ガンダムビルドダイバーズフリューゲル外伝 蒼き俊星のリタ   作:ポメラニアンドロイド初号機くん

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ここらでドラマ性のギアを一段階上げていきます。フォースバトルトーナメント編に向けて最後のメンバー登場回です。
今回は少し長いのでご注意ください。


第三話 月ノ宮と日ノ月

夏合宿も終わり、フォースバトルトーナメントの期日が迫るも夜半の蒼月(ルナティクス·ブルー)はメンバー不足に悩まされていた。

 

現在メンバー 9人

クロツキ

リタ

シグレ

スズキ

マツダ

ホンダ

ミツビシ

アオイ·ヴァールハイト

モコウ·ボンド

 

フォースバトルトーナメント出場に必要な人数 10人

 

 

「あ〜、都合良く最後のメンバー現れないかな~?」

 

 

夜半の蒼月(ルナティクス·ブルー)のフォースネストでリタがそう呟く。

 

「一人だけ、候補がいないでもない」

 

クロツキが浮かない表情でポツリと呟いた。

 

「打つ手があるのか!?流石クロツキ」

 

シグレが嬉しそうな声を上げる。

 

「正直、あまり期待はできないがな………よし、シグレとリタ、明日はリアルで京都に行くぞ」

 

 

クロツキside

 

 

私達は京都に向かい、先方と約束した時間まで観光をして過ごす。

つい先日ザウォートレヴの改造用に、特注の金属パーツを小遣い数ヶ月分の前借りプラス貯金全額との等価交換して金欠のリタに恐ろしくデカい抹茶パフェをたかられた。

 

「ん~~、美味しい!!」

 

無邪気な表情でパフェを頬張るリタの姿を見ているとほんの少しだが不安が和らいだ。

 

「それで、今回会いに行くのは誰なんだよ、クロツキ。新メンバーの勧誘の為だけに京都まで移動するなんて普通じゃない」

 

シグレが真剣な表情でそう尋ねた。

 

 

「これから会うのは日ノ月 白陽(ヒノツキ·ビャクヨウ)………私の旧友で親戚だ。日ノ月家は月ノ宮家とは少ししがらみがある」

 

私は日ノ月家と月ノ宮家の関係について説明した。

かつては日ノ月家が本家だったのだが時代の流れと共に力関係が逆転して日ノ月は月ノ宮の分家に成り下がった。そして、日ノ月家に連なる人々の中には今でもそれを恨んでいる者が多い。

要約するとその程度のこと。つまらない話だ。

だがそれがここまでの断絶を生むとは当時の私には予想できなかった。

 

「つまらない話だね〜………。本当に友達ならそんなしがらみとかどうでもいいじゃん………」

 

リタは気楽に言ってのけた。

 

「少なくとも私はそう思っているがな………」

 

ビャクヨウ、お前はどうなんだ?

私は遠い記憶の中のビャクヨウの面影に問いかけた。

やがてビャクヨウとの約束の時間となり、私達は日ノ月邸に向かう。

 

 

 

クロツキside 終

 

 

 

日ノ月邸でクロツキ達を迎えたのは混じり気のない純粋な白髪に緋色の瞳をした車椅子の少女、ヒノツキ·ビャクヨウだった。

 

「久しぶりだな、ビャクヨウ」

 

「何をしに来た?クロツキ。ヌシともあろう者が、月ノ宮の人間が日ノ月の家を訪れる重さを知らぬ訳でもあるまい?」

 

ビャクヨウはやたら古めかしい口調でそう尋ねる。

 

「ビャクヨウ、私はまだお前を友だと思っている。お前に少しでもその気が残っているなら話を聞いてくれ」

 

「まあ、聞くだけならば良い。その後の対応は内容しだいじゃがの……」

 

ビャクヨウは訝しげな表情でそう答えた。

 

「まず確認だが、まだGBNはやっているか?」

 

「やっておるよ。ほぼ引退状態じゃがの。つまり、ヌシのフォースに入れと?」

 

「そうだ」

 

クロツキとビャクヨウのあいだに一瞬、気まずい沈黙が流れる。

 

「残念ながらそれは無理じゃ………わしではクロツキの力になれぬ………」

 

ビャクヨウはうつむきながらそう呟いた。

 

「何故だ!!お前の強さを私はよく知ってる!!!今の夜半の蒼月(ルナティクス·ブルー)のメンバーにお前が加わればクジョウ·キョウヤすら打倒できるはずだ!!!」

 

「かつては、わしもそう思っておったよ………わしとクロツキならば勝てない相手など存在しないと………じゃが、わしらは井の中の蛙に過ぎなかった………ヌシは挫折を乗り越えたようだが、わしには無理じゃ………」

 

ビャクヨウが重々しく独白した。どんな言葉でも彼女の意思が変わる事はおそらくないだろう。

 

「帰ってくれ、クロツキ………旧友のよしみで話だけは聞いたが、本来ならば日ノ月家当主のわしがヌシと話す事じたい、あってはならない事なのじゃ………」

 

「バッカじゃないの…………?」

 

突如、リタがそう吐き捨てた。

 

「リタ………!?」

 

クロツキもシグレも呆気にとられている。

 

「一度の挫折がどうした………?家どうしのしがらみがなんだ………!!少しでもクロツキの事を大切に思っているなら………、それくらい自力で振り払ってみせろ………!!!」

 

凄まじい剣幕でリタが吠える。

 

「許さぬ………、ぬかしおったな小娘………!!!土足で………、人の心の中に入るな!!!」

 

 

「そんなに許せないなら、私と勝負でもする?ガンプラバトルでもいいよ………?少なくともあんた、クロツキが認める程強いんでしょ………?」

 

「リタ!!馬鹿な事はやめろ!!!」

 

クロツキは必死で止めようとするが、もはや二人が戦う事は避けられない。

 

「OKOK、ならば立ち会い人は俺が務めよう。決闘ならGBNがふさわしい」

 

そんなこんなでGBNにログインした。バトルフィールドはシグレのこだわりにより『アスティカシア学園第11戦術試験区域』に決定。

 

 

「これより、ビャクヨウとリタの決闘を執り行う。双方、魂の代償をリーブラに………」

 

なんかノリノリで仕切っているシグレと不安げなクロツキ。

 

「ビャクヨウ、この決闘に何を賭ける?」

 

「当然、この小娘の謝罪じゃ!!」

 

「リタ、この決闘に何を賭ける?」

 

「ビャクヨウの夜半の蒼月(ルナティクス·ブルー)加入かな~………」

 

Alea jacta east.(賽は投げられた)決闘を承認する」

 

「勝敗はモビルスーツの性能のみで決まらず………」

 

「操縦者の技のみで決まらず〜……」

 

「「ただ、結果だけが真実………!!」

 

「フィックスリリース!!」

 

シグレがそう宣言するとともに決闘が開始される。

 

「リタ、ザウォートレヴMark−Ⅱ。出るよ~………」

 

「ビャクヨウ、ユニコーンガンダムテウメソスで行くとするかの………」

 

 

戦場に降りたったビャクヨウの機体、和傘状の武装のアームドアーマーUU(アンブラル·アンブレラ)を装備した純白のユニコーンガンダムテウメソス(人喰い狐)には最初からユニコーンモードが存在していなかった。

 

「ブラオアーフォーゲル、イーシュヴァラ………」

 

リタはザウォートレヴMark−Ⅱの両肩のドローンブースターと新たに背部に装備したイーシュヴァラAタイプ(通常のマニピュレーター付きの物)を展開した。

イーシュヴァラにあらかじめ装備させていたライフルとブラオアーフォーゲルのビームバルカンでオールレンジ攻撃を仕掛けるが、ビャクヨウのテウメソスは和傘(アームドアーマーUU)を広げて日本舞踊のような挙動で全て防ぐ。

 

「あの和傘の皮の部分、たぶんABCマントと同じ素材だな………」

 

シグレが冷静に分析した。

 

「ああ、だがそれだけではない。ビャクヨウのテウメソスはユニコーンモードが存在しない代わりに、サイコフィールドを自在に操り攻撃と防御に転用する。機体エネルギーの消費という代償はあるがな………」

 

 

「ちょっと待て………もしも、和傘の対ビームコーティング被膜とサイコフィールドの防御が合わされば………」

 

「シグレの予想通りだ。テウメソスには()()()()()()()()()()()()

 

「そんな相手どうやって倒すんだよ…………!!!」

 

「リタを信じる他ない………」

 

 

 

 

 

 

「なるほど、その和傘は見かけ倒しじゃないって訳か………なら、叩き斬る………」

 

リタはシグルブレードを抜き放ち、最速でテウメソスとの間合いを詰めた。

対するビャクヨウは和傘を閉じて迎え撃つ。

 

「サイコフィールド、収束………狐浪剣(ころうけん)………!!」

 

ビャクヨウは和傘に収束させたサイコフィールドを纏わせて不可視の剣を形成した。そのまま過剰な加速を乗せたリタのシグルブレードによる斬撃を受け止める。

 

「パワーなら………こちらが上じゃ!!!」

 

シグルブレードを保持しているマニピュレーターごと左腕が肘からへし折れた。

 

「ヤバっ……!?」

 

リタは脚部からペレットマインを射出して牽制、追撃を防ぎ距離を取る。

 

「逃げるか小娘………!!逃げるなら、最初から歯向かうでないわ!!!」

 

リタのザウォートレヴMark−Ⅱは既に左腕を失い、ブラオアーフォーゲルとイーシュヴァラは決定打にならず、使えそうな武器は右腕のパイルバンカーと両脚部のレッグスラッシュサーベル、ビームキックのみ。

 

「認めるよ、あんたは強い。私みたいなガンプラしか取り柄のない小市民と違ってあんたは日ノ月家の当主で、ガンプラバトルでもたぶん私より強い………正直、あんたが羨ましいよ………」

 

「だからこそ、あんたが自分の実力に見切りをつけて立ち止まっているのが………気に食わない…………!!!」

 

「クロツキに認められる程強い癖に、やろうと思えばしがらみも挫折も振り切る事ができる癖に…………、何故あんたはそこまで無欲な馬鹿になれるんだよぉぉぉぉぉ!!!」

 

リタは必殺技のパーメットドライヴを発動する。ザウォートレヴMark−Ⅱは青い光の軌跡しか見えないくらいに加速してテウメソスに迫る。

 

 

「玉砕覚悟か………来るが良い!!我が一撃は天地を穿つ………必ぃっ殺のぉ………天元突破フォックスドリルブレイクゥゥ!!!!」

 

ビャクヨウは閉じた状態の和傘に、極限まで圧縮されたサイコフィールドを纏わせながら高速回転させて巨大なドリルと化した。

 

「パーメットドライヴ、フルブースト!!!メテオブレイク·スティンガーシュート………!!!」

 

ザウォートレヴMark−Ⅱのパイルバンカーと、ドリルと化した和傘がぶつかり合う。

ビャクヨウのドリル和傘と比べると遥かに頼りないリタの繰り出したパイルバンカー、しかしリタの一撃は全く押し負ける事なく拮抗していた。

その理由は、パイルバンカーの杭の部分のパーツが特注のチタン製超精密部品だったからである。軽量かつ、GBN内でもレアメタルΩ級の強度を発揮する。

折れず砕けず、どこまでもリタの意思を貫き通す最強の矛。それこそがリタが求めた力だった。

 

「イグニッション!!!」

 

リタの叫びとともに、パイルバンカーの炸薬が起動してビャクヨウの和傘を撃ち抜いた。

 

「馬鹿な………!!!」

 

ビャクヨウは一瞬速く和傘を破棄して逃れようとするが、パーメットドライヴの加速力を得たザウォートレヴからは逃げられない。

 

「もういっちょ、イグニッション!!!」

 

リタは再びパイルバンカーで攻撃を仕掛けたが、ビャクヨウのテウメソスは左腕を犠牲にしてパイルバンカーの一撃を止めた。

 

「最後に勝つのはわしじゃ………!!」

 

テウメソスは右腕のビームトンファーでザウォートレヴMark−Ⅱの鋭く巨大なブレードアンテナを斬り飛ばした………、はずだった。

 

「ストロングホーンブレイク!!!」

 

信じられない事に、リタがブレードアンテナを使用したヘッドバット攻撃により、ビームトンファーを逆に斬り裂きテウメソスのブレードアンテナを頭部ごと粉砕した。

実は、リタが特注したチタン製パーツはパイルバンカーの杭だけでなくブレードアンテナも同時に発注していた。

パイルバンカーとブレードアンテナを武器にする機体、もはやザウォートというよりもアルトアイゼンである。

 

「………約束は、約束じゃ………すぐには無理じゃが、フォースバトルトーナメントの期日までには間に合わせる。わしにはまだやり残した事があるのでな」

 

「ビャクヨウ…………」

 

「もう帰るが良い。わしは、わしのやるべき事をする」

 

GBNからログアウトした後にビャクヨウはそう言ってクロツキ達を追い出した。

 

 

 

ビャクヨウside

 

 

クロツキ達が去った後、部屋にはわしと執事のマサムネしかいない。

 

 

「マサムネ、わしは………、父上と決別しようと思う………」

 

わしは胸の内に秘めた覚悟を口に出した。

日ノ月家は当主が絶対の権限を持つしきたりの家。わしの父上は、幼いわしを当主に担ぎ上げ、わしの心を暴力と恐怖で縛り、日ノ月家の全権を欲しいままにしてきた。

父上はわしにとってはまさに恐怖の象徴。だが、立ち向かわなければ二度とクロツキの友に戻れない。

本当は日ノ月と月ノ宮のしがらみなど、どうでもいい。

わし自身が当事者であるならばともかく、そんな何十年前かもわからないような話などわしには関係ない。だから、このしがらみもわしの代で終わりにするのじゃ。

 

「その言葉を待っておりました………」

 

マサムネはそう言って何らかのデータを入った記録媒体をわしに手渡した。

 

「これは……?」

 

「この屋敷の監視カメラ映像から、旦那様がお嬢様を虐待している映像を抜き出した物でございます。本来は旦那様の命で処分されるはずのデータでしたが、私が仕えているのは旦那様でなく当主であるお嬢様でございます」

 

「いつしかお嬢様が旦那様と決別する際に力になれるように残しておきました。本来ならば、私自身の手でお嬢様を救うべきはずが、私の無力さゆえにお嬢様に辛い思いをさせてしまい、申し訳ありません………」

 

「ありがとうマサムネ………わしは、もう逃げぬからの………」

 

 

ビャクヨウside 終

 

 

 

数日後、ビャクヨウの父親である日ノ月 白夜(ヒノツキ·ビャクヤ)が虐待の容疑で逮捕されて、ビャクヨウが正式に夜半の蒼月(ルナティクス·ブルー)に加入した。

ついに役者が揃い、夜半の蒼月(ルナティクス·ブルー)は初のフォースバトルトーナメントに挑む。

 




今回は新キャラ、ビャクヨウのメイン回でした。
ビャクヨウは元々、月ノ宮グループの後継者争いにクロツキの対抗馬として日ノ月家が擁立した後継者候補で、家どうしのしがらみとか気にしないクロツキがビャクヨウと友達になり、二人でGBNのランキング上位を荒らし回ってたところ、二人まとめてチャンプに成敗されてビャクヨウは初の挫折。その後クロツキとつるんでいるのが父親にバレてクロツキと関わる事を禁止された………、というのがビャクヨウの大まかな過去です。
正直、今回はかなり力作です。ビャクヨウとリタのバトルシーン書いてる時は脳内でリライズ二期オープニングテーマの「HATENA」流れてました。

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