高校イッチーの私は勉学に励むので、更新は二日か三日後になることでしょう。
では、本編始まります。
慣れないリムジンに揺られて一時間。小波は目にある現状に嘔吐をしたくなるレベルだった。
のんびりとマイペースに座席の片隅で猫のスキヤキと戯れる芹沢。揉みくちゃにされて潰されている浜野と桃井、そして押し潰す和那。白瀬と友子に至っては二人仲良く優雅に外を眺めている。
こいつら真面目にやる気があるのか。あまりの一体感のなさに、それだけで小波の心を不安の一言で満たしていく。
「……シーズン調整できてないなぁ」
三日後には小波の先発で“北海道ソフトバンクホークス”との試合だ。
半ば現実逃避気味に考える小波に、既に正常の二文字はない。千羽矢への心配を隠すように、彼は一寸ばかりの未来を見通していた。
「こういう時、自分の能力が便利だと思うよ!」
“神高グループ”が持つ『神高航空発祥記念館』のある場所にて、千羽矢は狭い通路を掻き分けるように逃げていた。
背後から聞こえる獣の声と断末魔。そして足元に広がる人とも獣とも言えない大きな足跡。
悪態を軽くつく千羽矢の背中には、不気味にうねる数多の触手。近づいてくる獣をすべて触手で切り払うと、後ろを振り向かずに千羽矢は一心に前へと駆ける。
「さっきから見つかりすぎなんだよね……考えられるとすればっ!」
譫言のように千羽矢が呟いた直後、千羽矢は自らの触手を頭に突き刺した。
とんでもない激痛に千羽矢は酸素を求めて喘ぐが、数秒すると触手は千羽矢の頭から抜け、その先端には銀色に光る小型チップがあった。
「やっぱり発信機……となれば」
千羽矢は意を決して服を引き千切る。お気に入りのファッションだったが、気にしてる暇はない。続けて千羽矢は下着も破ると、生まれたままの姿を日の下に晒す。
恥じらいはあるのだろう、少しばかり頬赤く染めて触手を身に取り憑かせる。やがて触手は悍ましい卵となって千羽矢を閉じこめると、近づいてくる物体すべてに反応するかの如く、周りの生物を微塵に叩き切る。
硬質化した触手は機械じかけの壁と床を削り、牙を剥き出しに荒れ狂う獣を屠る。その様はまるで蜂の巣を守ろうとする蜂の防衛本能のように動き続け、領域に足を踏み込む輩を一人、一匹と着実に葬っていく。
誰しもが疑問に思うだろう。千羽矢の触手はどういう原理と理由で成り立っているのか。自らが操る触手は、一体どこから作られたのか。
答えは簡単、千羽矢そのものを媒体に触手は作られているのだ。
千羽矢は自分の細胞の一部を触手に適した硬質な細胞へと変化させ、辺りの敵を虐殺する。そして媚びりついた血を媒体にまた新たな細胞を生み出して触手を量産する。
しかし、そんな気味の悪いものを量産させるのが彼女の能力の本質ではない。
彼女の能力の最大の長所、それはいかなる細胞を自分のものにすることができることだ。より正確に言えば、いかなる細胞に自分の細胞を変化させる。
触手の硬質化も、他者の血を触手へと変えるのはそれに適応する細胞へと変化させて自分のものとして扱うからだ。
だが、それは逆もできるのだ。自分の細胞を他者の細胞に適応させることも。それにはどういうメリットがあるか?
細胞を変えるということは、もっと根本的に言えば他人になることができるのだ。指紋も声帯も体臭も、元を辿ればすべて細胞が関わってくる。
防犯用の声帯認証も指紋認証も難なく掻い潜り、赤外線も熱を持たない生物へと変えれば反応させない。その気になれば顔すらも変えることができる。
触手の卵から出てきた千羽矢は、何故かジャージを着ているが、これも細胞変化の応用だ。細胞をジャージに似せた、ただそれだけだ。
「はいはーい♪ちょっと通るから」
各所にある指紋認証と声帯認証を千羽矢は潜り抜けて、止まることなく廊下を走り続ける。度々会う獣はすべて叩き潰し、銃を持つ人は薙ぎ払う。
壁に叩きつけられた肉塊は血を飛ばすが、千羽矢の心が痛むことはない。別に千羽矢が残酷と言うわけでも、ましてや殺戮が好きと言うわけではない。
千羽矢はこれらの生物の事情を知っているからこそ、躊躇なく辺りの敵を葬る。悲しみと怒りを宿した瞳で自分の周りを血の海に染めた。
「逃げることはありません」
その血の海を迷いもなく足を踏み入れた者が一人。四十代過ぎの熟女であり、品の良いピアスと指輪から考えて相当な金の手練れのようだ。千羽矢は顔を上げて、その人物に触手を見せつける。
「そこから一歩でも動いてみなさい。どうなるかわかるでしょう」
「そうやって正義の仮面を被り続けるんですか。笑わせてくれますね、あなたの周りに浮かぶ肉片のどこに正義が、善があるというのですか」
「誰がいつアタシが正義って言ったの。アタシはただ……あなたのような軽い女が嫌いなのよっ!!」
触手は床と壁を引き裂くように叩き込まれたが、女性は衝撃を受けないまま霧のように消えていく。
立体映像だったことに舌打ちを打つ千羽矢だったが、視線を感じて後ろを見た。そこには先ほどと同じく立体映像で投影された女性の姿が笑っていた。
「セキュリティを突破したりと少しは賢いと思いましたが、力任せにそれを振るうだけ……やはりアナタの能力は私が生かすべきでしょう。きっと次世代の架け橋になります」
「そんな安い勧誘に乗るなんて、今時の三流でもありえないよ。それに……アナタのやり方は間違ってる」
「どこが?」と鼻で笑う女性。馬鹿にするように笑い続け、そのまま千羽矢に話しかけてきた。「誰もが願っています」
「かつての伝説をその目に焼き付けたい輩……衰えぬ一流の姿を見たいと言う輩……そして命を亡くすのが惜しいと考える輩……。あなたもそう思うし、そうでしょう?いつまでも愛した人とずっと一緒にいたいと」
その言葉に千羽矢は否定を示すことはできなかった。ただ言っていることの事実と現実に、悔しがりながら爪が食い込むまで手を握る。
「それが嫌だ、という人はいくらでしょうか。ハッキリ言いましょう、ゼロです。限りなくのではなく、確実にゼロ。誰もが認めるに決まってます。だって愛した人や伝説の人が、色褪せることも朽ち果てることもなく存在し続ける。まさに夢みたいな光景、誰が否定するというのですか。仮に夢なら誰もがこう思います。『このまま覚めないで』と」
口を閉じ、千羽矢は聞き続ける。女性の言葉を、魔法が罹ったかのように沈黙して聞き続ける。
「まぁ、あなたの価値観が変わることはないと思いますし……ここは一度、彼を見てからにしてもらいましょう」
「彼……?」
「お忘れになりましたか、小波君ですよ。プロ野球選手であり、あなたのハートを射止めたもの」
その名前に千羽矢の体は数珠のように貫かれた。腕から足にかけて徐々に動かなくなるのを感じる。必死に動かそうと動けず、口に出たのは震えた言葉だけだった。「やめて……」
「小波は関係ない!普通のプロ野球選手じゃない!」
「その普通と生きようとしてるのが、普通ではない化け物のアナタなのです。化け物は化け物らしく闇の世界に蹲ってるといいわ」
「さて」と言い、そこで女性は千羽矢にまた別のを投影した立体映像を見せた。そこには『神高航空発祥記念館』と石に掘られた巨大な建物が見える。その前に多くの女性と屈強な男性たちがいるが、その中に小波が混じっていた。
「私の言い分は聞くのもいいでしょうが、ここは完膚なきまでアナタに教えましょう」
そこで女性の立体映像は消えて、血みどろの廊下に一人の化け物が膝を崩す姿と小波を写した映像だけが残る。
掠れるような声で化け物は叫んだ。「逃げて」と。
「…………いつ来てもいいように警戒してて」
「まさか記念館の下にこんな大通路があるとはね。明らかに何かあります感いっぱい」
『神高航空発祥記念館』の来て、すぐさまに関係者通路に入った小波は驚くしかなかった。
横と縦が3メートル以上はある真っ白な四面の世界。汚れなど塵一つなく、来るものすべてを引き込むも、すべてを拒絶するような感覚に小波は襲われる。
「どうや、ピンク」
「問題なし。赤外線センサー張ってるわけでも、落とし穴もあるというわけでもない。ただこの真っ白な空間が1キロあるぐらい」
こんな空間が1キロ、想像するだけで小波は吐きそうになった。
体の基礎作りに何キロも走ったりするので距離自体は問題ないが、真に気にすべき問題は『真っ白空間』という見える地雷ワードだ。
もう一度大通路を眺める小波。タイルのマス目もなければ汚れもない、塵も無い。こんな変わりばえのない空間が1キロ渡る。気が狂う自信が湧いてくるのを小波だけは感じた。
何かいい移動方法はないか、と考えもしたがヒーロー達を見て「無い」と小波は断言する。
食事も消費期限過ぎを食わせたりとままならず、生活費は唯一まともだという桃井に任せる始末。挙句にはバイクどころか自転車も持たないこいつらに、移動手段を求めるという考えが既に間違っていた。
小波の考えは見事に的中し、この1キロある白空間をみんな走り出した。中々キツイ状況に晒されたが、数分後には1キロの廊下を渡り終え、小波達と大きな扉の前へとたどり着く。この時小波は片隅で嘔吐いていた。
「……罠は無いけど、変な物は置いてあるよ」
「便利だな、その透視能力」
呆れたような声で小波が桃井を褒めると、桃井は鼻を高くして「ふっふ〜ん」と自慢気に言う。
「今のご時世情報戦よ。真っ向から挑むなんて最近の戦隊モノでもやらないって」
そんな桃井が持つ能力は本人の言うとおり情報戦に長けた物だ。自分のあらゆる五感を数十倍にまで強化して、先の物や動きを予測する。
さすがに嘘だと小波は思っていたが、リムジンでのジャンケン百連戦で百連敗したので桃井の能力は既に実証済みだ。
「ねぇ、ピンク。さっきの変な物の話だけど……たぶん、それって私が話した脳味噌ポッドだと思うよ」
「えー……あの水槽の中に脳味噌入れてる光景があるの?一応調べて見るけどさ」
そう言って再び桃井は扉を見つめる。
小波が芹沢に「何してるの?」と聞いて見ると、芹沢の返答は「レントゲン」とド直球なものだった。
桃井の五感強化にはある隠された力がある。それは芹沢が言ったとおり視覚の強化をフルに使うことで、自身の脳にレントゲン写真のように白黒な視界が現れるというものだ。
しかも実際にレントゲンの原理で脳に写してるため、目からは放射能が出ており、使ってる本人も当たられた対象も負担があるので、多様したがってはいないと和那が述べた。
「うわぁ……脳味噌が商品棚みたいに並べられてる……。悪趣味以外の何物でもない」
「嫌だなぁ。私も人の記憶は見たりするけど、脳を直接見るのは……」
今まで口を開かずにいた友子は、顔を顰めていかにも嫌ですよ、という表情を作った。
というか誰だって嫌に決まっている。脳なんて死んで火葬する時には既に消えてるのだから、見るとしても保健体育の教科書に載ってる人体模型の構図ぐらいであろう。それですらグロテスクだというのに、それを生で、しかもポッド越しだけという超近距離で目にするのだ。小波だって二度吐く自信がフツフツと煮え滾ってくる。
「まぁ、あまり見たいものじゃないのは確かね。慣れちゃえばどうってことないけど」
非情なほどバイオレンスな発言をする白瀬に、小波はただ冷や汗を垂らすしかなかった。
「…………ピンク、他はどう?」
「うるさいよブラック。邪魔したら放射能ぶつけるやるから」
未だに集中して内部を透視する桃井。真剣な眼差しをしてしたが、その目はすぐさま消え去り驚愕の一色のみに染まる。
「一つ二つ……人型のまま漬けられてるのがある。しかも一つはレッドじゃない!?」
「……レッド!?」
いつもより格段に早い反応で、芹沢は扉をこじ開けて中に入った。周りの静止を効かずに走り続け、同時に桃井も芹沢の後を追う。
「誰ですか、レッドって!?」
「よくは知らへん。旧友というごとぐらいや」
眉を細めて和那も続いて後を追う。順に浜野、白瀬、友子と入り、次に小波。扉の前で警戒しながら紫杏と甲斐だったが、犬井と洗谷が周りを囲むと恐る恐る足を踏み入れた。
「本当にやってやがる……!」
事前に伝えられていたが、部屋の内部は狂気が充満していた。
何十にも及び水槽の数々には、一つずつ丁寧に脳髄が置かれている。中には血管を破かれて血だらけになった水槽もあれば、子供の遊び道具のように弄ばれてミンチ状になっているものもある。
嗚咽が小波を襲いかかるが、彼は胃からこみ上げるものを吐かずに、感情の思いをそのまま吐き出した。「ふざけんな」
「人の命を何だと思ってるんだよっ!」
近日で何度怒りのまま拳をぶつけただろうが。小波の拳は壁へと叩きつけられ、僅かだが血が滲む。
その時、中央に吊り下げられていた大きなモニターが動き出した。
『やはり似たもの同士ですね、同じことを言ってますよ』
液晶画面には電子ボイスと共に女性の姿が映る。四十代過ぎの熟女であり、身に纏う装飾品がいかにも金持ちというを象徴している。
青く巻き上げられた髪を一度払うと、女性は『どうも』と前置きとして自己紹介した。『私は“神高グループ”の社長です。名前はそのまま“神高”とお呼び下さい』
「神高ぁ!千羽矢はどこだ、どこにいる!今すぐ返せっ!!」
『嫌だ、と言いたいことですが……奥を見てください』
そう言われて小波だけでなく、紫杏一行と和那と浜野は奥を見る。そこには他の水槽よりも明らかに大きく、それらは合計で三つある。そのうち二つは既に壊されており、一つからは芹沢と桃井が赤いマスクとライダースーツを着た、まさにヒーローに相応しい格好をした不審者を肩に背負って救出しようとしていた。
『見ての通り、もう一つ空のポッドがあるんですよ。そこに漬けた千羽矢さんは『自らの力』で内部からぶち壊してまして』
「千羽矢が……!?」
『あれ、ご存知ではありませんか?彼女は自らの細胞を変化させて殺戮を楽しむ化け物なんですよ』
そこで神高は『まぁ』と一息置いて、自らの額に指を置いた。
『別に意思の無いプロトタイプですから、彼女には何の罪もありませんけど』
「プロトタイプ……!?」
嫌な言葉に、小波は背筋に怖気が走る。
『はい。どう足掻いても彼女は化け物には変わりありませんけどね』
「どういうことだよ、説明しろよ、答えろよ、神高……。プロトタイプってどういうことだ……説明しろ、答えろ、神高ぁ!!」
声を張り上げて怒号を叫ぶ小波。彼の怒りは既に限界を超え、手元にあった調整用のスパナをモニターに剛速で投げつける。
同時に舞う画面の欠片。砕け散ったモニターからはもう声しか届かず、神高は『今からお見せしましょう』と言って、奥の扉を開いた。
そこには大きな空間があった。今までの白い空間が嘘のように、そこには緑が溢れていた。中央には見るからに質の良い土に、ダイヤモンドを描いた白い線、そして高いフェンスの壁と電光掲示板。誰が見てもドーム型の野球場のマウンドには、二十を超えた成人男性が並び、その顔すべてに小波は見たことがあった。
「“王貞治”、“落合博満”、“松井稼頭央”、“長嶋茂雄”、“鈴木一朗”、“福本豊”、“松井秀喜”、“野村克也”、“江夏豊”……!?」
まだ見知った顔がいる。投手には“野茂英雄”、“ダルビッシュ有”、“田中将大”、“金田正一”、“沢村栄治”、“景浦将”、“藤川球児”、“ジェフ・ウィリアムス”、“佐々木主浩”、“浅尾拓也”、“岩瀬仁紀”が。
野手には“ランディ・バース”、“清原和博”、“タフィ・ローズ”、“坂本勇人”、“小笠原道大”、“張本勲”、“赤星憲広”、“山本浩二”と誰もが一度聞いたことはある名前ばかりだ。
「どうですか、これがプロトタイプの完成形……伝説を形にした最強のプロ野球チームを!」
奥から先ほどの女性が実態を持って姿を表す。頭には『K』の文字が掘られた帽子を被っており、今まで述べた歴代最高野球選手達の帽子にも、その『K』の文字が掘られていた。
「アナタ達には今からゲームをしていただきましょう!アナタ達は今から、私が作り出した伝説を相手に野球をしてもらいます。万が一勝てたら雨崎だけでなく、ここに囚われたすべての人を解放して上げましょう」
不敵な笑みを浮かべて神高は「しかし」と言う。
「負けたらアナタ達すべては私の実験道具です。安心していいですよ、負けたとしても彼らと同じようにワタシの思い通りに動く複製品として外に出しますから」
そこで神高は狂気に染まったかのように高らかに笑った。
ここから出ようとしても、既に扉は固く閉ざされており、出ようにも和那の一撃では歯がたたず、槍が元が折れてしまう。
「こりゃ普通やないで……何か特殊なことしてる」
「だとしてもここは受けるしかないぞ。先ほどの場所には、小杉もいるのだからな」
そこで紫杏は戦旗を立てて神高の前へと歩む。
威圧的な視線を送り、紫杏が「その勝負、受けて立つ」と言って神高は勝ちを確信したように笑った。
「では一時間後に試合開始です。それまでに役割を決めてください」
それだけ言って、神高は伝説選手達を連れてベンチへ腰をかけた。
不安がいっぱいな小波に、紫杏は「安心しろ」と力強く言った。
「これでも少しは監督経験がある。まず、投手は君だ」
いきなりのポジション決めに小波は異議を唱えようとしたが、それよりも早く紫杏は告げて行く。
「一塁カズ。二塁白瀬。遊撃ピンク。三塁甲斐。捕手トモ。外野はブラック、浜野、それに……そこの赤いヒーローを使うとしよう。貴様、起きてるのだろう?」
「“ジャジメント”社長にはお見通しですか」
紫杏の一言に、先ほどレッドと芹沢達が呼んでいた男が起き上がる。身長は小波とそう変わらず、声はどこか大人びた声をしていた。
赤いマスクとライダースーツ、それに黄色いマフラーが何よりの特徴であり、レッドの名の通り、戦隊モノなら主人公であろう人物がそこにはいた。
「外野は俺に任せとけ」
「ストップ、ストップ!勝手に決めないでください!ましてや野球経験があるのかどうかもわからない人に……」
「あるぞ」という紫杏の即答に、小波は間抜けな声出した。
「ブラック、レッド、ピンクは実際にこのポジションで野球をしていた。カズと浜野もソフトボールぐらいはしたことはある。白瀬と甲斐はこう見えても運動神経は人の数倍はあるからすぐに手慣れてるだろう」
「そこまではいいですよ!問題は捕手なんですぅ!」
小波の最高球速153キロを見た目可愛らしい乙女が受け止める。小波は想像したが、その結果は無理の二文字だ。
しかも投球はいちいちタイムをかけて話し合うのではなく、投手と捕手の間で決めたサインで配給をしている。そんな意思疎通もできてない状況で「捕手をやれ」というのは無理としか言いようがない。
「身体能力だけならそうだろうな。しかし、トモは記憶を探る能力がある。それでお前の投げる球をわかってもらえ」
「百歩譲ってそれでいいとしますよ。でもソフトボールじゃあ……」
「ソフトボールをやってる連中は制球に乱れを起こすのも考慮済みだ。一塁に体の大きいカズを使うことでカバーできる範囲を増やし、浜野を野球経験者二人でカバーする。一塁は送球も少ないしな。それに相手強打者のほとんどが左打ちだ。全部ホームランになることを前提に考えれば、出番が少なくなるであろうライトに浜野を置いておく」
「……内野は」
「さっきカズが説明していたし、お前もジャンケンで百連敗したからわかるだろう。ピンクは動きを先読みできる、それを利用して彼女には内野の守りの要である遊撃手だ。甲斐もピンクにフォローできれば安心してプレイできるだろう」
即興とは思えない守備位置決めに、小波はただ呆然とした。ライト側の守備が越されるのを前提にすることで、ライトの守備をゆるくしてレフト線の守備を固くしてきた。個人の能力と特徴をしっかりと吟味し、適切な配置をしてく手腕は、社長の名は伊達ではないと小波に思わせた。
「お前の言いたいこともわかる。女性にやらせるより、男性にやらせたほうがいいと。既にわかっていると思うが、この試合は普通ではない。そのために犬井には試合裏を任せる。洗谷は当初の通り私のボディガードだ」
「以上、反論を聞こう」と紫杏が聞いてくるが、現役野球選手の小波から反論が無い時点で決まりきっている。
紫杏は胸を張って「よし」というと、小波の肩に手を置いた。
「オーダーは任せて、残りの時間は各自の連携に移ってくれ」
紫杏の言葉に小波は「わかりました」と答えるしかなかった。
【補足コーナー】
Q.久しぶりの千羽矢。
A.頭に触手ぶっ刺したり、無双やってて能力を全力行使しております。
Q.千羽矢の能力。
A.それは更なるおまけ補足コーナーで説明いたします。
Q.千羽矢「普通のプロ野球選手じゃない!」
A.プロ野球選手というだけで、既に普通ではありません。
Q.桃井の能力便利過ぎ。
A.実際にそうだし、放射能も飛ばせるの本当だし、動きの先読みも事実だし。文句はパワポケスタッフに言ってください。
Q.レッドって?
A.パワポケ7で初登場。投手能力高い、打者能力高いとまさに主人公能力。パワポケ14でも再登場し、その舞台ブギウギ商店街に愛着を持っている。そんな感情を持った主人公がいたりするが……?ちなみに通り名はタフでクールなナイスガイ。もしくはイキでクールなナイスガイ。あれぇー、既視感があるぞぉ?
Q.小波ご乱心。
A.千羽矢攫われたり、意味のわからないことに巻き込まれたり、トラウマもんの見たり、ストレスが溜まらないほうがおかしいです。
Q.王貞治、落合博満、松井稼頭央、長嶋茂雄……etc
A.全員全盛期の力です。メンバーは『ぼくがかんがえたさいきょーのやきゅうちーむ』です。阪神要素が多いのもそのためです。ちなみにパワプロ8でも実際に『伝説最強戦』があります。メンバーは違いますが、結構強いです。
Q.紫杏の采配。
A.理由をとってつけて真剣に悩んだ結果がこれです。別名、オレ流采配(ドヤァ)
Q.王貞治って?
A.世界のホームラン王。シーズン本塁打は抜かれたが、通算記録はいまだに不動の800越え。
Q.落合博満って?
A.オレ流采配の人。三冠王とったりと本塁打記録が50超えたりと超凄い。
Q.長嶋茂雄って?
A.ミスタージャイアンツどころか、ミスタープロ野球。彼がいたからこそ野球は日本でメジャーなスポーツになったといっても過言ではない。ただ天性の感覚の持ち主で、練習のイメージを擬音で伝えたり、バラバラのバッティングフォームでヒットを打つので、よい子のみんなは真似しないほうがいいプロ野球選手ブッチギリの一位。
Q.鈴木一朗って?
A.みんなご存知、日本球界どころか世界の歴史に残る最高の外野手、その名もイチロー。全盛期は一打数三安打だったり、ホームランは内野安打の打ち損ないだったりするが真偽は不明。なお、イチローのレーザービームで地球が崩壊することはあったりなかったり……。崩壊したら新井が悪いということで。
Q.松井秀喜って?
A.あまり口にしたくありませんが顔が残念。しかし、そのホームラン技術は王貞治の引けをとらない。アーチストと呼ばれたりしたらしいが、メジャーでは通用し辛かった模様。愛称はゴジラ。なお稼頭央のほうはリトル松井。
Q.野村克也って?
A.珍言&名言の「マー君、神の子、不思議な子」を生み出したツンデレおじちゃん。彼は配給比率などを計算してプレイするデータ野球を行い、見事球史に残る大記録の数々を打ち立てた。そんな彼の最も偉大な功績は、福本を止めるために作られた盗塁阻止の『クイックモーション』だというのは間違いない。彼がいなければ日本の野球は後10年遅れていた。
Q.野茂英雄って?
A.みんな大好きトルネード投法の元祖。まともに使える変化球がフォークぐらいだが、投法の球の出処が見にくく、しかもかなり落差のあるフォークと超速球と駆使して奪三振をもぎ取る姿に、日本ではドクターKと呼ばれている。ちなみにパワポケではトルネード投法は、はがね投法と呼ばれている。ちなみにKは神高ではなく、三振のK。
Q.ダルビッシュ有って?
A.史上最強といっても過言ではない大投手。10以上にも及ぶ一級品の変化球と150後半は行く力の投球にはメジャーでもメロメロ。メジャーでは大活躍し、ノーヒットノーラン寸前までやらかしたりと色々おかしい。ただそんな彼はTwitter芸人である。ちなみに彼の弾道は8。
Q.田中将大って?
A.みんな大好きマー君。2013年のペナントで24連勝と1セーブという意味不明な成績を残し、楽天日本一の原動力となった。ペナントの『田中の八球』は球史に残っていいレベルの名シーン。なおドルオタピッチマンマークソとは別人らしい。
Q.金田正一って?
A.通算記録第一位が多すぎな大投手。本人の性格に超がつくほど難があるらしいが、その成績に歪みはない。昔の野球は実力がないので今やればゴミ屑、という意見があったりするが、映像検証したところ全盛期金田正一の球速は158キロあったらしい。すげぇ。
Q.沢村栄治と景浦将って?
A.職業野球は沢村が投げ、景浦が打って始まったと言われるほどのプロ野球選手。決して二人はプリキュアではない。沢村栄治は後の『沢村賞』として名が彫られ、未来永劫彼の名前は残るであろう。景浦?そんなことは俺の管轄外だ。
Q.今回の補足長くない?
A.黙れ(キレ気味)、野球選手についてぐらいは語らせろや!(ブチギレ)
Q.藤川球児って?
A.阪神タイガース歴代最高の中継ぎ兼抑え投手。名前の通り野球をするために生まれたような人であり、その速球は『火の玉ストレート』と呼ばれるほどノビと速さがある。メジャーに行ったが、現在行方不明。どこにいるんでしょうかね(白目)
Q.ジェフ・ウィリアムスって?
A.何かすごい中継ぎ投手らしいです。外国人投手は特に興味ないのでわかりません。ただ強いらしいです、はい。
Q.佐々木主浩って?
A.ハマの大魔神と呼ばれた横浜の切り札。彼がいる限り、横浜との試合は七回で終わるというほど投球技術が優れている。横浜にはこんな選手もいたんだ!(*^o^*)
Q.浅尾拓也って?
A.球界屈指のイケメンクローザー。実力は折り紙つき。岩瀬のセーブ記録のため、踏み台によくされている。最近では岩瀬の介護士になったとか……?
Q.岩瀬仁紀って?
A.球界最高の抑え。シーズンセーブ記録がぶっちぶりで、その実力は高い。ただ浅尾介護士が慣らした試合をメチャクチャにしちゃいがちとのこと。果たして岩瀬は浅尾の介護から抜けることはできるのか?
Q.投手終わったぞ。
A.次は野手控えですよ。最後まで付き合えよ(逆ギレ)
Q.ランディ・バースって?
A.阪神タイガースので歴代最高の打者。本塁打記録も王貞治に並ぶ寸前だったりと、球界でも最高クラスの助っ人外国人であろう。見た目がケンタッキーのおじさんに似てるので、優勝のテンションでファンがおじさんを湖に落とした。実はカーネルおじさんの呪いの関係者。
Q.清原和博って?
A.無冠の帝王とか呼ばれてるが、三振王という不名誉な王冠ぐらいは持っていたりする。番長と呼ばれ恐れられたりしているが、デッドボールはぶつけても謝れば仏の顔で許してくれるぐう聖。しかもデッドボール受けても平然とした顔で一塁に歩く、無駄に頑丈。
Q.タフィ・ローズって?
A.本塁打が王貞治と並んだらしいよ。それ以外はあまり知らない。阪神以外の外国人あまり興味ないので。
Q.坂本勇人って?
A.歴代でもトップクラスの遊撃手らしい。目立った記録はないが、元々遊撃は守備が専門だったりするので仕方ない。打撃成績は悔しくも鳥谷よりいいので、このチームに入れました、こんちくしょう。
Q.小笠原道大って?
A.愛称ガッツ。色々と記録はあるが、やはり先にあげたのと比べると地味地味アンド地味。でもガッツはガッツ。ただし巨人の小笠原と、巨人小笠原は別人。サンキュー、ガッツ。ファッキュー、カッス。
Q.張本勲って?
A.トリプルスリーをナチュラルにやっちゃう、守れる安打製造機。首位打者もとったりと凄いには凄いのだが、それよりもキチガイ外野手がいるので今回はベンチを温めてもらいます。
Q.赤星憲広って?
A.盗塁の貴公子。盗塁をするためだけに生まれた俊足の持ち主。愛称はレッドスター。その代わり本塁打は出さない。しかし盗塁一つにつき車椅子を一台寄付したりと球界屈指のぐう聖。そんな彼は不運な事故で現役を引退。阪神ファンとして泣きたい気持ちです。
Q.山本浩二って?
A.バッティング記録もいいらしい外野手、僕はよく知らない。正直書いた後で珍記録と珍事件が多い金本アニキのほうがいいのではないかと思った。
【おまけの補足コーナー】
〜千羽矢の能力について〜
実は今回の千羽矢の能力、一部はパワポケ本編で登場しておりません。オリジナルというか、元々ある千羽矢の能力に工夫を入れたというべきでしょうか。
とにかく千羽矢は声帯変化や指紋変化は確かやっておりません。しかし自らの細胞を硬質化するのは可能だし、触手に変えたりするので、それぐらいの芸当はやってのけるかなぁ……と思い、今回の変化応用を追加いたしました。
以上、千羽矢補足でした。