出発した魔王列車は特に何事もなく銀海を抜け、悠々自適にその車輪を走らせる。
「なかなかどうして、快適、快適ではないかっ!?」
列車の奥から喉をコツコツと鳴らしながら一人の魔族がやってくる。
エールドメードだ。
「ふむ。用事があるため来ないと言っていたが?」
どうやら既に列車に乗っていたらしい。
「いやなに、気分が変わっただけだ」
彼はその口角をニヤリと吊り上げる。
「そんなことよりも、何かおかしいとは思わないかね?そこの金髪。何か分かるか?」
彼はそう言うと、サーシャを方を指さす。
サーシャは急に自分に向けたれた指に驚きながらもおどおどとしながら答えた。
「えっと……。列車に乗っているのが私とアノスとミーシャとエールドメード先生とアルカナとファンユニオンたちだけで、エレオノールたちが乗ってないこと?」
「カカカ!残念、それはただ単に遅れてくるだけだ。疑問も持つのは悪いことではない。もっと自信を持って発言するといい。次はそこの銀髪。姉の名誉を挽回できるか?」
彼は次にミーシャの方を指さした。
「列車にいて無防備なのに敵が襲って来ない?」
ミーシャは僅かに首を傾げながら答える。
「つまりどういうことだ?」
エールドメードは更に質問をする。
「相手が敢えて攻撃をしていないかそもそも敵意がない?」
「敢えて攻撃していないのなら何故攻撃をして来ないんだ?ん?」
「それは……分からない」
ミーシャがそう答えると、エールドメードは口角を更に高く吊り上げる。
「そう!分からないのだ!普通なら、こんな無防備な状態で攻撃しないはずがない。つまりどういうことか?必然的に相手に敵意がないという事だっ!」
エールドメードはカカカと笑いながら言った。
「敢えて攻撃しないことで何か裏をかいているやも知れぬ」
俺がエールドメードの言葉に付け加える。
それを聞いて、エールドメードは口を大きく開けた。
「敢えて攻撃をしないことで裏をかく。確かに、その可能性もあり得る。いやいやそれどころか、その可能性しかあり得ないだろう」
エールドメードは再び笑う。
「ちょっと待って、さっき言ってた必然的に敵意がないっていうのはどうなったの?それなのに裏をかいてるの?一体なにがどうなってるのかしら。さっぱり分からないわ」
サーシャが頭を抱えながらエールドメードに聞いた。
「敵意がないというのは、普通ならの場合だ。この列車には魔王が乗っている。そんな状態で攻撃をすれば、結果は目に見えている」
「妹の方はしっかり理解できたようだぞ。少し頭脳を分けてもらったらどうだ」
「サーシャは私の頭脳、いる?」
エールドメードの言葉に、ミーシャがパチパチと瞬きをしながらサーシャに聞く。
「馬鹿なのっ!?」
サーシャのツッコミが、ミーシャに炸裂した。
するとその声を聞いてか、列車の奥からアルカナたちがやってきた。
「さすが破壊の子。見事なツッコミでボケを破壊した」
「うんうん。やっぱさすがサーシャちゃんだよね。誰よりも腹筋を破壊してる!」
「そうだ!カナっちもここで一発ギャグを披露だよっ!サーシャちゃんが絶対にツッコんでくれるし!」
それを聞いたサーシャは驚いたような表情を浮かべる。
「なんか私のハードル勝手に上がってないかしら…」
「コント芸、今何時?」
アルカナは虹色で六と書かれた紙を取り出す。
そしてアルカナは言った。
「八時」
「いや二時なのか六時なのか八時なのかはっきりさせなさいよ!」
次にアルカナは何かを運んできたような仕草をする。
「こちら、ご注文の料理です」
「いやそれは
そしてアルカナが屈んだかと思えば、箒を使うような行動をした。
「いやそれは掃除!」
「どうも、ありがとうございましたー」
「いやなんなのよこれ!」
コントが終わって早々、サーシャは悲痛の叫びをあげる。
「さすが腹筋を破壊する子。私の全てのボケがツッコまれた」
アルカナは感心したようにサーシャを見つめる。
「私も上手くボケができただろうか…」
「アルカナはよくできてた」
ミーシャがアルカナの頭を撫でる。
「そうだよ!カナっち天才!」
ファンユニオンたちも次々にアルカナを褒める。
「私は天才だったのだろうか」
「いや馬鹿なの!!」
「私は馬鹿だったのか……」
「あ、えーと、そ、そうじゃなくて……」
「サーシャちゃんはきっと、まだまだ天才だなんて自惚れるなって言いたんだよっ!」
「えっ!?え、ちょ、いや、そういう訳じゃ」
「私はまだまだということか」
アルカナはそう言うと、両手両足をクロスさせ、ステップを刻む。
「リズム芸、らー・せんしあ♪」
そしてそのままアルカナはらー・せんしあ♪ らー・せんしあ♪ らららら♪とリズム芸の練習を始める。
いつのまにか、ファンユニオンの少女たちも一緒に踊り始めていた。
「いや結局一体なにがしたかったのっ!!」
激しくサーシャがつっこんだ。
◇
「アノス様!そろそろ目的地が見えて来ました!着陸しますか?」
操縦室から<
「ああ」
俺がそう返事をすると列車はそのまま目の前の泡へと突っ込んでいく。
列車が泡に飲み込まれると、そこには世界が広がっていた。
「ふむ。城か」
列車の外には、一際大きな城が建っていた。
「アノス様!どこに着陸させますか?」
「恐らくこの列車がやって来たところはこの世界の住民に見られた。隠しても無駄だ。そのまま城に突っ込め」
「了解しました!」
「あ、アノス…?このままだと城とぶつかるわよ?」
「なに、恐らくあれが魔王城だ。わざわざ遠回りするより直接行った方が早い」
「いやそういう問題じゃ……」
刹那、列車が大きく揺れる。
城と激突したのだ。
「着いたか」
列車の揺れが収まると、外から<
『今から三秒以内にその列車からでてきなさい。さもなくば列車ごとあなたたちを吹き飛ばします』
『ふむ。警戒しているのは分かるが、生憎お前たちに用はなくてな』
俺は列車の外に向かって<
『ブラウ・アルヴィローゼとやらを知っているか?』
『賊に話すことはありません』
『賊か。少々判断が早いのではないか?』
『いえ、適切な判断をしたまでです』
ふむ。まぁ確かに、城にいきなり突っ込んでくるのは賊以外の何者でもないな。
『来るならこい。俺が全員吹き飛ばしてやる』
刹那、列車の周りに魔法陣が展開された。<
「<
<
俺はそれらを全て破滅の魔眼にて睨み滅ぼす。
『ふむ。もう終わりか?ではこちらの番だ』
俺がそう言うと、列車の外に一つの魔法陣が展開された。
「<
泡沫世界の住人に向けて蒼き恒星が放たれた──。
放たれたのは深層魔法でした。
……。よく考えたら、泡沫世界で<
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