「私、崎本アリア! 本日は画面の前の皆さんに私の可愛い妹、ルリちゃんの紹介を……」
そう言ってPCで動画配信をする少女、アリアの部屋に一人の少女がやってくる。
「何やってるんだアホ姉!」
鋭いキックがアリアの顔面に直撃する。
そのキックを放ったのは金髪ツインテールの未だ幼い印象を残す少女だった。
「うひぃ〜ルリちゃんのキック効くわぁ! それはともかく可愛い妹を全世界に紹介しようと……」
蹴られたアリアは恍惚の表情を浮かべながら立ち上がる。
「ふん!」
その言葉を聞いたルリはPCの電源を強制的にシャットダウンする。
「あ゛ぁ゛!!! ルリちゃん! それはめっだよ!」
頬を膨らませアリアはルリを叱るが……
「黙れアホ姉! 私の人権を無視するな! ぶん殴るぞ!」
正論と物理でルリは殴る。
「いいよ! むしろウェルカム!」
しかしてアリアには効かない妹からの攻撃=愛のアリアには無意味なのだ。
「……キッモ」
ゴミを見るような目でルリは姉に罵声を飛ばす。
「ぐふっ! ルリちゃんの罵声……えへへ」
しかし姉には何一つ効いていない。
「……! ヘンタイ! バカ! アホ! シスコン!」
思いつく限りの罵声をルリは浴びせる。
「いいわ! いいわ! いいわ! もっと頂戴!」
アリアはむしろ元気になっていた。
「コイツ無敵生物かよ!」
「だって愛しい妹からの罵声、暴力は全てお姉ちゃんの栄養ですもの!」
愛しむような目でアリアはそう発言する。
「救いようがねぇな……私は部屋戻るから! 部屋入ったら殺す!」
「むしろウェルカムだよ!」
真顔でそう返す姉にルリは恐怖の表情を浮かべる。
「あ、ルリちゃん今怖いって思ったでしょ? ねぇ……」
「ちょ、来るな! こっち来るな!」
アリアはゆっくりとルリに近づいていく。
「残念、捕まえた」
そしてルリを抱擁した。
「ルリちゃんが怖がるのは嫌だな私、ルリちゃんは常に笑顔でいて欲しいもん」
「じゃあその気持ち悪いまでのシスコン仕草やめろよ!」
「それは無理! 私の生きがいですもの!」
そうしてアリアは優しくルリを抱きしめる。
「大切なルリ、たった一人の家族ですもの」
「……いつもその調子なら良いんだけどな、お姉ちゃん」
アリアとルリは小さな頃に両親を亡くしていた。
親戚中をたらい回しにされ最後には少しの遺産と古びた家だけが残った。
だからこそアリアはルリを溺愛している。
ルリはルリでアリアに迷惑をかけないよう早く一人前になろうとしているがそんな事は必要ない。
アリアの愛は少々歪んでこそいるが間違いなく深い愛なのだから。
こうして二人は今日も騒がしく、そして笑顔で過ごすのであった。