「え、なんだこの手札……」
自分の頬が引きつっているのが分かる。その原因は自分が握りしめている5枚の
「どうした?先行はお前だぞ。それともデュエルを諦めたのか?」
「ガタガタうっせぇ。今手順を考えてんだよ」
軽く言い返しつつ、俺は焦る思考を落ちつけようとこの状況に至るまでの出来事を思い返していた。
「ようやく…ようやく手に入れたぞ!最新式デュエルディスク!」
この
もちろん紙のカードを持っていないわけではない…どころかちょっとした大会で優勝できるくらいのデッキは持っているのだが、データ式にこだわったのには理由がある。
「アルトリウス様、この『カタナ』という剣は中々扱うのが難しいですな」
「ふむ。刃が鋭いに越したことはないが、我々が打ち合うには少々軽すぎるな」
「ガウェイン殿ー!
「お、力比べか?俺も混ぜてくれよ!」
「これローラン!ここで暴れてはいけません、止まりなさい!……ああもう、鉄騎士様も手伝っていただけませんか?」
「…………」
「まあまあ姫様、あやつも加減は分かっているでしょう」
う る せ え
なぜかは知らないが俺はカードの精霊と思われる存在を見ることができる体質らしく、それに気がついた日から『精霊憑き』のカードを集めていた。もしかしたら転生者特典なのかもしれないこの力、どうせなら存分に活かしたかったのだ。
その結果集まったのは大量の騎士達とその武器たる聖剣。それ以外の精霊が存在しないのか、それとも俺が一部の精霊しか見えていないのかは分からないが、騎士と無関係の精霊を見たことはない。
「暑苦しいんじゃお前ら!」
どいつもこいつも顔が濃い。体格がいい。声がデカい。
何人か姫様もいるが、それで中和できるのにも限度ってものがあるのだ。
「おお突然どうされたのだ
「ボールスよ、やはり決闘はマズかったのではなかろうか」
「ああ申し訳ございません剣斗様!今すぐやめさせますので!」
デュエルの時に力を貸してくれるのはいいのだが、このままでは日常生活に支障をきたしてしまう(というか既に結構なストレスになっている)。
そこでこの新型デュエルディスク。なんとリンクブレインズなる電脳世界に精神を投じ、様々なアトラクションやオンラインデュエルを楽しむことができるのだ。旧式ディスクでもログインして同様のサービスを受けることはできるのだが、持ち込むカードが紙を読み込んでのものとなると、この精霊共がついてくる可能性を否定できない。
だが完全電子由来のカードを扱う最新式ディスクなら……いつぶりかの静かな時間を手に入れることができる!
「それじゃあ俺はしばらく横になるから、緊急の要件とかあったら起こしてくれ」
「承りました。ゆっくりお休みくだされ」
既にデッキ情報はPCから登録しているし、アバターもモデリング済み。
俺は興奮を胸に抱いて、ログイン用のコードを口にした。
「Into the VRAINS!」
この時、平和ボケした俺はひとつのことが頭から抜け落ちていた。
いまだ原作1期が始まってすらいないと思われるこの
「お~!ここがリンクブレインズか……!」
無事に電脳世界にログインを果たした俺は、広大なマップを適当に散歩していた。
目論見通り、精霊たちの姿は1人もない。やはり無意識下で相当のストレスが溜まっていたのか、とんでもない解放感を覚える。
どうしよう、せっかくだし
「……マジでなんも感じねぇな」
実体化させたカードを眺めながら道を適当に歩いていく。
普段の精霊憑きカードは絵がちょっと動いて見えるというか、なんとなく光っているというか…とにかくなんらかの力が漏れているのを感じる。しかし現在俺の手元にある電子データの《ゴッドフェニックス・ギア・フリード》は、カード本来の輝きを持ちつつもオカルティックな反応を見せることはない。
デッキが形になってからのここ1年くらいは精霊憑きカードばかり扱ってきたからなんか新鮮だ。
「そこのお前」
「ん?俺?」
そうやっていると突然声をかけられた。いつの間にやらずいぶんと閑静な場所まで来ており、俺と話しかけてきた男以外に人の気配はない。
そして声の方へ振り返ると、そこには遠い記憶の中で見覚えのある姿かあった。
「中々レアなカードを持っているな。そのカード、渡して貰おうか」
「は?」
白ずくめの装束に目元を隠すメタリックな仮面。間違いない。原作アニメにて主人公と敵対していたハッカー集団、ハノイの騎士。その構成員であるいわゆるモブ戦闘員である。
コイツ等はサイバース抹殺のために社会の裏で活動しているのであって、こんな堂々とサイバース族でもないカードを強請るとも思えないんだが……
「レアカードを手に入れれば我がデッキは更なる強化を果たし、幹部昇進も夢ではない……。さあ、私の未来のため、さっさと寄越せ!」
「えぇ……」
ハノイってこんなんだっけ?つーかレアカードってもしかして《ゴッドフェニックス・ギア・フリード》のこと?確かにまともに買うならめっちゃ高いしそれに見合った強さだけど、適当に混ぜても絶対まともに使えねーぞ……
「ふむ。素直に渡す気はないようだな。ならばデュエルだ!私が勝てばそのカードは渡して貰う!」
俺が困惑に固まっている間に相手は勝手に話を進めていく。俺の腕のデュエルディスクから音が鳴り、目をやればデュエルの申請通知が表示されていた。
「我らがハノイの技術によりこのデュエルは拒否することができん!さあ、ディスクを構えるんだな!」
マジかよ。申請蹴ってログアウトしようと思ってたのに……。こうなったらもう逃げられない、か。
現在俺の手元にあるデッキは1つだけ。
「いいだろう。俺に挑んだこと、後悔させてやる」
「「デュエル!!」」
デュエルディスクが先行と後攻を決定し、5枚のカードを俺の手へ排出する。
その手札を確認した俺は一瞬、思考が固まった。
「え、なんだこの手札……」
手札事故である。このデッキを組んでから長いが、こんな初期手札は初めて見た。
ここでようやく回想は
嘘だろ。シンクロとかエクシーズ以前にイゾルデを出すことすらできねぇぞこれ。なんでこんなことに……あ。
「精霊、いねぇじゃん」
このデッキはハイランダー(同名カードを複数投入しない)デッキであり、普通に使うとどう足掻いても手札事故が頻発する頭のおかしい構築になっている。普段の俺は精霊パワーに任せてそんなデッキをぶん回していたわけだが……
い、いやまだ分からねぇ。一応まだシンクロできる可能性はある。2/3のガチャではあるが、展開できるかもしれん。
「俺は《聖騎士ボールス》を召喚し、《天命の聖剣》を装備」
《聖騎士ボールス》
効果モンスター
星4/光属性/戦士族/ATK 1700/DEF 900
①:このカードはモンスターゾーンに存在する限り、通常モンスターとして扱う。
《天命の聖剣》
装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能
①:「天命の聖剣」は自分フィールドに1枚しか表側表示で存在できない。
「聖剣を手にしたボールスは闇属性となり、真なる力を発揮する」
《聖騎士ボールス》
②:このカードが「聖剣」装備魔法カードを装備している限り、
このカードは効果モンスター扱いとなり以下の効果を得る。
●このカードはレベルが1つ上がり闇属性になる。
●自分メインフェイズに発動できる。
デッキから「聖剣」カード3枚を相手に見せ、相手はその中からランダムに1枚選ぶ。
そのカード1枚を自分の手札に加え、残りを墓地へ送る。
このカード名のこの効果は1ターンに1度しか使用できない。
「聖騎士ボールスの効果を発動。俺は《『焔聖剣-デュランダル』》、《『焔聖剣-アルマス』》、《聖剣を抱く王妃ギネヴィア》の3枚を選ぶ。さあ、1枚選びな」
頼む…頼むからデュランダルかアルマスのどっちか来てくれ……!それなら
「ふむ、それではこのカードとしよう。どれになろうと貴様の敗北は変わらんがな」
大違いなんだよバカ野郎!0妨害と2妨害だぞ!!
そんな俺の心の声も虚しく、デュエルディスクは非情な結果を俺に突きつけてきた。そう、手札に加わったのはギネヴィアである。
終わった……
「……俺は手札のギネヴィアの効果を発動。ボールスに装備する」
《聖剣を抱く王妃ギネヴィア》
効果モンスター
星2/光属性/魔法使い族/ATK 300/DEF 300
①:自分フィールドの「聖騎士」モンスター1体を対象として発動できる。
手札・墓地のこのカードを攻撃力300アップの装備カード扱いとしてその自分のモンスターに装備する。
「さらに《『焔聖剣-ジョワユーズ』》を装備し、永続魔法《
①:《聖騎士ボールス》 ATK 2000/DEF 900
②:《
③:《聖剣を抱く王妃ギネヴィア》
④:《天命の聖剣》
⑤:《『焔聖剣-ジョワユーズ』》
⑥:???
仮にボールスの効果でデュランダルorアルマスが手札に加わっていた場合、モンスター効果1無効破壊,魔法罠効果1無効破壊,フリチェ選んで破壊1の盤面が完成します。聖騎士と比べて焔聖騎士の出力が高すぎる。
主人公のカード、過去に使用済みでもデュエル中初使用だったら毎回説明がほしい?
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説明が必要
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いらない