ようこそ!デスゲーマーのいる教室へ!   作:橘諸兄

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3話目です。
主人公はちょっと運が良いそこそこ有能な女の子です。
デスゲーマーと言えど、年相応に人間らしい反応や発言もする普通の高校生だったりします。
感想や高評価貰えると喜びます!


デスゲーム会場はこちらですか?いいえ、今から入学式ですよ。早く準備してください。

 

 

自己紹介が一通り終わり入学式までの間、暇になってしまった。

皆は自己紹介を基に趣味の合う人や同じ部活だった人と仲良くなろうと談笑を始めている。

 

 

私と仲良くしてくれそうな子も何人かいたが、私は彼女達との雑談をそこそこに教室を出た。

3年生の教室は1階だったな。

 

 

新入生が3年生の廊下を歩いていると非常に目立つ。

しかし、ここに入学したのだから挨拶をしておかなければならない。

 

 

「おや?見ない顔だね。...君は新入生の子かな?誰か探してるのかい?」

 

 

お目当ての人を見つけられず彷徨っていると、親切な先輩が声を掛けてくれた。

 

 

「はい。私は1年Aクラスの水無瀬さやかと申します。実は橘茜さんを探しているのですが、クラスが分からずに困っていました。もしご存知であれば、彼女のクラスを教えていただけませんか?」

 

 

礼儀正しく後輩らしい表情で眉を下げてお願いすれば、先輩はこころよく快く教えてくれた。

 

 

「ご丁寧にどうも。私は3年Aクラスの皇麗子だよ。茜ちゃんと同じクラスなの。この時間なら教室にいるはずだから一緒に行きましょうか。」

 

 

「分かりました。」

 

 

皇先輩の後を着いて行くと3ーAと書かれた表札が見えた。

Aクラスの配置は1年生と同じで、廊下の一番奥らしい。

 

 

「茜ちゃーん!茜ちゃんのお友達が来てるわよ。」

 

 

皇先輩の声は大きくよく響く。

声優業や車掌さん、ラジオ局なんかのお仕事が向いてそうだなあ。

 

 

「麗子ちゃん、もう少しボリュームを落としてください。...って、さやかちゃんじゃないですか!もう日本に帰って来ていたんですね?って、どうしてこの学校に?!」

 

 

あわあわとしながらも私の入学を喜んでくれているみたいだ。

 

 

「お久しぶりです、茜お姉さん。茜お姉さんを追いかけてこの学校まで来ちゃいました。これから宜しくお願いします。」

 

 

「も、ももも勿論です。困った事があれば何でも言ってくださいね?なるべく力になれる様頑張ります。」

 

 

フフンと鼻を鳴らして先輩らしく振る舞う様は愛らしく、相変わらず身長は低いままだった。

 

 

「茜ちゃんったら、先輩ぶっちゃって!」

 

 

「先輩ぶってないですし、そもそも私はさやかちゃんの先輩ですよ?!」

 

 

皇先輩の挑発に乗って頬を膨らませながら怒る姿はまさにリスだ。

茜お姉さんはリス系女子かもしれない。

 

 

めっちゃ可愛い。

 

 

「そういえば、さやかちゃん。生徒手帳はお持ちですか?」

 

 

「はい、持ってますよ。」

 

 

「折角会いに来てくれたんですし、この学校ではポイントで何でも買う事が出来ます。しかし、新入生の内は何かと苦労するでしょう。ですから、少ないですが入学祝いとしてポイントを贈らせてください。」

 

 

まさかの申し出に驚いたが、貰える物は貰っておきたい。

だが、まずはワンクッション挟んでおくべきだろう。

 

 

「そ、そんな!大丈夫ですよ。お気持ちだけで十分です。」

 

 

まずは謙遜の姿勢を見せる。

日本人らしい姿を見せる事で、良識・礼儀を持つ人間なのだと認識させ、相手からの信頼を得る事ができるはず。

 

 

「いえ、これは先輩として、さやかちゃんのお姉さんとして譲れません。」

 

 

「そ、そんなぁ...。」

 

 

「観念して、生徒手帳を貸してください。」

 

 

「わ、分かりました。」

 

 

生徒手帳を渡すと、茜お姉さんは生徒手帳を慣れた手つきで自身の端末を使って認証した。

 

 

「これで互いの連絡先が簡単に交換出来ます。そしてこのチャット機能を使って、このその他と書かれたコマンドを押すと...ポイントの贈与という項目があるので、ここを押します。これで相手を選択して、送る金額を入力してOKボタンをスワイプすると...」

 

 

ピロリン♪と私の携帯から着信音が鳴る。

すぐさま開いて確認すると、50万ポイントが振り込まれ、私の所持金は60万ポイントになっていた。

 

 

「...こ、こんなに貰ってしまっても良いのでしょうか?」

 

 

「おお、茜ちゃん太っ腹だねー!!」

 

 

「これくらい貯金をすればすぐ貯まりますからね。それに、さやかちゃんならこのポイントを有効活用してくれる、そんな気がするんです。」

 

 

随分信頼されている様だが、こんな大金持たされても使い道がほとんどない。

有効活用って、全部募金すれば良いのか?

 

 

そういえば世界教育基金って、一部の募金額がデスゲーム運営費として使われてるってマフィアの構成員が言ってたな。

そこに募金すれば、もっと面白いゲームを考えてくれるかもしれない。

 

 

待てよ...

運営費、運営費か。

 

 

もっとお金を集めて、ゲーム大会を開けば良いんだ。

流石に校内で死人が出たら1発OUT、お縄になってしまうから、ペナルティを軽くして賞金を賭けたゲームを行わせれば良い。

 

 

今までは参加者だったけど、これからは運営として参加者の阿鼻叫喚する顔を拝むのも悪くないかも。

うーん、でもゲーム内容が思い付かないなぁ。

 

 

まあ、ゲームなんてなんでも良いよね。

でもこういうのも面白そう♪

 

 

「...有難く頂戴します。茜お姉さん、有難うございます!私(最高のゲームを運営出来る様に)頑張ります!」

 

 

「はい、頑張ってください。この学校では辛い事もあるでしょうが、きっとさやかちゃんなら乗り越えられますよ。」

 

 

純粋で天使みたいな茜お姉さんの期待に応えるためにも頑張らないとね。

 

 

「ふうん、茜ちゃんがそこまで言うって事は相当優秀なんだろうね。...さやかちゃん、生徒手帳貸して♡」

 

 

「え」

 

 

私が返事をするよりも早く生徒手帳を奪い、茜お姉さんと同じように端末にかざす。

そして素早く端末を操作し、またピロリン♪と着信音が鳴った。

 

 

「あ、あの...」

 

 

流石にちょっと非常識じゃないか、と思ってしまったが、この学校は案外こういう変わり者もいるのかもしれない。

 

 

ニンマリと笑う皇先輩に向かって白旗を上げ、ついに私は端末を確認した。

 

 

「...えええ?!100万ポイント?!」

 

 

レディらしからぬ野太い声で叫び、Aクラスの先輩方が訝しげな顔で振り返る。

 

 

「す、すみません。」

 

 

慌てて頭を下げるが、訳が分からない。

私は端末を確認した時、160万ポイントという表示が見えた。

 

 

まず入学初日に貰った10万、そして茜お姉さんからの祝い金である50万。

そして...今日初めて会った皇先輩から100万ポイントを貰ってしまった。

 

 

「100万ポイントを振り込んだから、せいぜい頑張って足掻くといいよ。といっても、君はこの学校の中でもかなり優秀、やり手な子だと見受けられる。これからが楽しみだねぇ。」

 

 

「ひゃ、100万ポイント?!麗子ちゃん、せっかく私が先輩としての器を見せたのに、そんなの酷いです!」

 

 

「あはは、茜ちゃんやっぱり先輩ぶってるだけじゃなイカ。」

 

 

珍味なやり取りに頭が困惑している。

だがこの皇という女性、私が打算的な発言をしていた事を見抜いている。

 

 

『やり手な子』という言葉を使っている時点で、そう考えるべきだ。

かなり頭がキレるタイプらしい。

 

 

今後警戒しておいた方が良さそうだな。

 

 

「あ、あり、ありがとうございます、皇先輩。」

 

 

しかし、このまま新入生である私がここにいては何かと目立つ。

そろそろ入学式もあるし、ここを去るべきだな。

 

 

「皇先輩、茜お姉さん、本当にありがとうございます。私、この学校で(楽しいゲームが出来る様に)頑張ります。」

 

 

「はい!期待していますよ、さやかちゃん。」

 

 

「孤高のAクラスとして、頑張ると良いよ。水無瀬さやか。」

 

 

2人に背を向け、体育館へ続く通路へと向かう事にした。

 

 

「あ、さやかちゃんこっちだよ。」

 

 

「美紀ちゃん!もう来てたんだね。」

 

 

美紀ちゃんと目が合い、Aクラスの列に向かって進む。

席は自由だったので、私は迷わず美紀ちゃんのとなりに腰を下ろした。

 

 

「始まるまでまだ少し時間があるね。そういえば他のクラスはまだ来てないのかな?」

 

 

「...来る前に他のクラスの様子を少し見てきたけど、Bクラスはクラス内では自己紹介をしてた1人目立つ女の子がいて、その子が仕切ってたよ。Cクラスは殴り合いの喧嘩をしてて、Dクラスは女子はもうグループが出来てて、教室内でネイルしたり、ゲームしたり、大声で叫んだり、不良っぽい男子生徒が自己紹介の雰囲気を壊したりしてたよ。」

 

 

美紀ちゃんの話から、この学校のクラス組み分けの仕方が分かった。

 

 

まずAクラスは真面目な生徒が多く、多くの生徒が生徒会や委員会の役員経験者だった。

この事から総合的に優秀な生徒が集まっていると推測出来る。

 

 

次にBクラスは1人の女子生徒が仕切っていたという発言から、その子を中心にクラス全体で交流会を行っている、という事だろう。

協調性・纏まりのあるクラスであり、世間一般的な高校生のイメージに最も近いクラスだろう。

 

 

そしてCクラスだが、殴り合いの喧嘩をしているという点から治安の悪い、不良の多そうなクラスだと考えられる。

協調性が無く、我の強い生徒が集まっているのだろう。

 

 

最後にDクラスだが、教室内でネイル、ゲーム、大声で叫ぶ、不良が雰囲気を壊す、自己紹介をするって全部のクラスの集大成みたいだな。

一言で表せば無法地帯、何となくだけど、1年生の中で最も生徒の質が悪そうなクラスだと思う。

 

 

「なるほどね。なんかどのクラスも特徴的だけど、私はAクラスで良かった気がするよ。」

 

 

私の言葉に美紀ちゃんもウンウンと頷き同意した。

あんな騒がしいクラスで生活なんて、か弱い私には出来ないめぅ。

 

 

「そういえば、さやかちゃんが出て行った後Dクラスの櫛田桔梗ちゃんって女子生徒が全員と友達になりたいから連絡先を交換して欲しいってやって来たよ。いない人には連絡先を教えて欲しいって言われたんだ。さやかちゃんさえ良ければ、桔梗ちゃんの連絡先をチャットで送っても良いかな?」

 

 

櫛田桔梗ちゃん、ね。

入学して早々、他クラスの友人を作ろうとしているみたいだし、コミニュケーションが得意な人なんだろうなぁ。

 

 

少し考える素振りをしてから私は「いいよー」と返した。

櫛田の性格や成績にもよるが、面白い子なら今後の学校生活を彩る花になってくれるはず。

 

 

桔梗の花は控えめで清楚なイメージだ。

そしてその見た目の通り、花言葉には「変わらぬ愛」「清楚」「誠実」「気品」といった言葉がある。

 

 

名前の通りの人であったなら期待外れも良いとこだが、ピンクの桔梗には「幸薄」という花言葉がある。

これはとある夫婦の悲恋を示したもので、誠実さの象徴でもある美しい言葉だが、自己犠牲により身の潔白を証明する様は切なく悲しい物語なのだ。

 

 

この言葉の様に真なる誠実さを持っていたら、それはそれで美しい美談となる。

 

 

逆に桔梗の花と正反対の不誠実な性格でも面白いと思う。

2面性のあるヒロインってギャップ萌え?で人気が高いらしいし、デスゲームの中で裏切って最終的に死ぬタイプだよね?

 

 

面白くない訳がないよ。

絶対人気出るタイプのキャラだよ。

 

 

そういう清々しいクズキャラが好きな私としてはむしろ大歓迎。

最後に首を落としてあげたくなる程度には好きだよ。

 

 

妄想をしながら、美紀ちゃんと会話を続けていると、チラホラと他クラスの生徒がやって来た。

 

 

「あ、あの子が櫛田ちゃんだよ。」

 

 

美紀ちゃんの視線の先を目で追うと、可愛らしいショートボブヘアーの少女がみーちゃんと一緒に話しながら体育館に入ってきた。

みーちゃんのお友達なら、優等生タイプなのかもしれないな。

 

 

「可愛い子だね。なんか、DクラスよりBクラスに居そうなタイプって感じがする。」

 

 

「...確かにそうだね。友達も多そうだし、誠実で真面目な優等生って感じがする、かな。」

 

 

 

その後全生徒が揃ったタイミングで、式が始まった。

入学式が行われ、校長・来賓の話、国家斉唱、生徒会長の話が行われ、残すは新入生代表の言葉のみとなった。

 

 

こういうのって、基本入学試験をトップで通過した人が話すんだよね。

何となく、真面目な人が多そうなAクラスの生徒から選ばれていそうだなあ。

 

 

坂柳さんや葛城君はそういうの好きそうだよね。

 

 

「では最後に、新入生代表 Aクラス水無瀬さやかさん、挨拶をお願いします。」

 

 

は?

意味分かんないんだけど?!アドリブで話せって言うの?!

 

 

この学校鬼畜すぎ、想定の斜め上を行き過ぎ、そういう無茶振りは求めて無ぇんだよ。

もっと欲望渦巻く、疑心暗鬼でどす黒くて、非人道的で刺激的な催しを求めてるんだわ。

 

 

真面目な優等生ちゃんが好きそうな挨拶なんて興味無いんだわ。

なんでこんな無茶振り言うんだよ、新入生代表の挨拶なんてした事ないし、何言えばいいんだよ!チクショウ!

 

 

「さやかちゃん、凄いね。」

 

 

美紀ちゃん、凄いねじゃないんだって。

こんなの知らないし、聞いてないよ。

 

 

ひとまずこのまま何もしない訳には行かない。

私は言われた通り、前に出て壇上に上がった。

 

 

全ての生徒の顔が良く見える。

眠そうに欠伸をする者、爆睡してる鶏みたいな髪型の不良、ぺちゃくちゃと喋っている女子生徒、携帯をいじる者、真面目に私を見ている者。

 

 

こんな間抜けな生徒達に「今からデスゲームをしまーす!」なんて言ったらどんな反応をするんだろう。

面白そうだけど、こんなところで学校生活を終わらせる訳には行かない。

 

 

ここは適当に言うしかなさそうだ。

 

 

「春の暖かな日差しに包まれて、私達160名は東京都高度育成高等学校に入学致しました。素晴らしい卒業生の先輩方、名だたる教師陣の皆様、そしてこの学校を支えて下さる来賓の皆様、本日はお忙しい中式典に御参加して頂き誠にありがとうございます。実力主義を掲げるこの学校で私達は様々なものを取り捨て選択し、生きていく事になるでしょう。本当に大切な物がなんなのか、そして何が必要なのか、常に考えを巡らせ、この国を背負う人材となれるよう精進して参る所存です。素晴らしい学友と語らい、時に衝突し、時に慰め合って精神的にも肉体的にも大きく成長し、3年後の3月、笑って卒業出来る事を目標に努力する事を誓います。 新入生代表、水無瀬さやか。」

 

 

一礼し、壇上から降りる。

そして校長、来賓席、生徒会長に礼をし、元いた席に着席した。

 

 

正直何を言いたいのかよく分からないが、まあ白けてないし大丈夫だろ。

為せば成る、何とかなる。

 

 

まあ、なんでも良いけど、急に代表に据えないでくださいます?

私だって人間なんですけど?

水無瀬さやかの恋愛描写を入れても良いですか?

  • いいよ♡
  • ダ〜メ♡
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