白球に込められた野球魂   作:シアン・シンジョーネ

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書いてる最中にiPhoneがダウン……やる気をなくして、こんな中途半端な文字になりました。
補足も書くのがメンドイ……(NOZAKI感)


第十三話 神高グループ

西武ライオンズ戦二日目。

今日の先発はメッセンジャーなので、小波は関係なく今日も一日過ごそうとする。それはいつもの一日ではないが。

 

 

「“神高グループ”が関与してるというのはわかったけど……問題はどこにあるかだな」

 

「そうね。白瀬、友子は“ジャジメント”だから知ってるわけないし……」

 

 

朝八時。ヒーロー達と小波は全国チェーンの喫茶店[NOZAKI]にて談話していた。

浜野は小波と話をすると、悩ましげな顔をしながらハムサンドを口にした。眉間に皺を寄せて考えてるものの、口に含んでるハムサンドの美味しさに感動してか、少しばかりを頬を緩ませているのがわかる。

ミルクティーを飲みながら小波はどうしようかと思考の海を漂流するが、どうしようにも案が浮かばない。

横目で隣の席を見ると“ダークスピア”兼カズの愛称を持つ和那と、この色物集団のリーダー芹沢が黙々とサンドイッチを食べ続ける。そしてそこには見覚えのない女の子が一人。

 

 

「……あれ、どちら様ですか?」

 

「桃色パーカー着たそばかすの事?あいつは“桃井百花”っていう子。私達の仲間で、みんな“ピンク”って呼んでる」

 

 

「へぇ」と言いながらもミルクティーを飲む。中身が少しだというのに気づくと、小波は新しくミルクティーをオーダーして、その桃井という女の子を舐めるように見た。

浜野の言う通り、桃色のパーカーを着ている。パーカーは特徴的な柄が入っていること以外特に目立つものではない。鼻の上にはそばかすがあり、髪型は茶色の短髪を跳ねさせた程度で、あまり見た目にこだわってるとは思えない。そのせいか顔はどこか中性的であり、服装次第では男の子にも見える風貌をしていた。

 

 

「なに、こっちジロジロ見て」

 

「いや、そばかすが気になって」

 

 

「気にしてるんだけど」と桃井は小波を睨みつけた。どうやら見た目と違って、外見のコンプレックスは気にしてるようだ。

 

 

「ところでシルバーさんとオトモは?」

 

 

未だに現れない“ジャジメント”所属の二人を呼ぶ小波。「まだその名で呼ぶんだ」と浜野は驚くが、小波にとっては白瀬とか友子と言う方が違和感を感じるのが本音だ。

浜野が桃井と目合わせすると、桃井は周りをしばらく眺めると「もうそろそろ」と桃井は言って、浜野は「だそうよ」と手元にあった雑誌を取った。

 

 

「『エール•ネジュー』の新作デザイン、今季のも大ヒット……今時の女性に、飾らない美しさと小悪魔チックさをねぇ……相変わらずどういう神経してれば、こんな独創的なデザイン作れるのよ」

 

「確か『エール•ネジュー』って今流行りのブランドだよな。千羽矢も冴花も愛用してる覚えがあるけど……あれのデザイナーの名前なんだっけ?」

 

「雑誌いわく“夏目准”だって。……私達ヒーローはこういうのとは縁がないから少し羨ましく感じる」

 

 

自虐的に笑う浜野に、小波はどう答えればいいか悩む。

こうして接してはいるが、小波とヒーロー達は千羽矢の件が無ければ赤の他人だ。知っていることはそう多くない。

ここは下手に出しゃばらず、自然体のまま話そうと小波は思うが、その前に和那が浜野の肩を組んで会話に入ってきた。「暗いなぁ〜、朱里」

 

 

「ウチなんか着ようにも着られへん。この図体やし、ウチ可愛くないから。落ち込むんやらウチやろ」

 

「……励ましてるつもり?」

 

 

怪訝な顔をしながら浜野は聞いてきた。

 

 

「いいんや、ただの自虐。朱里はまだ現役なんやし、着たほうがええと思うんやけどなぁ」

 

 

親父のように和那はお茶らけた態度で話すと、浜野はため息混じりに「考えてみる」と言って雑誌を閉じた。残していたハムサンドを頬張ると、浜野は何気無く車道のほうを見る。

 

 

「何あれ?」

 

 

浜野が見た先には、大きな黒いリムジンが到着しようとしていた。

電車の車両一台あるぐらいの長さを目の当たりにした小波は「どうやって運転するんだ?」と思いながらも、そのリムジンから出てきた者の姿を目に入れた。そしてすぐさま小波は、そこから出てきた人物の名を叫んだ。「オトモさん!」

 

 

「よっ、お待たせ」

 

 

リムジンから友子と白瀬が降りてきた。元気な友子とは逆に、白瀬はウンザリとした顔をしており、車内で何があったのか小波は気になる。

それを言及したところ、白瀬は「今から出てくる」とだけ言って、すぐに小波の視界から外れた。

 

 

「あんたは……!」

 

 

リムジンから出てきた人物に、誰よりも早く和那が反応を示す。続けて浜野、桃井、小波と驚く。芹沢に至っては無表情が過ぎてマイペースに朝食をとり続けるが、内心では驚愕しながらその人物を見続ける。

 

 

「はっはっ、待たせたな……。私は“ジャジメント”日本支社の社長、神条紫杏だ」

 

「秘書の甲斐です」

 

 

ビジネススーツを身に纏う二人の女性がリムジンから出てくるのを見て、驚くなというほうが無理だろう。相手が世界一の技術力を持つであろう大会社の幹部なのだから。

 

 

「シルバー……球団は?」

 

「特に何も」

 

 

あれ、この二人似てる?と白瀬と甲斐の横顔を見て小波はそう思った。

甲斐と白瀬はもしかして姉妹ではないかと小波が聞くと、当の本人である白瀬は「そういう感じ」と答えを明確にせずにまだリムジンを眺め続ける。

どうやらまだ人がいるようで、そこに視線を向けると二人の男が降りてきた。どちらも渋いサングラスと地味めなスーツを着ている。

 

 

「ボディガードの犬井と洗谷だ」

 

 

二人して「よろしく」と無愛想な態度で答えると、紫杏の両隣へと立つ。秘書の甲斐はすぐさま一歩引き、紫杏の背後へとその身を置いた。

 

 

「いやいや、なんで紫杏が絡んでくるんや」

 

「おいカズ、私とて“ジャジメント”の上に立つものだ。それなりの事情は把握してるし関与もしてる」

 

 

「それもそうね」と浜野が横槍を入れると、和那は苦虫を潰した顔で口を閉じた。

 

 

「それじゃあ改めて。私の名前は“神条紫杏”だ。今回の事態には、カズに言ったとおりだから説明を省く」

 

 

どうやら社長にも関わらず、随分サバサバした人物なのが小波から見てわかる。

 

 

「私は長ったらしい説明が嫌いでな……故に単刀直入に言おう。雨崎千羽矢は、ここ埼玉の『神高航空発祥記念館』に囚われてると考えられている」

 

 

『神高航空発祥記念館』とは、旧名『所沢航空発祥記念館』として埼玉の名所として名前を輝かせていた場所でもある。

航空の名の通り、飛行機などが展示されており、歴史の詳細などが飛行機ファンなら堪らないほどだが、前年に“神高グループ”に謎の買収をされた過去も持つ。

 

 

「元々どういうわけで買っていたか不明瞭だったが……今回の事態と、神高の名前、それに“デウエス”から得た情報からほぼ断言できる」

 

「どうしてですか……?」

 

「君はプロ野球選手の小波だな。だったら知ってるだろう“小杉優作”という男の名前を」

 

 

紫杏の口から出てきた人物の名前は、小波を奮い立たせるには十分なものだった。

小杉優作、それはNPBで僅か四年間だけ大活躍したスタールーキーだ。一年目から活躍をして二冠と共に新人王を取り、二年目も本塁打王と打点王になる歴代最高の二塁手スラッガーとして名を馳せてもいた。

しかし、三年に謎のスランプとマスコミとファンに対する暴力行為で謹慎処分。まるで人が変わったようだったが、四年目にはまさかの投手にコンバートして三試合連続完封。150キロの速球に鋭いスライダーとシュート、落差のあるフォーク。何よりも揺るがない勝負強さと、投球に対する闘志に打者は怯み、最終的にはその年で最多勝、勝率第一位、最優秀防御率を記録するという大谷もビックリの二刀流となった。日本列島すべてがどよめいたのは、まだみんなの記録に新しい。

しかし五年目に謎の失踪。メジャーにでも行ったんじゃないかと冗談気味に囁かれていたが、結局はどこにも見つからず、数週間に及ぶニュースで情報を集めたりもしたが発見されずにそのまま時の忘れ物となった男でもある。

 

 

「そいつを十何年かぶりに発見してな。デウエスによれば『神高航空発祥記念館』で監禁されてるそうだ」

 

「……そんな情報信じると思います?」

 

「信じようが信じなかろうが自由にしろ、事実は事実だ。現に画像で見せられもしたしな」

 

 

胸ポケットから写真を散らつかせる挙動に、小波は「そうですか」の一言で済まして話を戻した。

 

 

「つまり、小杉さんがそこにいるから同じく神高に攫われた千羽矢もそこにいる……ということですよね」

 

「我ながら安直だとは思うがな。だが、そうやって考えるのが自然だ」

 

 

「それに」と紫杏は話を続ける。「浜野も昔そこに潜入したしな」

 

 

「そうなの!?」

 

 

素直に驚く小波に、浜野は「ええ」と答える。

 

 

「話したけど“ジャジメント”関係者でね……不正諸々の都合もあったし、ヒーローの役目として行ってきたのよ」

 

 

「結構前だけど」と言う浜野は、どこか楽しそうだった。

 

 

「そこには不正実験の塊……人の頭蓋骨ようなものが粘液に漬けられ、脳味噌もポッドの中」

 

「それ、メディアに言えば良かったんじゃ……」

 

「馬鹿ね。“神高グループ”は今や日本限定すれば“ジャジメント”と引けを取らない資金と技術力を持っているの。そんなのが問題にでもなってみなさい、あなた達が使ってるヘルメットからバット、それに日曜製品まで一気にガタ落ち。同時に野球だけでなくあらゆる業界の信頼もなくして、日本に混乱を与える。そんなことになってみなさい。揃いも揃って日本の“神高グループ”の技術を奪い合いになって、地球上で問題騒ぎ」

 

 

「そんな大袈裟な」という小波に、浜野は「それがあなたが踏み込もうとしてる世界」と眉を細め、ゆっくりハッキリ警告するように言った。

 

 

「……言い過ぎた。本題に戻りましょう」

 

「そうだな。というわけで私は雨崎千羽矢もそこにいると思っている。今度は嘘ではないぞ」

 

 

ミーナに吹き込まれた嘘を気にしてるのを理解された小波は、渋々と受けるように「そうですか」と言って頭を掻いた。

 

 

「よし。他も異論はないな」

 

「大丈夫や」

 

「…………うん」

 

「了解」

 

「私も平気」

 

 

ヒーロー達が順に答え、そこで紫杏は「よし」と言う。

 

 

「では、向かうとするぞ」

 




【補足コーナー】



Q.喫茶店[NOZAKI]
A.お帰りくださいませ、ご主人様。


Q.桃井百花って?
A.パワポケ12での彼女候補。グラ自体はパワポケ9からあり、初登場はパワポケ7。そばかすがチャームポイント。


Q.桃井が男に見えるって?
A.実話。初めて見た時、顔が男みたいと思ったし、それに似た関連のイベントもあるので弄ってみた。


Q.『エール•ネジュー』って?
A.フランス語で綴りは『Ailes neigeux』で、意味は雪の翼だって偉い人が言ってた。


Q.夏目准って?
A.パワポケ14での彼女候補だが、初登場自体はパワポケ9から。准が攻略できないのはバグだった。


Q.洗谷って?
A.地味だがメチャンコ強い人。ホンフーよりちょい弱いぐらいらしい。


Q.『神高航空発祥記念館』……
A.再び埼玉には犠牲になってもらいます。


Q.小杉の成績について。
A.パワプロ2013でそんくらいの投手がそうなったから、そのまま採用。今週のパワチャレが野球マン一号なのでしばらくゲーム漬け。


Q.大谷って?
A.日本ハムの投手“大谷翔平”のこと。平均球速は155キロ、変化球は140キロ、最高球速は160行ったりと常人離れ。打者としても強く、本塁打も打てたりする。藤浪と同期であり、私はこの世代を『大谷世代』と呼んでます。ちな虎。


Q.脳味噌ポッドIN。
A.メロンパンの間違いです。


Q.“神高グループ”の影響大袈裟過ぎない?
A.強すぎる力は時に大きな束縛でもある。実際、神高はそれぐらいの力があると把握してください。
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