ガンダムビルドダイバーズフリューゲル外伝 蒼き俊星のリタ 作:ポメラニアンドロイド初号機くん
攻撃の要たるリタを失った
リタはまだ撃墜判定こそ出ていないが、あの様子では確実にバランサーをやられている。もはやまともな戦いなど望めないだろう。
泥沼化する戦闘の中、クロツキはクジョウ·キョウヤを討つべく先陣を切った。
「クジョウ……キョウヤァァァァァァァ…………!!!」
クロツキは怒りに身を委ねているだけのように見えるが、その実頭の中はどこまでも冷静だった。
禍津彼岸花殺生石のバフ効果で自己強化と同時に味方を支え、クジョウ·キョウヤを単独で押し留めている。
一方、クジョウ·キョウヤもクロツキを倒さなければ禍津彼岸花殺生石のバフを打ち消せない。こうしている間にもAVALON側も損耗していくのだから時間切れまで待つなどという選択肢は最初からない。
二人は互いに、全力で相手を倒さなければならない状況にある。
だが、切り札はクジョウ·キョウヤにもある。
キョウヤはTRYAGEシステムを作動した。
キョウヤが選んだカードは…………ダブルオーライザー。
回避も防御も意味をなさないライザーソードの一撃が、クロツキを襲う。
ビャクヨウside
何か、嫌な予感がする…………
儂は、居ても立っても居られずクロツキの所へと向かう。
「そうはさせないッスよ!!!」
AVALONのカルナが立ち塞がるが、止まってなどいられない。
後の事を考えると、ここで使うべきではないが…………
「邪魔をするでない!!!テウメソス……………オォォォォォォォバァァァァァァァロォォォォォォォォォォォォド!!!!」
機体の全エネルギーと引き換えの、一度限りのサイコフィールド出力全開………いわば暴走形態。
あらゆる損傷やダメージを無視して、機体エネルギーが尽きるまで戦闘を続行する最終手段……………
サイコシャードに覆われて鉤爪状に変異した手でカルナのインパルスランシェをズタズタに引き裂く。
クロツキのもとに、急がねば…………!!!!
ビャクヨウside 終
クロツキside
その瞬間、私は敗北を確信した。
もはや、回避も防御も許さないライザーソードの一撃に飲まれて消え去るだけだと、そう思っていた。
「結局、また届かなかったか…………」
私が諦めかけたその時、
「クロツキ!!!!ここは任せて……………もらおうかァァァァァ!!!」
ビャクヨウが私とクジョウ·キョウヤの間に割って入る。
「超天元突破…………フォックス………ドリルゥ………………ブレイクゥゥゥゥゥゥゥ!!!!」
ビャクヨウは自身が犠牲になる覚悟で、クジョウ·キョウヤの一撃を受け止める。
まだ、私を信じてくれるのか…………ならば、最後まで諦めない!!!!
「狐后…………牙狂閃!!!」
禍津彼岸花殺生石によって得た力をデモリッションナイフに集めて、巨大な剣圧として解き放つ。
二人分の全力攻撃により、クジョウ·キョウヤの放った一撃と拮抗した。
まだ、一手足りない……………奴を倒すにはまだ足りない…………
リタside
視界の端に、巨大な光の衝突する様子が見える。
クロツキがまだ戦っているというのに、今の私には何もできない………………
いや、本当にそうだろうか?スラスターの推力を微調整しながらバランスを保ち、自滅覚悟で体当たりでもすれば少なくともチャンピオンの注意を引く事くらいはできる筈だ。
「なんだ…………まだできる事あるじゃん…………」
鉄砲玉上等。クロツキの為ならば……………私は止まらない!!!!
「パーメットドライヴ…………オーバーブースト!!!」
だけど、意識のある限りはどこまででもチャンピオンに喰らいついてやる………!!!
見えた!!!!
「ストロングホーンブレイクゥゥゥゥゥ!!!!」
「!?」
リタside 終
クジョウ·キョウヤは、心のどこかでリタを甘く見ていた。
自分を倒す者がいるとすれば、それはクロツキだろうと信じて疑う事がなかった故に、そのリタが捨て身の一撃を繰り出してくる事など微塵も想像できなかった。
それこそが、彼の敗因だった。
大将であるクジョウ·キョウヤがリタの決死の一撃で討ち取られた後となっては、夜半の蒼月の勝利は当然の結果である。