首輪付きの山猫、赤い銃に繋ぐ   作:飴玉鉛

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白い悪魔、魔界から殺意を込めて

 

 

 

 

 

 ぺらり、ぺらりと紙束を捲る音は、電子の支配する世でも廃れないクラシックな味わいだ。

 

 安っぽい革張りの椅子に腰掛け、長い脚を組んで手元の文字を追う様には、とまり木で羽根を休ませる大鷲の如き雄大な趣きがあった。

 其処に在るだけで、場の密度が増したかのような存在感。先天的なものではなく、屠り葬った生命の数が彼に後天的な魔力を与えている。定義上、魔力が人を畏怖させ、畏敬の念を懐かせるものだというならば、或いは人が威厳と称し奉るものなのかもしれない。動物が天敵を目にした時の戦慄の別名だ。

 デスクに置いたカップを手に取り、口を付けて啜るのは本物の珈琲。ここ惑星ルビコンではほとんど手に入らない、フィーカなどという泥水とは比較にもならぬ芳醇な香りと味わいのもの。人ならざる魔力を漂わせる男――リンクスは険しい表情で、報告書に記された文字を青い瞳でなぞっていく。

 

「オールバニー」

「なんです、隊長」

 

 リンクスから離れた位置でデスクに向かい、PCのディスプレイを睨んでキーボードを叩く美女も、遊びのない貌で仕事に励んでいる。上司から呼び掛けられても、赤毛の美女は素っ気ない。

 

「サム・ドルマヤンを尋問して、上がってきた報告はこれだけかい?」

「手元にないならそれで全部なんじゃないですかね」

「………」

 

 オールバニーの態度は無礼だが、リンクスは欠片も気にせず物思いに耽る。

 

 解せない。自身が捕虜にした老人、ルビコン解放戦線の指導者サム・ドルマヤン。彼の思惑が何処に在るのか、どうにも理解が及ばなかった。

 ヴェスパーによるミシガン暗殺作戦のリーク、重要拠点『壁』の内部情報のリーク、どちらもドルマヤンによるものだ。これらは明確に傘下のルビコン解放戦線と、アーキバス・グループに仇をなすものであり、ベイラムのみに一方的な利を与えるものだと言える。故にドルマヤンの思惑は、解放戦線を捨てベイラム側につき、自らの栄達を図るためのものだと思っていた。

 例の件を踏まえ、リンクスは彼に借りがあると感じたから、ドルマヤンを含め解放戦線側の主要戦力達を極力殺さぬように努め生け捕りにしたのだ。自らの安寧を図る志操には共感も出来る。年の差はあるが友人になれるかもしれないと期待し、お偉方の方針も理解しているから彼の扱いに口を出していない。

 

 だが。

 

(ドルマヤンは情報をリークしていない?)

 

 解放戦線の精神的支柱は尋問の結果、ベイラムに情報のリークなど行なっていないという趣旨の発言や態度を取っており、彼はベイラムからの厚遇と手緩い尋問を訝しんでいたという。

 近くの部屋に解放戦線のメンバーがいるからそういう態度をしているのかと思い、別室に移って質問を重ねても答えは変わらなかった。ドルマヤンは星外企業への警戒心が強く、話が通じない。

 

 ――ドルマヤンのリークによって利を得たベイラムは、捕虜となった彼を丁重に(もてな)した。形式上は捕虜の身分であるため収容所に入れられているものの、これからさらなる利益を望める取り引きが、ドルマヤンから持ち掛けられるだろうとベイラムは考えていたのだ。

 だからこそドルマヤンの態度にベイラムも困惑した。やがて何事かを悟ったらしいサム・ドルマヤンは口を噤み何も語らなくなったが、彼がだんまりを決め込むとベイラムも業を煮やして本格的な尋問を開始することになる。自白剤をはじめ、数々の麻薬を投与して心身を衰弱させつつ拷問を施したのだ。すると、疲弊したドルマヤンは意識を朦朧とさせて、譫言のように呟いたという。

 

 『()()()……()()()()()()()()()()……』と。

 

 ドルマヤンへの尋問は引き続き継続することにしたらしいが、彼が情報を齎したのではないなら、一体何処の誰がベイラムにドルマヤンの名を使って情報をリークしたのか。そして何故、ベイラムに利する行為を働いていながら、未だに名乗り出ずにいる? どんな思惑が水面下で蠢いているというのだ。

 

「………」

 

 不気味だ。リンクスはドルマヤンとベイラムの認識の齟齬に、得体の知れない恐怖を感じている。

 誰も認知していない何者かの暗躍がある。目的はなんだ? なぜ姿を隠している? 考えても今は何も分からないだろう。リンクスは嘆息し報告書の束をデスクの上に放り投げた。

 不明な点はあるが状況はシンプルだ、惑うことはあるまい。整理すると惑星ルビコンにはアーキバスとベイラムがいて、解放戦線を含め三つ巴になっており、それらを取り巻く企業がある。そしてそこに誰も認知していない第三者がいる可能性がある。事実の箇条書きをしてしまえば単純な話だ。

 そしてその第三者に関しても、一介の飼い犬が気に掛ける必要はない。そういうものの正体を追求するのは自分の仕事ではないのだ――そう思うのに、我関せずを貫いてはならない気がする。

 

 悩ましい気分だ。どうしたものかと普段は働かせない頭脳で知恵を絞っていると、プシュ、と空気の抜ける音がして、入り口の扉が横にスライドする。

 来客だ。やって来たのは黒髪の男ラスティだ。リンクスは彼の来訪を受け、意識を切り替える。

 

「すまん、待たせた」

 

 待っていたのはリンクスの方だが、しかし敢えてリンクスはそのような表現をした。

 ラスティは眉を動かし、敬礼して室内に歩を進める。

 

「待たせた、とは? 私は呼ばれて来ただけだ、貴方を待たせたのは私の方だろう」

「惚けなくていい。最近は互いに忙しかったからね、こうして話をする機会もなかった。以前、君と腹を割って話をすると言った手前、有耶無耶にしたままだとどうにも腹の据わりが悪いんだ」

「ああ……確かに言っていたな。まさかまだ覚えておいでだったとは」

「嫌味かい? 長話になる、そっちに座るといい」

 

 ラスティの態度も砕けている。彼もレッドガンの流儀に染まってきたのかもしれない。ともあれ上司に勧められたとあっては無碍にも出来ず、ラスティはリンクスの正面の椅子に座った。

 目の前のデスクの上にある報告書に目を細めるも、彼は微塵も表情を変えずにいる。

 

「珈琲だ。冷めない内に飲め」

「ありがとう、オールバニー」

「フン……これも仕事だからやったんだ、礼は要らない」

 

 いつの間に立ち上がっていたのか、スーツ姿の赤毛の美女オールバニーが珈琲を入れ、ラスティの前にカップを置くと無愛想に吐き捨て席に戻る。

 彼女の邪険な態度に薄く苦笑したラスティはカップを取り、口をつけた。それを見届けて、リンクスは早速とばかりに切り出す。

 

「さて、ラスティ。君は解放戦線からのスパイだろう?」

「まだそんな疑いを掛けていたのか? 違うと何度も否定したはずだが。証拠もないだろう」

 

 さらりと問われても、顔色一つ変えずにラスティは否認する。当たり前だ、何処の世界に自分は敵からのスパイです、とバカ正直に告白する阿呆がいる。しかし悪魔に気にする素振りはない。あたかもラスティの否定が聞こえていないかのように無視して言葉を続けた。

 

「スパイである君の目的はなんとなく推察できる。ルビコンという貧しい星だと、コーラルという資源は何にも代えられないほど重要で、貴重だ。故に、コーラルを奪わんとするアーキバスとベイラムは、ルビコニアンにとって自分達の生活基盤を破壊する侵略者に過ぎない。だから君は自分達の命、尊厳を守る為に、侵略者達を星外に打ち払おうとしている。そうだろう?」

「私はともかく、ルビコン解放戦線はそうしようとしているだろうな」

「だが君はその先も見据えている。ルビコニアンの雄飛を目指すなら、星外企業を利用して惑星封鎖機構を打倒したいはずだ。バスキュラープラントも伸長させ、来たるアーキバスとベイラムの決戦時か、別の好機が到来すれば裏切り、両者を共倒れに持ち込もうとしている。そうして首尾よく事が済めば希望のある未来が訪れる。そうだな……コーラルを主要産業に据えた組織を起業して、星外企業と商売をする……というのが現実的な身の処し方になるのか?」

「貴方は面白い想像をするな。確かにそれはルビコニアンが辿るべき一つの道ではありそうだ」

 

 たとえ奇跡が起こってルビコニアンが勝利したとしても、未来永劫に栄華を誇れるわけがない。むしろ彼らにとっては、ルビコンで勝利してからが本当の戦いになるのである。

 ルビコンにいるベイラムやアーキバスよりも、その外にいる方が両企業の戦力は潤沢なのだ。両企業を打倒するなど、地力が乏しいルビコン勢力には不可能と断じる他ない。なら積極的に自分達からコーラルを売り出して、外貨を得て友好関係を築いていくしかないだろう。

 

 興味深い、とラスティは笑う。

 

 どれほど詰めても彼は小揺るぎもしない、動揺もない。

 単身で敵対企業に潜伏しただけあり、大した人物だ。

 だが彼と腹芸したいわけではない。全く取り合わずに、リンクスは言った。

 

「で、僕の本音なんだが……僕はルビコニアンやその未来に興味はない。が、コーラルは別だ。コイツには関わり合いたくないんだよ。コーラルなんか放っておいて、さっさと出て行きたい」

「……迂遠な物言いだな。どれほどの強さがあろうと、貴方は一介の走狗だ。隊長、貴方の奔放さをベイラムが許容しているのは、貴方があくまで仕事を熟す優れた猟犬だからに過ぎない。幾ら出て行きたいと言い募ったところで、そんな要望が通るはずはないと愚考するが」

「だろうね。そこで僕は幾つか確認したかったんだよ。コーラルってそもそもなんなのか、ルビコニアンである君にね」

「コーラルが何か、だと?」

「ああ」

 

 頷いて、リンクスは珈琲で唇を潤す。彼に釣られてか、ラスティもカップに口を付けた。

 

「コーラルには謎が多い。アイビスの火のせいで、その手のデータが焼失してしまったからね。だからベイラムも、アーキバスも、まずはコーラルに関する詳細なデータを欲しがっている。そこで物は相談なんだが……僕は君に、或いは君に近しい誰かに起業してほしいと思っている」

 

 このリンクスという男の、常軌を逸した勘の鋭さはラスティも知っている。だから彼の発言に多少なりとも興味を惹かれた。オールバニーもそうなのだろう、仕事の手を止めてこちらを見る。

 二人からの注目を集めた当人は、自らの中で言葉を練り、纏めているのだろう。そうして真剣な面持ちをしていれば、大戦略を構想する策略家にも見えてくるのだから顔の良さは卑怯だ。

 

「僕はコーラルに関わりたくない。君はルビコニアンの現状を打破し、よりよい未来を掴みたい。利害は一致していると思うんだが、どうかな」

「どう、と言われてもな」

「そもそも隊長、なんでアンタはコーラルに関わりたくないって言うんです」

 

 幾らなんでも急な話だからか、戸惑いながらも思考の海に没入しそうな様子のラスティだったが、オールバニーが混ぜっ返すように反駁してくる。

 リンクスはラスティとの話に割って入られたことに気を悪くしない。彼が件の新物質に、生物めいた気配や思念を感じているとは言うことなく、あっさりと返した。

 

「簡単な話だ、コーラルは危険過ぎる。星系規模の災害を巻き起こす物質なんて、他に例があるか? もしそんな危険物が他の星系に持ち出され、同様の災害がよそでも起こるようになってみろ。全宇宙の人類圏に安全地帯はなくなるんだ。あんな規模の災害に被災したら、幾ら僕でも一溜りもない。何処に居ても避けられない死の危険があるだなんて、ゾッとする話だろう」

「あぁ……それは言えてますね」

「確かにコーラルは便利だ。科学技術を飛躍的に発展させ、幾つもの分野でブレイクスルーを起こし得るポテンシャルがあるのは、企業にとっても無視し難い魅力ではある。でもね、コーラルが弩級の危険物であるのに変わりはない。コーラルで得られるメリットと、アイビスの火と同じ災害が起き得るリスクが生じるデメリット、どちらが重く大きいかは言うまでもないはずだ」

 

 そのリスクがあるからこそ、アーキバスもベイラムも、まずはコーラルの調査・研究を目的にしているのである。安全性の低い物を取り扱うのは、営利企業としては有りえないことだからだ。

 仮に巨万の富を得られても、築いた財貨の山ごと吹き飛ばされたのでは無意味どころか害悪である。だから両企業はまず、アイビスの火が発生するに至るプロセスを解き明かそうとしていた。

 該当災害のプロセスを解明し、兵器転用できるならまだ良しとして、制御が困難であれば相応の対応を図るのである。たとえ軍事面で素人以下の無能であり、低俗な性根をしていようとも、アイビスの火を忘れる間抜けに政財界を生き抜くことは出来ない。当然リスク管理ぐらいは考えているはずだ。もし万が一考えていなくても、こちらから働き掛けて考えさせてやればいい。

 

「そこで、ラスティに振った話に戻る。半世紀も隔絶していたルビコンに住んでいた、君達ルビコニアンならある程度コーラルに関する知見の蓄積があるはずだ。なかったとしてもベイラムよりはスムーズに研究できるだろう。もし君が協力してくれると言うなら僕の方から意見具申し、ベイラムの新たな系列企業として、君達の起業を認める提案をしたいと考えている」

「……隊長、貴方にそんな権限があるのか?」

「ない。だが権限はなくても伝手はある。ベイラム上層部に属する幹部の家柄にあるお嬢様と、僕は個人的に親しくていてね、話を通して協議に持っていく程度は出来るんだ」

「――――」

「たしか、ベルトーチカって奴でしたっけ。隊長にぞっこんな、いたいけな世間知らずちゃんは」

「ああ。結局のところベイラムとアーキバスがルビコニアンを弾圧し、抑圧する理由は二つに絞れる。一つはコーラルの採掘や調査を邪魔するからだ。アイビスの火を発生させ、他の星にまで被害を及ぼす劇物を独占するばかりか、該当災害の発生プロセスを不透明にしたまま放置している土着の能無しどもに、コーラルを扱わせたままだなんて恐ろしくて堪らないだろう? 僕も今のルビコニアンのような阿呆どもを駆逐するのは賛成だ、奴らは危機意識が低すぎる」

「………」

 

 意外と筋の通った言い分にラスティは閉口させられた。言われてみれば確かにその通りだからだ。

 星外の人間にとって、自分達にまで被害を齎す危険物を、具体的な情報提供もなしに独占し、あまつさえ余所者だからと排斥を目論むのなら、当然の帰結として排除を選択する他ない。ルビコニアンにはルビコニアンの言い分があるように、星外企業にも相応の言い分があるのだ。

 

「二つに、敵対企業の存在だ。もしアーキバスが先んじてコーラルを獲得してみろ、科学技術のレベルが数段跳ね上がるだけならまだしも、アイビスの火のメカニズムを解明し、兵器転用でもされたら――本社のある星ごと焼かれて何もかもが終わってしまう。そんなのは御免だろう? アーキバスも同じことを考えている。だから両企業はコーラル争奪戦なんかをしてるんだ」

「………」

「だが、もしここで君が――あるいは君に近しい誰かが起業して、コーラルを研究し判明した情報を提供してくれるなら、ベイラムにとっては手間が省けて大儲けだ。メリットは僕がパッと思いつくものでも三つある」

「三つもですか?」

「意外かい? これでも頭はいい方なんでね、惚れ直したかな?」

「冗ぉ談キツイっすわ」

 

 リンクスがウインクすると、オールバニーは鼻を鳴らして肩を竦めた。

 体の関係を持っても、彼女がリンクスに惚れることはない。リンクスは確かに戦場に生きる者にとって最高の相手だが、かといって一人の人間として惚れ込むには――ちょっと、怖すぎる。

 彼と本当の意味で対等になり、惚れただの腫れただのと言えるのは、戦場を知らない平和な奴か、リンクスの悪魔的な存在感の魔力に抗える超人だけだろう。英雄未満の存在はお呼びではない。

 

 二人のやりとりを無言で聞き流し、熟考するラスティにリンクスは真面目な貌に戻ると、自らが挙げた三つのメリットを数え上げた。

 

「本題に戻る。ベイラムが得られるメリットの一つ目は、ルビコン解放戦線と争う理由がなくなり、敵対企業アーキバスの撃滅に専心できること。二つ目はルビコニアンの協力の下、コーラルの正しい運用方法の研究に一足先に取り掛かれること。そして三つ目が、以上二つのメリットによって生じる、戦争や研究に関する経費削減を行えることだ。企業としてこれほど嬉しいことはない」

「……仮に」

「ん?」

「仮に、隊長の言う通りになったとして、だ。ルビコニアンの興した企業は、ベイラムの人間が運営するものにしかならないんじゃないか?」

「当たり前だろう。ベイラム系列の企業になるなら当然の話だ。ラスティ、捉え方を変えろ。もしも運良く僕の話通りになれば、少なくともルビコニアンが抑圧される理由はなくなる。希望があれば星外の豊かな星に移住することだって出来るようになるはずだ。無理を通して独立独歩を歩む必要はない。少なくともルビコニアンの一般人にまで、険しい道を強制することはないだろう?」

「………」

「……考えるのはいいが、時間は余り無いぞ。僕の提案は、ルビコンの現状でしか通る余地のない可能性の話だ。もし状況が変化したら、この話は夢幻の妄言として埋没する。結論は急ぐといい。解放戦線の仲間に話を通すのも、今なら見なかったことにしておいてやるから」

「……急用を思い出した。失礼する」

 

 立ち上がり、頭を軽く下げて、ラスティは退室した。

 それを見送るリンクスの横顔に、オールバニーは感心したように言う。

 

「……自分で言うだけあって、頭のいいインテリっぽい話でしたね」

「だろう? そもそも僕はデスクワークが嫌いじゃなくてね、ゆくゆくはベイラムの幹部になりたいと思ってるんだ。僕がトップに立ったらベイラムは未曾有の発展を遂げるだろうね」

「冗談はすけこましな下半身だけにしてください。デスクワークが嫌いじゃないなんて、私からすると全然笑えませんよ」

 

 実際、AC乗り以外の道があれば、リンクスは別の道を選んでいる。そしてその別の道は、自分で言うようなデスクワーク専門だ。とはいえ、オールバニーからすると不愉快な仮定だろう。

 しかし、デスクワークが嫌いじゃないというのは嘘ではなかった。なのに、そちらの仕事を疎かにして丸投げしているのは、単に命懸けの仕事をしながら事務仕事をすると疲れるからだ。

 

 生意気な部下だな、とリンクスは苦笑する。しかし、不意にオールバニーが目元を険しくしてモニターを睨みつけたのに気づくと、嫌な予感に駆られた。

 

「どうした?」

 

 神経を尖らせて問うと、オールバニーは報告してくる。

 

「……隊長。レッドガンから伝達が有りました。G5イグアスが、戦死したそうです」

「何? ……イグアスが?」

 

 報告を読み上げるオールバニーの声を聞きながら――白い悪魔が動き出す。

 アーキバスのトップエース、フロイト。屠ったはずの独立傭兵レイヴン。それらの脅威を改めて認識したリンクスは、静かに溢した。

 

 ――ナイルさんと総長殿に連絡を。奴らの出てきそうな仕事を僕に回せ、僕が殺してきてやる。

 

 

 

 

 

 

 

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