ガンダムビルドダイバーズフリューゲル外伝 蒼き俊星のリタ   作:ポメラニアンドロイド初号機くん

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VS虎武龍のエピソードは今回で最後です。結果的に複数話に跨る形で書く事になりましたが、メカポメの作品は一話あたりの文章量がライトなのが売り…………だと勝手に思っています。


第九話 フォースバトルトーナメント編6 VS虎武龍(4/4)

クロツキのシルヴァ·バレト十六夜と、タイガーウルフのジーエンアルトロンが互いに向かいあっている。

静かに、しかし内面には闘志を熱くたぎらせながら。

 

「クロツキ、お前の集めた仲間達もなかなかやるじゃないか………だが、勝つのは俺だ!!!」

 

「随分と自信有りげだな。お前が今まで、私に勝った事があるのか?」

 

「自信とは、文字通り自分を信じる事………勝負の前から諦めてたら、勝てる訳がねェんだ。つまり自分を信じる事すらできない奴は、戦う前から負けているのと同じだ!!!だから俺は、俺を信じる………!!!」

 

「なるほど、ならばその自信ごと打ち砕くまで!!!」

 

クロツキはデモリッションナイフとガンシックルを機体の両手に装備し、サイコミュ·ハンドの伸縮を駆使した鞭のような斬撃を繰り出す。

それに対してタイガーウルフは己の拳のみで立ち向かう。

デモリッションナイフとガンシックルの攻撃の合間を縫うように一気に距離を詰めて、クロツキの懐に飛び込んだ。

腕を伸縮させて攻撃するにしても、伸ばす時と戻す時には必ず隙ができる。

そのタイミングで懐に入ればシルヴァ·バレト十六夜は無防備となる。こればかりは機体特性の関係上避けられない、シルヴァ·バレト十六夜とクロツキの唯一と言って良い弱点だ。

しかしクロツキもそれは想定済み。その対策は最初からシルヴァ·バレト十六夜に備わっている。

シルヴァ·バレト十六夜は肩部のマルチプルバインダーからサブアームを展開して、同じくバインダー裏に携行していたビームブレードを抜き放った。

ジーエンアルトロンの拳をビームブレードで受け止めたシルヴァ·バレト十六夜は腕を引き戻しつつ、蹴りとサブアームで保持したビームブレードで連撃を繰り出し、ジーエンアルトロンに反撃の隙を一切与えない。

 

「相変わらず、隙の無い奴だ………」

 

タイガーウルフは、ケーブルを巻き取りながら背後から迫りくるガンシックルの刃を拳で弾き返しつつも距離を保ち、守りに徹して反撃の機会を伺っている。

一度離れたところで、クロツキが反撃のチャンスを与えてくれる程甘くはないのはタイガーウルフ自身もはっきりと理解している。

そもそも近接戦闘に特化したジーエンアルトロンに対して、シルヴァ·バレト十六夜は全領域対応の万能サイコミュ機。

近距離でも遠距離でも、クロツキは敵に対して常に不利な間合いを押し付けながら付け入る隙を与えず波状攻撃ですり潰す。

ならば、多少無理をしてでも自分の得意な間合いを維持して活路を見出すしかタイガーウルフに勝ちの目はない。

デモリッションナイフとガンシックル、左右のバインダーから展開されたサブアームのビームブレードによる4本腕の苛烈な連撃はカラスマの四剣ノ型を思わせたが、技巧においても完全にそれを上回っている。

戦いの最中、タイガーウルフの頭の中によぎるのはカラスマ(ミスター·カフカ)が虎武龍に弟子入りしてきた時の事。

剣士としてさらなる高みを目指す為に、虎武龍の一員として新しいアカウントを作り自ら四剣ノ型を封印した。

その決意と覚悟に絆されたからこそ虎武龍の一員として彼を迎え入れた。だからこそ、情けない姿を見せる事はできない。

仮にも弟子であるカラスマが自らの限界を越えようとしている以上、師匠であるタイガーウルフが先に諦める事などあってはならないのだ。

 

「ハァァァァァァァァ………!!!」

 

タイガーウルフは雄叫びと共に、力任せにクロツキの連撃をパリングして押し返す。そして必殺技で反撃を試みた。

 

龍虎狼道(りゅうころうど)………………!!!」

 

「面白い…………!!禍津彼岸花殺生石…………!!!」

 

対するクロツキは自身の必殺技でバフを付与した。そのままデモリッションナイフでタイガーウルフの必殺技を斬り払う。

 

「まだ終わらねェ!!!翔喚奥義………、陸撃昇龍打ァ!!!」

 

ジーエンアルトロンが地面に拳を叩きつけると、炎の龍が出現してクロツキのシルヴァ·バレト十六夜を飲み込んだ。

 

「流石にこれなら、ただでは済まねえはずだ…………」

 

「ああ、確かに効いたよ。禍津彼岸花殺生石の防御バフがなければやられていた………」

 

「…………!?」

 

タイガーウルフが振り向くと、そこには武器を失い満身創痍ながらも健在なシルヴァ·バレト十六夜が立っていた。

 

「ならば、私も本気を出すとしよう………NT-Dブースト!!!」

 

次の瞬間、シルヴァ·バレト十六夜は瞬間移動さながらの速度でジーエンアルトロンに肉薄して蹴りを叩き込んだ。

 

「ぐぁッ!!!」

 

禍津彼岸花殺生石のバフ効果に、時限強化コマンドのNT-Dブーストの重ねがけ。

その破壊的な戦闘能力の前にタイガーウルフは抗う事すらもできなかった。

徒手空拳で敵の装甲を容易く砕き、機体のフレームに損傷を与える程のパワー。絶対的な力の差が、そこにはあった。

 

「届か………なかったか………」

 

やがてジーエンアルトロンはテクスチャとなり消えていった。

 

 

 

 

それよりも少し前、

 

 

ハリー·ボーのグリーンフレームグラップラーはビャクヨウと戦っていた。

ハリー·ボーはガンダムSEED MSVのキャラクターであるバリー·ホーがスーツを着ているような姿のアバターをしており、スーツのボタンがハ○ボーのグミのような色と形状をしていた。

その戦闘スタイルは徒手空拳。さらには機体の拳で殴った対象の内部構造を破壊する特技を持つ。しかし、ビャクヨウとは相性が悪すぎた。

 

「貧弱じゃのう………紫外線の方が怖いくらいじゃ………」

 

グリーンフレームグラップラーの拳はテウメソスが広げた和傘に阻まれる。しかも和傘の表面に張り巡らせたサイコフィールドのせいで触れる事すらできない。

 

「サイコフィールド収束………狐浪剣(ころうけん)…………」

 

ビャクヨウは閉じた状態の和傘にサイコフィールドを纏わせ一閃。グリーンフレームグラップラーを斬り刻んだ。

 

「手も足も出ないとは………無念……………!!!」

 

 

 

 

一方その頃、

 

 

「僕、サカイ·カズキ!!!楽しいバトルにしようよ!!!」

神炎頑駄無(ゴッドブレイジングガンダム)を駆るダイバー、サカイ·カズキはそう言って、マツダに対して快活に笑った。

サカイ·カズキはボーイッシュな少女、といった見た目をしているが虎武龍九英傑に選ばれる程だからおそらく一筋縄ではいかないだろう。

 

「なんか男みたいな名前だな?俺はマツダ。よろしく」

 

「え?僕男だけど………?」

 

「そうなのか…………勘違いしてすまねえ………」

 

そうして一切緊迫感がないままバトルが始まる。

 

「よッ!!はッ!!!そりゃ!!!」

 

神炎頑駄無(ゴッドブレイジングガンダム)は鋭い正拳突きから腕部のブースターの推進力を活用した2連回し蹴りのコンビネーション攻撃を繰り出してきた。

マツダのザクは正拳突きに対して蹴りで相殺して、回し蹴りをバックステップで回避しつつ、銃剣型のザクマシンガンで反撃する。

 

「なかなかやるね………マツダ兄ちゃん!!!」

 

カズキの神炎頑駄無(ゴッドブレイジングガンダム)はザクマシンガンに怯む事なく、冷静に腕部のブースターを兼ねたガントレットで防御しながら前進して再び間合いを詰めた。

神炎頑駄無(ゴッドブレイジングガンダム)はそのまま右ストレートを繰り出すが、ザクはそれを身をかがめてかわしながら肩のスパイクアーマーでタックルを叩き込む。その後、左手に装備したヒートサーベルで追い打ちをかけようとするが神炎頑駄無(ゴッドブレイジングガンダム)の蹴りを受けて弾き飛ばされた。

マツダは機体の姿勢を上手く制御して受け身をとる。

実力はほぼ互角、これは簡単に決着がつきそうにない。

 

「楽しいね♪マツダ兄ちゃん!!!」

 

「………………ああ、楽しいなァ……………!!!」

 

先程まで無表情だったマツダが不気味な笑いを浮かべた。

 

「ギヒ……………、ギヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ……、グヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ………、アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ………!!!」

 

「面白ェ……………、面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェなァァァァァ…………!!!!」

 

マツダはとても興奮しており、狂ったように笑い続けている。

マツダのあまりにも不気味な様子にカズキは気圧された。

 

「何…………!?この人!?」

 

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ…………!!!」

 

マツダは不気味な笑い声を上げながらカズキに迫る。当然カズキも応戦するが、先程まで互角の戦いだった事が嘘のように全く攻撃が当たらない。それどころか、一方的に攻撃を受け続けている。

 

「動きが…………全然読めない…………!?気持ち悪い……………怖い………………!!!!」

 

カズキの神炎頑駄無(ゴッドブレイジングガンダム)はマツダのザクに一方的に蹂躙されていた。

マツダのザクは、神炎頑駄無(ゴッドブレイジングガンダム)が動かなくなっても高笑いしながら、機体がテクスチャとして消えるまで何度も何度もヒートサーベルを叩き付けた。もはや理性すらないようだ。

カズキは、圧倒的な恐怖を前にして完全に心が折れてしまった。

カズキを倒したマツダのザクは、狂ったように高笑いを続けながら次の獲物を求めて彷徨い始めた。そこに、黒と赤のツートンカラーのイフリートが降り立つ。

 

「よう、マツダ…………」

 

ミスター·カフカ(カラスマ)が駆るイフリート·カフカだ。

 

「お前とはいつか戦ってみたいと思ってたが、まさかこんな形でとはな……………!!!行くぞ、テメェの目を覚まさせてやる!!!」

 

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ…………!!!」

 

マツダのザクがイフリート·カフカに躍りかかる。イフリート·カフカとマツダのザクが斬り結び、鍔競り合う。

 

「マツダ…………!!!あんな一方的な暴力が………、あんな非道が、お前のやりたかった事なのか…………!!!答えろマツダ!!!」

 

「アヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャヒャ………!!!面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェ面白ェなァ…………!!!」

 

マツダはカラスマの呼びかけには応えず笑い続けている。

 

「この馬鹿野郎!!!」

 

イフリート·カフカがマツダのヒートサーベルをパリングしてローリングソバットで地面に叩き付けた。

明らかに理性が飛んでいるにも関わらず、マツダは素早く受け身をとりながら愚直にイフリート·カフカへと迫る。

 

「奥義…………、嚇炎の鴉羽(かくえんのからすばね)…………!!!」

 

イフリート·カフカは両手に持ったヒートサーベルをマツダのザクめがけて投げ付けた後に、ミノフスキーウイングの出力を上げて光の翼を形成しながら突進した。そしてバエルソードを抜き放ち、マツダのザクを何度も斬り付ける。その後、最初に投げたヒートサーベルでの時間差攻撃、最後に最大出力のミノフスキーウイングから発した光の翼を伴う突進攻撃。

これこそがミスター·カフカ(カラスマ)の必殺技、『嚇炎の鴉羽』

しかしマツダのザクは光の翼により斬り裂かれ燃え尽きる直前に銃剣でイフリート·カフカのバイタルパートを貫いた。つまりは相討ちだ。

 

 

 

 

 

 

 

バトル終了。勝者、夜半の蒼月(ルナティクス·ブルー)

 

 

 

 

「………………………??」

 

試合が終わった頃、マツダはようやく理性を取り戻したようだ。

そして、自身のバトルログを見返して愕然とした。

 

「マジかよ…………これ、全部俺がやった事なのか…………!?」

 

マツダがカズキの方を見ると、カズキは完全にマツダに怯えている。

 

「カズキ、なんというか…………すまねえ。怖い思いさせちまったな……………」

 

マツダはカズキに謝罪したが、カズキは怯えたまま全く反応しない。マツダは、自分自身が取り返しがつかない事をしてしまったと思い知った。

罪悪感を抱えたまま、マツダはクロツキ達の所へと帰る。そして、クロツキ達に事の次第を話した。

 

「なるほどな…………戦いの最中に極度の興奮で理性が飛ぶ…………か」

 

「クロツキ、俺はイカれてるかもしれない。今回のフォースバトルトーナメントが終わったら、精神科医を紹介してくれないか?」

 

「実は、マツダ様と似たような性質を持つ人間と、傭兵時代に何度か出会った事があります」

 

アオイが唐突にそう言った。

 

「私が出会った人物も、マツダ様のように戦いに関して特異な才能を持つ方でした。戦いを何よりも好み、そして戦いの最中に極度の興奮で理性が消失する…………自分が倒れるか敵を殲滅しつくすまで止まらない、いわば天性のバーサーカーのような存在であると思われます」

 

「もしもこの世に『戦いの神』が存在するのならば、マツダ様もその方も、『戦いの神』に祝福された存在と言えるでしょう。ガンプラバトルという健全な形で発散できて、良かったですね?マツダ様」

 

アオイは笑顔でそう言った。

 

「アオイ、少し黙れ…………」

 

クロツキが冷たい声で呟く。

虎武龍との試合には勝ったが、もはや誰一人それを素直に喜べる雰囲気ではなかった。

 

 

 

 

 

 

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