621とC型変異波形が辿った、数奇な運命から枝分かれした一つの可能性。
世界の真実を認識し、ネタバレ、設定崩壊、キャラ崩壊、死亡キャラ生存、その他諸々を含む二次創作のバーリトゥードであることを理解した上での閲覧を推奨します。
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その多くは、かつてルビコン解放戦線と呼ばれた組織の構成員であった。
現在は企業同盟の
「これが食い物だと? ・・・じゃあ今まで食ってたのはなんだ?」
「一飯千金・・・むぅ」
「ワームでなくても食べられるのか」
「コーラルよ、ルビコンと共に」
「美味しいね、アーシル・・・」
敵対していた過去を忘れることはできない。
アイビスの火と呼ばれる災禍以降、多くの命が失われたことを誰もが覚えている。
本当ならば、今日この場に来ることの出来なかった同胞たちにもこの料理を食べて欲しかった。
どうして彼らはここにいないのか。
しかし料理に罪はない。
心優しき少女、ツィイーは
「おいツィイー、これも美味いぞ」
アーシルと呼ばれた青年は生まれて初めて食べる甘露な料理を口いっぱいに頬張って言った。
―
狂騒の宴はそこかしこで始まっている。
ミシガン総長をトップに戴き、鉄の規律に鍛えられたあのレッドガン部隊の面々ですら例外なく浮足立っていることからも明らかである。
何故ならば、我らが総長の演説を聞いたのだ。
彼の言葉を受けて奮い立たぬ人間はここにはいない。
ミシガン総長は堪能しろと言った。
つまり今日は、今日こそは、胃袋がはち切れるまで飲んでも食ってもいいという事だ。
それも普段決して口にすることの出来ない贅沢な酒と料理をだ。
彼らの興奮たるや、レッドガン結成以来類を見ない程までに昂っている。
それは怜悧狡猾にして邪知深く、彼らレッドガンをして
彼らは知っている。
他人の金で飲む酒が一番美味いということを。
彼らは知っている。
他人の金で食う飯が一番美味いということを。
ありがとう
レッドガン部隊の心は今一つになった。
「くぅー! やっぱ
「イグアス、お前いつもよりペースが早いんじゃねえのか」
「いいじゃあねえか。 今日ぐれぇよぉ」
イグアスはチンピラが如き物言いで同僚に答えた。
事実、彼は元チンピラである。
食える時に食い、飲める時に飲まねば生きていぬ世界の住人であった彼は、ヴォルタの小姑が如き言葉を無視して早速お代わりを注文していた。
「大体てめーだっていい子ちゃん面してるくせしてさっきから手が止まってねぇぞ」
イグアスはヴォルタの皿に乗せられた料理の数々が、まるで質量が存在しなかったかのように彼の口に消えていくのを見て言う。
「こんな料理は早々食えねえからな。 自腹じゃねえってのが特にいい。 クソ親父の
ヴォルタもまた元チンピラである。
借金のカタに第4世代強化手術の実験台にされたイグアス共々、悪友として喧嘩に明け暮れる日々を過ごし、自分達をゴミ溜めに押し込めた世界に対する鬱憤を強化された身体能力で晴らしていたのだ。
強化手術により常人とは一線を画す強度の肉体を手に入れた彼らは自分達の強さに全能感すら覚えていたが、ある日ミシガンに上には上がいるという事を”わからせ”られて、「青少年の健全育成」という名目で身元を引き取られることとなった。
学がない彼らをして「健全育成」という言葉の意味を辞書で調べた程のレッドガンでの地獄の日々。
そのような境遇であった彼は、人生で初めて口にする高級料理の数々を前にして喜悦に震えていた。
先ほどはイグアスを
こんなに美味いものが世の中にあったのか。
まさかミシガンのクソ親父と
クソったれな扱きに堪えてきた自分自身を今日ほど褒め称えたことはない。
生きててよかった。
「そういやぁ、アイツも来てるって話だったよな」
ヴォルタが感動を文字通り噛みしめていると、イグアスはお代わりで届いた大ジョッキを早々に空にした後周囲を見回した。
「アイツ? レッドガンの面子なら全員来てるだろ」
ヴォルタもまたイグアスの問いに応じながら周囲を見やる。
目に映るのはクソ親父と、クソ親父の物真似野郎にクソ親父の次におっかねえクソ親父、それにコールサインの無いMT部隊の面々達だ。
クソ親父の物真似野郎はMT乗り共と一緒になってクソ親父におべっかを使っている。
いつも通りだ。
いや、よく見るとクソ親父の周りにいる誰もかれもが飲み食いする手を止めていない。
酒と料理のあまりの美味さに歓喜に打ち震える身体を制御できていないのだ。
無理もない。
今日は
それはそうと、普段こういう時にMT乗り共から
「ちげーよアイツだよ、野良犬だよ」
事ある毎に”
勿論
酒である。
余談だが、ミシガンは酒を比喩でなく樽で飲む。
その話を初めて聞いたときイグアスは下らぬ与太の類だと思っていた。
自分より酒に強い人間など存在しないと固く信じていたし、事実それまでの彼は誰を酔い潰そうが最後まで飲み続けられる
そんな彼はレッドガンの”歓迎会”で自身が如何に矮小なる世界でしか物事を判断してこなかったのかを知った。
その時彼は人生で二度目の”わからせ”を受けたのだ。
閑話休題。
イグアスは酒だけでなく喧嘩の強さにもACの操縦にも絶大なる自信があったが、どちらも既にミシガンと”野良犬”に打ちのめされてしまっている。
しかしながら、流石にいくら何でもあのクソジジイのような”
いてたまるか。
つまりイグアスは、凡百の人間達と比すれば自分はまだ上澄みであると確信していた。
酒の勝負であれば自分にも勝ちの目は大いにある筈である。
あのムカつく野良犬野郎を酔い潰して自分の方が上であるという
その一心で今日は飲みたくもないウコンまで飲んできたのだ。
体調は万全である。
「ああ、それならあいつは」
ヴォルタが言いかけたとき、耳を劈く声が二人の脳天を直撃した。
「G4! G5! なにを二人でこそこそとやっとるか! 貴様等役立たずもついてこい! 持ち物にジョッキを忘れるなよ!」
常人ならば
「うるせえなぁ、なんだよクソジジイ!」
イグアスが即座に嚙みつくが、ミシガンの次の言葉に口を閉ざした。
「わからんのか役立たず共! 脳みその代わりに酒を頭に詰め込むのは後にしろ!
狂乱の宴はまだ始まったばかりである。
その場の誰もが本能で理解していた。
自分達が居る場所が既に戦場であることを。
血沸き肉躍る戦場であることを。
「帥父、その飾りは食べられないそうです」
「セリア・・・何故教えてくれなんだ」
サム・ドルマヤンは後にこう述懐する。
”食べられないと思うから食べられないのだ。”
ありがとうスネイル。