標的はファーロン・ダイナミクスの武装船団です。
武装船団は大量の輸送物資――最新MTの他ACも多数積載しており、同社の第一艦隊に護衛され前線基地へ向かっています。偵察によると標的は現在木星の衛星エウロパを南下中とのこと。エウロパ南西部にある宇宙港を経由し、木星にあるベイラムの前線基地へ物資を送り届けるのが目的でしょう。
第一艦隊は大型艦艇を中心に構成された大規模な部隊で、これがターゲットそのものではない以上まともに戦う意味はありません。従って今回のミッション・プランではVOBを使用し、一気に第一艦隊の懐に飛び込み、速やかにターゲットのみを破壊するプランを策定しました。
我々アーキバスは、ファーロン・ダイナミクスがベイラム・インダストリーに吸収・合併される方へ交渉が纏められつつあるとの情報を掴んでいます。木星の優等資源獲得に於いて、ベイラムは油断ならない強力な競合相手。今この段階でベイラムの勢力が増強されるのは非常にマズイと言えるでしょう。
独立傭兵リンクス。我々アーキバス・コーポレーションは貴方を高く評価しています。
本作戦中に使用した弾薬費、修理費は全てアーキバスが補償しましょう。存分に武装を使用されても構いません。また補給艦艇の破壊にもボーナスを設定しています。撃墜した数の分だけ、貴方への報酬は増していく計算です。補給艦艇以外は破壊目標に設定しておりません。
ミッションの概要は以上です。色よい返事を期待しています、リンクス』
――純白の機影が炎の帯を背に生やし、作戦宙域を目指して疾駆する――
旧世紀。国家と呼ばれる枠組みが残っていた頃。最強の戦闘機と称された機体と同等の最高速度を発揮して、空気の壁を突き破り飛翔する人型兵器の種別はAC――アーマード・コアだ。
コア理論により胴体パーツを中心に手脚、頭部パーツを自由に換装でき、FCSや内蔵ジェネレーターまでも交換可能で、用途ごとに武装も変更できる最高の汎用性を備えた戦争人形。
それがACである。搭乗資格となる適性を有するACパイロットは希少であり、搭乗資格があろうと戦闘経験、戦闘技能、戦術思考、瞬間判断能力のいずれかが欠けているだけで戦闘力に大きな隔たりが生じる。極めて高い汎用性、戦術価値を持つ故の欠陥だ。故に、AC乗りは機体を自身に合わせるのではなく、自身の肉体をACに適応させる強化手術が施されるようになっていた。
強化人間の登場だ。ISB2262:惑星ルビコン3にて発見された謎の新物質コーラルによる、禁断の人体改造プロジェクトの産物。星系規模災害『アイビスの火』によりコーラルが焼失し、コーラルの獲得が不可能となった今、コーラルを用いた実験の数々で培った技術により、件の新物質を用いない強化技術が確立されたことで、非人道的な所業は磨きがかかってAC乗りに地獄を見せた。
今や名のあるAC乗りは、おしなべてなんらかの強化手術を施された強化人間であるというのが通説となりつつある。それだけAC適性を後付けできる強化手術を受けた者が多くなったのだ。強化人間の母数が増えたのなら、生まれ持った肉体にメスを入れずにいるAC乗りが遅れを取るのも自然な流れ。
企業間戦争に投入されるACは、人体強度の限界を軽く超える急加速や急減速、不規則な戦術機動を描ける。普通の人間では天性の才覚がなければ乗りこなせない兵器に進歩しているのだ。精強なAC部隊を成す強化人間を、手軽に生み出せるのなら、強化手術が企業間で主流となるのは必然と言えた。
だが、何事にも
『――なっ、なんだこのACは!?』
『独立傭兵か! だが……コイツ、俺たちを無視して!?』
『うわぁぁぁ! だ、誰か早く! 早く救援を――』
『護衛艦隊は何をしている!?』
VOB――Vanguard Overd Boost(ヴァンガード・オーバード・ブースト)と連結されたブースターが齎す推力は、純白のACを流星へ生まれ変わらせた。
右肩には三日月を背景とする白い一角馬のエンブレム。艦隊の探知網外から超高速で襲来したACによる爆撃が輸送艦艇を次々に火球へ変え、瞬く間に半数を残骸にする。
右肩・左肩に搭載された大型バズーカは、たった三発ずつの弾数で艦艇の艦橋を破壊、大爆発を起こし艦艇を半ばから真っ二つにしていた。それだけの大火力を受け止められるACではない、白い流星となった機体は軽量モデルの二脚タイプ、スリムなフォルムだ。故にそれは外付けの外部装甲に反動衝撃を肩代わりさせ、役目を終えた装甲が火花を散らすと即座にパージした。
そして出現するのは枯れ木のように細い機体。鋭角的な機体の装甲は必要最小限、しなやかな山猫を彷彿とさせる、野生的な剛性を剥き出しにしたもの。
『あ、あれは……あのACは!』
『敵ACの照合を完了した! 奴は【ホワイト】だ、白い悪魔、独立傭兵リンクスが来やがった!』
『チクショウ、アーキバスに尻尾を振りやがって、首輪付きめェ――!』
標的の輸送艦隊中央へ到達した白いACは、右腕にベイラム社が開発した大口径の火力型リニアライフルを。左腕にプラズマ関連兵器を主に開発するVCPL社に依頼して、特注で開発させた大型のレーザーブレードをそれぞれ装備し、この木星戦争で猛威を奮っていた。
それの機体名はホワイト。識別名はリンクス。最新の強化手術を受けた強化人間だと見做される
故のイレギュラー。ベイラムとアーキバスによる木星の利権を巡る争いに身を投じ、大小様々な企業の間を渡り歩いて、近年はアーキバスを主な雇用主に据えているウォー・モンガーである。
VOBをパージした後も高速機動は継続されている。艦艇から放たれる銃弾やミサイルの悉くを、
そして残存している標的の輸送艦を、大出力のレーザーブレードを出力し、プラズマ状の刀身を二十メートルまで伸長。一振りで標的を次々に撃沈させていく。一度の戦闘で使い捨てる、コストを無視したレーザーブレードをもパージするや、残った火力型リニアライフルで的確に艦橋、エンジン部を射撃して遂には全ての標的を撃沈してのけた。
この間、たったの三分。作戦宙域にリンクスが突入して二分間の出来事だ。
『輸送艦隊が……全滅!? 単機のAC相手に、たった二分で!?』
『化け物め……クソ、良いようにされたまま逃してたまるか! おい、AC部隊の出撃準備はまだ終わらないのか!?』
『――船の状況も把握しておらんのか? 出撃用意なんぞとっくに出来ておるわ! だが奴め、すれ違い様にハッチの動力部を撃ち抜いている、カタパルトの展開が出来ん、ぶち壊して出るが構わんな!』
『な、なに……? くっ、仕方ないかッ』
作戦行動中の被弾は一度もなく、拠点を含む指定対象の防衛ミッション以外――目標の殺害や破壊任務の達成率は、依頼主側の不手際がない限り95%を記録するリンクスの悪名、独立傭兵としての名声は木星中に鳴り響き、今や英雄とさえ呼ぶ向きもある。だがアーキバスをはじめとする企業に忠実な姿勢を揶揄して、リンクスは木星戦争の英雄の他に、首輪付きとも称されていた。
いずれにせよ、同戦争に於ける英雄であるのに違いはなく。
故に、その邂逅もまた必然であった。
『聞いていたな、役立たずども! 相手は腕っこきの独立傭兵リンクスだ、直近に自殺の予定がある者だけ付いて来い!』
近い未来、ベイラムに移籍することになるファーロン武装船団のAC部隊、その隊長。木星戦争のもう一人の英雄であり、後のベイラムのAC部隊レッドガンの総長――ミシガンである。
木星のとある非戦闘区画。建前上は中立の生活圏。その場末にあるバーに、一人の青年がいた。
天然パーマぎみの金髪に、青い瞳。貴公子然とした白い肌に、甘いマスク。こんな場所にいるのが不自然なほど存在が浮いている。
カウンター席に座る青年が手にしたジョッキには、なみなみと注がれたミルク。粗挽きのソーセージとスクランブルエッグを淡々と口に運ぶ様は、彼が人畜無害な男のように見せかけていた。
だが、バーにいる荒くれ共は誰も青年に近寄らない。容姿こそ大人と子供の境目でも、その青年の正体がなんなのか、傭兵稼業に勤しむ荒くれ共はおおよそ察しているのである。
だからこそ喧嘩を売るような莫迦はいなかった。青年が生身の荒事も強く、油断なく銃も携行しているのも知っているからだ。下手に因縁をつければ返り討ちに遭うのが目に見えていた。
「………」
青年の識別名はリンクス。AC――アーマード・コアのパイロットである。
リンクスの両親は独立傭兵だった。
国家というシステムが解体されて数百年、あるいは千年近く。人類社会の主な勢力は企業に取って代わられたまま続き、企業は種々様々な利権を巡って軍事衝突を起こし続けている。
独立傭兵はいわば企業間を転々として、軍事行動に肩入れする個人事業主のようなものだ。自分で仕事を選び、自分で自分を売り込み、自分で利害の全てを引き受ける自転車操業者である。
リンクスの両親は傭兵として生計を立てていた故に傭兵としてしか生きられなかった。そこそこ名の知れた独立傭兵だった両親でも、息子であるリンクスに受け継がせられるのは傭兵としての生き方だけで、今更この業界から足を洗える状況ではないことを悔やんでいたらしい。
傭兵で、しかも名前が知られているということは、世界を牛耳る企業に睨まれているか、最悪恨まれているということ。傭兵としての伝手や武力を捨てたなら、非正規な手段で報復される危険性は常に付き纏う。最悪どこぞに拉致されて洗脳を施され、都合のいい捨て駒に仕立て上げられかねない。
だから両親は死ぬまで傭兵で。加齢により衰えた二人は、木星戦争の半ばに倒れ帰らぬ人になった。
リンクスにとって幸いだったのは、二人の遺産を無事手に出来たこと。輸送ヘリ、安価ながらも輸送艦を元にしたドックつきの移動型拠点、そしてACとこの業界での伝手。子供の頃からでもなんとかやっていける程度に財産が残っていたのが最大の幸運だろう。
リンクスは傭兵の両親の元で生まれ育ち、学んだから知っている。僕も傭兵を――正確には戦うことをやめられないだろう、と。環境がそうしている。
それを理解していたから、リンクスは両親に課される訓練にも真剣に取り組んだ。
そして幼少期から課されてきた厳しい訓練を乗り越えたから、元々具わっていた才能のお蔭で、10代後半の今ですら名を売れて大手企業からも評価されるに至ったのだ。
常に仕事を漁り、必死に企業へ尻尾を振り続けた成果だろう。だがそれもいつまで続けられるかは判然としない。どれほど突出していようと、所詮は個人だ。組織の前には無力だった。
故にリンクスは、企業への就職を目標にしている。
戦うことはやめられずとも、せめて潤沢な資金力と組織力で、万全の環境を整えたい。諸々の恩恵に与りたい。そして今は無理でも、せめて老後ぐらいは穏やかに暮らせるようにしたい。
その為には組織による庇護が不可欠で、故にリンクスは戦争に身を投じる。自分の名を売り、できれば大手企業から引き抜きの誘いをもらうのだ。それが自分ならできるはずだと信じていた。
現在リンクスはアーキバス・グループの本社、アーキバス・コーポレーションを雇い主としている。報酬が旨いのもあるが、ブリーフィングの度に褒めてくれるので、そのうちヘッドハンティングしてくれるのではないかと期待しているからだ。この調子なら社員の一人になる日も近い、はずで。今まで確かな手応えを感じていたのだが――彼の貌は今、暗かった。
(こちらからそれとなく秋波を送っても梨の礫、か。アーキバスは僕を便利な駒として扱えれば、それで満足なのか?)
先日のミッションでも文句の出しようがない成果を叩き出した。木星で自分以上のパイロットはいないはず。少なくとも個人の戦果では。
なのに一向に誘いが来ない。自分のところのAC部隊に加入してくれと、色目を使ってこない。
リンクスはそれが不満だった。
首輪付きと揶揄されるほど熱心に尻尾を振っているのに、どうして誘いが来ない? このままアーキバスにだけ使われ続けていると、そのうちアーキバス以外から仕事が入らなくなり、やがて今の雇用主しか使ってくれない状況になる。そうなれば詰みだ。一生便利な駒でしかいられなくなる。
(それが狙いなのか? なら僕は、どうすればいい)
今更よその企業に尻尾を振っても、恨み辛みを多方面から買っているであろう身では、後ろからの銃弾に気を配らねばならなくなる。そんな状況では傭兵稼業も長くは続かないだろう。
例え戦いには負けなくとも武器は消耗する。機体は摩耗する。そしていずれ使い物にならなくなり、最後には汚い花火に生まれ変わってしまう。それは避けたい結末だ。
所詮は個人事業主。戦場でオペレートしてくれて、諸々の交渉事を担当してくれる誰かを雇う余力はない。リンクスは今まで全てを一人で熟して、ACの整備も信頼できる筋に依頼し、金に糸目をつけずに装備を整えているが、そこまでが個人では限界だった。
アーキバスの飼い犬で終わる。その未来が段々はっきり見え始めている。どうしようもない閉塞感に、リンクスは苛立ちを堪えきれなくなりつつあった。
そんな時だ。不意にバーの扉が荒々しく蹴り開かれ、軍靴を鳴らして一人の男がやって来た。
「邪魔するぞ」
重く、デカく、硬い、熱した鉄塊のような男だった。白髪混じりの総髪と、鍛え上げられた肉体、厳つい面構えの偉丈夫である。
鋼のような瞳だ。軍人然とした制服と、右肩に縫い付けられたエンブレム、聞き覚えのある声とも合わせて、彼の正体におおよその見当をつけたリンクスは警戒心を強める。
懐の拳銃を意識しつつ横目に男の動向を追っていると、大柄な男はぐるりとバーの中を見渡して、リンクスに目をつけると見定めるような視線を送ってきた。凄まじい威圧感だ――他の傭兵達が我関せずと顔を逸らす中、男は大股にリンクスの隣まで来て、断りもなく席についた。
「一杯奢る。俺の話を聞け、リンクス」
「………」
耳元で怒鳴りつけるような声量だが、不思議と不愉快ではない。だが計算はした。
自分の顔と名前を知っている様子から、おそらく相応の組織力はあるのだろう。下っ端には見えない。自分で足を運んで来ていることから、何か大きな話でも持ってきたのか。
覚えのある声、エンブレム、相応の身分の有りそうな格好、自分の名と顔を事前に知れる立場と組織力から逆算。彼の名前を割り出したリンクスは、シニカルな笑みを口元に刷いた。
目的は報復か? であるなら構いはしない。ちょうど憂さ晴らしがしたかったところだ。
「――貴方は、
名前を呼び返すと、男――木星戦争の英雄の片割れは眉を動かした。
「平時でも勘は鋭いようだな。だが自身の戦術的な価値を軽視し過ぎだ、今の木星で貴様を知らん奴はもぐりも同然だと馬鹿にされるぞ。貴様は俺をそこらの木偶の棒と一緒くたにする気か」
「……驚いた、意外と率直に褒めてくれるな。気分がよくなるよ」
「こんなおべんちゃらで気を良くするとは安い男だな! 貴様も一端の傭兵ならお高く纏まれ! ふん、腕は立っても性根は腐る寸前のようだから率直に言うぞ、リンクス! 俺の下に来い! この俺が移籍し、ベイラムで創設するAC部隊の構想には、お前のような活きの良い手練が必要だ!」
単刀直入、敵陣中央突破の言葉の一撃だった。
あまりに明快で、誤解の余地のない勧誘を受け、鳩がマシンガンを食らったような顔になる。リンクスが内心諦めかけていた話だったからだ。
思わず呆気に取られる。ミシガンとは先日の仕事で交戦した間柄だ、つまりは敵同士だった。傭兵なら昨日の敵とも仕事なら手を取り合うものだが、幾らなんでも急すぎる。
「悪いがその話は信じられない。僕は先の仕事で貴方の部下や同僚を何人も殺した。貴方も僕に撃墜されている。だから自分達の懐に呼び込んで、僕を殺すつもりだと言ってるように聞こえるよ」
「ほう、名前の通り、子猫のように臆病なようだ。だが侮るな! 確かにこの間はしてやられたが、貴様にはこの俺が、戦場での借りを戦場以外で返そうとする腰抜けに見えるのか!」
「む……それは、正直、見えない」
「目玉は節穴ではないようだな! 戦場での戦いぶりを評価することはあれ、そこに恨みを持ち込むような愚図は早死にするだろう。ただの役立たずよりも質が悪い、俺の部下にそんな愚図はいらん! そして独立傭兵リンクス! 貴様は曲がりなりにもこの俺を撃墜できる腕がある、愚図のような腐った考え方に染まるんじゃない! 俺の下に来るのか来ないのか、はっきりせんか!」
「………」
ミシガンの強い言葉は、中身も、心情も、信条も強い。堪らず圧倒された。
しかしリンクスは、ミシガンの強さのお蔭で冷静さを取り戻す。圧倒されることで、ここが自身の今後に関わる重大な戦場であると感じたのだ。
故に、リンクスは冷静に、しかし内心の高揚を抑えきれずに問う。可能な限り静かな声で。
「貴方の話に乗るとして、待遇はどうなる」
「貴様には俺の作るAC部隊で№3の立場と責任、大の大人が泣き喚くほどに過酷な仕事を山のように与えてやる! コールサインは『
文句があるか、だと。
ミシガンの話を信じるなら、まさに自分が目指していたものではないか。
組織の一員。企業所属の社員。
最高である。即答で是と言いたい。
だが、これが謀だったら? まんまと誘い出され、罠に嵌められたら?
リンクスは彼らにとって多くの仲間を殺した仇であり、敵だった。……信じて良いのか? いや、これはもう、話の内容ではなく、ミシガンという男を信じるか信じないかの話になる。
自分は今、岐路に立っている。独立傭兵リンクスは体の向きを変え、正面からミシガンを見据えた。ミシガンも真っ直ぐに自分を見ている。
その強い目。匂い立つ、軍人の志操。そして人情味。リンクスは嘆息した。
「……一杯奢ってくれ」
「いいだろう」
未成年だが、関係ない。
傭兵として体は資本だから飲もうとしたこともない。
だが、はじめて酒を飲むなら、今だという気がする。
ミシガンの奢りで出された酒を、一気に呷る。
不味かった。だが、悪くない。
立ち上がったリンクスは、同じく立ち上がったミシガンに、手を差し出す。
「貴方の誘いに乗ろう。よろしく頼む、隊長殿」
「――これからは
がっしりと握り返された手に、リンクスは定めた。
自身の首輪を繋ぐ鎖をベイラムに、そしてミシガンに預けようと。
果たして木星戦争の二大英雄が結託した今が、同戦争に於ける勝利はベイラムへ一気に傾いた歴史的な瞬間である。
――それはとある独立傭兵が、惑星ルビコン3に於いて、新物質コーラルが再び湧き出はじめたとの情報をリークし、惑星封鎖に綻びを生じさせる約十年前のこと。
木星戦争に勝利したベイラムが、コーラルの情報に釣られ、惑星ルビコン3へレッドガン部隊の投入を決定した時。レッドガンと共に、最上級のイレギュラーが介入することになる。
これは、英雄の物語だ。謎多き新物質コーラルを巡る、支配の安寧を望む首輪付きと、自由意志の象徴たる鴉の戦いの舞台である。
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・リンクス
イレギュラー。戦闘力特化の化け物。強化人間ではない、生身の人間。
ACの操縦技術、未来が見えているかのような戦闘勘、隔絶した戦術判断力は天才的であるものの、防衛任務を大の苦手にしている。しかしそれはただの人間アピールだろうとの噂も。
今話では驚異の18歳前後。後のレッドガンにてG3のナンバー(永久欠番確定)を得て、アーキバスの悪夢と化す。主にスネイルの胃をズタズタにする模様。原作時系列になると20代後半。
キャラ造形というか戦闘力のモデルは……言わなくてもいいかな。レイヴンこと強化人間621との対比にもなる。強化手術されACの操縦にだけ特化した621(イレギュラー・レイヴン)と、天然自然のままの人間(イレギュラー・リンクス)という具合。戦闘以外は安定志向なので企業優先。
ミシガンを撃墜した際、今までで最も多くの銃弾を消費。撃墜したはいいものの弾切れを起こし、確殺できないまま撤退している。
・ミシガン
AC世界屈指の善人枠。理想の上司と見る向きも。ただしハートマンだ。
木星戦争の英雄であり、運悪くリンクスと交戦。そして生き残った後、リンクスに自身の部下になれと勧誘しに自ら赴いた。
アーキバスがリンクスの送る秋波を無視し、独立傭兵としてしか使おうとしないのに痺れを切らしたリンクスは、ベイラムに所属させてくれるというミシガンの勧誘に乗ることになる。
・アーキバス
イレギュラーが手元からすり抜けていったことに気づくと顔面真っ青に。
ただし木星戦争関係者のみ。上層部はたかが独立傭兵の一人としか思っていない。
エア「レイヴン、レイヴン、レイヴン」
ミシガン「リンクス! リンクスぅ!」