各キャラの口調難しくない?
投稿ペース遅くて泣く
ではどうぞ
“じゃあ行ってくるね”
「はい、いってらっしゃい先生。こちらの仕事が片付き次第、そちらに向かいますね」
先日、トリニティ総合学園のティーパーティーからの依頼で先生は補習授業部の顧問を引き受けた。
エデン条約が目前となった今、この時期に新しく設立した部活の顧問なんてまともな理由な訳がない。
依頼を出した彼女たちとは旧知の仲だけど、腐ってもトリニティのティーパーティー。荒々しくて拙いけど、策謀を張るのがお好きなようだ。
「ミカとナギサか、最近顔出せてないな……。先生も護衛の一人も付けずに行っちゃったし」
キヴォトスの外から来た先生は自分達より脆く弱い。自分が護衛をすると言っても、大丈夫だからとやんわり断られた。何処に大丈夫なんて言える自信があるのか……。
「……嫌な予感がするなぁ」
まだ
――――――――――
エデン条約。
永年の因縁を持つトリニティ総合学園とゲヘナ学園間で結ばれる条約。それに綴られるのは、手を取り合って協力しましょう、仲良くしていきましょう。所謂、平和条約だ。
犬猿の仲なんて目じゃないくらい険悪な両学園をくっつけるとか色々イカれてるが、平和の道も一歩から。勿論、そんな単純なものじゃない訳で……
(実際問題、こんな事になってる)
先生からのモモトークを見て、案の定厄介事であることにため息が出る。
[補習授業部のことで助けてほしい]
先生が溜めに溜めた書類仕事を代行していた時に来た通知。嗚呼、頭痛が痛い。
「正義実現委員会、ティーパーティー、アリウス分校……か」
自分への依頼は明日行われる補習授業部の試験の妨害及び、ティーパーティーホストのナギサの暗殺の阻止。思ってたより大変な状況になってて頭を抱えた。幸いにも、ゲヘナが絡んでないことだけが良かった。
「了解です、っと」
先生へのモモトークを返信して、準備する。二丁の回転式拳銃をホルスターに納め、白い箱を左手に持つ。期限の無い書類を連邦に持って行ってから、飛んで行けば日付が変わる頃にはトリニティに着けるはずだ。
「今行きますね、先生」
背中から生えた白い翼を羽ばたかせて、シャーレから飛び立った。
――――――――――
トリニティの適当な校舎に着地して、先生を探す。弾丸一つで致命傷なんだから、きっと安全な場所にいるはず。射線がきれる場所を中心に広い敷地を飛び回る。
「居た!」
“お疲れ様。ソレア”
「挨拶は不要です。状況は?」
“皆頑張ってくれてるけど、相手の数が多すぎる。少し減らしてあげて”
「了解」
ゆっくりと先生から指示を受ける。補習授業部は巧く立ち回っているようだ、先生から切羽詰まった空気を感じない。
(先生は信じてるんだな……)
箱を背負って、空いた両手で愛銃のカエルムとシグヌスを持つ。装弾数は10発、ある界隈でハンドキャノンと呼ばれるような逞しい銃身が火を吹けば、大抵の奴は一発で気絶させられる。
その装弾数の少なさ故に、殲滅戦は得意としないけど、そこは腕の見せ所。
「とりあえず数を減らします。その後の処遇は先生の判決に任せます」
翼を大きく羽ばたかせ、夜の空に溶け込む。アリウス…………あの子達は元気かな……。
――――――――――
戦闘開始から半刻、校内のアリウス生が全滅し、補習授業部がナギサを保護したと先生から通信が来た。
自分の任務は終了した、と銃を納めようとした時。自分の
「ッ!? ……は?」
《桃色の髪の少女がガスマスクを着けた部隊を率いている。その整った顔に指を当て、妖艶に笑った彼女は言う。「黒幕登場☆ってとこかな?」》
ヘイローが止まって、意識が強制的に戻される。
「クソっ……。なんで今……」
自分は使おうとしていない。初めて強制的に使われた“酷く限定的な未来感知”の能力。
『あなたのそれは、とても悲しいものです』
『悲しい……ですか?』
『はい。あなたのそれは、あなた自身のこれから起こること……《未来》を確定させてしまうものです。私が許可するまでは絶対に使わないで下さい』
答えは出なかった。目の前の増援のアリウス生を蹴散らしながら、先生の元に急ぐ。信じられない。信じたくない。どうして……どうして…………!!?
――――――――――
先生のGPSに向かっていると、体育館の一つに辿り着く。入口を探す余裕すら無い自分は窓の破砕音を響かせながら内部に入る。どのルートで侵入してきたのか、アリウスの大隊が既に先生と補習授業部を囲んで鎮座していた。
左右共に五発撃つ。アリウス生徒が10人倒れる。
突然の乱入、空からの奇襲で戦場は掻き乱される。先生の元に向かいながら、脅威度の高い者から順に意識を刈り取った。
「先生! ご無事ですか?」
“うん、ありがとうソレア”
「ッ!? 新手か!?」
「待って、補習授業部!」
白い髪の子が自分に銃口を向けるが、先生が止める。困惑している補習授業部に、銃を撃つ手は止めずに説明する。
「私はシャーレ所属の白故ソレア。先生からの要請により、あなた達を助けに来た」
「先生……」
ピンク髪の子──浦和ハナコが先生に驚きの目を向ける。
“みんなの助けになればと思って……”
「いえ、助かります。先生が私達を信じてくれているのは伝わりますから」
「…………え?」
銃声の中に、聞き覚えのある声が混じった。全弾撃ち尽くしてリロードを終えた自分は、ゆっくりと彼女と向き合う。
「久しぶりだね。ミカ」
「なんで……ソレアがここに?」
「シャーレに所属してるんだよね、私」
「そっか……。急にいなくなったから心配したよ」
「うん。私は元気だから、さっさとミカが此処に居る理由を教えて欲しいな」
「え? うーん……」
心の何処かで、自分は期待してた。この訳のわからない能力なんて特にどうとも思ってなかった。だから、だから…………
「黒幕登場☆ってとこかな?」
銃を持つ手に力が入る。《未来》はこうして自分に訪れたのだ。
「私はトリニティの現状に詳しくはないけど、これだけはわかる。ミカ……あなたの理想はこんなことで叶うことなの?」
「…………うん。私はもう、止まれない。ティーパーティーのホストになって、エデン条約なんてものはさせない」
「……ごめん」
「どうしてソレアが謝るの?」
きっと違う《未来》があったはずだ。幸せな結末を迎えれたかもしれなかった。自分が《未来》を識るということは、不確定な《未来》の
つまり、ミカの
「……先生。指揮をお願いします」
ならばせめて、自分の手でこの
――
補習授業部と連携して、先生の指揮の元、行動を開始する。アリウスをたった4人で持ち堪えるどころか返り討ちにしてきた補習授業部は想定以上に強く、大隊規模のアリウス生はみるみるうちにその数を減らしていく。正直、自分が居なくてもこの子達ならこの危機を切り抜けられたと感じられるほど。
「ミカぁ!」
周囲のアリウス生を薙ぎ倒し、ミカの額に銃口を叩き付ける。
「降参しろ。ミカを撃ちたくない」
「強くなったねソレア。……うん、降参、参ったよ。できればもっと早くに、君と再会したかったな…………。そしたら、何か変わってたかも?」
銃を置いて両手を上げるミカ。完全に抵抗する気が見えなくなってから、銃口を離す。
戦闘が終わったという安堵で、これからの結末に対する怒りを抑えられなくなる。
「こんな再会……私は望んでない! 何故っ!? 言ってくれミカ! 誰のせいだ! トリニティを……ナギサやセイアを裏切って何になる?!」
貴女の瞳に映る自分は泣いているだろう。惨めで、我儘で、無力な姿が。
喚きを遮る多くの足音に気付いて入口を見ると、武装状態のシスター姿をしたシスターフッドの軍団がいた。
「落ち着いて下さい、ソレアさん」
「サクラコ……」
先頭に立つ歌住サクラコが自分の肩に手を置く。貴女とも、こんな再会をしたくなかった。
「一先ずこの場はシスターフッドに任せてくれませんか、先生?」
“わかった。じゃあお願いね”
先生は補習授業部を連れて試験会場へと向かう。時計を見ると、もう明け方だった。
「ミカ……」
「何?」
旧友の名を呼ぶ。
「セイアは生きている」
「……!?」
「傷は治ってないらしいけど、ミネが傍に付いてる。ミカは人殺しじゃないよ」
「そっか……。良かった……」
(アリウス分校……。本格的に探りを入れるなら今……か)
セイアが無事だったのを知ってるのは救護騎士団の蒼森ミネから万が一の避難先として自分に連絡がきたから。シスターフッドの生徒に連行されるミカを見送って、サクラコと話す。
「サクラコ、エデン条約に関する情報を全てを教えて」
「……それはソレアさんがシスターフッドに入ってくださるということですか?」
「生憎と私は現在シャーレ所属。先生の理念に則って、贔屓をする気は無いよ。折角また会えたんだから、お茶でもしようよ」
「まあいいでしょう。私もソレアさんに聞きたいことが山ほどありますので」
真面目な所も変わってないなと思いながらも、サクラコと体育館を出る。朝日が眩しくて目を瞑れば、ミカの顔が瞼の裏に見える。認めたくなかったから咄嗟に能力を使おうとして……辞めた。
補習授業部のいざこざは、これにて終幕。でも、この物語はまだ
白故ソレア
・容姿
白髪
オッドアイ 左眼:白 右眼: 蒼
ヘイロー:三重円 内の二つの円は規則的に回転している
特徴:白い翼と角
・武器
HG カエルム&シグヌス
詳細
ソレアが愛用する回転式二丁拳銃。
いつも持ち歩いてる白い箱について聞いても「また今度ね」とはぐらかされる。一体何が入っているのか。
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