ようこそ!デスゲーマーのいる教室へ!   作:橘諸兄

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11話目です。
感想や高評価ありがとうございます♪
これからも沢山の感想をお待ちしております。

皆さんの水無瀬のイメージはどの様なものでしょうか?
作者としては頭は回るけど、坂柳程の知力は無く、脳筋寄りの謀略好きといった感じです。
天才では無いけど、秀才だと思っている少し傲慢な性格の子です。


不利な状況だって楽しんだもの勝ち。そこで成果を出した人間は英雄になれる。成果を出せない者は敗者に成り下がる。

 

 

 

Aクラスに帰って昼食を摂り、後片付けをしていると思いがけない来客があった。

 

 

「おい、葛城を出せ。」

 

 

Cクラスの王、龍園翔だ。

 

 

「いいけど、今回の試験を取り仕切っているのは葛城派の町田君と坂柳派の橋本君の二人。君が何らかの交渉をAクラスに対して行いたいのなら、葛城君に頼むのは間違っているよ。」

 

 

「ハッ、葛城はこのタイミングでクラス一つ纏められねぇのか?警戒して損したぜ。飛んだ腰抜けだったんだな。」

 

 

龍園は葛城を小馬鹿にし、高笑いをした。

この状況で坂柳派に裏切られる可能性を考慮出来ている彼が腰抜けな訳無いだろう。

 

 

だから君はCクラスなんだよ。

裸の王様。

 

 

「聞き捨てならないな。」

 

 

龍園の声が聞こえたのか、洞窟の奥から葛城がやって来た。

 

 

「何の用だ?龍園。」

 

 

「オレはAクラスのリーダーと交渉をしに来たんだが、葛城は坂柳に下ったのか?」

 

 

上から目線で横柄な態度、高圧的な発言には不快感を覚える。

 

 

「…挑発には乗らないぞ。俺は俺がクラスのリーダーとして相応しい行動をしているつもりだ。」

 

 

二人が対峙し睨み合っていると、騒ぎを聞き付けた橋本と町田が慌てた様子でやって来た。

 

 

「おいおい、何してんだよ?」

 

 

「橋本がリーダーねぇ…ハッ、まあ良いぜ。今回Aクラスに対して行う交渉はこれだ。契約書を読め。」

 

 

龍園が橋本に渡した契約書は以下の内容だった。

 

 

Cクラスは300ポイント全てを使い切り、そのポイントで得た物資全てをAクラスに譲渡する。

その代わりにAクラスは毎月Cクラスに対して80万プライベートポイントを支払うというものだ。

 

 

おまけとして他クラスのリーダー情報が分かれば、それも共有してくれるらしい。

 

 

まあこの契約はAクラスにとって不利だ。

クラスポイントは重要だが、現在他クラスと大きく差を広げてトップを走るAクラスは、プライベートポイントも増やしていきたいところだ。

 

 

この契約を結ぶやつなんて居ないだろう。

 

 

「…どうだ?葛城」

 

 

「どうかと問われれば、俺がリーダーであれば結んでいた可能性はある。だが、今俺はリーダーでは無い。そして毎月支払うプライベートポイントの額、リーダー情報も信ぴょう性が低いため、交渉内容として釣り合っていないな。」

 

 

うんうん、これで結ぼう!なんて言い出してたら殴るところだった。

 

 

そういえば暴力はプライベートポイントを全て没収されるんだっけ?

気をつけないとね。

 

 

「ハッ、ひよってるな?葛城」

 

 

龍園君って人の話を聞かない暴君タイプなんだね。

悪政をしてたらいつか反乱を起こされちゃうぞ〜♪

 

 

「あのさ、龍園君。葛城君じゃなくて、橋本君と町田君がリーダーなんだよね。日本語分かる?それとも国語力が低いのかな?ただでさえ悪名名高いんだから、もう少し真面目にしないと内申点が下がっちゃうよ。これはAクラスの真面目な生徒としての忠告ね♪」

 

 

「…あまり俺を怒らせるなよ?たかだかリーダーにすらなれねぇ生徒如きが俺を煽るんじゃねぇ。ぶっ殺すぞ?」

 

 

こういう威勢の良い人間は嫌いでは無い。

だけど、あまり調子に乗らない事だよ。

 

 

そんなんじゃあデスゲームが始まったらすぐに標的にされちゃうよ。

君はもっと理性的な人だと思っていたんだけどなぁ。

 

 

「あはは♪怖いなぁ…」

 

 

その後話し合いの結果、Cクラスとの交渉は決裂した。

その後、何事も無かったかの様に釣りや採取を行い、生活する上でのルールについても話し合いが行われた。

 

 

 

◇◇◇

 

 

この日の夜、点呼後に私はビーチへと散歩に出かけた。

 

 

今日の夜は冷たい風が吹いている。

昼間吹く風邪は強いが生ぬるく、暑さが消える事は無い。

 

 

しかし夜は幾分か冷たい風が吹いており、体温が少し下がった気がする。

 

 

私は午前二時と三時にスポット戦友を行わなければならないので、本来ならもう寝なくてはいけない。

だけど、この非日常を味わいたくて洞窟から抜け出してきたのだ。

 

 

「素敵な夜ですね。」

 

 

後ろから凛とした澄んだ声がする。

振り返ると今日一緒にダウトをして、私に勝ったCクラスの女子生徒、椎名ひよりが海を眺めながら微笑んでいた。

 

 

「私に勝った椎名ひよりちゃんだよね。今晩わ。」

 

 

ちゃぷんと海水に足をつけ、バシャリと海面を蹴った。

小さく水飛沫があがり、海面に波紋が広がっていく。

 

 

月明かりに照らされて輝く海に私と彼女二人だけ。

この世界に私達だけが取り残されかの様な静けさは異常だ。

 

 

まるで小説の中みたいな場面だね。

 

 

「…私は眠れなくて、少し外に出てきていたんです。水無瀬さんは偵察ですか?」

 

 

「ううん、偵察は昼間にしたし普通にお散歩だよ。東京に居たらこんな経験出来ないし、たまにはゆっくり海でも眺めようかなって。」

 

 

海が珍しいかの様な発言だが、私は海が初めてでは無い。

留学中に友人とモルディブに旅行に行ったし、幼い頃家族と沖縄に行って泳いだ事もある。

 

 

好きなマリンスポーツはシュノーケリングだが、呼吸方法に慣れるまで何度も鼻に水が入ってむせてしまった。

しかし慣れるとそこまで難しくなく、美しい海や魚達の姿を見ながらのんびり泳ぐ事が出来る様になった。

 

 

他にもサーフィンやバナナボート等を経験したがとても楽しかった。

ちなみにサーフィンに関してはセンスが無かったのか、何度も海に落ちた。

 

 

「…そういえば水無瀬さん、Aクラスは町田君と橋本君がリーダー代理として動き、葛城君はリーダーを務めていないそうですね。」

 

 

「龍園君から聞いたのかな?…まあその通りだよ。これもAクラスの勝利の為だから、葛城君を腰抜けだなんて言わないでね。」

 

 

少し圧を掛けながら話せば、椎名はふっと笑って頷いた。

裸の王様の側近はとても優秀な様だ。

 

 

うんうん、感心感心♪

 

 

「坂柳さんは今回の試験に参加出来ていませんし、葛城君がリーダーを務めれば良い顔はされないでしょう。そして、坂柳派が葛城君に協力するとは思えない。だから警戒してこの様な形を取ったのですね。」

 

 

「理解が早くて助かるけど、その知力の高さはちょっと困っちゃうかな。」

 

 

椎名ひより、ね。

彼女は只者では無さそうだし、彼女こそがCクラスの頭脳なんだろうなぁ。

 

 

美紀ちゃんの話では金田って男子生徒が参謀だったけど、この子も十分参謀と言える実力者だね。

傍若無人で暴力的なCクラスにこんな真面目そうな子が居るなんて、ね。

 

 

「…ちなみに、水無瀬さんがその様な提案をしたというのは事実でしょうか?」

 

 

Aクラスのスタンスが他クラスに漏れてしまうのは分かる。

何故なら龍園がウチのクラスへ交渉の為に赴いているからだ。

 

 

しかし提案者については知らないはずだ。

 

 

カマをかけられている?

それともAクラスの中にスパイが居て、外部に情報を流している?

 

 

「…ん?なんの事かな?その提案者は私じゃ無いけど。」

 

 

「おや、そうですか。てっきり貴方が葛城君が負けると悟って、この様な提案をしたのかと思いましたが、どうやら思い違いの様ですね。」

 

 

「うんうん♪分かってくれたみたいで良かったよ。」

 

 

…まあ、今はそういう事にしておいてあげる。

 

 

もし本当にスパイが居たとして、彼女がスパイが居る事実を暴露してまで私の言葉を否定する理由は無い。

よって真相は不明という事だ。

 

 

Cクラス、弱いと思って見下していた訳じゃないけど、一筋縄では行かなさそうなクラスだ。

 

 

厄介だとしてもやる事は変わらないよね。

 

 

「私はそろそろ戻ろうかな。椎名さんも早く戻った方が良いよ。人工島とはいえ、何があるか分からないからね。」

 

 

「ええ、そうします。ではまたお会いしましょう、水無瀬さやかさん。」

 

 

今度会う時は是非色々お話したいものだね。

 

 

椎名に手を振りながらベースキャンプ地である洞窟へと歩き出した。

そして今日起きた事をこっそり美紀ちゃんに伝えておいた。

 

 

そして深夜にスポット更新を行い、お昼前までまた眠りについた。

洞窟の中はひんやりとしていて、床の硬さを気にしなければそれなりに快適だった。

 

 

私達Aクラスはそれなりに真面目に無人島生活を送っている。

途中でCクラスの生徒が龍園に殴られたと泣きついてきたが、スパイだと考えて無視した。

 

 

石崎君だっけ?

もう少し演技のお勉強をしてからやり直して欲しいかな。

 

 

大根役者はお呼びじゃないんだよね。

ちなみに三文役者もお呼びじゃないからね♪

 

 

後CクラスとBクラスが組んでいるという噂を聞いたりしたが、龍園があの交渉を行っているのであれば敵では無い。

それにDクラスのリーダーは間抜けらしいので、簡単にポイントが獲得出来そうだ。

 

 

そして6日目がやって来た。

本部の見張りを行っていた鬼頭の話では、Cクラスは龍園以外の生徒が全員リタイアしたらしい。

 

 

他のクラスでは、Dクラスの高円寺六助が初日にリタイアしており、それ以外の生徒は試験に参加しているそうだ。

深夜にリタイアしている者については不明だが、現状問題は無い。

 

 

各クラスのベースキャンプに偵察へ行き、リーダー候補者の試験参加は確認済みだ。

 

 

「…美紀ちゃん、体調は大丈夫?」

 

 

昨日の夜は雨が降っていた。

しかし、Aクラスとしてはスポット占有に命を賭けているので、無理をしてでもスポット更新を行いたい。

 

 

リーダーである美紀ちゃんがここで離脱すれば30ポイントが消えてしまう。

多少無茶をしてでも離脱しないで貰いたいが、少し顔が赤い。

 

 

「…大丈夫。」

 

 

今残っているポイントは172ポイントだ。

仮説トイレを二つ買い、後は食料面ではほぼほぼ畑で採れた野菜や川で捕まえた魚を使ってかなり節約している。

 

 

このままポイントを使わずに切り抜けたいところだ。

 

 

有栖ちゃんがいない分Aクラスは不利だけど、割と善戦してるんじゃないかな。

ボーイスカウトの経験者もいる為、サバイバル知識を活かして楽しく生活出来ている。

 

 

ずっと無人島生活は嫌だが、普段出来ない経験が出来てとても嬉しい。

 

 

「あ、真澄ちゃん大丈夫?顔色悪いけど、無理してない?」

 

 

「は?…まあ、大丈夫だけど。」

 

 

「そう?もし辛かったら言ってね。スポット占有まで休んでて貰って良いからね!」

 

 

「…あっそう。」

 

 

スポット占有のメンバー一人一人に話し掛け、体調を確認していく。

全員どこか疲れているが、環境の変化のせいだろう。

 

 

そして最後の一人に確認を終えたので、私は調理班の手伝いをする事にした。

今日は魚の塩焼きと夏野菜のラタトゥイユだ。

 

 

和食と洋食というミスマッチではあるが、どちらも味は絶品だった。

大自然の中で食べる料理はとても美味しい。

 

 

なんでだろうね?

ポジティブハロー効果だったかな?

 

 

ギャップとして脳に肯定的な感情を引き起こし、実際の物より高く評価をしてしまう現象。

これに似た事が起こっているんじゃないかなぁ。

 

 

そして7日目の午前二時、スポット占有の為に各スポットを回っていく。

三時に残りのスポットである、川とビーチを回って更新し、洞窟に戻った。

 

 

そして途中で鬼頭から堀北鈴音がリタイアしたとの報告が入ってきた。

 

 

明日の朝は八時の点呼を行った後、後片付けを行って船に戻る事になっている。

Aクラスはゴミはゴミ袋に纏め、寝袋以外のアイテムは全て本部に返しているので、片付けはすぐ終わるはずだ。

 

 

そして、リーダー指名の時間が終わり、試験が終了した。

初めに説明を受けたビーチに向かうと、Dクラス、Bクラスの生徒達も集まって来た。

 

 

Cクラスだけ誰も残っていない様だ。

 

 

「おい待てよ。」

 

 

声のした方へ視線を向けると、そこには薄汚れたCクラスの王、龍園翔が立っていた。

 

 

うん、読みは合っているね。

 

 

Bクラス、Dクラスの生徒達は驚愕しており、Cクラスの本当の作戦の真意に気付いていない様子だ。

対してAクラスも驚きはしているが、冷静さは欠いていない。

 

 

改めて試験の結果が発表された。

 

 

「4位 Cクラス 0ポイント。」

 

 

まあこれは予想通りだ。

 

 

「3位 Bクラス 124ポイント」

 

 

へぇ、Bクラスは対策出来なかったんだね。

龍園君を甘く見ていたのか、リーダーの頭がお花畑だったのか、もしくはその両方なのか。

 

 

「2位 Dクラス 198ポイント」

 

 

あのDクラスが2位、ね。

ポイント自体は対した事じゃないけど、ここまでの躍進には黒幕Xが関わっているとしか思えないなぁ。

 

 

「1位 Aクラス 344ポイント」

 

 

悪くないかな。

 

 

Dクラスという想定外はあったけど、大方私の思い通りにしけんは進んでいる。

そして黒幕Xが実在する事も分かった。

 

 

今回の試験で得た収穫は思いの外多かった。

町田と橋本の指揮の元、Aクラスはその強さを見せつけ一位を獲得したのだ。

 

 

とある男はAクラスを見て不敵に笑い、とある少女はAクラスを見て顔を顰める。

Aクラスはこの学年一優秀なクラスなのだと、誰もが再認識した。

 

 

「満足の行く結果だね。橋本君と町田君のおかげだよ。坂柳派と葛城派が統一されれば、最強間違い無しだね。」

 

 

「…うん。」

 

 

美紀ちゃんは無表情だけど、今の「うん」はちっと声が弾んでいたね。

この無人島試験を楽々クリア出来た事で、このゲームを楽しめたらしい。

 

 

この程度のゲームで何も出来なかったBクラスに対しては呆れを通り越して尊敬すらする。

慢心をしていたのだろう。

 

 

龍園の策は所詮奇策であり、常人には考えられない思考回路をしているから編み出せたものだと推測している。

そして常識人代表の一之瀬が彼の策を見抜けないのも仕方が無いのかもしれない。

 

 

だが、リーダーという役職に着いている今、彼女の失敗は甘えであり、ただの脳死だ。

今後Bクラスが脅威になる事はほぼ無いが、少しでも強くなり好敵手となってくれる事を祈っておこう。

 

 

船に戻って各自着替えを済ませ、のんびりと過ごす。

私と美紀ちゃんは同室だが、シャワーを済ませた途端ベッドにダイブして眠りについた。

 

 

翌日、Aクラスで打ち上げが行われ、今回の試験についての反省会をしながらカラオケを楽しんだ。

 

 

 

ーーーーーーーーー

Aクラス 1517 CP

Bクラス  787 CP

Cクラス  492 CP

Dクラス 231 CP

ーーーーーーーーー

 

 

 

現在のクラスポイントはCクラス以外、上記の様に変動している。

 

 

Aクラスが無双し、Bクラス以下は団子状態だ。

Dクラスが伸びて来たが、今のところは放置で良いだろう。

 

 

私はとある人物にメールを送り、今回の試験についてノートに纏める事にした。

 

 

現在のプライベートポイントは、388万4115ポイントだ。

10万ポイントを失ってしまったが、クラスにとっては大きな買い物となったので良しとしよう。

 

 

今回の試験、Aクラスが残したポイントの額は172ポイント。

これにスポット占有の72ポイントが加わり、244ポイント。

 

 

そして二クラスのリーダー当てを行った結果、344ポイントを獲得した。

Aクラスは今回リーダーを当てられていないのだろう。

 

 

私の考えた作戦がドンピシャで刺さったのだ。

 

 

私ってば天才ね♪

水瀬さやかは天才?秀才?凡人?

  • 天才(坂柳・堀北学クラス)
  • 天才(綾小路・高円寺クラス)
  • 秀才(葛城・一之瀬クラス)
  • 秀才(櫛田・平田クラス)
  • 知恵の回る狂人(龍園クラス)
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