ようこそ!デスゲーマーのいる教室へ!   作:橘諸兄

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6話目です。
主人公は人殺しだけど、根っからの悪人ではありません。
そして本人に悪人の自覚は一切無い、というモンスターっぷり。
そんなモンスターがゆるふわ女子と絡んでるのを見るのが好きです。

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ルールってよく読むとどこかしらに穴が存在するんだよね。エンターテイナーとは誰よりもルールを理解している人間の事だよ。

 

 

世の中には2種類の人間が存在する。

 

 

『Mind you?In this world, there are outcomes other than victory and defeat.』

(いいかい?この世には勝利と敗北以外の結果が存在するんだよ。)

 

 

「No, there are only two types of people in this world: winners and losers.」

(いいえ。この世には勝者と敗者、2種類の人間しかいないわ。)

 

 

敗者と勝者しか存在しない。

 

 

『That's not true, there are people in this world who haven't won but haven't lost. So it's not all about winning and losing , Sayaka.』

(それは違うよ、勝っていないけど負けていない人間も存在する。勝ち負けだけが全てじゃないんだよ、さやか。)

 

 

「...Even if you say that, I won't change. This world is all about the talents and qualities you are born with. A person without talent or talent cannot succeed in that field. Ordinary people can't do anything.」

(…そんな事言われても、私は変わらない。この世は持って生まれた才能や素質が全てなのよ。素質も才能もない人間は、その分野で活躍する事が出来ない。平凡な人間には何も為せない。)

 

 

生まれ持った才能や素質があったから、恵まれていたから彼等は称賛された。

 

 

『Sayaka, there are times when people with no talent or talent can win, and there are times when they can surpass their talent.』

(さやか、素質も才能も無い人間が勝つ事もあるし、才能を凌駕する事もあるんだよ。)

 

 

そんな事有り得ない、有り得たとしたらこの世界は狂ってる。

ただのまぐれ、ちょっと世界にズレが生じただけの話でしょ。

 

 

私が奪った多くの命の大半は凡人のものだ。

社会の損失にはなっていないはず。

 

 

労働者という観点からすれば損失も良いところだが、才能としての損失では無いはずだ。

むしろそうでないと困る。

 

これは私の過去であり、私がたまに思い出しては否定する事第一位の思い出だ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

テスト期間に入って三日目、私は担任の言葉を思い出していた。

 

 

『君達が必ずこのテストを乗り越えられると確信している。』

 

 

真嶋のこの発言、生徒を応援していると考えるべきか、乗り越えられる方法が存在するのか。

 

 

応援であれば『君達が必ずこのテストを乗り越えられると信じている。』と発言するべきだった。

"確信"なんて言葉を用いる必要は無いし、そんな言葉教師が簡単に使うはずがない。

 

 

学校行事の合唱コンや体育祭であれば、その言葉を用いて鼓舞する事もあるだろうが、成績に関わる試験に対してその言葉を使うのは不適切だ。

教師として有り得ない発言なのだ。

 

 

だから、この発言を世間一般の常識の上で考えると…赤点を回避出来る方法が存在する、という事になる。

であれば、その方法は生徒達が思いつくレベルのものだ。

 

 

カンニング、過去問、点数を買う…

ざっと思いつくのはこれくらいか。

 

 

この中で現実的なのは"過去問"と"点数を買う"の二つだな。

流石にいくらポイントで何でも買えるからといって、カンニングをする権利なんて誰でも買える訳が無い。

 

 

そう考えると"点数を買う"も現実味はあれど、誰でも出来る行為とは言えない。

であれば"過去問"が最有力だが、毎年似た問題が出題されている、という事なのだろうか?

 

 

まあ、今から会う人に聞けば解決するんだけどね♪

その為にわざわざ昼休みに一階まで来たんだし。

 

 

3年Aクラスの教室までやってくると、丁度教室から生徒が出てきた為、彼に頼む事にしよう。

 

 

「すみません、橘茜先輩はいらっしゃいますか?」

 

 

「…橘に用か。ちょっと待ってろよ。おーい橘、客だぞー」

 

 

「分かりました。少々お待ち下さい。」

 

 

暫く教室の外で待っていると茜お姉さんが慌てた様子でやって来た。

 

 

「お待たせしました。どうしたんですか?さやかちゃん。」

 

 

「実は、茜お姉さんに中間試験の過去問を借して頂きたくて。もし持っていればで良いのですが…」

 

 

「…」

 

 

茜お姉さんは信じられない者を見る様な目で私を見ていたが、数秒後我に返り口を開いた。

 

 

「この段階でそこまで分かっているだなんて…こんな事は前代未聞ですよ。過去問でしたね?今年1年分のものはお渡しします。私にはもう必要のない物ですから、有効活用してくれれば嬉しいです。」

 

 

「ありがとうございます!」

 

 

よく分かんないけど、なんにも分かんないけど、くれるって言うのなら貰っておこう。

 

 

「まさか中間テストの発表から三日で今回のテストの全てを理解してしまうとは、びっくりですよ。」

 

 

うん、ごめんなさい。

私何も知らないんです。

 

 

ただ過去問貰いに来ただけなんですけど?

 

 

「あ、そうだ。ついでに中間前に受けた小テストもお渡しします。これがあった方が何かと便利ですよね?」

 

 

「え?あ、ああ、そうだね。うん、そうだよね!」

 

 

なんで小テストの過去問を付けてくれるんだ?

まあいいか。

 

 

「やっぱりさやかちゃんは天才ですね。入学式の新入生代表挨拶もアドリブで話したと会長から聞きましたよ。」

 

 

「え」

 

 

待って、あの無茶振りしてきたのって堀北生徒会長だったの?

新入生相手に何してんの、あなた本当に生徒会長ですか?

 

 

あなたに良心は無いんですか?!

 

 

「実は、あの後さやかちゃんの優秀さについて会長にお話したんです。そしたら、"橘が認めた程の人間であれば素晴らしい新入生代表挨拶をしてくれるだろう"って仰られたんです。そして新入生代表挨拶がさやかちゃんに代わったんですよ。」

 

 

「えぇ…」

 

 

いやいや、いくら茜お姉さんに期待されてるからって、新入生代表挨拶を突然指名しないで貰えます?

内心焦ってたし、冷や汗ダラダラだったんですけど?

 

 

というか、茜お姉さんって会長さんと仲が良いんだ。

って事は茜お姉さんも生徒会の役員を勤めてるのかな?

 

 

「そういえば、茜お姉さんって生徒会の役員を務められてたりします?」

 

 

「はい。書記を務めていますよ。」

 

 

だからか。

だから私が新入生代表となって有難いお話をしなきゃいけなくなったのか。

 

 

「良かったらさやかちゃんも生徒会に入りませんか?会長もさやかちゃんが生徒会へ入ってくれればきっと喜んで下さいますよ。」

 

 

うーん、お断り!

流石に私に嫌がらせしてきた会長さんはちょっと無理かな。

 

 

南雲の次に無理かな。

生徒会の仕事や権限は気になるけど、今の私に必要なのは磐石な地位とポイントだからね。

 

 

ポイントをくれるならまだしも、たかだか名声の為に生徒会に入るなんて馬鹿らしい。

漫画の一つでも読んでた方がよっぽど有意義な時間を過ごせるよ。

 

 

「あはは、私はまだ学校に慣れてないし、生徒会もした事が無いので。」

 

 

「そうですか…残念ですが、仕方ありませんね。」

 

 

そんな露骨に落ち込まないでよ、茜お姉さんのそういう表情には弱いんだよ。

やっぱり生徒会に…ってダメダメ、私は絶対に入りません。

 

 

「じゃあ、そろそろ教室に戻ります。また遊びに来ますね♪茜お姉さん。」

 

 

「ええ、いつでも歓迎しますよ。」

 

 

茜お姉さんと別れて三階の自クラスへ戻り、美紀ちゃんの手作りお弁当を一緒に食べる。

 

 

「めっちゃ美味しい!全部手作りなんだよね?朝から大変じゃない?」

 

 

「…小さい時からお料理の練習はしてたから、そこまで大変ではないよ。」

 

 

美紀ちゃんの手作り弁当は世界一かもしれない。

一家に一人美紀ちゃんの時代が到来するかもね。

 

 

まず、大きめのバスケットにサンドイッチが敷き詰められており、もう1つのバスケットにはミニハンバーグ、唐揚げ、煮卵、ちくわの磯辺揚げ等がたっぷり入っている。

そして別のケースにはサラダが入っており、このケースはちゃんと二人分用意されている。

 

 

実は、私達は先月の二週目から、毎週交代でお弁当を作り合っている。

 

 

私が何気なく発した『料理が上手くなりたい』という発言から美紀ちゃんが『お弁当を作ってみたら?』とアドバイスをくれた事がきっかけだった。

そして私が作ったお弁当を美紀ちゃんと食べた時、週に一度お弁当を作ってきて感想を言い合う日という物を作ったのだ。

 

 

私は今まで、冷凍食品に頼りつつ1品炒め物や焼き魚等を調理してお弁当に詰めていたが、美紀ちゃんはほぼ全部手作りらしい。

 

 

凄くね?やばくね?

お母さんだって半分くらいは冷凍食品使ってたよ?

 

 

「うわ、このサンドイッチめっちゃ美味しい。」

 

 

「それは鶏肉とメークインを使ったサンドイッチだね。隠し味にマスタードを使ってるんだけど、辛くないでしょ?」

 

 

「うん、ちょうど良い味加減だよ!ウチでシェフとして働かない?」

 

 

えー、ガチでに嫁に欲しい。

 

 

「そういえば、美紀ちゃんは葛城君と有栖ちゃん、どっちが指導者として優秀だと思う?」

 

 

これは純粋に気になっていた事だ。

美紀ちゃんは人と話すのが苦手で、引っ込み思案の人見知りだ。

 

 

入学式の日、私に話しかけてくれたのはたまたまで、本来なら自分から話しかける様な事はしないらしい。

 

 

葛城の性格は真面目で温厚、政敵である有栖に対しても配慮できる良く出来た人間だ。

対して有栖は仲間であろうと切り捨てられる冷酷さ、知略に長けた優秀な頭脳を持っており、葛城の対極にいる人間だ。

 

 

二人を表す言葉として適切なのは"盾と矛"だろう。

どちらが負ければ、どちらかのアイテムは最強では無かった、という事の証明をしてしまい、この矛盾は相応しくなくなってしまうが、現状ではこの言葉が最もしっくりくる。

 

 

美紀ちゃんの性格的には葛城との方が話しやすいんだろうけど、有栖ちゃんの方が攻撃に秀でている。

私としては葛城がリーダーだとちょっと甘い気がするんだけど、有栖ちゃんがリーダーだとこのクラスは色々スリリングな事になりそうなんだよね。

 

 

楽しさで考えれば有栖ちゃんだけど、面倒事は嫌いだし、誰かの駒や部下に成り下がるのはもっと嫌。

 

 

「…うーん、私としては坂柳さんがリーダーに立って、葛城君が側近、もしくは参謀としてAクラスを支えるのが良いと思う。」

 

 

「ふふ、逃げたね美紀ちゃん。」

 

 

「…違うよ。だって今の段階であの二人の優劣をつけるのは難しいから、妥協案はこれしかないなって思ったの。」

 

 

まあ、美紀ちゃんの言う回答が最も正しいのは分かる。

だけどそれは理想論だ。

 

 

今のAクラスを一つにまとめるなんて、誰にも出来なさそうだし、当分はこのまま膠着状態が続くんだろうね。

 

 

「まあ、当分様子見かなぁ。ポイントが増える行事とかもありそうだし、そこでどっちが優秀か、どっちが無能かを決める事になりそうだね。」

 

 

「…行事かぁ。」

 

 

「そう。ポイントを賭けて競い合う行事でもあるんじゃないかな?うふふ、今からとっても楽しみだよ〜♪」

 

 

「…さやかちゃんは好きそうだよね、そういうの。」

 

 

「まあね♪」

 

 

本当にそういうイベントがあるんなら、頭を使う楽しいゲームを用意して欲しいなぁ。

学力じゃなくて、知力を活用して相手を出し抜くような頭脳戦に期待します!

 

 

こういう普通の高校では行わない事を楽しむ為にこの学校に入ったんだから、せいぜいガッカリさせないでよね。

 

 

その日の放課後、私は貰った過去問を解く前に小テストの過去問を読んで見る事にした。

すると、問題が私達が受けた小テストと全く同じだった。

 

 

茜お姉さんは、私が毎年試験問題が同じだって事に気づきてたと思ってたんだ。

だから、私を何度も褒めてくれたのね。

 

 

過去問の制作年も書かれてるし、作成者も今この学校にいない名前だ。

これは確実に本物の過去問だ。

 

 

つまり、この過去問の答えさえ覚えてしまえば、試験は簡単にクリア出来るって事だ。

 

 

そしてこの過去問を知っているのは今のところ私だけ。

誰かと取引をするのが良さそうだな。

 

 

やはりここはお金を持っているクラスが良いな。

Dクラスに照準を合わせる必要は無い。

 

 

CクラスとBクラスだけど、Bクラスは真面目な生徒が多そうだから過去問がなくても赤点者は出ないはず。

ならCクラスに売る方が良さそうだな。

 

 

でもCクラスの王は相当の暴君だって聞くし、デスゲーム経験者の私でも殴られたり蹴られたり暴行されたら怪我しちゃう。

痛いのは好きじゃないし、やっぱりBクラスにしておいた方が良いかな?

 

 

後、葛城君か有栖ちゃんにも過去問を渡しておかなくちゃね。

どっちに渡すのが良いかな?

 

 

有栖ちゃんとは接点があるけど、葛城君とはあまり話した事が無いんだよね。

 

 

「…よし!決めた。」

 

 

この日は過去問の採点・復習をして眠りについた。

翌日、私は遅めに学校に向かった。

 

 

荷物を整理し終えたタイミングで真嶋がやってきてホームルームが開始する。

連絡事項を伝えられ、いつもより三分程早くホームルームは終了した。

 

 

まだ皆席に着いている。

今のタイミングが良いだろう。

 

 

「はーい!皆ちゅーもーく!」

 

 

「ん?なんだ?」

 

 

戸塚弥彦は相変わらずの間抜け面だね?

ちゃんと寝れてないんじゃないの?

 

 

テスト期間だからって、睡眠を疎かにしちゃダメだぞ。

 

 

「実は、今回の中間テストには必勝法があります。」

 

 

必勝法があるとか騒いで全員で生き残ろうとする馬鹿な子確実に死にます。

というか私が殺してきました。

 

 

「必勝法?どういう事だ?」

 

 

弥彦君も少しは自分で考えようね。

 

 

「今回のテストだけど、どうやら毎年同じ試験問題が出されているみたいなんだよね。ソースは生徒会書記の橘先輩。一昨年の小テストの過去問を貰ったんだけど、私達が受けた小テストと同じものだったよ。だから、今回のテストは過去問を解ける様にしておけば良い、もっと言えば答えを暗記すればなんとかなる試験って事だよ。」

 

 

「なるほど。その小テスト確認させて貰っても良いか?」

 

 

考え込んでいる生徒とは違い、葛城は冷静に今すべき事が分かっている。

頭の回転も早く、リーダーとしての素質は十分備わっているらしい。

 

 

「勿論だよ。」

 

 

葛城は過去問を手に取り、ペラペラとめくりながら問題を確認していく。

 

 

「同じだ。過去問を解けば今回のテストで赤点を取る事はほぼ無さそうだな。」

 

 

「うんうんその通りだよ。まあ油断は禁物だけどね。…って事で、今から全員にこの過去問を配布するから無くさない様にね。」

 

 

過去問が全員に行き渡ったタイミングでホームルーム終了のチャイムが鳴った。

まあとっくにホームルームは終わっていたのだが。

 

 

「んじゃ、その過去問を使うか使わないかは皆に任せるから。」

 

 

私はそう言って一時間目の授業の支度をし、生物室へと向かった。

ちなみに私がいつもより遅く登校してきた理由は、全員分の過去問をコピーしていたからだ。

 

 

コンビニのコピーは高いため、学校のコピー機を使って無料でコピーさせて貰った。

本来は宜しくないらしいけど、真嶋先生にお願いしたら渋々了承してくれた。

 

 

まあ、自分のクラスの成績に関わる問題だしね。

それくらいしてくれないと私達生徒も困っちゃうよ。

水無瀬さやかの恋愛描写を入れても良いですか?

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