首輪付きの山猫、赤い銃に繋ぐ   作:飴玉鉛

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【憤怒/恐怖】【戦死/来援】

 

 

 

 

 強化人間C4_620『ゴースト』という男について、実のところ語れることは殆ど無い。

 

 何かと世話を焼きたがり、飯の準備をし、衣類の洗濯をして、戦闘訓練に打ち込む仲間達に小言を漏らし、ウォルターからは一歩引いて距離を置いた。仲間内で団結するのは大事だが、全員が全員飼い主を信頼し過ぎては、ウォルターが何かを誤った際に正すことが出来ないだろう、と慎重な姿勢だった。

 お前らはガキなんだ、ガキの面倒を見てやるのが大人の役目ってもんだろ、と。再生手術後に最も豊かな人間性を取り戻した彼は、全てが終わったら料理人になりてぇな、と言っていた。

 特に最年少のシャルトルーズを気にかけていて、少年もゴーストに懐いていた。ウォルターに対するよりも親愛を懐き、ゴーストを兄か父かのように捉えていた節がある。

 

 ――それが、ゴーストの死因だった。

 

 両腕の武装をパージし、白い悪魔に隙を生み出したシャルトルーズ。悪魔を目の前にして両腕の武装を失くすという、この戦場で最もリスクを負っていた少年の為に、ゴーストは過剰な攻めを選択していて――ACを戦闘機形態へ変形させたリンクスは、最も頑強で、最も火力に優れた機体を駆っていたゴーストが、武器のリロードという隙を晒してしまっていたのを見逃さなかった。

 

『ぉ、オマエぇぇえええ――ッッッ!!』

 

 もしもゴーストがシャルトルーズを想い、行き過ぎた攻めの姿勢を見せていなければ、狙われていたのはシャルトルーズだっただろう。そしてゴーストではなく、少年が死んでいたはずだ。

 それが理解できたが為に、シャルトルーズは激高した。自分自身、なぜこんなに激しているのか理解できない未熟な心で、人型へ変形して間を取り、仕切り直したホワイトノヴァへ自ら向かわんとする。まさしく飛んで火に入る夏の虫、貧弱化した機体で悪魔に突撃するのは自殺と同義だ。だが、

 

『617、621! 619を止めろ!』

 

 620の反応がロストし、握り拳を震わせる飼い主の指示が飛ぶや否や――言われるまでもなく行動に空白を挟まず、敵機に食いつかんとしていたキングはガトリングガンを掃射していた。

 狙いは当然、ホワイトノヴァ。QBにより苛烈な弾丸のシャワーを回避した純白の機体は、自らに迫る漆黒のACアスタークラウンを一瞥すると、機体性能に飽かした機動力で距離を稼ぐ。キングと同色の機体ナイトフォールからも的確に間を置きつつ、レイヴンのマシンガンも躱しながら、シャルトルーズのACアンバーオックスに巧みに近寄りレーザー砲を()()()()()

 レーザー砲はシャルトルーズの頭部カメラに激突する。不意に武器を投げつけられて視界を妨げられた少年だが、彼もまた優れた猟犬である。瞬間移動じみて加速と減速を繰り返す悪魔へ、肩部兵装のプラズマミサイルとグレネードキャノンを発射。ゴーストの仇を取らんと絶叫し猛り狂う。

 

『ウワァァァッ! 死ね、死ねよォ!』

 

 だが激したシャルトルーズは意識が一点に集中し過ぎていた。ACホワイトノヴァだけを注視していた少年は、敵機が先刻()()()()()()()()()()()の存在に気づいていていなかったのだ。

 リンクスはレーザー砲を投げつけ、シャルトルーズの視界を妨げた一瞬の内に、移動した先に()()()()()()()()()バズーカを拾い上げ、砲口を向けていたのである。

 撃墜に至るまでの布石を、未来予知じみた戦術構築力で打ち込んでいた悪魔の計算だ。奈落のように黒く暗い砲口が、自機に向けられているのに気づいた時にはもう遅かった。

 

『えっ……』

 

 自ら接近していた為、至近距離で放たれた弾頭を躱す術はなく、シャルトルーズはバズーカの直撃を受けてしまう。咄嗟に両腕を交差し胴体コアを守ったものの、爆炎に呑まれた機体は大破してしまい、ACアンバーオックスは機能停止してしまった。両腕が吹き飛び、両肩の武装も破損して、メインシステムも焼き切れ機体が全く動かない。戦闘不能だ。

 衝撃に身を強張らせた少年は、自身が撃破された現実を認識し呆然とする。彼の主観では何が起こったのか、この時点で理解するには時を要するだろう。しかし現実は彼の理解を待たない。

 

『619! 脱出しろ! ……早くするんだ!』

 

 飼い主の焦燥に塗れた声で、漸く少年は脱出レバーを引こうとした。だが猟犬部隊は皆殺しにするつもりでいるリンクスが、わざわざシャルトルーズが脱出するのを待っているわけがない。

 白い影が目の前にいて。悪魔の機体が帯電したかのようにパルス波形を鳴らすのを見て。敵が、アサルトアーマーで自機を根こそぎ吹き飛ばすつもりでいると悟った少年は、やっと憤怒の狂熱から冷めて我に返った。一秒先に迫った死の輪郭を幻視し、シャルトルーズは恐怖を覚え顔面蒼白になる。

 

『あ……』

 

 しかしシャルトルーズの仲間は木偶の棒ではない。企業所属のエースに伍する実力者のキングが、パルスアーマーを展開しホワイトノヴァとアンバーオックスの間に割り込んだ。

 閃光が弾ける。強烈なアサルトアーマーでキングのパルスアーマーが掻き消され、自機を揺らす衝撃に歯を食いしばりながら青年が怒鳴る。

 

『下がっていろ、シャルトルーズ!』

『キング……』

『庇いながら戦える敵じゃない、さっさと下がれ! 邪魔だ!』

 

 言いながらもキングは火砲を放っていた。ホワイトノヴァは獲物を仕留め損ねたことに苛立つ素振りも見せずに、一撃離脱を旨とする戦闘機乗りの如く素早く射線から外れつつ、不規則に機動しながらキングのアスタークラウンへバズーカを見舞った。そしてこの戦闘では初めて左肩兵装を発射する。

 

『!? チィッ……!』

 

 それは特異なチャフグレネードだ。機体のロックオンを強制的に解除するそれは、墨汁のような黒い霧も撒き散らし、肉眼での目視をも阻害する。

 ホワイトノヴァを見失ったキングは、脱出レバーを引いて外に出て、安全圏へ走っていく少年を庇うように機体を動かす。しかし暗闇の中で身構えるキングは、一向に自機に攻撃の手が加えられないことで敵の狙いに気づいて舌打ちした。ホワイトノヴァはアンバーオックスに投げつけ、跳ね返って地面に転がっていたレーザー砲を回収しようとしていたのだ。

 

『そうくると思った』

 

 だがリンクスの意図を正確に見抜いていた者がいる。

 猟犬部隊に於けるエース、強化人間C4_621『レイヴン』だ。

 

 彼女は機体性能の差で追いつけない敵機が、自機の手が届く場所に来るのを待ち構えるべく、ACホワイトノヴァのレーザー砲付近の物陰に隠れたのだ。

 シャルトルーズを守りに行くキングの動きを見て取った瞬間に、である。彼女はその時点でリンクスが次にどう動くかを完全に読み切っていた。

 

『やるな』

 

 射突型ブレードを展開し、物陰から飛び出して一気に肉薄したACナイトフォールを見たリンクスは、無表情に敵の判断を称賛する。レイヴンの名を騙るだけのことはある、と。

 突き放たれた射突型ブレード。完璧に間を潰しての、死角からの奇襲。強化人間であろうと、並外れた技量を誇るエースでも、直撃を避けられない必殺の一撃を前にリンクスは、見てからでは絶対に反応が間に合わないはずの奇襲攻撃を、()()()()()()()()()かの如く回避してのける。

 右手のキーボードを細かく連続して叩き、左手の操縦桿を後ろに七割引きながら、右足のフットペダルを深く踏み左足では浅く踏んで――ホワイトノヴァは上体を左斜めに仰け反りつつ右脚を前に伸ばし、左脚は綺麗に畳み、まるでスライディングしているかのような機動を魅せ紙一重で刺突を躱した。

 地面を滑りながら伸ばした右腕がレーザー砲を掴む。そして背部スラスターを吹いて体勢を立て直したリンクスは、まだ止まらない。右肩にマウントしていたバズーカを跳ね除けるようにパージし、振り向き様に中空に滞空していた得物を狙撃して爆発させたのだ。リンクスなら躱す、そう読んでいたレイヴンはアサルトアーマーを展開していたのである。バズーカ砲に装填されている弾頭を爆発させて、ほんの一瞬パルス爆発を押し留めた隙に、リンクスは辛うじてアサルトアーマーの範囲から離脱してのけたのだ。

 

『これもダメ、なら――』

『お前は後だ』

 

 刹那の交錯の中で行われた、人智を超えた駆け引きと攻防。現実時間ではほんの一秒程度だ。

 レイヴンは自らの胸中に宿った怒りの火を燃やし、悪魔と真っ向から戦闘するつもりでいたが、リンクスに偽りの渡り鴉とやり合うつもりはなかった。

 弱ければ彼女を狙っていただろう。しかしレイヴンは手強い。ならまともに相手にはしない。

 

 白い悪魔は常の軽薄で、甘い貌をしていない。本気になっているが故の、冷徹で冷酷な、仕事人の貌をしている。言葉遣いにもユーモアを求める彼らしくなく、無駄な装飾は削がれていた。

 為に、リンクスのホワイトノヴァは殺気を纏う。尋常ならざるプレッシャーを放つ、純白の悪魔そのものと化している機体は、レイヴンとの攻防を切り抜けるや即座に変形した。

 

『ッ――キング!』

 

 黒い霧から飛び出したACアスタークラウンへ向かうリンクスを見て、レイヴンは警告の意味を込め名を呼ぶが、言われるまでもないとキングは左腕のレーザーランスをチャージしていた。

 QBによる加速、レーザーランス内蔵ブースタによる加速。二段階行われた加速の生む速力は、強化人間でなければ耐えられない熾烈なもの。10メートル近い鉄の巨人が、人間の目ではとても追いきれない速度を叩き出し、残像だけを残して突貫する。さながら砲弾の如く。

 だが何処まで行ってもリンクスは悪魔的だ。目で追えない程度、数多の弾幕に晒されても無傷を貫いてきた彼にとって慣れたもの。ホワイトノヴァの中心を狙い、せめて損傷を与える気概で迫るアスタークラウンと接触する半秒前、彼は戦闘機形態から人型へ変形し直すモーションを挟んで回避する。

 

 先刻、ぶっつけ本番で変形して死の瞬間から逃れた戦術を、実現可能な択の一つとして組み込んでいるのだ。げに恐ろしきはその対応力と、当たり前に新たな択を使いこなす技量であろう。

 またしても紙一重で回避を成すリンクスは、肌感覚に奔るノイズを知覚。キングは変形を始めた敵機を視認した途端、咄嗟に機体を傾がせレーザーランスの矛先を逸し、ホワイトノヴァの機体に掠めさせたのだ。コイツもやるな、とリンクスは敵の腕に舌を巻く。だが彼の狙いは()()()()()()()

 

 人型に変形し、無理な体勢で回避した際の慣性を、全身のサブスラスターを小刻みに噴射しながらバレルロールして最適の体勢を作る。レーザー砲が睨んでいるのは――

 

『……!? クソッ、やらせるかッ……!』

 

 キングが焦り、レイヴンが飛翔するのに無視して。

 

 悪魔が、殺意を走らせる。

 

『――ごめん、キング。……ゴースト、仇は取るから――』

 

 少年シャルトルーズは機体を捨て、自らの脚で走って退避し、物陰に隠れ潜んでいた。

 ACからは周囲の雑多な残骸、工業設備の陰になって、見えないはずの姿。

 それを正確に捉えていたリンクスは、生身の人に向けてレーザー砲を放ち、幼く小さな体を隠していた構造物ごと、跡形も残さず蒸発させてしまった。

 

『これで二機』

 

 淡々と数える、首輪付きの獣。

 

 末期の時、少年は自らが死から逃れたと思っていた故に、レーザーに焼き尽くされる痛みを知覚する間もなく即死した。恐れず、苦しまずに死ねたのはせめてもの救いだったろうか?

 遺された二機、キングとレイヴンは奥歯を噛み締める。必殺のはずのフォーメーションから逃れられて僅か三十秒未満で、猟犬部隊は半壊させられた。これがリンクス、これが生ける伝説。

 化け物。人の勝てる相手ではない。しかし、レイヴンだけはそう感じていなかった。今は単機で勝てるとは思えない、けれど未来ではどうだ。絶対に勝てない相手か? 否だ、と少女は思う。だからこそ少女は勝利の可能性を求めるべく、今は『未来』の為に生き残らねばならないと判断する。

 

『……キング、逃げよう』

『なに?』

 

 飼い主が苦悶の呻き声を漏らしながらも、諦めず敵機の解析を進めている。そのサポートを受けながらレイヴンは提案した。

 ハンドラーは指示していた。敵機ホワイトノヴァは無理な変形を繰り返している為、随所に火花が散り長期間の戦闘は困難になっている。時間を稼げ、敵機の撤退まで持ち堪えろ、と。

 

『どうせ追ってくる。敵のペースで戦うのはダメ、私達のペースでやるべき』

『そうだな。……フォーメーションは気にするな、俺がお前に合わせる』

『ん、頼りにしてる』

 

 転進し作戦領域からの離脱を図る二機の猟犬に、リンクスは凪いだ声音で冷たく囁く。

 逃がすわけ無いだろう、と。敵は神話の狼の如く危険で獰猛な猟犬達だ、後の禍根となるのが自明な敵が撤収しようというのを、みすみす見逃す道理はない。たとえ追ってこいと誘われていると察していても、リンクスは今の猟犬二匹なら小細工ごと殺せると確信していた。

 背部スラスターを吹かし、リンクスが猟犬達を追わんとする。敵の狙いは、後尾についているレイヴンが主攻を担い、キングが援護に回っての技撃機動戦だろう。それはリンクスの得意とするものでもある、望むところだった。だがしかし――白い悪魔の脊髄を、絶対零度の殺気が貫く。

 

『!』

 

 反応は迅速。右手のキーボードをタタンッと二連打すると、左手の操縦桿の可動域が広がる。

 前後にしか動かない操縦桿を、綺麗な円を動かせるようにした途端に、右斜め前方に倒しながら右手の指が踊るように指令を送ったのだ。果たして急制動を掛けて停止し、振り向きながら背後へ伸ばしたレーザー砲の銃口が、青白い火線を迸らせる。すると超反応した白い悪魔のレーザー照射と交錯し、リンクスが直前まで進もうとしていた地点を、パルスレーザーが焼き払った。

 

『……なんだ?』

『来たんだ……! ()()()()!』

 

 追ってくると思ったリンクスが追ってこないのに気づいた猟犬達も止まる。

 そして気づいた。

 

 リンクスを奇襲し、その脚を止めさせたのは――黒に限りなく近い濃蒼の機体を駆る超人、V.Ⅰフロイトである。彼は工業設備のクレーンの上に立ち、戦場を見下ろしていた。自らが行なった奇襲に対する早すぎる反撃を、僅かに機体を仰け反らせるだけで回避して。

 

『やっと会えたな、リンクス……! さあ、俺も楽しませてくれ……!』

 

 歓喜と高揚、武者震いで体を震えさせ、犬歯を剥いて笑う狂人の来援。彼だけではない、フロイトの左後方にはもう一機、ACが控えていた。

 

『ほう。リンクスと交戦していたというのに、まだ生きていましたか。オマケにそれなりに消耗させてもいると。フロイト、貴方の見立て通り、この独立傭兵は駄犬ではなかったようですね』

『この俺が()()と呼んだんだ、これぐらいはな』

 

 V.Ⅱスネイル。アーキバスの強化人間部隊ヴェスパーの、首席と次席隊長。たった二機なれどエース格が一人、魔境に足を踏み入れた超人が一人だ。決して不足のない援軍の到来に、レイヴンとキングは勝率が一桁から二桁まで跳ね上がったのを直感した。

 

 対して、リンクスが苦々しく問いを発すると、スネイルが上機嫌に応じる。

 

『……アーキバスはこの戦闘に参戦しないと思っていたんだがな。どういう風の吹き回しだ?』

『ええ、私も最初はそのつもりでした。ですが、この首席隊長閣下が貴方を落とす絶好の好機だと言うもので……なんでも、そこの独立傭兵は貴方に伍するかもしれない逸材らしい。腐っても彼は首席隊長だ、その目利きを信じ、賭けをしてもいいかもしれないと判断したのですよ。フロイトと、そのフロイトが逸材だと言う独立傭兵、そしてこの私がいれば……勝機はある』

 

 違いますか? 嫌らしく嗤いながら言うスネイルだが、彼は言葉ほど余裕があるわけではない。

 独立戦闘団カラードは元より、戦力減しているとはいえレッドガンも健在。ヴェスパー部隊の消耗も目立つ今、アーキバスがルビコンでのコーラル争奪戦で勝利するには、どうしてもリンクスを排除せねばならないのだ。彼がいるだけでアーキバスの将兵は萎縮するからである。

 自分がアーキバスの悪夢、天敵である獣を縊り殺せるとは思っていない。

 だがその実力は信頼に値する男が、勝機があると言った。もともと敗色濃厚な戦線を覆す為に、台詞通りの賭けをする必要がある。だからスネイルは賭けた、ここでリンクスを落とす為に。そして自分達の動向が漏れないようにする為、表向きハンドラー・ウォルターの要請を蹴り、さらに欺瞞情報を流してスネイルとフロイトの所在を誤魔化していた。

 

 賭けた結果、いや、過程は上々。

 

 リンクスは機体も肉体も消耗している。捨て石にでもなっていれば上等と思っていた独立傭兵も、まだまだ戦闘可能だ。勝てる、と確信するほどではない、だが勝算はあると分析した。

 

『貴方の華々しい伝説もここで終いにしましょう』

『欲を言えば万全のお前とやり合いたかったが……機体性能に差があるんだ、これぐらいのハンディキャップは跳ね除けて魅せろ!』

『………』

 

 第2ラウンドだとでも言うように動き出す四機のACと対峙し、リンクスは冷静に盤面を俯瞰する。

 

 そして、フラットな思考の延長線上で、凪いだ湖面の如く静かに決断した。

 

『――これで()()()……か』

 

 一度目は初陣。二度目は封鎖ステーション上での惑星封鎖機構との戦い。

 これは死のリスクが高い戦場に臨む、三度目の戦いだ。個人的には逃げ出したくなるが、生憎と勝算は十分にあった。逃げを選択するほど危機的状況ではないのである。なぜなら――

 

 リンクスは覚悟を決め、秘匿回線を開いて密かに告げる。

 

『――オールバニー、援軍を寄越してくれ。おっかない敵に囲まれた。

 なぁに、逃げ回ってたら死にはしない。易い戦いだよ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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