ようこそ!デスゲーマーのいる教室へ!   作:橘諸兄

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15話目です。
今回は干支試験一日目についてです。

感想や高評価を頂けて嬉しいです。
ありがとうございます♪
今後も感想や高評価お待ちしております。




分からない問題に時間を費やすより、分かる問題を先に解いた方が良いよ。時間は有限なんだからね。

 

 

翌日、Aクラスの生徒は午前9時に第一会議室に集められ、今回の試験に関する方針についての説明がなされた。

 

 

坂柳派の生徒が不満を垂れていたが、坂柳が宥め丸く収まった。

葛城派は戸塚弥彦が騒いでいたが、葛城に睨まれ狩られた子兎の様に縮こまっていた。

 

 

どっちの派閥も自派閥の生徒の管理に苦労しているみたいだ。

 

 

「ではこれにて説明を終わらせて貰う。優待者について他クラスにバレない様に気を付けて欲しい。後程、俺か坂柳に優待者であると名乗り出てくれ。坂柳、後で優待者の名乗り出があれば教えてくれ。」

 

 

「ええ、分かりました。今回だけは従って差し上げます。」

 

 

今回の試験中は裏切りは起こさない、という事らしいので信用しておこう。

これで裏切り者が出たら、坂柳派の信用問題に繋がるし、この試験に限って問題無さそうで何よりだ。

 

 

平和が一番だよね♪

 

 

その後、葛城の指示があるまでAクラスの生徒は試験中黙っている事を命じられた。

話さなければボロは出ないけど、その間に葛城君は法則を見付け出さないとゲームオーバーになってしまう。

 

 

何か当てでもあるのかな?

 

 

「…では解散とする。各自何か問題が起きた場合、俺か坂柳に伝えてくれ。勝手な行動は慎んで欲しい。」

 

 

私は美紀ちゃんと共に会議室を後にする。

試験時間までのんびりお昼寝をしたり、読書をしたり自堕落な生活を楽しんだ。

 

 

あ、そういえば私は優待者には選ばれなかったよ。

有栖ちゃんから貰った情報によると、坂柳派の神室真澄ちゃんが優待者に選ばれたんだって。

 

 

その後、葛城に法則を見付けるためって理由で優待者を教えて貰ったんだけど、葛城派の的場信二が優待者に選ばれているみたい。

そして残る一人は中立派の美紀ちゃんだった。

 

 

彼らに共通点は無い為、外見や性別、趣味や成績に関係した法則ではないみたいだ。

 

 

私はは今回寅グループだ。

今回のグループメンバーは以下の13人である。

 

 

 

Aクラス:坂柳有栖、水無瀬さやか、矢野小春、真田康生

Bクラス:神崎隆二、姫野ユキ、網倉麻子

Cクラス:石崎大地、野村雄二、園田正志

Dクラス:松下千秋、外村秀雄、佐倉愛里

 

 

 

Dクラスの生徒とCクラスの野村雄二、園田正志、Bクラスの姫野ユキというせいに関しては名前すら聞いた事が無かった。

その他の生徒はクラスの主要人物なので、名前や噂をたまに聞く程度には知っている。

 

 

試験前の様子を観察すると、Bクラスは網倉と神崎が、Cクラスは石崎と園田が会話しており、他は無言だ。

 

 

まあ、ウチのクラスに関しては無言を貫く様に言われているから仕方の無い事かもしれないけどね。

 

 

試験が始まった直後、ピロリンと携帯の着信音が鳴った。

メールボックスを開き、中身を確認すると篠原と佐藤のグループ、そして全グループのメンバーと名前が書かれたPDFが添付されていた。

 

 

仕事が早くて助かるよ〜♪

流石は櫛田桔梗ちゃんだね。

 

 

佐藤は美紀ちゃんと同じグループ、篠原は神室真澄ちゃんと同じグループだという事が分かった。

そしてこの試験が最も得意そうな高円寺はAクラスの優待者がいるグループには属していない為、Aクラスへの被害は無い。

 

 

試験中にメールを送っておかないとね。

 

 

「…とりあえず自己紹介を始めないか?初日の説明の日に、第一回目のグループディスカッションでは自己紹介をする様に言われている。ペナルティがあっては困るだろう?」

 

 

無言の状態に痺れを切らしたのか、Bクラスの神崎が自己紹介をしようと呼び掛けてきた。

彼はそこまでコミュニケーションに長けた生徒では無いはずだが、機転を利かせて場を取り仕切ってくれるあたり流石Bクラスの生徒だ。

 

 

このまま無言でいても楽しくないし、ここは彼の意見に賛成しておこう。

 

 

「賛成!私もペナルティは嫌だし、とりあえず自己紹介しよっか。Aクラスからで良いかな?」

 

 

「ああ、構わない。」

 

 

彼の許可を得たので私から自己紹介を始める事にした。

 

 

「私はAクラスの水無瀬さやか。趣味はゲームと買い物で、特技はピアノ。宜しくね〜♪」

 

 

自己紹介を終えるとパチパチと拍手が上がる。

どうやらここに集められた生徒はそこまでノリが悪い訳ではないらしい。

 

 

私は有栖ちゃんと真田、矢野に目配せをし挨拶をする様に促す。

すると真田が先に口を開いた。

 

 

「Aクラスの真田康生です。宜しく。」

 

 

「Aクラスの矢野小春です。宜しくね。」

 

 

真田、矢野と短い挨拶をし、ついに我らが女王、有栖ちゃんの番がやってきた。

 

 

「私はAクラスの坂柳有栖と申します。今回の試験でAクラスは何があっても無言を貫かせて頂きます。話し合いには参加しません。」

 

 

「え…はああ?!ど、どういう事だよ坂柳!」

 

 

石崎は有栖ちゃんの発言にひどく驚いている様だ。

 

 

「言葉通りの意味ですよ。私達Aクラスの生徒は今回の試験で沈黙を貫きます。」

 

 

有栖ちゃんの発言に全員がAクラスの方へ視線を向けるが、私達はあくまで葛城に従うのみ。

 

 

「…とりあえず自己紹介は続けよう。俺はBクラスの神崎隆二だ。宜しく頼む。」

 

 

「Bクラスの網倉麻子です。皆宜しくね。」

 

 

網倉と神崎は一之瀬と特に仲の良い友人だと聞いた事がある。

 

 

「Bクラス、姫野ユキ。宜しく。」

 

 

この子は名前も容姿も知らないが、Bクラスには珍しくタイプの一人で行動するタイプの様だ。

網倉や神崎と少し離れたところに座っている事からも一匹狼という印象を持った。

 

 

「俺はCクラスの石崎大地だ。宜しくな!」

 

 

石崎は龍園に四六時中着いて回る生徒で、悪名名高い龍園の側近だ。

 

 

「同じくCクラス野村雄二だ。」

 

 

「俺はCクラスの園田正志だ。宜しく。」

 

 

Cクラスの自己紹介が終わり最後にDクラスの生徒が自己紹介を始める。

 

 

彼等については姫野ユキ同様何も知らない。

 

 

「私はDクラスの松下千秋だよ。宜しくね。」

 

 

「拙者は外村秀雄です。宜しくお願いします。」

 

 

「さ、佐倉愛里です。よ、宜しくお願いします…。」

 

 

 

松下という女子生徒はこのグループのメンバーを注意深く観察しており、少なくとも馬鹿では無さそうだ。

他の二人は典型的な地味キャラで、特に警戒する必要は無さそうである。

 

 

「…ど、どうしようか?」

 

 

網倉がこの状況をどうするべきかという疑問を全員に投げかけるが、それに答えられる人は誰も居なかった。

このグループは全体的に積極性のある生徒が少ない為、コミュニケーションが取りにくく、話し合いは進まないだろう。

 

 

「…仕方ないなぁ。私が進めてあげるよ。」

 

 

誰も話さないのなら仕方ない。

 

 

私がこの試験について説明し、改めて疑問点が無いか確認してあげようか!

葛城君が黙る様に言ってたけど、契約書で強制されている訳じゃないし、別に良いよね。

 

 

「水無瀬さん、葛城に黙っているよう言われたでしょう?」

 

 

「まあまあ、怒らないで真田君。誰も話さないなんてとーってもつまらないよね!」

 

 

「…まあ、私と真田君、矢野さんが黙っていれば問題無いでしょう。」

 

 

有栖ちゃんと真田君は坂柳派だから黙っていてくれるだろうが、矢野は葛城派の生徒なのでほぼ100%葛城に告発するだろう。

 

 

「…まあ良いよ、黙っててあげる。」

 

 

案外あっさりと許されてしまった。

 

 

葛城派にこんなクレイジーな生徒がいたなんてびっくりだよ♪

 

 

「うんうん♪有栖ちゃんは分かってるね!流石は女王様。」

 

 

有栖ちゃんが私のフォローに入ってくれた事で、今後私が喋っても問題ない状況に変化した為、私は今回の試験について各々がやるべき事を完結に纏めた。

 

 

「まず、今回の試験において重要な事は二つ。一つ目は優待者、二つ目は結果だね。」

 

 

「結果?」

 

 

石崎が結果というワードに首を傾げており、今回の試験についての理解が深められていない様だ。

 

 

「そうだよ。各クラスで色々望む物は違うかもしれない。クラスポイントが欲しいクラス、プライベートポイントが欲しいクラス、他クラスを陥れたいクラス…様々な希望を皆持っていると思う。そしてそれらを叶える為にどの結果を望むのか。望む結果によって行動は変わってくるからね。」

 

 

一応簡単に解説してみたが、石崎はイマイチイメージが湧かないらしい。

 

 

「例えば…Cクラスが手っ取り早くプライベートポイントだけを増やしたい場合、結果1 or結果2を目指す事になるよね。その場合取れる手段ってのは優待者を見つけて解答するor優待者を見つけて各クラスを脅し契約を結ばせて結果1にするかの2つ。2であれば解答するだけで良いけど、1を目指すのであれば全クラスに呼びかけなくちゃいけない。」

 

 

石崎はハッとした様に頷く。

どうやら御理解頂けたらしい。

 

 

「…なるほど、そういう事か。ってか、そんな事教えても良いのか?俺らが今お前が言った事をしてきたらどうするんだよ?」

 

 

「んー?別にどうもしないけど。それくらいの事はどのクラスでも思い付いてるはずだよ。」

 

 

まあ、契約が思い付くかと言われたら、一般的な善人の巣窟であるBクラスには無理かもしれない。

だが、呼び掛けるという事くらいは考えているはずだ。

 

 

Bクラスは平和主義であり、一之瀬であれば皆で結果1を目指すという意見に反対はしなさそうなイメージがある。

 

 

「まあ、前提として優待者を見付ける事は必須だからね。その方法を考えたり、結果1を目指したいのな、声を掛けたり、まあそう言う事をする時間なんじゃないかな。別に無理して話し合う必要は無いからね。」

 

 

「確かにそうだね。考え無しに話すのも良くないかも。」

 

 

やっぱり松下はよく考えているらしい。

Dクラスの生徒とは思えない慎重さだ。

 

 

ちょっとサービスしすぎたのかもしれない。

真田が私の方を睨んでいる。

 

 

「…」

 

 

「…」

 

 

私が話終わると沈黙が続いた。

誰も何も話さない為、みんな暇そうにしている。

 

 

「…暇だね。」

 

 

そう呟くが誰も反応しない。

 

 

うーん、なんなんだろうねこのグループ!

みんなロボットみたいに微動だにしない。

 

 

あ、石崎は寝てるんだね。

だから返事が無かったんだ。

 

 

「有栖ちゃん、暇だしクイズでも出し合わない?」

 

 

「いいですよ。真田君と矢野さんも一緒に行いませんか?」

 

 

「私はしない。」

 

 

矢野は葛城派だからそこまでは流石にしないらしい。

私の会話を認めてくれただけでもかなりのレアケースだったのだ、仕方あるまい。

 

 

「…まあ、試験に関係ない話であれば問題無いでしょう。」

 

 

そして私と有栖ちゃんと真田君で問題を出し合う事になった。

 

 

「じゃあ私からね。」

 

 

私は携帯を開き画面に表示された問題を読み上げる。

 

 

「問題!

ある学校の窓ガラスを誰かが割った!容疑者として4人の生徒に一人づつ順番に話を聞いてみた。

一人目(A)「やったのは私じゃありません」

二人目(B)「Aは本当のことを言っています」

三人目(C)「Dはウソをついている」

四人目(D)「私は絶対にやってない」

この中で、おかしなことを言っている者が犯人なのだが、それは誰?」

 

 

「ふむ、簡単な問題ですね。真田君に答えてもらいましょうか。」

 

 

坂柳は問題を聞いた瞬間答えがわかった様で、敢えて真田に答えさせる事にしたらしい。

 

 

「少し待ってください。」

 

 

真田は脳内で情報整理をしているのか黙り込んでしまった。

約20秒が経過した頃、真田は口を開いた。

 

 

「答えはCです。この問題文には順番に話を聞いたと書かれている。順番に一人ずつ発言をしたのであれば、Dより先に事情聴取を行われたCがDの嘘を見抜く事は不可能だ。矛盾しているのでCが犯人です。」

 

 

この短時間で完璧に情報整理をしたらしい。

 

 

「うんうん♪パーフェクトだよ。有栖ちゃんの答えもCだよね?」

 

 

「ええ。」

 

 

簡単すぎた問題だったかもしれないが、ウォーミングアップには丁度良いだろう。

次に有栖ちゃんが出題者役をしてくれるらしい。

 

 

「問題です。

世界で核戦争が起きました。人類は死滅したかに思えましたが、滅んではいませんでした。

世界で、たった一人生き残った男、名前をジョージ。

ジョージは、廃墟となったマンションの一室で打ちひしがれていました。

そこに、コンコン!ノックの音、そして人の声がする。

一体、なぜ?」

 

 

ふむふむ、問題文をもう一度読んでみようか。

滅んだと思った滅んでなくて、たった一人生き残った男がジョージ。

 

 

「はいはーい!答えは女性がまだ生きてたから!ってのはどうよ?」

 

 

「お見事です。問題文には最後の男と書いてあるだけで、女性の生死については書かれていません。つまり、ノックをしたのは女性が生き残っていたから、という事になります。」

 

 

有栖ちゃんの解説を聞いて真田と矢野も「なるほど」と納得したみたいだ。

というか矢野は問題が気になって若干そわそわしだした。

 

 

「矢野さんもクイズ一緒にやろうよ。」

 

 

「…ちょっとだけなら。」

 

 

許可貰ったので一緒に遊びましょう。

 

 

「じゃあ次の問題を出すよ。」

 

 

そう言って真田が問題文を読み上げる。

 

 

「問題。

双子のA君とB君がいます。

2人の歩くスピードは一緒です。

1階からスタートしてA君は3階、B君は地下3階へ歩いて向かいました。

A君とB君、どちらが先に到着したでしょうか? 」

 

 

A君が2階に上がった時B君は地下1階、A君が3階に上がった時B君は地下2階。

 

 

「はいはーい!答えはA君!何故なら2人の条件がそもそも公平じゃないから、有利なA君の方が先に3階に着いてしまう。」

 

 

この問題はよく考えれば誰でも分かるレベルだ。

 

 

「正解です。」

 

 

「ふむ…私も問題を聞いてすぐにわかりましたが、水無瀬さんは頭の回転が速いのですね。」

 

 

「あはは、そうかな?褒めて貰えると嬉しいなぁ。」

 

 

その後、矢野がいつの間に問題探していたのか、急に問題文を読み上げ始めた。

何も言わずに問題文を読み上げられて少し面食らってしまったが、冷静に考えなくてはならない。

 

 

デスゲームで冷静さを欠く者はすぐに死んでしまうからね♪

 

 

「問題です。

リンゴ・ミカン・バナナを積んだトラックが急カーブで何かを落としていきました。

何を落としたでしょうか?」

 

 

落とした物を当てる問題だ。

ギャグや言葉遊びとして考えた場合、キューカーブっぽいのは胡瓜とか?

 

 

でもスッキリしないし、これじゃあないよね。

色々思考を巡らせていると、真田が口を開いた。

 

 

「…もしかして、スピードかな?」

 

 

「正解。」

 

 

なるほど。

確かにカーブに差し掛かる時は必ずスピードを落とさないと事故に繋がりかねない。

 

 

そういう事かぁ。

うん、今の問題はちょっと面白かったね。

 

 

「なるほどね!スピードかぁ。真田君頭良いね。」

 

 

「君だって勉学は得意でしょう。」

 

 

まあね♪

私はそれなりに頭が良いけど、頭を柔らかくして考える問題は苦手なんだよなぁ。

 

 

クイズやなぞなぞは嫌いじゃないけど、得意ではない。

日本に帰ってきてからようやく慣れてきたが、まだまだ回答まで時間がかかってしまうのだ。

 

 

その後試験が終わるまで私達は互いに問題を出し合った。

順番は私→有栖ちゃん→真田→矢野でこれを繰り返していく。

 

 

Aクラスの異様な光景に他クラスの生徒達は訝しげな顔をしていたが、誰もツッコミを入れる事は無かった。

そして出題者が私まで戻ってきた時、試験終了の放送が鳴った。

 

 

『試験一日目、第一回目のディスカッションタイムを終了します。』

 

 

「おっし!これで飯が食えるぜ!」

 

 

石崎達Cクラスが一番始めに会議室の出口へと向かった。

しかしその時、予想外の事態が発生した。

 

 

『巳グループの試験が終了しました。』

 

 

『申グループの試験が終了しました。』

 

 

『酉グループの試験が終了しました。』

 

 

「な、なんだと?!」

 

 

「嘘でしょ…もう誰か動いたの?」

 

 

網倉と神崎が驚いた様子で一之瀬に連絡を入れる。

 

 

「ま、マジかよ…やべぇぞ!」

 

 

石崎が野村達と一緒に慌てた様子で会議室から出て行った。

 

 

Dクラスの生徒はいきなり事態が動いた事を理解しているのか居ないのか分からないが、何も言わずにこの部屋から去って行った。

 

 

「…ふふふ、そういう事ですか。」

 

 

「ん?有栖ちゃんはこの状況について何か分かったのかな?」

 

 

「…ええ。面白くなって来ましたね。葛城君の反応が気になります。」

 

 

「…坂柳がそう言うのであれば、事態はそこまで深刻では無いんだな。なら俺は帰らせて貰うぞ。」

 

 

「私も先に帰るわ。」

 

 

有栖ちゃんの言葉を皮切りに真田と矢野は真顔で部屋から出て行った。

ここに残ってもする事が無いため、私も部屋に戻ろうと会議室の扉へ向かって歩き出す。

 

 

「…さやかさん、貴方はこの試験の法則について気付いているのではありませんか?」

 

 

この試験の法則、か。

それを見付けるのは葛城の仕事であって私の仕事ではない。

 

 

勿論法則が分かれば皆にも共有するが、分からなければ教えられない。

そして情報は自クラスの優待者のみだ。

 

 

まだ優待者の法則は分からない。

 

 

「…うーん、まだ思い付いていないかな。」

 

 

「そう、ですか。分かりました。もう行って頂いて結構ですよ。」

 

 

彼女は私が優待者を当てて、他クラスクラスの優待者をクラスの誰かに回答させたと思ったのだろうか?

しかし残念ながら私は他クラスの優待者は分かっていないのだ。

 

 

有栖ちゃんなら分かっていたりするのかな?

 

 

私は有栖ちゃんに手を振りながら会議室を出た。

個室に戻ると美紀ちゃんが真っ青な顔で床に座り込んでいた。

 

 

「…どうしよう…私がバレた?」

 

 

「美紀ちゃん、ただいま。」

 

 

「あ、おかえり…ねぇさやかちゃん、どうしたら良い?私のグループの試験が終わっちゃったの。誰かに優待者だって事がバレちゃったのかな?」

 

 

大分参ってしまっているみたいだ。

 

 

思えば美紀ちゃんは無人島試験でもリーダーを務め、常にきを張り巡らせて生活をしていた。

そして今回の試験では酉グループの優待者に選ばれ、バレない様に気を付けて居たはず。

 

 

それなのにこの放送が流れて、優待者がバレたかどうか試験終了後の結果発表まで分からなくなってしまった。

美紀ちゃんの試験が終わったとはいえ、暗い顔をしていれば美紀ちゃんが優待者だったとバレてしまい、他のクラスに情報を与える事になってしまう。

 

 

ここは少しでもストレスを和らげ、何時もの無表情に戻ってもらいたい。

普段の表情であればポーカーフェイスとして十分通用するはずだ。

 

 

「…美紀ちゃん、まだ試験は終わってないんだよ。」

 

 

「でも「大丈夫、大丈夫!」…え。」

 

 

この状況に慌てる気持ちは分からなくも無いが、今は冷静になるべきだ。

 

 

「私が何とかしてAクラスを勝たせるから安心してよ。こればっかりは美紀ちゃんのせいでもなんでも無いから。…美紀ちゃんには今後優待者だって事を悟らせない様にいつも通り生活して欲しいんだ。どこかのクラスに当てられたとしても、他のクラスが優待者の法則に気付く事は避けたいからさ。」

 

 

このままでは二次災害に繋がりかねないので、少しでも対策を施す必要がある。

 

 

「…分かった。普段通りに出来るように努力するね。」

 

 

立ち直れてはいないが、少しは冷静さを取り戻してくれたみたいだ。

美紀ちゃんは結構小心者なところがあるからたまに心配になってしまう。

 

 

「うん、ありがとう。もし他クラスについて何か分かれば教えて。後試験中の自由時間は出来るだけ優待者の法則について考えて欲しいんだ。どうも私はこの手の問題が苦手みたいで。」

 

 

「分かったよ。ちょっと考えてみる。」

 

 

その後分かっている優待者の情報や優待者を探す上での前提条件について話し、ノートに纏めていく。

 

 

「こんなところかな。今分かってる情報だけだと心許ないし、他クラスの情報が貰えないか交渉してみるね。」

 

 

「分かった。」

 

 

交渉するにしても、まだ早い。

さすがに初日に全ての手を使うのはやり過ぎだ。

 

 

これは最後の手として残しておいた方が良いな。

ポイントを使った交渉になる可能性が高い為、出来るだけ後の方が良さそうだ。

 

 

それまでに法則を見つけなくてはならない。

 

 

余計な出費はしたくないからね♪

 

 

この日の夕方にもう一度ディスカッションタイムが設けられたが、解答を行った者はおらず、何も起こらなかった。

どうやら他クラスも優待者に確信を持っている訳では無い様だ。

水瀬さやかは天才?秀才?凡人?

  • 天才(坂柳・堀北学クラス)
  • 天才(綾小路・高円寺クラス)
  • 秀才(葛城・一之瀬クラス)
  • 秀才(櫛田・平田クラス)
  • 知恵の回る狂人(龍園クラス)
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