空は酷く澄んでいる   作:アールワイ

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どうも、素人投稿者です。

投稿ペース遅すぎワロエナイ。
もっと短くしようかな……


或る日の約束と崇高の心核(バッドエンド5)

 

 

 

 

 《未来》とは、定められてなければならないものである。そこに人為が交わることは決して許されない。神々の結末は物語として既に最後まで書き記されているのだ。

 

 

「理解できぬ」

「理解できぬ」

「理解できぬ」

 

 

 司祭は思考擬きを試行する。あの異物はなんだ? 何故()()そこにいる? 

 

 

「何が起きている」

 

 

 あの者は既に()()()()()()はず。その崇高を証明し、このキヴォトスを()()()姿()に戻すはずなのに。

 

 

「お前の仕業か……■■■」

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 気絶から意識を取り戻して頭を抑える。

 

 

「これは……」

 

 

 理解するよりも体が動き出す。カタコンベへと真っ直ぐ全速力で走る。傷の痛みも疲労も感じない、今の私にあるのは使命感だけだ。

 

 

「絶対助ける!」

 

 

――――――――――

 

 

 リオとミカの手を借りても、先生はソレアに近付けない。ソレアは10メートルを超える大翼から無数の破壊兵器を生み出して先生達を襲う。焦土と化したアリウスの一角で行われる死闘は片方の命を文字通り燃やしながら激しさを増していく。

 

「先生、このままじゃやられる!」

『ドローンの攻撃も効きません。増援を送ります』

 

“大人のカードを使う”

 

 

 何度カードを使っても数秒後には撤退させられる。ジリ貧なんてもんじゃない。

 

[『先生、カードの使用は控えてください』]

 

“でも……”

 

[『本来、貴女はここでカードを酷使することはありません。まだ見ぬ脅威の為にご自愛して下さい』]

 

 

 身を守ることで精一杯だ。でも、このまま悪戯に時間を無駄にすればソレアが自死してしまう。調印式を乗り越えたのに、また死なせるものか。しかし気持ちが奮い立たない。ソレアの強さは圧倒的で、弾幕の厚さと威力に絶望する。

 心のどこかで諦めかけた時、カタコンベから数え切れないドローン軍団が現れる。手も足も出なくても、これだけ数があれば何とかなるはず。

 

 

『増援が到着しました。これで隙を……』

 

 

 

 

 

「譚・繧九↑」

 

 希望的観測はソレアの前じゃ無に等しかった。ソレア は対の角から電流は発生させると、衝撃波と共にドローンは全機機能を停止した。雷が落ちたような音でソレア自身も焼かれている。

 

『電磁パルス─!──駄目…─回線が───』

 

 

 リオの通信も切れ、電磁波を放った角は今度は蒼いエネルギーを角に集束させる。エネルギーが球体になってくにつれドローンや瓦礫が空中に浮かび上がり、ソレアの方に引き寄せられていく。

 蒼いエネルギーは無機物を粒子状物質へ変換されて何かを創り出す。それは『箱舟』が有する物質変換システムと同じ現象であり、そして創られた兵器もまた同じく《名もなき神の遺物》だった。

 

 

 

 創られた銃の(かたち)をした無数の黒い筒は蒼く輝くと、射線上を溶かす光線を放った。

 

「先生避けて!」

 

 ソレア単体だけでギリギリ持ち堪えられなかったのに、無差別に攻撃する兵器の光線はシッテムの箱の防護を貫通して肌が痛みを感じる。避けれ無かった私を担いだミカも酷い火傷を負っている。

 

[『マズイですね……』]

 

“どうにかできないの?”

 

[『ソレアの力が想定より強力です。あの状態だと間もなく自身の力で自壊します。自壊する直前、ソレアの力が急速に壊れる瞬間を狙うしかありません』]

 

 

 

 

「蜈育函」

 

 

 あの子が私を呼んでいる。今のソレアに自我があるかなんてわかんないけど、ソレアはこうなることを望んでない。流す涙も血も黒く燃えて苦しんでいる。

 

[『チャンスは一瞬です。ソレアから漏れ出すエネルギーを演算して誘導します。絶対に他のことに気を取られないでください。貴女が死ねばキヴォトスが滅びます。行きますよ!』]

 

 合図と共に走り出す。ソレアは動かないが、光線は途切れることなく熱を発している。ジリジリと肉を焼かれる感覚を味わいながら足を必死に動かす。

 

 

「ぇ……セン……」

 

 

 

 

 

 

「タスケテ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

───先生!!」

 

 

“うん、必ず助ける”

 

 自我が戻ってきたソレアが絶叫しながら身体を抑え込む。角の電撃と鋭く変形した翼に串刺しにされながらも、私を傷つけまいと力を抑えている。後数メートルの距離、数秒にも満たない距離が遠くてもどかしく感じる。

 

[『左に五歩、前に三歩、一歩下がって右斜めに十三歩』]

「先生、行って!」

 

 ソレアに少しづつ確実に近づいている。宙に浮かんでいる兵器をミカが頑張って壊してくれてる。

 

 

―残り、5メートル。

 

[『飛びついて!』]

 

 

“届……けぇ!”

 

 

 シッテムの箱の防護の無い、命を懸けたダイビングヘッド。刹那、黒い炎が消えて仮面が剥がれ落ちる。ソレアは気を失って倒れ、生み出された兵器も落下していく。世界から音が消えたような静寂を感じて、私はほんの少しだけ……安堵してしまった。

 

―カチャ……。

 

 まだ蒼い光を纏っている至近距離に現れた銃口が私の頭を正確に狙い済ましていた。多分、私がソレアに触れるよりも前にこの銃口は私を殺す。成功したと一瞬でも慢心した私の心に死が迫る恐怖と、結局ソレアを助けられなかった後悔があった。

 

「先生!」

 

 ミカではない声と弾丸が銃口を破壊する。背中越しに銃を向けてるサオリに感謝しながら、私の心は再び奮い立った。ソレアの命が燃え尽きる直前、伸ばした私の手がソレアに触れる。

 

[『接触を確認。』]

 

 

 

 

 

 

――――――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

─或る日。

 

 白い制服に身を包んだ二人の生徒はサンクトゥムタワーの特別な一室、生徒会長室にて書類の山を片している。

 

 

「《約束》をしましょう!」

 

 

 やってもやっても終わらない仕事の前で、青髪の少女は思い付きに目を輝かせて机を叩いた。

 

 

「……約束?」

 

「はい!」

 

「口より手を動かして下さい」

 

「……」

 

「……」

 

「…………………………」

 

「ああもうやります! やりますから無言で近付かないで下さい!」

 

 

 青髪の少女に鼻先スレスレまで顔を近づけられた白髪の■■は降参を意味して両手を上げる。

 

 

「フッフッフ、計画通り」

 

「はいはい早くして、この瞬間にも書類は増殖してますから」

 

「これも仕事と言えば立派な仕事です。私がそう言えばそうなんです。それに、これはあなたを守る為のもの」

 

「……私の?」

 

「はい、あなたの力が暴走した時のことを覚えてますか?」

 

「忘れたくても忘れられません」

 

「あの時、私があなたと結んだのは、あなたの力を私が管理する代わりに、あなたに自由と私の生殺与奪の権利を捧げる《協約》でした。今回は《誓約》です」

 

「約束……か」

 

「キヴォトスで《約束》は確固たる力を持ちます。現に今、ソレアと私はまだ生きている」

 

「違う、私はあなたに生かされただけだ。キヴォトスを想ってあそこであなたに殺されても──」

 

「だからこその《約束》です」

 

「……なるほど。でも()()()()()んですか?」

 

()()()ならきっと」

 

 

 片目の隠れた青眼に映る純白の■■。キヴォトスの統治者、その眼には確信に近いものがあった。

 

 

「何を約束する?」

 

「私が《行方不明》になった時、ソレアに掛けていた制限を全て解除する。ソレアに再三の暴走が発生した際、■■■の接触をもって力の再封印を施される」

 

「よし、私はそれを《約束》しよう」

 

 

 別に何も無かった或る日、二人で固く誓った。特段それは語るべきものでは無い、ただ……そんな日常が存在していただけだ。

 

 

――――――――――

 

 

 ソレアが光に包まれた後、私の目の前に居たのは純白の──いつものソレアだった。翼と腕は治ったままで、疲れた顔をしている。

 

“ソレア?”

 

「おはようございます先生」

 

 ソレアを苦しめ、滅びを齎す黒がドロリと落ちて純白だけが残った。何が起きたのか、ソレアが一体何者なのか私にはわからない。シッテムの箱を見てもアロナが寝ていて■■■らしき姿は無い。

 

「先生……どうして私を止められたんですか?」

 

“うーん、なんと言えば……”

 

 アツコを救出するはずが、奇妙なことが立て続けに起きた。全ての事の発端はベアトリーチェだが、そういえばアイツは何処に……

 

 

「アハハハハハハハ!!」

「グッ!」

 

“なっ……!”

 

 やられた。不意打ちで木の根のようなものがソレアの腹部を貫く。狂響とした笑い声が響いて、蔓で手足を拘束する。赤く芽吹いたベアトリーチェは最後の力で怪物へと変態して、私たちの油断をついた。体の端が崩壊し始めてながら笑うベアトリーチェに恐怖を感じる。

 

“ベアトリーチェ? 何を!?”

 

 ソレアはまだ本調子じゃないのか抵抗してる素振りが見えない。

 

「ソレアを離せ」

 

 サオリが引き金を引くも、弾切れの銃から弾丸は放たれない。ミカは満身創痍で座り込んで動かない。この子達は十分頑張った。後は私が……、あと少しで全て解決する。私はカードを取り出す。

 

 

“大人のカードを使う”

 

 

 私の生徒達がベアトリーチェへ攻撃を始める。もう私の頭の中に代償とか考える余裕は無かった。

 

 

 

「もう遅いんですよ!」

「ぁがっ!」

 

 ベアトリーチェの鋭い枝が胸を貫く。ソレアのヘイローが欠けて点滅が始まる。

 

「アハっ、アハハハハハ!」

 

 胸に穴を開けて、胸骨を砕いて、肋骨を折る。腹部の穴と胸部の穴から二、三本の長い指を入れる。ぐち……ぐち……と音を鳴らしながら肉を掻き混ぜる。玩具箱から目当ての物を探す赤ん坊のような、嬉々として肉体を弄ぶ。貫かれた時に切れた腸が垂れ出ている。真っ赤な血がベアトリーチェを伝って数滴の雫が滲み出る。

 

 

「ヒュ……」

 

 

 誰か……、私かミカかサオリか……。息が喉を鳴らした。黒から白、白から赤になったソレアにヘイローはもう無い。ベアトリーチェが畝る度にビクンと跳ねる。

 

 

「あった……」

 

 内臓を引きづり出しながらソレアの体から出て来たのは、黒とも紫ともとれる《色彩》に汚染された心臓。禍々しく鼓動を打ち、ドス黒い液体を吐き出す心臓をベアトリーチェは愛おしそうに持つ。

 

「これが……これこそ《色彩の心核》!! 崇高を生み出し続ける神の力の源!」

 

 オーロラがベアトリーチェを囲み、傷が癒えていく。依り代を失った剥き出しの核は力の奔流が始まる。新たな依り代に取り憑き、その存在を無理矢理《崇高》へと押し上げる。

 巨大化が止まらないベアトリーチェは自身に起きることを把握しきれずともその稚拙な予測で笑みを浮かべる。

 

「さあ、私をより上位の存在へ! 《崇高》をこの手に──」

 

─パァン!

 

 

 最初にベアトリーチェの腕が木っ端微塵に弾けた。次に胴体、最後に頭が。

 簡単な結末だった。膨大な力に器が耐えられなかった。愚者と名付けるに相応しい結末。道連れに一人の生徒を殺して……。

 

 

 

 

 

 ベアトリーチェの消滅に三人は唖然とする。

 

 取り敢えず私の生徒──凄惨な死体となったソレアを見る。内臓と呼べるものはあらかた無くなった空洞には虚無が詰まってる。ソレアは強い、キヴォトスの色んな生徒を見てきたけど単純な戦闘力では一番強い。膂力と再生能力もあるのに呆気なく殺されたのは多分あのナイフの効果がまだ残ってたからだろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

“次はどうしよう……”

 

 

 羽を握る。

 

 

――――――――――

 

キヴォトスは救われた

 

 




人が死ぬのは簡単だ。死の証明は生の証明より簡単だ。羽ばたき一つ解釈が多元に渡る。小さなと表現されるべき事象の影響は測れるべきか。結末、これは本来有り得るものであったのか。


ベアトリーチェにソレアグチャグチャにして欲しかったから書いた。

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