魔王学院の不適合者と泡沫世界の魔王   作:川野甘味

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えー、以前から少しずつ書いてたやつが書き終わったので投稿します。(えっ?一カ月まだ経ってないって?……。前回のあとがきを見なかったことにすることにより、その問題は解決しました)



出発

 

「サーシャ」

俺は目の前ですやすやと眠っている彼女に声をかけるが、一向に反応がない。

 

彼女の頭に手をやり、ゆらゆらと揺らす。

 

俺はその手の揺らすスピードを少しずつ早めた。

 

「さっさと起きるがいい。さもなくばその首が吹き飛ぶぞ」

 

そう言ってやると、サーシャが一瞬、パッと目を開いた。

しかし、次の瞬間には瞼は再び閉じられ、彼女はうっすらと目を開ける。

 

「……?アノ……ス?泡沫世界の魔王の夢にどうしてアノスが……」

 

どうやら、まだ寝ぼけているようだ。

 

「起きろ。もう昼だ」

 

「…やっぱり、夢だわ…」

 

聞いておらぬ。なかなかどうして、厄介なものだ。

 

「夢ではない。また抱いてやれば起きるか?」

 

俺はサーシャを軽く持ち上げ、そのまま両手で抱き抱えた。

 

するとサーシャは、再びうっすらと目を開ける。

「……あれ……アノス……?」

 

俺の腕の中にあるサーシャが瞬きをして、じっと俺のことを見つめた。

焦点があっていなかった目が次第にしっかりしてきて、彼女は言葉をこぼした。

 

「……もしかして……もう……朝……?」

 

いや、昼だ。

 

「あれ?ミーシャたちは?どこに行ったの?」

サーシャが辺りを見渡しながら言う。

 

「ミーシャなら母さんの手伝い、アルカナならファンユニオンたちのところだ」

 

「それじゃ、アノスはずっと私のこと見ててくれてたの?」

 

「そうだが、何か問題か?」

 

「いや、別に、何にもないけど…」

サーシャはそう言うと、どこか恥ずかしそうに俯いた。

 

「言いたいことがあるならはっきり言うといい。俺を誰だと思っている」

 

「……いや…別に…特に何にもなんでもないから……」

 

「ふむ。そうか。ではいらぬ詮索をしたな」

 

俺はサーシャをおろしてやると、足元に魔法陣が描かれた。

それが頭上へ上がっていく毎に、サーシャのネグリジェが制服へと変わっていく。

 

一瞬で彼女は着替えを終えた。

 

俺たちは、母さんやミーシャのいる方へ向かい歩いていく。

 

「そういえば泡沫世界の魔王についてはどうなったの?」

サーシャが夢で見た記憶を辿りながら聞いた。

 

「泡沫世界の場所なら、もう目処はたった」

 

「もう分かったの?いくらなんでも速すぎない?だって、見つけるも何も、魔力線すら繋がってなかったんでしょ?」

 

「夜、寝ている間、つまり、俺たちが夢を見ている間のみ魔力線で繋がっていたのだ。一体どうやって繋げたのかまだ分からぬが、これを辿って行った先に繋がっていた泡沫世界を見つけた。だが、どうやらただの泡沫世界という訳ではなさそうだ。何か、裏で仕組んでいる人物がいるとしか思えぬ。銀灯が働いていないはずの泡沫世界から、銀海を通って、パブロヘタラまで魔力線が繋がるはずがないからな」

 

つまるところ、相手はかなりの実力者だいうことだ。相手が例え泡沫世界の住人ではなく、深層世界の者だったとしても、そこからここまで魔力線を繋げられる者だ。存外、不可侵領域にも引けを取らない存在やもしれぬ。

 

しばらく歩いていると、母さんや、ミーシャたちの姿が見えた。

 

「あっ、アノスちゃん!おはよう!」

母さんが気付き、俺に抱き寄ってくる。

 

「相変わらず、あなたのお母様ってお母様らしいわよね」

サーシャは、パンを焼いているエクエスを見ながら言った。

 

「お陰で、希望のパンがよく焼ける」

 

「いや、そういうことじゃないんだけど…」

恐らく、エクエスの扱いに何か感じるところがあるのだろう。

これでも一応、ミリティア世界を滅ぼそうとしていたのだからな。

 

「そういえば、アノスちゃん。この前からずっと出かけてばっかだけど、お仕事忙しいの?今日も帰るの遅くなる?」

母さんが俺を心配するように聞いてくる。

 

ふむ。心配をかけさせていたか。

確かに、ここ最近帰ってこない日が多くあった。

これ以上母さんに心配をかけるわけにはいかないか。

 

「ちょっと待てぇ!」

そう考えていた時、父さんが横から突っ込んできた。

しかし、父さんはそのまま勢いよく壁にぶつかった。

 

父さんは壁から離れると俺の肩を掴み言った。

「アノス…。お前は強い。俺たちは弱いから、お前が何をしようとしているかや、何をしたのかはよくわからない。けどなっ!俺たちは、お前が悪いことをするようなやつなんかじゃないって知ってる!だからなっ!俺たちの心配なんていらない。お前はお前の好きなようにやればいいんだ。お前には、お前の仕事が、あるんだろ?」

そう言うと、父さんはキリッとした表情をし、俺をじっと見た。

 

「<銀界魔弾(ゾネイド)>を止めるお仕事って…」

サーシャは二人につっこみながら、頭痛が痛そうな表情を見せる。

二人がその強さを知らぬとはいえ、つっこまずにはいられなかったのだろう。

 

「アノスちゃん。私たちのことは心配せずに、アノスちゃんは、アノスちゃんのやりたいことをやってね」

母さんも、父さんと一緒に俺の背中を押す。

 

どうやら杞憂な心配だったようだ。

二人に、これから泡沫世界に行くことを説明しなくてはな。

 

「母さん、父さん。これから仕事に行ってくる。しばらくの間戻ってこないと思うが、安心して待っているといい」

 

「なにっ、俺たちは大丈夫だ。安心して仕事に行ってこい!」

父さんは、親指をグッと胸の前で立てる。

安心しろ、という意味なのだろう。

 

「これから仕事に行くって、今から行くの?まだ起きたばっかりよ?」

起きたばっかりなのは、サーシャだけだ。

 

「安心しろ。既に魔王列車の準備はできている」

そう言いながら、<思念通信(リークス)>をファンユニオンたちに繋いだ。

 

「これから出発する。準備はいいか」

 

「はいっ!問題ありません!いつでも大丈夫です!」

思念通信(リークス)>を通して、エレンから返事が返ってきた。

 

俺は<転移(ガトム)>を使い、魔王列車内部へと移動する。

続いて、ミーシャ、サーシャもやってきた。

 

俺は<思念通信(リークス)>を使いシンへと連絡をする。

「しばらくの間、泡沫世界に行ってくる。母さんや父さんたちを頼んだ」

 

「御意」

 

俺が居ない間に、襲撃する者がいないとは限らぬ。

念には越したことはないだろう。

 

俺は周囲を見渡し言った。

「用意はいいか」

 

俺の言葉に、その場にいた全ての者が頷く。

 

「では出発だ。目的地は名も知らぬ泡沫世界。各自、配置につけ」

俺がそう命令すると、魔王列車が動き出す。

 

泡沫世界で魔王を名乗る者や、グラハムを名乗る者。

単なる偶然やもしれぬが、あまりに出来すぎている。

何者かが裏で糸を引いていると考えるのが道理だろう。

 

だが、例え何が待っていようと俺には関係ない。

 

我が眼前に立ち塞がるありとあらゆる理不尽など、滅ぼし尽くすだけだ。

 




魔王列車出発。

一体泡沫世界には何が待ち構えているのか…。

面白い、続きが読みたい、と思ったならぜひ感想、評価、お気に入り登録などををしてください。

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ここまで勢いで書いたので、次の話からしっかりとプロットを練りたいと思います。なので投稿が多分遅くなります。今年中にもう一回は投稿できるように頑張ります。

こんな駄文ですが、原作を崩さないようにしたいので、何かあったり、疑問点、おかしな点があったら教えてほしいです。
自分にできる限りで改善します。
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