空は酷く澄んでいる   作:アールワイ

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ども、素人投稿者です。

一瞬ランキング載ったらしくて少し伸びましたね。
別に気にしてないけど高評価と感想下さい。


ではどうぞ


認可せざる未来変革(バッドエンド4)

 

 

 

 

 

 

──ドゴオオォォォォォォォ!!!!

 

 

 ソレアが磔にされた後、突如として至聖所全体を大爆発が被った。化け物に変態したベアトリーチェの赤い爆発なんて比にならない威力と規模の爆発に、アロナに保護された私たち以外の全てが破壊され尽くされる。煙が晴れて見えたベアトリーチェは瀕死の重体となっていた。

 

「ぐっ……、何故前回より強大に? こんなはずでは……」

 

 その視線の先には、磔にされていたソレア……()()()()()

 

 

「襍ヲ縺輔↑螢翫l諞弱>霑斐○

繧医¥謌代′鄙シ繧貞・ェ縺」縺溘↑」

 

 

 欠損した腕と翼が治っていて、()()の翼を大きく広げたソレアの面影があるモノ。翼と角は機械になって、全身に機械装甲を纏っている。物物しい雰囲気の中()()()()()()()()()()は咆哮すると、翼と角が黒く燃え始めた。

 

『白故ソレアはキヴォトスを滅ぼすべく《色彩》が創り出した化け物である』

『キヴォトスを()()()()()()()()()()()()です』

 

 

 黒服とドクトゥスが言っていたことを思い出した。あの時は馬鹿げた話と突き放していたが、現実として目の当たりすると後悔が募る。

 

 

「さあ、行きなさい! その《神秘を希釈するナイフ》を刺せば、あの()()が私の物に……」

 

 

 悲鳴をあげながら私たちを囲んでいたアリウス生までもが突撃する。彼女たちの持つナイフが特別な物で、それがソレアを苦しめようとしているなら。

 

(私が止めないと)

 

 アツコを救出したアリウスの子達は限界を超えている。ソレアを助けるのは、自分の役目。絶対に……死なせはしない。

 

 

“大人のカードを使う”

 

 

――――――――――

 

 

「嗚呼、やはり素晴らしい()()。白故ソレア……いやソレア! 最も強大な()()を持ち、《色彩》と唯一渡り合える存在よ。先生の物語でお前は何を綴ってくれるのか」

 

 興奮する知者は狂気観覧と記録していく。純白だった灰色、陽を帯びた黒が覗き、渾沌に苦しむ崇高の権化。

 

「神秘を希釈された影響で恐怖の比率が大きくなってますが……」

 

 灰色の怪物自身も燃やす漆黒の炎。それは傲慢にも太陽に近付こうとした罰の炎。白い技術()で黒い欲望(堕落)を辿ったよくある話。

 人は人でなくてはならない、神と驕ってはならないのだ。日々発展していくテクノロジーはいつか必ず身を滅ぼす、神は人間には戒めが必要と説いた。

 

「神秘とは宿る物、恐怖とは与えられる物、崇高とは森羅に生じた万象を形容しようとした物。神の崇高は神秘と恐怖、主に二つに分割でき、神の性質に由来する。ソレアは()()()()()()()では無いが、《色彩》が介入したことでソレアの物語は()()()()()へと昇華された」

 

 

 《色彩》は神秘を恐怖に()()させることができる。一度恐怖してしまったものは神秘のように崇高なものとして見れない。つまり、同時に崇高の概念も崩れる、これが反転を不可逆としている。無名の司祭どもは恐怖を崇高と呼ぶが、ワタシから言わせればナンセンス極まりない。崇高とは、神秘と恐怖のバランスが大事なのだ。

 

「ソレアの神秘は飛行……いや、()()()()。それが恐怖の破滅、()()()()に中途半端に反転した結果、ソレアは()()()()と成った。空想と堕落、人の業を植え付けられた憐れな子よ。現存したどの書に記されなかった真の名無し神よ。嗚呼……、先生、貴女はこの物語をどう紡いでいくのですか? ソレア(孤独)に貴女は何を望むのですか? 実に楽しみだ、それはもう大いに。ハッハッハッハッ!」

 

 

 知者は高らかに笑う。観測し、予測し、記録し、記憶する者。目的も野望も見せない彼は、まだ何もせず物語が紡がれるのを見ていた。

 

 

――――――――――

 

 

「蜉ゥ縺代※」

 

 灰色の怪物が唸ると、大きな機械翼が変形して数門の砲門が顕れる。視界いっぱいにマズルフラッシュが閃いた瞬間、鼓膜が破れると思うぐらいの轟音と爆風が襲いかかって来る。

 

“みんな!”

 

 大人のカードで呼び出した生徒達が一撃で撤退を余儀なくされる。至聖所は廃墟と呼べるまで壊れて、複製は1つ残らず消された。ベアトリーチェが呼んだアリウス生も影すら見つからない。

 

[先生、これ以上は力が……]

 

 アロナの力も限界、アレを止めないと私だけじゃなくアリウススクワッドやトリニティ……キヴォトス全土の危機になる。

 

 

「闍ヲ縺励>」

 

 静かになったかと思えば辺り一帯を破壊し尽くした灰色の怪物の砲門が爆発する。オーバーヒートのように高負荷に耐えられなくなって起きた爆発に灰色の怪物は悲鳴をあげている。

 抑えられない破壊衝動に駆られ、その果てに自身を傷付けていく。きっと何もしなかったら灰色の怪物はキヴォトスの全てを破壊し尽くして……最後は自分も殺してしまうだろう。

 

 

“どうすれば……”

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「蟇ゅ@……蟄、……蜀キ縺溘>……」

 

 

 灰色の機械仮面の隙間から赤い液体が流れた。ソレアが、私の生徒が泣いている。助けてと救いを求めている。

 

“私は先生だ……”

“大人として子供に手を差し伸べるのが”

 

“私の役目だ!!”

 

 

 

 大人のカードを再度使おうとして──

 

[『先生、提案があります』]

 

 アロナの声……、普段の機械調な声じゃない。抑揚のある人の声だ。

 

[『1つだけ、あの子を救ける方法があります』]

 

 誰だ、とシッテムの箱のアロナを見る。映っていたのは、見覚えのある彼女だった。

 

(■■■?)

 

 髪は長く、背丈も伸びたアロナに驚いているとアロナはこっちの気も知らずに続けて言う。

 

[『その為には先生がソレアに触れる必要があります。触れる直前は私の防護無しですが、いけますか?』]

 

 突拍子の無い話だ。あの弾幕を掻い潜ってソレアに接近するなんて、キヴォトスの外から来た私には危険過ぎる。

 

“わかった”

 

 考えるより先に口が動いていた。アロナはわかってたと言わんばかりの顔をして、ナビゲートを開始する。

 

[『先生、私の言う通り行動してください』]

 

“頼んだよアロナ”

 

[『先ずは、カタコンベまで逃げて下さい』]

 

 アロナに応えて一目散にカタコンベ目掛けて走り出す。数秒はその場で弾幕を撒き散らしていたソレアも、私に食い付いて来た。

 

[『全力で走って下さい! 一度でも足を止めると捕まります!』]

 

“了……解!”

 

 

~~~~~

 

 

 手足を必死に動かして走る。運動不足の一般人の私と翼を持つソレアでは移動速度に差がありすぎる。後ろでゆっくりと羽ばたいてる音が聞こえるけど、もう既に追いつかれてる気がしてならない。

 

[『信じて前だけ向いて!』]

 

 

~~~~~

 

 アリウス自治区の地理に詳しくなんてないから来た道を頑張って思い出しながら走る。狭い路地も回廊も後ろで破砕音が鳴り続ける。

 

[『もっと速く!』]

 

“もう限界だし怖いし無理ー!”

 

 

~~~~~

 

 

“見えた!”

 

[『あ、ちょっと!』]

 

 

 カタコンベが見えた所で気を弛めてしまった。直後、背後スレスレに冷たい物を感じて青ざめる。

 

[『先生!』]

 

 

 

「證励>」

 

“(やば……)”

 

 音も無く真後ろに現れたソレアは腕の装甲を鋭い爪に変形させる。接近してはいるからアロナが守ってくれてるか分からない。いやこれ防げる? 無理そう死……。

 

「先生に何すんの!!」

 

 私の顔目掛けて突き出される爪を横やりの弾丸が弾く。この隙にソレアに触れようとしたけど、一瞬のうちに距離を取られてしまう。

 

“ミカ、どうしてここに!?”

 

「急にあの厄介な幽霊が居なくなったと思えば、爆発があったから。ソレアと先生に何かあったと思って……。先生、一応聞くけど……ソレアは?」

 

“……アレだよ”

 

 ミカの握る力が強くなって銃が少し形を変えてる。ミカからすれば知らない所でソレアが大変なことになってたんだ、私だったら凄い悔しい。

 

[『……間に合いましたか』]

 

『この状況を説明してくれないかしら、先生』

 

 私たちを守るように前に出て来た多数のドローンから、黒髪の子がホログラム通信してくきた。

 

[『先生、説明を』]

 

“え、うん”

 

 アロナに促されるまま端的に説明すると、その子は簡潔に言う。

 

『協力するわ。ソレアの攻撃はこちらで何とかする。その隙に先生がソレアに触れて。確認したけど、ソレアはもう限界よ』

 

 

 

 ソレアを見ると、燃える黒い炎が角や翼だけじゃなく体全体に広がっている。私たちがこうして話してる間に攻撃がなかったのは、あの子が今も苦しんでいるからだ。

 

 

 全身の罅から漏れ零れる赤い液体に引火して、ソレアの周りを地獄に変えている。黒く淀んで血を垂れさせて苦しみに悶えるソレア。

 

[『絶対に助けます』]

 

“(もう……ソレアを失いたくない)”

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何が起きた……?」

 

 気絶から意識を取り戻して頭を抑える。

 

 ベアトリーチェを倒して、アツコを助けて、そして……、

 

「ソレアが来て……それから……」

 

 

 思い出した、ナイフを持ったアリウス生に囲まれて、それでソレアが……、

 

「そうだ、爆発があって……」

 

 至聖所を吹き飛ばす威力だったのに、アツコを含めたスクワッドのみんなは無事だ。

 

「先生……ソレア……?」

 

 

 見える限り瓦礫の山。人影ひとつ見えやしない光景に、不安が募る。頭が冴えてくると遠くから爆発音が聞こえる。頻度と激しさからまだ戦闘が行われていると推測できた。

 

(行かないと……)

 

 他のみんなはまだ眠っている。みんなはここに来るまで頑張った、起こさず休ませてやりたい。アツコを助けて、後は全員揃って帰るだけだ。先生とソレアを見つけて、全員無事に……

 

 

 

~~~~~

 

 

 音を頼りに瓦礫の上を歩く。時折不安定な足場に転けそうになったが、重い体を奮い立たせて持ち直す。カタコンベへの通路が近くなった辺りだろうか、パタンと音が鳴り止んだ。

 

(音が……)

 

 

 

 立ち起こる土煙が晴れた時、目の前には聖園ミカが居た。服が破けて傷だらけになって、虚ろな目で地面を眺めてる。

 

「ミカ、先生は?」

「………………サオリ」

 

 ミカが指さした方向には、先生と…………

 

「ソレア」

 

 瓦礫の天辺で先生は白いものを抱えている。それがソレアだと理解するのにさほど時間はかからなかった。足元に気をつけながらより近づいてみる。

 

“う……ぁぁ……サオリ……”

 

 先生が私に気付いて、私も先生が泣いてるのに気付く。彼女の手の中では、()()()()()()()()()()()()()()

 

「先生?」

 

“うぅ……ごめん、ごめんね”

 

 その謝罪が私に対するものなのかソレアに対するものなのかは定かではないが。一つだけ、ただ一つの事実があった。

 

 

 首筋に触れると、氷を触ったようにひんやりと冷たい。頬に触れると、安らかに寝ている。腰に触れると、血で手が汚れた。

 

 

 

 

 

 

 私の家族(ソレア)が、死んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あそこから記憶が無い。気付くと私は一人で膝を着いていた。

 

 私の手の中に、ソレアの白い羽があった。

 

 

 

「ぁ……あぁあああぁぁぁぁ!!!」

 

 認めない……絶対に認めてたまるか。アツコを助けても、お前が死んでは意味無いじゃないか! 全員で、無事に帰る為に……。

 

「ソレアぁ……ソレアァ”!」

 

 止まらない嗚咽に嫌気がさす。私はソレアに何もしてやれなかった。ソレアから享受されるのに慣れて甘えて、受け取った分も返せてない。もし()があるなら、もう一度()()()()()()()()()()()()……。

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

キヴォトスは救われた





イレギュラーが発生.イレギュラーが発.イレギュラーが.イレギュラー.イレギュラ.イレギュ.イレギ.イレ.i……


はい、ということで、ソレアの元ネタについて解説を。
ソレアのモチーフは作中にも出た通りイカロスですが、容姿はイカロスの翼、ユニコーンの角が元です。(クソデカ伏線)

神秘と反転に関しては独自の考察なのであんま真に受けないでくださいね。
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