ガンダムビルドダイバーズフリューゲル外伝 蒼き俊星のリタ 作:ポメラニアンドロイド初号機くん
まあそんな愚痴はさておき、第二話、どうぞ。
「俺が移籍した当日にクロツキが新しいメンバー連れてきたかと思えば………まさか戦力外なんてな。今までソロでやってたらしいが、お前本当に強いのか?」
元フリューゲルで現、
「少なくともお前よりは強いぞ、シグレ」
クロツキは冷静にそう言った。
「いや、俺は認めない。ろくに対人戦もした事ない奴に俺が負ける訳ない」
「別に〜君に認められなくてもどうでもいいけどね。対人戦興味なくてろくにやってないのは事実だし…………」
リタは欠伸をしながら気だるげに答える。シグレの表情がますます険しくなった。
「おいクロツキ………なんでこんなやる気のない奴連れてきた?お前、メンバーが増えたからフォースバトルトーナメント参加して今度こそチャンピオンを倒したいんじゃなかったのか?こんな奴追い出しちまえよ」
「リタは私が認めたダイバーだ。追い出すなんて私が許さない………」
シグレとクロツキが睨み合う。
「もしかして、これって私、追い出されそうになってる?」
リタはクロツキの隣にいた狼耳ダイバールックメイドのアオイに尋ねる。
「そのようです。シグレ様もなかなか我が強いのでお嬢様と言えども説得するのは簡単な事ではないでしょうね」
「え〜、困るよそれ………せっかくフォース入ったから一度はフォースフェスとか行ってみたかったのに………対人戦は本当に興味ないけど」
「しかし、貴方様の実力を証明しない事にはシグレ様も納得しないでしょう」
「結局、戦うしかない訳か………気乗りしないな〜………」
リタはそう呟いてシグレに歩み寄る。
「そこの忍者くん、シグレ………だっけ?私の実力を証明すればいいんだよね?私だっていきなり追い出されるのは嫌だし」
「やっと、やる気になったようだな……」
シグレは自身のガンプラ、イフリートナハト・アメジスティアーを呼び出した。
「シグレ・ソウスケ、イフリートナハト・アメジスティアー。参る!!」
「めんどくさ〜………リタ、ザウォートレヴ。出るよ〜」
一面彼岸花の野原にリタとシグレのガンプラが降り立つ。
「隙だらけだ、喰らえ!!!」
シグレのアメジスティアーは両手にGNソードⅡを装備して無防備なザウォートレヴめがけてビームを乱れ撃った。
リタのザウォートレヴは木の葉が風に吹かれるようにその場から動かずひらりひらりと最小限の動きでかわす。
明らかに隙だらけなのにシグレの攻撃はザウォートレヴにかすりもしない。
そのからくりは、リタが意図的に隙を作って見せているからである。
それにより相手の攻撃の方向やタイミングを誘導している為に容易く回避できる。
「チィ!!!ちょこまかと………」
シグレは左手側のGNソードⅡを腰にマウントし直してショットガンを左手に装備した。その直後、
「!?」
リタのザウォートレヴが一瞬で間合いを詰めて加速をフルに乗せたキックを繰り出す。つま先のビームナイフでショットガンが両断された。
「チョイサァ!!!………ってね〜。いちいち武器の持ち替えするのが隙だらけ」
「なんて馬鹿げた機動力だ!?なら……リィラトランザム!!!」
シグレのアメジスティアーは両脚部の疑似太陽炉を最大稼働し、トランザムを起動して一時、距離をとった。否、
「(リィラトランザムを使わなければやられていた………!?ふざけた奴だがこいつ、強い!!)」
アメジスティアーはコールドブレードと振動式対装甲ブレード「幻夜」の二刀を瞬時に抜き放ち、再度間合いを詰めてザウォートレヴに斬りかかる。
「トランザムを使っても自壊しないなんてすごいね………しっかり作り込んでるみたいだけど、
その瞬間、シグレの斬撃をビームジュッテでガードしたリタは回し蹴りでアメジスティアーの体勢を崩した後に視界外への超高速機動によりシグレを翻弄した。一瞬ザウォートレヴを見失ったシグレ。
すぐさま防御の構えに移るがザウォートレヴの機動力の前ではその一瞬が命取りだった。既にシグレをビームジュッテの間合いに納めていたリタは、ビームジュッテを一閃してアメジスティアーの上半身と下半身を泣き別れさせる。
勝者、リタ
「なんだよあのイカれた機動力………」
「何って………装甲を限界まで軽量化して〜、全スラスターの出力リミッターを解除して〜、シナンジュスタインの大出力バックパックブースターを装着して機動力に極振り〜。まあ、そのかわり耐久性皆無だけど…………」
リタは平然とそう答えた。
「……………(こいつ、トチ狂ってやがる………そんなピーキーな機体、まともに戦える訳がない………何より、普通はGの疑似フィードバックで死にかける………)」
シグレはリタの異常さに愕然とする。
「やはりリタは私が認めたダイバーだ………ワクワクしてきた。リタ!!次は私と勝負しろ!!!」
クロツキはそう言って愛機のシルヴァ・バレト十六夜を呼び出した。
「今更断っても聞かないよね〜………めんどくさ〜」
リタは渋々引き受けてザウォートレヴに乗り込む。
「楽しませてくれよ、リタ………ファンネル・インコム!!!」
クロツキのシルヴァ・バレト十六夜は背部からインコムを展開した。リタはすぐさまビームサーベルを投擲してインコムのケーブルを切断するが、シルヴァ・バレト十六夜のインコムは有線式から無線式に操作系統を切り替えて再びリタに襲いかかる。
「うわ〜ガチのフルスペックサイコミュじゃんめんどくさ〜………」
「当然だ。なにせこのシルヴァ・バレト十六夜は、クジョウ・キョウヤに対抗する為だけに造ったからな。この気持ち………まさしく愛だ!!!」
「愛が重いよ〜………もはやあのシャフリヤールさんだって愛が重すぎるって理解を拒むよ………」
リタはふざけた事を言いながらもビームガンをインコムめがけて連射した。しかし、対ビームコーティングが施されたインコムには傷一つない。
「機体だけならまだしもインコムにまで対ビームコーティングですかそうですか………」
リタはぼやきながらも思いつきに任せて、インコムがビームを撃つ直前に砲口にビームガンを撃つ。すると、インコムは誘爆して内部から破壊された。
「とっさの思いつきにしてはなかなかやるな……なら………ファンネルミサイル!!!」
シルヴァ・バレト十六夜の背部ハッチが展開して、ファンネルミサイルが発射される。
「
リタはザウォートレヴの両肩に装備されたドローンブースターを分離、展開してドローンに搭載されたビームバルカンでファンネルミサイルを迎撃した。
「面白い………ならば本気で行くぞ!!!」
クロツキはシルヴァ・バレト十六夜の背部ウェポンラックからデモリッションナイフとガンシックルを抜き放ち、両手に装備する。
「真っ向勝負がお望みかな?する訳ないじゃん逃げるが勝ち〜」
リタはブラオアーフォーゲルを再度両肩に接続してシルヴァ・バレト十六夜から距離を取った。
「逃さん!!」
デモリッションナイフを振るうシルヴァ・バレト十六夜の左腕が伸びた。
「うげ〜、シルヴァ・バレトって腕伸びるんだった………」
射出後もスラスターの噴射で生き物のように何度も軌道を変え襲いかかるシルヴァ・バレト十六夜の腕から逃れつつ逆に間合いを詰めるリタ。ザウォートレヴのつま先に搭載されたビームナイフを駆使して連続蹴りを繰り出すも、Iフィールドジェネレーターを搭載した肩部バインダーに阻まれる。
次の瞬間、シルヴァ・バレト十六夜の肩部ビームキャノンがザウォートレヴに砲口を向けていた。
本来ならば回避できるはずの攻撃、そのはずだった。その時、リタの脳裏に忌まわしい記憶がフラッシュバックする。
圧倒的な暴力、為す術なく蹂躙されるリタとリタのガンプラ、目の前で愛機が破壊されるのを見ている事しかできない無力な自分…………
過去のトラウマが脳裏をよぎったのはほんの一瞬だったが、その一瞬の時間は判断を遅らせるには充分だった。
ビームキャノンが発射され、閃光とともにザウォートレヴを撃ち抜く。
勝者、クロツキ
「リタ………最後の一瞬、本当は避ける事ができたんだろ?あの時、お前が何かの理由で動揺して反応が遅れたようにしか見えなかった。何があった?」
「クロツキは鋭いなぁ………正直ね、シグレとバトルした時には、私はもう大丈夫だって思ったんだ………だけど違った、なかなか克服できないからトラウマはトラウマなんだよね………私、やっぱり対人戦は無理だよ…………」
リタはどこか陰のある表情で微笑んだ。
「今日は楽しかったよ。だけどクロツキ、私はクロツキの期待には応えられない…………」
リタはそう言い残してログアウトした。
リタが対人戦を避ける理由の伏線張っときました。
それはそうと新主人公のリタ、早くも作者のお気に入りキャラです。