ようこそ!デスゲーマーのいる教室へ!   作:橘諸兄

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4話目です。
お気に入り・高評価ありがとうございます!
高評価や感想、これからもお待ちしております。
ちょっと狂った女の子って可愛いですよね。


この包丁切れ味が良さそうですね。人の胴だってスパンと切れちゃいそう...冗談ですよ?こんな安物で切れる訳無いでしょう?もっと頭使いましょうよ。

 

 

入学式は無事終了し、私は美紀ちゃんと一緒に買い物をする事にした。

道中有栖ちゃんと出会ったので、一緒に行く事にした。

 

 

「...さやかさんは、この学校についてどう思われますか?」

 

 

「ちょっとおかしいと思うよ。まず葛城君の質問で毎月支給される額が固定されてない事が分かった。そして有栖ちゃんの質問で、ポイントの重要性が分かって、最後に私の質問でいじめが起こっても被害者の希望で他クラスに移動出来ない事が分かった。普通いじめが起きたら、クラス移動の権利くらい貰えるはずなんだけどね。おかしいよね。」

 

 

「...そうですね。私も同じ事を考えておりました。」

 

 

有栖ちゃんが同意してくれるのなら、きっと私の持った不信感・疑問こそがこの学校の真実を暴く上で重要な根拠となるはず。

 

 

「...私達の評価が下がれば、支給額も減る。評価が上がれば増えるって事なのかな。」

 

 

「山村さんの認識で間違いないでしょう。この異常な数の監視カメラが答えですよ。」

 

 

常に生徒の評価を確認するため、至るところに監視カメラが設置されているって考え方なのかな。

まあ、私も有栖ちゃんの意見には同意だし、やっぱこの学校デスゲームっぽいよね。

 

 

退学になったらゲームオーバー、死んじゃったりして?

なぁーんてね♪

 

 

そういえば、有栖ちゃん何処か目的のお店があったりするのかな?

一応確認しておかないとね。

 

 

「私と美紀ちゃんはモールを回りながら、楽器屋に行こうと思ってたんだ。有栖ちゃんはどこか見たい所や目的の物があったりするかな?」

 

 

「そうですねぇ...家具や洋服は足りていますので、日用品を買いたいと思っています。」

 

 

日用品であれば、女性向けの生活雑貨のお店が2階にあったな。

楽器屋も2回だし、ぐるぐる回りながら行けば良いだろう。

 

 

「おっけー!私もティッシュとかトイレットペーパーを買いたいし、ぐるっと回って行こっか。」

 

 

「そうですね。」

 

 

「...うん」

 

 

有栖ちゃん達と服を見たり、雑貨屋に入ったり、楽しくお店を見ながら2階に到着した。

 

 

「お2人は何か、楽器を習われていたんですか?」

 

 

「うん、私はピアノをやってたよ。一応コンクールでも賞を獲る程度には真面目にやってたかな。」

 

 

「...私も、ピアノを少し。」

 

 

「ほう。私は脚が不自由なので、ピアノを弾いた事がありません。ですから少々羨ましいですね。」

 

 

「ペダルを使うから、って事かぁ。ペダルを使わない曲は幼児向けのものなら沢山あるけど、レベルが上がるとほとんど毎曲必要になるからね。」

 

 

「そうだね...。」

 

 

「ええ、ですから私も出来る事ならピアノを弾いてみたかったです。」

 

 

強気な有栖ちゃんからは想像も出来ないほど弱々しい姿を見せられ少し動揺してしまう。

 

 

「うーん、何か良い案が浮かべば良かったんだけど、何も思いつかないや。」

 

 

「何かをして欲しい訳では無いのです。ですが、そのお気持ちが本当であれば...さやかさん、ピアノを弾いて頂けませんか?」

 

 

「ピアノを?勿論良いよ。といっても弾ける曲であれば、だけどね。」

 

 

ここで視聴料も貰うよ、なんて言えない。

いつもなら冗談交じりで言うところだが、今回は有栖ちゃんの悲しみに触れてしまったため、お巫山戯は無しだ。

 

 

「何か弾いて欲しい曲はあるかな?」

 

 

赤子に向ける様な優しさを有栖ちゃんに向ければ、彼女は少し恥ずかしそうにこう言った。

 

 

「クライスラーのラフマニノフ編曲、愛の悲しみを弾いて頂けませんか?」

 

 

「勿論その曲は知ってるけど、私は弾いた事が無いんだよね。楽譜も持っていないの。」

 

 

「そうでしたか...」

 

 

有栖はあからさまに肩を落とし、残念そうにしている。

 

 

別に弾かないって言った訳じゃ無いのになぁ。

私はまだ断っていないんだよ、有栖ちゃん。

 

 

「待って、まだ弾かないなんて行ってないよ。...すみませーん!ウィーン古典舞曲集のピアノ用の楽譜ってありますか?」

 

 

「はい、少々お待ち下さい。」

 

 

「え」

 

 

呆けた顔の有栖ちゃんは面白いし可愛いけど、そのまま間抜け面を晒すのは可哀想だからね、そろそろ揶揄うのは辞めておこうか。

 

 

「私が楽譜を買って練習するから、私の演奏を楽しみにしてて。その代わり、今から私の得意曲を披露するわ。」

 

 

そう言い私は近くにあった電子ピアノの鍵盤の上に両手を置いた。

 

 

ベートーヴェン、ピアノソナタ、月光第一楽章。

 

 

初心者向けのゆったりした曲で、音量を調節しながら滑らかに弾く必要がある。

簡単だが、表現力が求められる曲だ。

 

 

別に私だって、ベートーヴェンの他のソナタ作品やショパンのエチュード作品集は弾けるよ?

でも、ここでそれをひけらかすのはちょっと気が引けるというか、弱者みたいじゃない。

 

 

私は別にピアノの腕を自慢したい訳じゃない、美しいピアノの旋律を友人に聴いて欲しいだけ。

美しい映像を思い浮かべて心安らいで欲しいだけなんだからね。

 

 

一定のリズムで演奏を続けた。

弾けば弾くほどピアノの音以外の全てが耳から消えた。

 

 

まるでこの世には私1人しか存在しないみたいだ。

たまに色が消えるとか、世界から音が消えた、とかそういうの聞くけど、本気でやり込んでるからこそ起きる現象だよね。

 

 

スポーツ選手がゾーンに入ったりするアレに近い現象が起きてるんだよ。

 

 

「ふう、どうだった?」

 

 

「...凄い。月が見えたの。」

 

 

美紀ちゃんには私の思い描く月が見えていた様で何よりだ。

 

 

私だってまだまだピアノ初心者といってもいいレベルの人間だ。

でも、演奏は全力で表現者として行ってきており、この演奏を認めて貰える事は何より嬉しかった。

 

 

それこそ、デスゲームで初めて優勝した時と同じくらい嬉しい。

 

 

「有栖ちゃんはどうだったかな?」

 

 

彼女の為に弾いたのだから、感想を言って欲しい。

 

 

「...湖に浮かぶ月の光、そしてその湖をかき分け進む小さな小舟が見えました。水面の輝き、穏やかな風、そして静かな夜が私を包んでくれた。」

 

 

確かこの曲の愛称の由来が評論家のそんな表現にちなんだものだった気がする。

そこまで表現出来ているとは言えないし、有栖ちゃんがこの曲について知っていたからこの感想が出たのかもしれない。

 

 

だけど、この曲に対する深い理解の出来た演奏だとしたらこんなに嬉しい事はない。

 

 

「そう言って貰えて嬉しいよ。」

 

 

「お客様、楽譜が見つかりました。料金は990ポイントになります。」

 

 

有栖ちゃんの感想の直後、店員が慌てた様子で楽譜を持ってやって来た。

 

 

「分かりました。その楽譜、購入さ「私がお支払いします。」え、ちょ!」

 

 

有栖ちゃんはそう言って楽譜を受け取りレジに向かって歩いて行った。

 

 

「...え、これどうしたら良いの?」

 

 

「...大人しく受け取れば良いんじゃないかな。後ついでに愛の喜びも弾いて欲しかったりします。」

 

 

「それは全然構わないよ。」

 

 

暫くすると有栖ちゃんが楽譜の入ったビニール袋を持って戻ってきた。

 

 

「さやかさん、受け取って下さい。」

 

 

「...うーん、色々ツッコミたいけど、ありがとう。この曲で私なりの演奏が出来る様に努力するよ。」

 

 

そう言えば有栖は目を細めてはにかんだ。

その後、私達は日用品を買ってスイーツを食べてから寮に戻った。

 

 

「今日はありがとう。凄く楽しかったよ。また明日ね!」

 

 

「...あ、ありがとう。また明日ね。」

 

 

「お二人とも、今日はありがとうございました。荷物まで持って頂いて、本当に助かりました。」

 

 

二人と別れ自室に向かう。

自室のロック解除も生徒手帳を使って行えるみたいだ。

 

 

室内に入ると実家から持ってきたベッドや机、テーブルやタンスは既に設置されていた。

入学前に寮の見取り図が届くので、配置等を書き込めば業者がその通りに設置してくれるのだ。

 

 

洋服や小さなインテリア、化粧品や本といった小物類は全てダンボールにまとめられていた。

荷物の整理をしていたが、本屋楽譜の量が多いため備え付けの本棚だけでは足りない様だ。

 

 

新しい本棚を買う必要があるが、暫くの間はダンボールに入れておこう。

学生寮とはいえ、狭すぎるんだよねー、向こうの寮はもっと広かったのにさ。

 

 

買ってきたフライパンや鍋等をキッチンに仕舞いっていく。

 

 

そういえばこの包丁、柄の部分が軽くて持ちやすいから殺し合いに向いてそうなんだよね。

一目見たときから恋に落ちちゃった。

 

 

スペアも2つ買っちゃったしね。

後この監視カメラと盗聴器のセットなんだけどこれはいつか役に立てるはず。

 

 

誰かの弱みを握れるかもしれないからね。

 

 

スペアと監視カメラ・盗聴器のセットはクローゼットの金庫ののかに厳重に保管しておくことにした。

ちなみにこの金庫は実家で使っていたもので、音声認証、指紋認証、瞳孔認証の全てを1分以内に行わなければ開く事は無いなかなかの優れものだ。

 

 

荷物整理が終わった後、私はり近くのコンビニとスーパーへ買い物に行く事にした。

まず私はスーパーに向かった。

 

 

一般的なスーパーと変わらず、安売りしている商品があれば値上がりした商品もある。

だが、世界各国の食材が並べられており、まるで百貨店の地下にある食品売り場の様だ。

 

 

ぐるっと一周した時、とある棚が目に入った。

その棚の上には大きく無料商品と書かれていた。

 

 

一人月に何個まで、という制限はあるが一人暮らしをする生徒にとってかなり助かる。

無料商品の棚から日用品とインスタント食品を持ってレジに向かった。

 

 

会計を済ませ、次は隣にあるコンビニを見に行く事にした。

店内に入ると突然怒鳴り声が聞こえてきた。

 

 

声のする方に視線を向けると、入学式でDクラスの席に座って私のありがた〜いお話(新入生代表挨拶)中爆睡していた男子生徒が居た。

...やっぱり成績・人格・素行順にクラス分けされてるっぽいねぇ、この学校。

 

 

「クソが!仕方ねぇだろー!生徒手帳は後で持ってくるって言ってんだろ!」

 

 

「申し訳ございませんが、生徒手帳をお持ちでない方に商品の提供は出来かねます。ですから、1度生徒手帳を持って来て頂く必要が「だからそれ食った後持ってくるって言ってんだろうが!ぶっ飛ばすぞ!」...何度言えば分かるんですか。提供は出来ないと申し上げているはずです。」

 

 

なるほどなるほど〜!

 

 

あの赤髪君は生徒手帳を忘れちゃって、支払いが出来ないから商品を貰ってから生徒手帳を持ってくるって主張してて、店員さんはそんな例外的な行い出来ないから、無理ですって言ってるんだね。

 

 

小学生でも分かる事だけど、赤髪君は習わなかったのかな?

まあ、流石にうるさいし、私の買い物がいつまで経っても終わらなさそうだからここはこの可愛いさやかちゃんが助けてあげよっと♪

 

 

私は懐から小さな紙を取りだし、それにペンを走らせる。

こんなものでいいだろう。

 

 

「おい、そこの少年。」

 

 

 

「ああん?部外者は黙ってろよ!!」

 

 

「うるさいよ。他の人の迷惑になるんだから、気を付けてね。後これにサインしてくれたらそれ支払ってあげる。」

 

 

 

「ま、まじか?!ありがとよ!!」

 

 

 

うんうん、何も考えずにサインしてくれてありがとう。

 

 

「店員さん、立会人をお願いしても宜しいですか?」

 

 

「わ、分かりました。」

 

 

店員に署名させ、近くを通りかかった事務の先生に学校を通して正式な契約書にして欲しいとお願いした。

 

 

ちなみにこれは2日以内に払わなかった場合、支払額が倍になっていく。

カップラーメンは180ポイントだから、360ポイント、720ポイント、1440ポイントと増加していく。

 

 

そして2週間以内に支払われなかった場合、退学するという文が書かれている。

まあ、払えば問題ないのだから割と常識的な契約書だと思う。

 

 

「さっきはありがとよ。俺は須藤健だ。これ、俺の連絡先だ。後でポイント返させてもらうわ。」

 

 

「いえいえ。あんまり怒鳴ったりするのはやめてよ?」

 

 

「おう、悪かった。」

 

 

須藤の連絡先を受け取り、私は寮に戻った。

数時間後、本当に入金されていたのでコイツは誠実な男なのかもしれない。

 

 

でも暴力はダメだろ、暴力は。

そりゃ物理で解決すれば楽でいいかもしれないけど、そんなのつまらないんだよ。

 

 

もっと頭を使ってさ、相手を陥れる方が楽しいよ?

 

 

 

◇◇◇

 

 

side坂柳

 

 

私は坂柳有栖と申します。

 

 

今後Aクラスを...

いえ、学年全体を牛耳る女王として君臨する人間だと覚えて下されば結構です。

 

 

私はAクラス内で使えそうな駒を探している途中なのですが、面白い人物が2人いました。

 

 

まず1人目は今後私と対峙するであろう葛城康平君。

そして2人目は面白い質問をした水無瀬さやかさん。

 

 

葛城君を今から私の駒にするには時間がかかるため、水無瀬さんを駒にしようと近づいたのですが...私は彼女に惚れました。

 

 

いえ、勘違いしないでくださいね?

あくまで惚れたのは彼女の演奏に対してです。

 

 

私は足が不自由なのでピアノを弾きたくても弾く事が出来ませんでした。

ペダルを使わない演奏であれば多少は弾く事が出来ますが、同年代の少年少女と比べるとどうしても演奏曲の難易度が低くなってしまいます。

 

 

ですから、私はピアノのレッスンは早々に見切りをつけ、勉学やテーブルゲーム等に励んできました。

おかげで今では、五教科の勉学から雑学まで幅広い知識を有し、チェスやオセロといったゲームの腕前もかなりのものになっています。

 

 

そして、幼い頃私が一方的には知ったホワイトルームの最高傑作、綾小路清隆君に勝つ事を目標に生きてきました。

彼と楽しいゲームをし、勝つ為にAクラス内、ひいては学年内での地位向上の為の下準備を行っていましたが、彼女と山村さんの会話に私は興味をそそられてしまいました。

 

 

お二人のピアノに関する会話にはついつい聞き耳を立ててしまい、私のかつての憧れが蘇ってしまったのです。

そしてお二人に近づき共に買い物をする事にしました。

 

 

二人の目的は楽器店らしく、楽しそうにピアノについて話しています。

私はつい、羨ましくなって本音が零れてしまいました。

 

 

しかし、私の言葉を聞いたさやかさんは私の為に出来る事は無いか、解決策は無いかと真剣に考え始めたのです。

そして良いアイデアは思いつかなかった様ですが、私の為に何でも演奏してくれるとそう約束して下さいました。

 

 

結局リクエストした曲を弾いた事が無いため、希望は叶いませんでした。

ですが彼女は楽譜を買って練習すると、そう言ってくれたのです。

 

 

わざわざ楽譜を買ってまで、私の為に演奏するとそう言ったのですよ。

会って一日も経っていない私に対して不自然だと思いませんか?

 

 

しかし彼女は善意の提案だったみたいです。

流石に私もこれには驚きましたが、その提案を有難く受けさせて頂き、代わりに彼女に楽譜をプレゼントしました。

 

 

そして、楽器店の電子ピアノで彼女の得意な曲を弾いてくれたのです。

映像が脳裏に浮かび、安らぎを私に与えてくれました。

 

 

私は体が不自由ですが、憐れみを向けられるのは嫌いでした。

しかし、さやかさんは私を一人の人間として尊重してくれた。

 

 

当たり前の事だとしても、憐れみや可哀想だという感情を向ける事なく、私に接してくれた人は初めてでした。

そういえば彼女はホームルームの時、いじめについて尋ねていましたね。

 

 

あの質問のおかげで、クラス移動という事の重要性を理解でき、この学校が異常である事の再確認が出来ました。

彼女もこの学校について不信感を持っているそうですし、やはりクラス移動の権利について疑問を持っての質問だった様ですね。

 

 

しかし、いじめ問題を引き合いに出している点、私に対する思いやりを見せてくれた点から彼女はとても優しい方の様です。

そして策略、知略にも長けていそうですし、本当に私の駒にしてしまいたいですね。

 

 

私の荷物も率先して運んでくれましたし、新入生の言葉も将来を見据えた素晴らしいものでした。

彼女がいれば、もっと私が動きやすくなるはずです。

 

 

どうにか、彼女を駒にしたいものですね。

水無瀬さやかの恋愛描写を入れても良いですか?

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