天災に巻き込まれたら色々可笑しくなった。   作:kisuzu

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帝刃

 

 

ゴウゴウと吹きすさぶ風雪が吹き荒れる山中。白く濁る世界のただ中にぽつねんと佇む小さな木造小屋。外の猛威から切り離されたその空間では、暖炉の橙色の灯火が怠惰に揺れていた。

 

その傍らに置かれた椅子から、何かを考え込むように視線を宙に泳がせていた男がゆっくりと腰を上げる。

 

「さて、と…」

 

年の割には、しわがれた声であった。短く息を吐き出すような呟きの後、椅子から立ち上がった男は分厚いウールのコートを手に取ると、背中に通し、その上にさらに一枚、また一枚と幾重にも重ねてゆく。

 

まるで自身を縛り上げるのかと言うほど、服を巻きつけ隙間なく自身を覆い隠していくと、今や元の体格をはるかに超えて膨らんでいた。実際の体より一回り、二回りほど大きくなった自分を一瞥し、男はようやく納得がいったのか満足げに頷く。

 

壁際に掛けられたコートに手を伸ばし、一枚羽織る。その上からもう一枚、さらにもう一枚と重ねてゆく。

彼の細身の体格はあたかも巨人のそれに変わった。

最後のボタンを留める音が小さく響くと――

 

「あぁ、そうだった」

 

 

――急に何かを思い出したらしい。手の甲で軽く自分の頭を叩いたが、痛みの余韻に顔を顰める。

額をさすりながら、彼は部屋の隅にある棚に歩み寄った。木製の棚は年代を経てくすみ、かすかな樹脂の匂いを漂わせている。

 

何かを忘れていたのだろうか、男は自分の額を軽く叩き、すぐにその痛さに顔を顰めた。

こめかみをさすりながら、部屋の片隅にある木の棚に向かう。足元では古びた床板がぎしりと軋んだ。

 

痛む箇所をさすりながら、部屋の棚に向かって足を引き摺りながら向かう。

 

「確かここに…」

 

膝を曲げてしゃがみ込み、中を手探りで探り始める。籠の中には工具のようなものや、見覚えのない小道具が乱雑に放り込まれており、触れるたびにカチャカチャと金属音が弾け合う。数十秒ほど探していたが、結局金属の感触を楽しむに終わった。

 

上の段を探し終え、下の段へと対象を移すもまたも中々見つからないのか、ガチャガチャと音をならして埃をかぶった籠の中を掻き回す。手探りするたびに先ほどより重たい金属同士が触れ合う音が部屋に響き、男の唇から漏れる「あれぇ?」という声がそれに重なる。

 

「どこいったぁ…?」

 

求めている探し物が見つからないのか、男は不思議そうな声を上げだ。

 

その声には苛立ちの色はなく、どこか滑稽なまでにのんきだった。彼は怒りを知らない男のようだ。見つからなくてもさして気にしない――そんな性格が滲み出ていた。

 

「まぁ…いいか!」

 

そうしてしばらく座り込んでいたが、しばらくの格闘の末、探していたものが見つからないと悟ったのか、彼は肩をすくめた。

 

どうやら細かいことは気にしない性格のようだ

 

 

突如として立ち上がった男は、伸びをするように腕を広げ、棚の中身のことなど忘れたかのような様子で部屋の中央に戻る。そして、ついさっきまで丁寧に着込んでいたコートを脱ぎ捨て、椅子に無造作にかけた。

 

そのまま重ねたコートを次々と脱ぎ捨て、椅子に掛けていく。出かけるという気持ちは既に消え去り、どうやら今日はこの小屋で一日を終えるつもりらしい。

 

中央に置かれた、狭い部屋には些か不釣り合いな厚く頑丈な四人掛けの机に座り直すと、棚の隅から取り出したのは少し値の張る珈琲豆の小袋だった。

 

 

数分前に出かけようとしていたことなど、些事なこと。そんなことなどとっくに忘れていた。

 

 

 

「今日は、これにするか」

 

思わず期待と興奮混じりの言葉を独りごちる。

 

この手に握られる小さな袋の中には、なかなか手に入らない、高級な珈琲豆。どんな味がするのがずっと楽しみで、取っておいたのだ。まぁ取っておいたと言ってもたまたま手に入っただけなので再入手の目処はない。

 

だが、それがまた期待を増幅させる。

袋を軽く外側から揉んで豆の質感を確かめて、クルビア産だというそれを、譲り受けたという抽出器具に投入していくと、豆を焙煎する香ばしい匂いが、みるみるうちに部屋中に満ちていく。

 

これまた譲りもののフラスコから琥珀色の液体を自作の陶製厚手マグカップに注ぎ、立ち上る焙煎された豆の香ばしい香りを楽しむように顔を近づけたときだった。

 

何か音が聞こえた気がした。

 

「…?」

 

しかし耳を澄ませても聞こえるのは外の吹雪ばかり、空耳かと意識を取り直して、目の前の一杯に向きう。

 

「いい香りだ…」

 

そうつぶやき、自作のカップに注いだ液体に口をつけたとき。

 

――コンコン

 

戸が叩かれる音が聞こえた。

 

 

 

カップの端に口をつけたまま、立ち昇る香ばしい湯気を浴びつつ男は首をかしげる。空耳かと疑ったが、先ほど聞いた音を仇から振り払うことは叶わない。

 

普通に考えれば、来客であろう。男のことを求めて誰かが訪ねてきたのだ。

 

 

――しかし

 

 

口を離しつつも、男はカップを手に取ったまま改めて首を傾げた。

 

男の経験上、こんな時期、こんな場所に誰かが訪れることは、ほぼありえない。ここは標高の高い雪山の中腹。男の納屋のような家など地図にも載らない。

 

吹雪はさらに勢いを増し、窓ガラスを叩きつけている。人がこの小屋を訪ねてくるなど、夢か幻か、その両方だろう。そもそも男には訪問者を期待するような人付き合いもなく、ここの場所を知る者などほとんどいないはずだ

 

なにより、先ほども言ったがここの立地が引っ越してきたから挨拶でもというような平穏な地理ではない。

 

何せ猛吹雪の吹く雪山である。凍てつく死の世界…実のところここは毎年登山を試みては死傷者が出ることで有名な上に、雪崩も、落石もある。

 

もちろん時たま、人がやってこないわけではない。

 

鋭い登山家、はたまた道に迷った愚か者、もしくは愚かな探検家。

 

そういった手合いが、現れては助けを求む、あるいは暖を求めてやってくることもあるのだ。

 

では、今回もその手合いではないかと諸君は思うだろうが、それもまた妙であった。

 

季節は冬――冬である。こんな時期に雪山を登るなどそれだけで愚か者である。登山家も、愚者も、冒険家も身をひっくり返して、三度は空中で倒立回転するほどには愚かな行為であることは言うまでもない。

 

無論そんなリスクを犯してまで男に会いたいと言うなら話は別だが、そんな価値が自分にあるとは男には到底思えなかったし、それは紛れもない事実でもあった。

 

男もさすがに自分の能力にまで、楽観的な評価を比べるほど経験が浅いわけではい。最もその性格が災いして、山奥に引っ込むハメになったのであるが、今はその話は置いておこう。

 

取立てて頭もよくなければ、顔もよくない。

 

さりとて、自分は森の魔女よろしく誰かに尋ねられるほど特別な能力があるわけでもない。

 

では、先ほどの音は気の所為であろうか。

そう考えると、先ほどの音が自分の耳で確かに聞いたものであったか、それとも頭の中の産物であったかが曖昧となってきた。

 

うむ、やはりこんな時期、こんな時間に人が訪ねてくるなどあり得まい。やはりあれは気の所為だったのだ。

 

そうだ、そうに違いない。

 

これで一安心、頭を悩ます音も聞こえなくなったことだしゆっくりと至福の時間を楽しむこととしよう、、

全てを自分の気のせいとして片付け、愛しの珈琲に口づけをしようとしたところ。

 

 

――― コン コン

 

扉は、同じ頻度で、しかし先ほどより強くたたかれた。

 

 

一瞬、彼の眉が動く。

 

「はて?」

 

 

――まさか本当に来客なのか?

 

おいおい落ち着けよ、きっとストレスで幻聴が聞こえているんだ、そうに違いない。

 

――コンコン

 

控えめに、しかし今度はハッキリとノック音が外から聞こえた。

 

…いやいや、きっと風が強く扉を叩いているのさ。それだけさ。それか、怒り狂ったあの女がここまで追いかけてきたのかもしれないな。

 

どちらにせよ、どうでいいことさ。

 

 

 

――コンコンコンコン

 

「うむ…」

 

 

どうやら気の所為ではないらしい。

少し急かすような音には明らかに感情が乗っていて、少なくともこれは理性あるものが自分を呼んでいるのだろうというところまで男はようやく理解した。

 

 

湯気の立つカップを机に置き、彼は椅子の背もたれに体を預けた。さすがにこのごに及んで現実逃避を図るほど男も危機管理能力を失ってはいない。

 

今度は真剣に音の主を考えながら首をかしげる。

 

まずこんな小さい納屋に用があるという事態が追い剥ぎ以外に思い浮かばない。あるとすればやはり無類の建物好きが、雪山の奥深くに眠る木造建築物にしか興奮できない木造マニアだろうか?

 

それか…役人? 

 

は思い至った可能性に一瞬だけ冷や汗が流れかけたが、それもおかしな話だ。

 

別にここは秘密施設でもなければ私有地でもない、ただの山である。男だって勝手に住み着いているに過ぎず、ウルサス官憲に見つかったら色々な"もの"を渡さなくてはならなくなるだろう。

 

だからこそ、あまり外には出ないようにしている。まぁ今朝は少し事情が違ったようではあるが…閑話休題。

 

長年逃れてきた"徴収"だとしても、どう考えても男に会いに来るためだけにここに来るのは割に合わないし、何か厄介な事柄だと推測できる。

 

であればドアを開けないのが最も得策なようにも思えるが、蹴り破って中には入ってこられてはたまらない。

男まで凍え死んでしまう。

 

ここで死んでも新聞にもならないてあろうことは容易に想像できた。何せここに来るまでの道のりは険しく複雑で大抵の場合来訪者は遭難しているか、自殺を踏みとどまった者だけだ。

 

最も、最初から窓やらドアを破らず、親切にノックをしてくれてる時点である程度の良識は期待できるだろうが、そのあとの展開が男に都合悪いものにならないというのは少し希望的観測が過ぎるだろう。

 

いろいろ考えたが結局は選択肢は2つだけ、すなわち…――出るか、出ないかだ。

 

男は首を下に向け、暫しの間、逡巡する。

どうにも嫌な予感が体を駆け巡っていた。

 

いや、もちろん助けを求めてこの光ある小屋にまで辿り着いた善良なものの可能性もあるのだが、逃亡中の物剥ぎや、頭のおかしい狂人という可能性も捨て切れはしない。

 

 

ここは十分の警戒をもってことに当たるべきだろう。男は決心し静かに椅子から腰を上げると、古びたアーツユニットを手に取り、冷たくざらついたドアノブに手をかける。

 

耳を澄ませてみるが、吹雪の唸り声がそれ以上の情報を許さない。他の音を完全に遮断してしまっていた。

 

手元に握ったアーツユニットの感触を確かめる。

 

これで身を守れる保証はないが、少なくとも無防備でいるよりはマシだろう。

 

――開けるしかないか…

 

「汝ここに入るもの一切の希望を捨てよ」

 

そう低く呟くと、意を決して――諦めて、ともいう――扉を開いた。

 

 

冷たい風が渦を巻き込みながら室内に侵入し、暖炉の炎が一瞬揺らいだ。

その風の向こう、立ちすくんでいたのは――

 

「あの…」

 

――一片の吹雪を背景にした、天使のような少女だった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

1:名無しの転生者

おい、まずいまずいまずい

 

2:名無しの転生者

なんだよ

 

3:名無しの転生者

全て失敗です

 

4:名無しの転生者

ポンコツイッチ

 

5:名無しの転生者

ほんとにまずいんだって!

 

6:名無しの転生者

落ち着けよ、具体的にまず何をどうミスったんだ?

 

7:名無しの転生者

全てだよ! 今カタナ向けられて

何が目的だって言われてんの!どうすればいい? 下手な返答したら戦闘はいるんですが、ていうか助けるために同僚の人殺しちゃったんだが…

 

8:名無しの転生者

もう詰みやん

 

9:名無しの転生者

ワロス、じゃなかった草

 

10:名無しの転生者

ジジイ無理スンナ

 

11:名無しの転生者

スンナ派(激うまギャグ)

 

12:名無しの転生者

逃げちゃえば? 

 

13:名無しの転生者

それはまずいでしょ、同僚殺してるし

 

14:名無しの転生者

いや、別にそれはいいんだ

 

15:名無しの転生者

いいのか?

 

16:名無しの転生者

イッチ頭大丈夫?

 

17:名無しの転生者

まぁええんじゃないの?

 

18:名無しの転生者

ほなええか

 

19:名無しの転生者

問題はもともと抱えてた仕事にこの子たち関わってるっぽいんだよねぇ。だから下手な対応するとあとに尾を引くというか…なんそいうか

 

20:名無しの転生者

時すでにお寿司なのでは、ボブは訝しんだ。

 

21:名無しの転生者

もう下手な対応済み定期

 

22:名無しの転生者

そういえば海ニキ…じゃなかったネキの騒動の掲示板見れないんだけど誰かなんか知ってる?

 

23:名無しの転生者

何それ知らん こわ

 

24:名無しの転生者

マジじゃん…どうなってんの?

 

25:名無しの転生者

なんか非公開にさせたらしいぞ

 

26:名無しの転生者

そんなことできんのかよ掲示板

 

27:名無しの転生者

最近アプデあったからな

 

28:名無しの転生者

ま?

 

29:名無しの転生者

そうらしいで

 

30:名無しの転生者

あぁーなんかスレが100までになったとかなんとか

 

31:名無しの転生者

クソアプデじゃねぇか!

 

32:名無しの転生者

なんか最近すぐにスレ切断されるなと思ったらそういうことだったのか

 

33:名無しの転生者

そうらしいなぁ

 

34:名無しの転生者

はぇー気づかんかった

 

35:名無しの転生者

じゃぁ、もう解散で

 

36:名無しの転生者

 

37:名無しの転生者

おつかれ

 

38:名無しの転生者

寝るか

 

39:名無しの転生者

待てこらぁああぁあああ!!!!

 

40:名無しの転生者

来ると思ってたぞ

 

41:名無しの転生者

で、君は結局どうしてほしいんだ

 

42:名無しの転生者

具体的にまとめてくれないと正直めんどい

 

43:名無しの転生者

分かった俺が悪かったまとめるぞ。まとめるから寝るな、いいね?

 

44:名無しの転生者

はよしろ

 

45:名無しの転生者

まだすか(鼻ほじ)

 

46:名無しの転生者

マダガスカル(激うまギャグ)

 

47:名無しの転生者

まだかなぁ

 

48:名無しの転生者

まぁイッチなんだから気長に待とうよ

 

49:名無しの転生者

おっそうだな

 

50:名無しの転生者

なんだぁ…?てめぇら…?

これがまとめだ。

ワイ任務中可哀そうな二人発見助けたろ。

野盗ぶっ殺したんご。→ファッツ!? 同僚やんけ!

→なんか訳ありの二人だけど、任務に関わってるっぽい。ていうか上司から『こんな感じの子がいたらついでに保護しくよろ、いなかったら諦めてちょんまげ』みたいなこと言われてたっぽいなぁ。

でも保護するとか言っても、味方ぶっごろした後だし、現地の同僚諸君を説得できるだけのコミュ力はない。

→\(^o^)/

 

51:名無しの転生者

ひでぇ

 

52:名無しの転生者

うん、色々と酷い。主にイッチの頭が

 

53:名無しの転生者

コイツこそ何なんだよ…

 

54:名無しの転生者

えぇ…

 

55:名無しの転生者

なんですかこいつ嫌になりますねぇ

 

56:名無しの転生者

やりますねぇ!(やれない)

 

57:名無しの転生者

みんな酷い…ひどくない?

 

58:名無しの転生者

酷くない(断言)

 

59:名無しの転生者

酷いのはお前の行動だよ(真顔)

 

60:名無しの転生者

はぁ…つっかえ(呆れ)

 

61:名無しの転生者

ていうかなんで同僚だって気づけないの…(泣)

 

62:名無しの転生者

それな

 

63:名無しの転生者

いやぁだって地方でっていうか部署で全然違うしなぁ

 

64:名無しの転生者

そこ初めて行ったのか? だとしても資料とかあるだろうに…

 

65:名無しの転生者

ウルサスの国土舐めんなよ全部覚えるとか無理だから

 

66:名無しの転生者

悲しい(イッチの頭脳)

 

67:名無しの転生者

うんうんそうだね

 

68:名無しの転生者

 バ カ

 

69:名無しの転生者

もっとオブラートに包んで差し上げろ、イッチの頭はアルミホイルで包まれてるだろうがなガハハッ!

 

70:名無しの転生者

お前が一番ひどいよ??

 

71:名無しの転生者

そうかな…そうかも

 

72:名無しの転生者

真面目な話これには訳があってだな、相手はサンクタでもないのに銃を使ってたんだよそれで野党かなにか、サルカズかなとも思ったけど、まぁ取り敢えずぶっ殺してから考えようと思って

 

73:名無しの転生者

途中で言い訳を放棄するな

 

74:名無しの転生者

せめて最後まで弁明を尽くして…

 

75:名無しの転生者

【悲報】イッチいきなり人殺すし、同僚殺しも大して気にしない、思ったよりヤバい奴だった

 

76:名無しの転生者

震えるよな、俺ずっと黙ってたもん怖すぎて

 

77:名無しの転生者

こんなやつが野に放たれていいわけないだろいい加減にしろウルサス!

 

78:名無しの転生者

まぁあのウルサスだしな…

 

79:名無しの転生者

ミサイル…モスクワ…うっ頭が…!

 

80:名無しの転生者

それは別の国だからセーフ

 

81:名無しの転生者

アウトなんだよなぁ…主に言語と色と主義が

 

82:名無しの転生者

ウルサスさんは赤かった連合国とは無関係だろいい加減にしろ!

 

83:名無しの転生者

頼む…話を聞いてくれ

 

84:名無しの転生者

あっはい

 

85:名無しの転生者

俺は悪くないお前が悪い

 

86:名無しの転生者

取り敢えずイッチは反省してもろて

 

87:名無しの転生者

してるしてる反省してるから、ちょっと手伝ってよ(にっこり)

 

88:名無しの転生者

う~んこの

 

89:名無しの転生者

本当かなぁ…?

 

90:名無しの転生者

今さ、取り敢えず目的というかなんでそんなことしたのって聞かれてるからそれに対する返答考えて

 

91:名無しの転生者

あっこいつ無視して話し進めやがった。

 

92:名無しの転生者

ていうかこっちに丸投げかよ自分で考えろカス

 

93:名無しの転生者

まぁ無難にあれだ、誤 魔 化 せ

 

94:名無しの転生者

取り敢えず友好的に、『無事でよかった』みたいな無難なとこからいこう毒にも薬にもならぬ感じで

 

95:名無しの転生者

助けた理由も、深い理由はなくてただそうしたかったとかでいいだろ。間違っても安価がどうとかいうなよ頭おかしいと思われるから、ソースは俺

 

96:名無しの転生者

そうだ!!!いいこと思い付いた!

 

97:名無しの転生者

やめろ

 

98:名無しの転生者

何かわからんがとりあえず一徳やめろ

 

99:名無しの転生者

誰だ一徳

 

100:名無しの転生者

俺がぶっ殺したのはこいつら全員裏切者だったてことにしよう、そうしよう。己個々の連中は反逆を企てていたのだ。うぉおお!おのれ第七師団許せん!!

 

 

101: ID:jpf2OqfQp

 

えぇ…自作自演じゃん。てか第七師団っていった?

 

102: ID:jpf2OqfQp

草さすがにひどすぎる

 

103: ID:jpf2OqfQp

ひどすぎで涙を禁じ得ない。シクシク

 

104: ID:jpf2OqfQp

あっやべ…今のなしで

 

105: ID:jpf2OqfQp

無理です

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

最初に雪を切り裂いたのは"黒雪"の言葉だ。

 

「お前たちは、」

 

“帝刃”の低く響く声が雪原に溶け込む。微かな吐息が冷気に混じり、空気に緊張が張り詰める。リサは目の前の巨人が発する言葉を見逃すまいと身を固めた。

 

「……取るに足らぬ存在だ」

 

リサはその一言に屈することなく目を見開き、言葉を探した。だが、彼の言葉はまだ続いていた。

 

「だが……生かす理由もある」

 

その答えにリサは眉をひそめた。彼の口から「生かす」という言葉が出たことに驚きと疑念が浮かぶ。

 

「理由? あなたの目的は何?」

 

リサは真っ直ぐ問いかける。その声には疲労と恐怖を押し殺した毅然とした響きがあった。“帝刃”は答えず、静かにリサの方に視線を向けた。その赤い光が彼女の心に深く突き刺さる。

 

「どうして私たちを助け――」

 

リサの言葉が終わる前に、“利刃”が大地を踏みしめる音が響いた。一歩だけで空気が変わり、エリオットが咄嗟にリサの前に立った。

 

「言え。何が狙いだ?」

 

エリオットの声は低く、警戒心に満ちている。“利刃”は彼を一瞥し、冷たく口を開いた。

 

「奴らは私の任務を阻害する存在だった。それだけだ」

 

「阻害?」

 

リサが驚きの表情を浮かべる。

 

「あなたたちは同じ帝国の兵士でしょ?」

 

その問いに、“利刃”の沈黙が応えた。赤い目がわずかに伏せられ、静寂が訪れる。

 

「ウルサスの命令に従うことがすべてではない。特に、その命令が“裏切り”を容認するものであればな」

 

リサとエリオットの表情が固まる。彼が続けた言葉には、冷徹な響きの中に微かな怒りの色が見えた。

 

「奴らは、帝国の威厳を保つべき立場にありながら、私情と利己心で汚された存在だ。そのまま放置すれば、お前たちのような民間人どころか、ウルサスそのものが腐敗する」

 

「だから殺したってことか……」

 

エリオットが低く呟く。

 

リサは考え込むように目を伏せた。“利刃”の言葉は冷たく鋭いが、その中に隠された意図を見抜く必要がある。

 

「それで、あなたは次に何をするつもりなの?」

 

リサの問いに、“利刃”は一瞬だけ彼女を見た。その視線は、ただの人間には理解できないほどの深淵を含んでいた。

 

「その先に何が待とうとも、私の刃は止まらない」

 

その言葉には断固たる意志が込められていた。リサは深呼吸をし、再び口を開いた。

 

「なら協力しましょう」

 

その提案にエリオットは振り返り、驚いた表情を浮かべた。

 

「リサ、何を――」

 

「――お前たちは、取るに足らぬ存在だ」

 

最初と同じ言葉の反復に静寂が返事をする。リサは一瞬だけ息を呑み、そして問いかけた。

 

「…なら彼らは?」

 

「……奴らは帝国を汚した。己の欲望のために、命令を捻じ曲げ、信じるべきものを裏切った」

 

その声にエリオットは舌打ちし、剣を握り直す。

 

「だったら、お前は俺たちも殺す気だろ、何せ逃亡中の身だ」

 

だが、リサはエリオットを制した。

 

「エリオット、待って」

 

彼女の静かな声が場を支配する。リサは再び“利刃”に目を向けた。

 

「あなたは、師団を罰するためにやってきたの?」

 

“帝刃”は答えなかった。その赤い瞳はただ彼女を見つめる。リサの言葉が、彼の中にある何かを揺らしたのかもしれない。

 

「なら私たちはやはり協力できるわ」

 

その言葉は、まるで降り積もる雪の中にぽつんと咲く花のように儚くも鮮烈だった。

 

「……私が進む道に、誰も同行できるはずがない」

 

そう呟いた“利刃”の声には、利刃自身が気づいていない僅かな迷いがあった。リサはその揺らぎを見逃さなかった。

 

「効率よく任務をこなす方が国益になるでしょ?」

 

リサの言葉にエリオットが抗議しようとしたが、彼女の決意の眼差しに気圧される。“利刃”はしばらくの沈黙の後、低く答えた。

 

「証人になる代わり、第7師団から守れということこか」

 

リサは頷き、冷たい風が彼女の髪を揺らした。

 

「断る理由はないはずじゃない?」

 

リサの声は震えてはいなかった。彼女の瞳の中に潜む光は、か弱い命の中にも確かな意志があることを示していた。“皇帝の利刃”と呼ばれる巨人はその視線を受け止めるでもなく、雪の降り積もる音に耳を澄ませるかのように沈黙していた。

 

その姿は、冷たい鋼の塊でありながら、どこか悲しげでもあった。エリオットがリサの肩を押し返し、自らの背中に隠そうとする。

 

「よせ、リサ。こいつは話が通じる相手じゃない」

 

だが、彼女は首を振る。

 

「エリオット、もし彼が伝承通り、本当に無差別に殺すだけの存在なら、私たちはもうここにいないわ。それの私たちをわざわざ助けた理由も、あとからその選択を取る可能性が摘み取られたくなかったんじゃないかしら」

 

その言葉にエリオットは反論しようとしたが、喉の奥に何かが詰まったように声にならなかった。目の前の“帝刃”が、あの威圧的な体躯を揺らしながら静かに首を傾けたからだ。

 

「理由……か」

 

"巨人"の声は、雪嵐の中から届く遠雷のように低く、そしてどこか空虚だった。

 

「よほど自分が助かる理由が大したものでなければ受け入れられないようだが…理由を語る必要があるのか? 私の存在そのものがすでに答えであるのに」

 

リサはその言葉をじっと受け止めた。"利刃"の赤い瞳には、ただ冷たさだけでなく、微かな苦悩の影が宿っているように見えた。

 

「それでも私は聞きたい。もしそれ以外の理由があるとするならば、あなたは、なぜ同じ仲間を私たちを助けるようにして殺したの?」

 

リサの問いは、言葉以上の重みを持っていた。彼女の声には、怯えや非難ではなく、ただ純粋な興味と哀しみが込められていた。

 

“利刃”は一瞬だけ動きを止めた。その姿は、時間そのものを凍らせたかのようだった。やがて"利刃"は、周囲の雪を砕くかのように足を踏み出し、リサに向き直る。

 

「理由などない。私は命じられたから殺した。それ以上のことを考える必要はない」

 

その声は深い、そして空虚だった。まるでただの道具が音を発しているかのように、言葉には一片の感情も宿っていなかった。

 

リサは一瞬動きを止めた。だが、次の瞬間、彼女はなおも問いかけた。

 

「それでも、私たちは殺さなかった。なぜ?」

 

その言葉に、"利刃"の赤い瞳がじわりと彼女を捉える。その視線は鋭い刃そのものだった。

 

「生かしたつもりはない。殺す価値がないだけだ」

 

エリオットは怒りで剣を握りしめた。

 

「言ってくれる」

 

彼は一歩前に出たが、リサが手を挙げて制した。

 

「ちょっと、エリオット?」

 

リサの声は静かだったが、その中に潜む意志は強かった。 それを汲み取り、エリオットは不満げに口を閉じた。

 

「あなたは、私たちを殺す価値がないと言ったわね。でも、それならどうしてここにいるの? 私たちに付きまとい、そして仲間を殺したの?」

 

利刃は動かない。その巨大な鋼の体は、まるで目の前に立つ人間たちを視界に入れていないかのようだった。そして、利刃は呟くように答えた。

 

「……命令だ」

 

それ以上の説明はなかった。だが、その短い言葉の裏にあるものは、あまりにも理不尽で、あまりにも空虚だった。

 

リサは眉をひそめた。

 

「命令されたから。それだけ?」

 

「それだけだ。それ以上の理由を求めるのは無意味だ」

 

その声に、エリオットは苛立ちを露わにした。

 

「誰の命令だよ、皇帝? いや。そんなことはどうでもいい。あんたに命令できるのならそもそもコイツラに命令して止めてほしいね」

 

「そこまでは求められていない」

 

「気まぐれな皇帝だな…」

 

今度のエリオットの呟きはそこまで敵意の籠もったものでも無かったため、リサは特に何も言わなかった。

 

むしろそれに代わって反応を返したのは"利刃"の方だ。

"利刃"はエリオットの発言に、わずかに首を傾けた。その仕草は、人間の問いかけを解釈しようとする無機質な機械のようだった。

 

「気まぐれ…? 人間の意志などその程度のものだろう」

 

リサは静かに息を吸い込む。そして、あえて冷たい笑みを浮かべた。

 

「そう。なら、私たちを殺す理由もないわよね」

 

"利刃"の瞳が赤く光り、その無感情な声が返ってきた。

 

「殺す理由はない。しかし、保護する理由もない」

 

その言葉に、リサは一瞬だけ目を閉じた。そして再び目を開け、毅然とした声で言った。

 

「私が…“亡命”するといっても?」

 

その返答に対して"利刃"は沈黙を選択した。

 

"黒い雪"の静けさは、暴力や威圧以上に恐ろしかった。やがて、"黒い巨兵"は鋼鉄の靴をゆっくりと動かし、一歩を踏み出した。

 

エリオットは直感的に刀を構え直し、リサを庇うように立ちはだかる。

 

「来るなら来い…!」

 

しかし、"利刃"は歩み寄ることも攻撃する素振りも見せず、ただその場に立ち尽くす。そして、低い声で短く一言を放つ。

 

「…伏せろ」

 

リサとエリオットが戸惑う間もなく、"利刃"は背後にある建物の壁を素手で引き剥がし、彼らの上にかぶせるように投げる。その直後、上に迫る砲弾が爆発し、轟音とともに周囲の地面をえぐり取る。

 

爆撃で焼け焦げた地面の臭いが鼻を突き、空気は硝煙と鉄の味で満ちている。横たわるリサは、エリオットの影に隠れるように身を縮め、小刻みに震える。

 

エリオットは荒い息をつきながら地面にひざまずいた。辺りには焦げた草や砕けた岩が散乱し、先ほどの爆撃で形成されたクレーターが、彼らを囲むように広がっている。

 

耳鳴りが止むと同時に、低い振動音が響いた。地平線の彼方より鋭い刃のような振動が、大気を抉るように伝わってくる。

それは次第に鼓膜を叩く重低音へと変わっていく。

――生命なき鉄の巨獣が吐息をつくかのような不気味な音へと。

 

「今度は…なんだ…?」

 

地面に跪いたエリオットは、その異様な音に導かれるように空を見上げた。そこには、一分の隙もなく設計された鋼の体躯が悠然と浮かんでいた。

 

 

――ウィーーーーン!!!

 

それは空間全体に不吉な圧力をもたらし、周囲の大気さえ緊張で凍りつかせるかのようだった。その発生源は、――鋼鉄の悪鬼と呼ぶべき存在だ。無駄を削ぎ落とした黒の装甲に覆われ、八基の旋回翼が唸りを上げて風を切り裂いている。鋭利な鋼の塊から飛び出た索敵レーザーが地表を舐めるように巡り、表面に張り巡らされたカメラは、さながら捕食者の瞳のように光を放つ様はさながら昆虫を思わせる。

 

帝国砲撃指揮機――その名が示す通り、それは空中から地上を支配するための暴君だった。鋭利な輪郭を持つ装甲は、異鉄で覆われ、頭頂部に装着された触角のような広域通信アンテナが、砲撃に必要な標的の位置を他の攻撃ドローンに送信しているのがわかる。

 

「くそ、何てことだ…!」

 

エリオットはリサをかばうように盾となりながら呟いた。彼の腕にかかった少女の震えが伝わる。

リサを背にかばいながら冷汗を滲ませる。上空の機械はただの監視用ではない――攻撃機能を備えた戦闘兵器だ。その証拠に、ドローンの腹部には、誘導爆弾と見られる巨大な装置が収められている。

 

鈍い動きが、かえって恐怖を煽る。

 

間違いなく自分たちを吹き飛ばすつもりだ――!

 

 

 

エリオットの視線が機械の動きと周囲の地形を交互に追う。さらに悪いことにそこに小型のドローン群までもが加わっていた。

背後のリサは震えながらも彼を信じて言葉を飲み込んでいる。

それでも、逃げ場はない、そう思わせる状況だった。

 

――諦め…

 

「これが……帝国の“意思”か……」

 

「――愚か」

 

低い機械音のような声と共に、突如“利刃”が動いた。装甲に覆われた巨体が信じられない速度で前へ躍り出る。その右腕が、まるで稲妻のように地面をえぐる勢いで振り下ろされると、土砂が宙を舞った。飛び散る瓦礫の壁が即席の遮蔽物となり、エリオットたちを守る。

 

「何を…!?」

 

エリオットが驚きの声を上げる間もなく、"利刃"は冷静な動きで状況を掌握していた。ドローンの動きを読み、着弾地点を計算し、身を挺して遮蔽を作り出している。恐ろしい"帝国の刃"たる巨人が自分たちを守っている――その事実が彼の脳裏を混乱させた。

 

上空では、ドローンの動きが変わった。標的を明確に認識し、赤いレーザーが"利刃"を中心に収束していく。そして次の瞬間、低い唸り音が空を震わせ、爆撃が解き放たれた。

 

「伏せろ」

 

"利刃"の声が響く。二人を地面に叩きつけ、二人を庇うように片手で地面に手を突き、もう片方の手で瓦礫を握る。

 

 

轟音と共に爆風が大地を揺るがせる中、"利刃"の装甲が破片を受け止め、火花が散る。ドローンの一撃は確実に重く、装甲を貫かんばかりの力を持っていた。最初のエネルギーを受け流し、そのまま力づくで弾き上げた。

 

 

 

「……こんなの勝てるわけがないじゃないか」

 

彼は押し殺した声で呟いた。視線の先には、空中を編隊を組んで旋回する小型ドローン群。神経に障るうるさい音がエリオットの神経をじりじりと削り続けている。

 

その時、不意に耳元で低い声が響いた。 

「私に刃を向けるのは自害に他ならないと知れ」

 

その言葉が敵に向けられたのか、ただの独白かはわからないまま――

 

しかし確かなことに、"利刃"が立ち上がった。その巨体はまるで鋼鉄で形作られた彫像のように、威風堂々と佇んでいる。黒雪の中でわずかに光を反射するその装甲には、既にいくつかの弾痕が刻まれていた。それでもなお、その姿勢には揺るぎというものがない。

 

"利刃"が腕を振り上げると、腰に装着された発射装置から青白い光が空を裂くように広がり、無形の波紋が空間を裂いた。耳をつんざく音が続き、発射されたパルスの見えない波により、指揮機を囲うように展開する、空中の小型ドローン一群の動きが鈍る。数機が制御を失い、旋回を乱しながら地面に墜落した。それに続いて周囲のドローンもまるで糸の切れた操り人形のように次々と落下する。

 

金属が地面を叩きつける音が幾重にも重なり、そのたびに火花が地を照らした。

 

「小型機が落ちた! これなら…リサ!」

 

エリオットが叫ぶ。しかし喜びも束の間、

 

「――まだだ」

 

その言葉通り、指揮機は姿勢を立て直し、腹部に搭載されたミサイルポッドが展開された。空気が緊張に満ちる。次の攻撃は間違いなく壊滅的だ。

 

 

ミサイルが放たれる前に再び利刃のEMP装置が青白い閃光を放つ。指揮機が一瞬動きを止めたその隙に、"利刃"は地面を蹴り上げて空中へ跳躍する。その巨体が宙を舞い、指揮機の頭頂部へ向かって突進していく。

 

開口部を開けてしまったミサイル弾頭にEMPを防ぐ術は無く、発射を封じられてしまう。

 

その空白の時間に上空へ肉薄し、"利刃"の刃が届くその瞬間――別方向からミサイルが飛んできた。

 

「退け」

 

それを足で蹴り付け方向を逸らすと同時に、反作用で斬りかかろうとするが、狙いが逸れて通信アンテナを切断するにとどまった。

 

――ガチャッ!

 

機関砲が"利刃"に向けられると、なんとか退避しようと重力を利用して再び動き出し、機関砲の可動域の外へと姿を消した。

 

すぐさま位置を変えた指揮機の下部から連射式の機関砲が火を噴いた。地表に伏せて、銃撃を回避した"利刃"を狙い、まるで金属の雨が降り注ぐように、無数の弾丸が地表をえぐり、爆発を起こす。土煙が巻き上がり、エリオットたちの視界をも塞ぐ。

 

「…!」

 

"利刃"は装甲の厚い右腕で弾丸を受け止めると、即座に腰から誘導爆弾を引き抜き、それを上空に投げ放った。爆弾は軌道を描きながら指揮機の腹部に命中し、大きな爆発を巻き起こす。赤いセンサーが火花を散らし、機体がわずかに傾いた。

 

「なるほど…ドローンの武装も勝手に変更しているのか…」

 

"利刃"は冷静に評価を下した。

 

「なら、あの技術者はもう生きていないな…」

 

顔を覆う仮面には無機質な金属の輝きがあり、彼の表情を覗くことは許されなかったが、その眼はしっかりと目の前の敵を捉えていた。

 

空中を浮遊する、"2台"の帝国砲撃指揮機へと――

 

「嘘だろ…」

 

エリオットは咄嗟にリサを連れこんだ遮蔽物の陰からその様子を覗き込んでいた。EMP弾の影響を受けなかった指揮機が旋回を続け、次の攻撃準備を整えているのが見えた。背の高い鋼の巨人は、何かを考えるようにじっとドローンを見つめている。

 

「伏せていろ。“あれ”に集中する」

 

"利刃"が低く告げる。

 

「ここは逃げに徹するべきだ! こんなところで死ぬ気か!?」

 

エリオットが怒鳴るが、"利刃"は応じない。

帝国以外に守るべきものがないはずの男が、なぜか自分たちを庇っている。

彼の背中が語るものはただ一つ、徹底した覚悟だった。

 

「正気なのか!? お前ひとりであの化け物どもに勝てるとでも――」

 

「――黙れ」

 

エリオットの非難を一刀両断し、瓦礫の上に立ち尽くす利刃。その背中は、燃え盛る戦場の中で鋼鉄の壁のように見える。

リサとエリオットが状況を理解できないまま、"利刃"は彼らに振り返らず、呟くように言葉を続ける。

 

「帝国の“意志”を見せよう」

 

“それ”は姿を現した。

 

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