チョコで悪いがこの美少女穂乃果様が恵んでやる』」
「……なにそれ」
「魑魅魍魎渦巻く平安の時代、そこで君が言ってた言葉の数々。その一部さ」
「えー僕そんな事言ってた?つーかよく覚えてるね、僕と違って千年意識を保ったまま生きてきたんでしょ?」
「術式の影響かはわからないが、確かに私は人並み以上に記憶力がいい。だがそれを除いても君の言葉は記憶に残りやすいんだ。君との議論で覚えた味は未だ色褪せないよ」
「……ははっ、野郎に言われても嬉しくない台詞だね」
「私の元々の体は女性かもしれないだろ?」
「脳みそで動く化け物にそもそも性別があるのかよ」
「さぁね───一あぁそうだ」
あの頃は気に留めていなかった言葉の数々、それに意味があると気付いたのはいつだったか。
西洋にてとある少女がルール無用の戦いを仕掛けそして戦果を残したのを聞いた時か、それともまた別のいつかか。
『平成の次は令和』と言っていた意味も今では正しく理解できる。
時期こそは定かではないが、今になってはもう既に確信している事がある。
予知の術式自体は存在する、古今東西の寓話に始まりそして呪術的歴史が証明してきた。
だが、それらはいずれも数秒先で長くても一日先──しかもその場合具体的な人間の言動などは予測できない──であることは呪術に通じる者ならば誰でも知っている事実だ。
「ん?なに?」
であらば藤原穂乃果という存在はいったいなんなのだろうか、それはこの千年で羂索の頭脳を幾度も悩ませた問いだ。
普段の羂索であれば観察を重ね推論を生み出し仮説を推敲する事で結論を出すのだが、穂乃果の場合は話が違った。
単純な事だ、直接聞けばいい。
「穂乃果、君は嘗てこの時代に産まれ生きた──いわゆる転生者なのか?」
「うん、そうだよ」
「だろうね」
平静を崩す事なく、普段通りの様相で、他愛もない日常会話の一幕かのように穂乃果は答えた。
それに驚くこともせず、疑うこともせず、羂索は自らの推測が当たっていた事を確信した。
もはや転生などという事象は穂乃果にとって隠すべき事ではなく、また羂索にとってもそのような過去の事象にはそこまで興味を唆られる事はなかった。
「転生という事象は呪術によるものか?」
「いいや全く違う。ほら?あるだろ最近流行りのトラック転生、アレだよあれ。生憎神とやらには出会ってないけど気づいたら藤原家の一員になってたんだよ」
「そうか。転生という事象そのものは興味深いけど、この忙しい時期にわざわざ私が研究する程じゃないかな」
この千年、転生という事象を経験したものに出会ったことは無い、自らを転生者だと言いふらす人間には何度か出会った事があるが全て眉唾であった。
サンプルが一件だけというのも心許なく、肝心の穂乃果としてもこちらに体を好き勝手研究させてくれるほど暇じゃ無いだろう。
ならばその研究は後に回していいだろう、それが羂索の結論だった。
「そっか、なら僕もどうでもいいかな。なんか呪術のご意見番みたいな扱いを昔されてたけど、結界術と縛り以外は専門外なんだよ。転生云々なんて研究の仕方もわからない」
なんて事を言っているが、専門外の分野ですら一般の術師の何十倍も知識があることは想像に難くない。
「それならそれでいいんだが……さっきから気になっていたんだけどそれ何?」
穂乃果の虚式により時を止められたカラスが、穂乃果の隣の椅子に置かれていた。
十中八九冥冥辺りが仕掛けた盗撮用のカラスだとは思うが、一応聞くことにしたのだ。
「察しの通り冥冥さんのやつ、ここに来る途中で捕まえたんだ。一応上層部との取り引きは済んだんだけどね、バレないとでも思ってんのかな」
「監視禁止の縛りを結ばなかったのかい?」
「敢えてだよ羂索、これから僕はこのカラスを持ってって上層部の誰が僕を監視しようとしたのかを突き止めるつもりだよ」
「シラを切られるのがオチだろう」
「ま、そこら辺はなんとかするさ。問題はその後、
「……相変わらず君も意地が悪いね」
この時点で羂索は穂乃果の狙いを理解していた、平安と同様の意地の悪さに感心していた。
時折藤原穂乃果を『なにも考えてないバカのお人好し』と断ずる貴族がいたがそれは大きな間違いだ。
穂乃果がなんでも物事を喋ってしまうのは、それにより不利益が発生すると思っていないからだ。
彼女は本気で敵と認識した人間に対しては口を滑らせた風に見せかけて誤情報を与える事もある、なんでも喋ってくれるのはただ単に脅威と思われていないからだ。
強者故の傲慢、それが彼女の本質。
「褒めんなよ照れるだろ。まぁ、オマエの息がかかってない上層部を炙り出すにはこれしか無かった。
それは事実だ、羂索は穂乃果の封印解除のすぐ後に己の手駒である上層部に連絡をし『余計な刺激を与えず要望は極力聞くようにして手を出すな』と指示を出していた。
藤原穂乃果はある意味両面宿儺と同類なのだ、快不快で生きる怪物。
違いがあるとすれば両面宿儺は己の快不快で動くのに対し穂乃果は『一度心の懐に入れた者のためならばなんでもできる』という点だろうか。
文字通り、なんでもだ。
現に
法も道徳も彼女にとっては不要な邪魔者。
もっとも、普段はそんな本性を表にださない社交性は兼ね備えている。
それゆえに厄介なのだが。
「上層部に手駒がいることまでバレていたか……わかりきっている事だが一つ聞いておこう。私が君の大事な者の敵となった時、君は私を殺すか?」
「──そりゃそうでしょ、ぶっ殺してやるよ」
嗚呼、やはりだ。
やはり私は穂乃果の大事な者には含まれていない。
羂索は正しくそれを理解していた、そして。
「それは良かった、言っておくが千年私はなにもしていなかったわけではない。呪具、手駒、呪霊、結界術、全てがあの頃と同じだとは思うなよ」
「もちろんさ、記録より強くなっているよオマエは」
『記録』その言葉を穂乃果は発した。
これこそが今日の本題、これからの計画全てに関わる事項。
「……君は嘗て現代を生きていたと言ったね」
「うん」
「単刀直入に───君の前世で死滅回遊はどのようにして終わった?」
Qオリ主の前世って?
A死滅回遊100点プレイヤー
Qもしオリ主に『呪術廻戦って漫画知ってる?』って聞いたら
Aなにそれと言われるでしょう。