向日葵の暗躍   作:黒色の向日葵

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雇い主の社長令嬢を警護する為にピアノ発表会の会場に来た主人公
そこには、名探偵コナン世界の主要人物の中の主要人物がいて…


第6話 幼き探偵達 前編

 つ 、遂に出会ってしまった…いやまだ向こうは俺を認識はしていない。その隙に…

 

「あ!幽香お姉ちゃん、待っててくれたんだ!」

 

「うわぁ!すっごい綺麗なお姉さんだ!優奈ちゃんの知り合い!?」

 

 うーん、バレてしまったか…いやまぁお嬢さんの警護の為に待機してるんだし、不可抗力だよな。うん。

 

 そう思った俺は、子どもの背丈に合わせる為に身を屈め、現時点での「少年探偵団の紅一点」に話しかけた。

 

「こんにちは。えぇそうよ。風見幽香っていうの。お嬢さんは優奈さんのお友達かしら?」

 

「はい!帝丹小学校1年B組の吉田歩美って言います!」

 

「学校は違うけど、ママと歩美ちゃんのママが大学時代のお友達だった繋がりで、よくお茶会やお稽古の発表会で会うんだよ!」

 

 なるほど、そう言えば吉田歩美は都内の高層マンションに住んでいたもんな。良いところのお嬢さんであっても不思議じゃないか。そもそも帝丹小学校も国公立ではなく私立っぽいし。

 

 原作の描写を思い出していると、小さなお嬢さん同士で会話が進んでいた。というか女子小学生の会話スピードはえぇっすね…。

 

「幽香お姉ちゃんはパパの依頼で私の身辺警護をしてくれる探偵さんなの!」

 

「えぇ!?探偵さんなの!?すっごーい!」

 

「ウフフ…。とはいってもまだ駆け出しで、優奈さんのパパさんのおかげで仕事を確保出来ているだけよ。吉田お嬢さんが思うほど大したことはしていないわ」

 

 なんせ社宅まで借りているしな。籍だけとはいえ会社員になったわけだし、まぁ顧問探偵みたいなもんだろ。お嬢さんの警護はともかく、なぜか総会屋対策や「花を操る程度の能力」を応用した生命工学とそれに付随した薬品開発の補助と顧問もやらされるらしいけど。これ探偵の業務じゃなくね?

 

 ちなみに俺の…というか「風見幽香」の能力に関しては製薬会社も把握はしていない。研究や開発に協力出来るレベルの植物への膨大な知識が評価されたようだ。農学部の学生設定も影響したのかな?製薬会社からは修士課程支援も打診されたが、あくまでも設定なんで適当にお茶を濁した。

 

 まぁこの名探偵コナンの世界では主人公達に近づく為に「東都大学大学院工学部博士課程の大学院生」と名乗った合衆国の捜査機関職員もいるし、大丈夫でしょ。そう言えば、あの人が大学院に行くシーンって見たことねぇな…。

 

 まだこの頃には出てこない、とある連邦捜査局捜査官を思い浮かべていたら、少年探偵団の紅一点が話しかけてきた。

 

「幽香お姉さん、実は歩美も『少年探偵団』に参加しているんだ!」

 

「歩美ちゃん、この前も少年探偵団で森や川でお宝探検したんだって!なんか宝石強盗の悪い人もいたらしいけど、最後にお巡りさんに突き出したらしいよ!」

 

 ほう…この年代で少年探偵団が森や川でお宝探検し、宝石強盗がいた…あぁ、アニメ33話の「探偵団サバイバル事件」か。アニメオリジナルの話で、少年探偵団がメインの冒険活劇だったな。なるほど、長門グループの混乱はもう少し先ってところか。

 

 さて、少年探偵団の話題が出たが、まだ主人公と対面するには早いか。もう少し原作の登場人物達と交流し、少しでも印象を良くしておかねば…。

 

「そうなの、それは凄いわね。探偵に必要なのは飽くなき知的好奇心と真実を探究する精神、そしてそれを貫くガッツなのだけど…吉田お嬢さんはそれを持っているのね。素晴らしいわ」

 

「えへへ…でも一番凄いのはコナン君なんだよ!」

 

「あー歩美ちゃんが最近よく話題にあげている男の子だー!私は会ったことないんだけど、すっごい頭がキレるんだってー!」

 

 はい、存じ上げております。なにせ、この『名探偵コナン』の主人公であり「名探偵」なのだから。そして少年探偵団も。『天国へのカウントダウン』で魅せた友情や仲間を身を挺して救おうとする精神は本当に素晴らしかったし、『ゼロの執行人』や『ハロウィンの花嫁』では大人達と協力し合って無自覚ながらも、文字通り東京を…日本を救ったスーパー小学一年生軍団。

 

 正直言って、良い意味で小学校一年生とは思えない大活躍ぶりだ。『風見幽香』の身体や精神も称賛している。

 

「コナン…君ね。かの偉大な推理小説家の名前から由来した名前なのでしょうね。その男の子も少年探偵団のメンバーなのかしら?」

 

「うん!他には光彦君と元太君も!」

 

「あらあら。賑やかね」

 

 こうして少年探偵団の紅一点と会話を続けていると、ピアノ発表会の会場周辺が迎えの車や家族で混雑してきた。

 

「あら、周辺も混雑してきたし、そろそろ帰るわよ、優奈さん?迎えの車の人も待たせているみたいだし」

 

「うん…でも小学校も違う歩美ちゃんと、せっかくお喋り出来たのに…」

 

「じゃあさぁ!来週また遊ぼうよ!探偵団のみんなも紹介するよ!」

 

「え!いいの!?お話では聞いてた少年探偵団の人達に会えるなんて!」

 

「きっとみんなも喜ぶよ!あ、そうだ幽香お姉さんも一緒にどう?」

 

 

 ええぇ!!!????(少女驚愕中…)

 

 

 学校の違う女子小学生同士の友情を微笑ましい気持ちで見ていると、突然ダイナマイト級の爆弾をぶん投げられた。いやそりゃいつかは接触する可能性も考慮していたけど、まさかこんなに早く…?

 

 「そ、そうね…でも私みたいな大人が小学生の集まりに参加するのはやめたほうがいいんじゃ…?」

 

 そう、普通に考えたら大人が小学生同士の遊びに保護者枠で見ていたら、鬱陶しがられそうな気がする。しかし…まぁこの名探偵コナンの世界で、主人公や少年探偵団と良好な関係を構築するのは至上命題だ。絶対に成し遂げる必要がある。

 

 それに、この子達は鈴木財閥のご令嬢である鈴木園子とも繋がりを持つ。これは製薬会社社長も気付いていないだろうが、貴重な人脈だ。「将を射んとする者はまず馬を射よ」ではないが、後々のことを考慮するならば、薄っすらとした名前くらいはそれとなく流したい。

 

「うーん…でもコナン君やみんなも小五郎のおじさん以外の探偵とはあんまり関わりがないし、けっこう歓迎すると思うよ? 何より歩美が色々とお話ししてみたいの!」

 

 おおぅ…天使かな?眩し過ぎて直視できねぇレベルだわ。まぁ確かにこの時点だと江戸川コナン以外の少年探偵団メンバーはあんまり探偵とは接点はないか。西の高校生探偵(大阪府警本部長の息子)や、喫茶「ポアロ」に勤務するアラサーイケメン探偵(警察庁警備局警備企画課に所属)とは会っていない時期だし。眠りの小五郎以外の探偵は珍しいだろう。まぁ興味くらいはあるかもしれんな。

 

「私も幽香お姉ちゃんについてきて欲しい! あと…多分パパも同行を勧めると思うよ?」

 

 確かに言われてみりゃそうだわ。誘拐事件が終わったとは言え、父親からすれば愛娘が友達のところに遊びにいくとにしても護衛は付けたいよな。

 

「うーん…そうね、まぁそちらの少年探偵団の皆さんが大丈夫なら…いいわよ?」

 

「やったー!約束だよ!歩美楽しみに待ってるから!」

 

 おおう…つい約束しちまったが…まぁ大丈夫だろ。どうせ挨拶くらいだろうし、せいぜい「探偵として何をやっているか?」とか聞かれるくらいか?

 

 それに、彼らからすれば探偵団仲間の友人の知人でしょ?探偵に興味はあるだろうし、歩美ちゃんに遠慮して表向きは了承するだろうけど、小学校一年生からすれば大人との会話って退屈だしな。まぁ無難に終わりそうだ。

 

 ま、この世界の主人公と会えるのは密かに楽しみにしていたし、当日を気長に待ちますか!

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

「女の探偵?」

 

「うん、歩美の友達の優奈ちゃんの護衛の人で、すっごく綺麗でカッコイイ人なんだ~」

 

 女探偵か。小五郎のおっちゃんと大阪の服部以外だと同業者とはあんまり会ったことないな…。警察関係者だとよく会うんだが。

 

「というか歩美ちゃん、顔が広いんですねぇ~。毛利探偵以外の探偵なんて会ったことないですよ」

 

「俺もだぜ!毛利のおっちゃんみたいな探偵なのか?」

 

「うーん…歩美も会って会話しただけなんだけど…綺麗でカッコイイだけでなく、歩美達の少年探偵団の活動も褒めてくれたよ?」

 

 まさか少年探偵団を褒める大人が出てくるとは…たいていの人はビックリするか、微笑ましい顔をするからなぁ。俺が苦笑いしていると…

 

「おおう!見る目があるじゃねぇか、そいつ!」

 

「本当ですよ!やっと僕達の活動を認めてくれる大人が出て来ました!」

 

「うん!でも幽香お姉さん、大人というか、かなり若かったなぁ」

 

 ほう?若い女探偵か。安楽椅子探偵の千間降代探偵とは違うタイプか?まぁいいか。優奈ちゃんはともかく、その女探偵と会えるのはちょっとだけ楽しみだ。コナン・ドイルを「偉大な推理小説家」と評してくれたみたいだし、俺と同じシャーロキアンなのかもしれない。

 

「そういえば歩美ちゃん、その探偵さんの名前って?」

 

「うん、風見幽香さんってお名前だよ!」

 

風見…幽香か。覚えておこう。

 

 

◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇ ◆ ◇

 

 

 あれから数日後、俺はお嬢さんを警護しながら日本有数の犯罪都市米花町にやって来た。まさか本当にこの町にやって来るとは…。お嬢さんが通っている小学校も、俺が住んでいるマンションも米花町ではないから油断していたが、この米花町は本当にヤバい。

 

 なんせ原作漫画からして無数の犯罪が半年の間にたくさん発生しており、更にアニオリを含めたらとんでもないことになる。黒ずくめの組織と無関係な犯罪が多すぎる!なんだよ連続美少女誘拐殺人事件って!しかも本編でも未解決じゃねーか!

 

 しかし、製薬会社の社長夫妻は特に米花町という地名は気にしていなかった辺り、実は米花町クラスの治安はこの名探偵コナンの世界だと普通クラスなのかもしれない。そういえばコナン世界の劇場版は米花町以外の舞台が多かったな…。大阪とか京都、西多摩市に渋谷。どれも凄まじいことになってたな。

 

 むしろ我らが製薬会社の社長が恐れていたのは、「少年」探偵団の名前だ。ってか男の子友達との会合に無茶苦茶神経をとがらせていた。いやあのね…小学校一年生っすよ?いくら何でも早過ぎないっすかね…?

 

 俺と製薬会社の社長夫人が呆れて目を半目にしていても「しかしだね、風見探偵。万が一、億が一ということもあるのだよ??」と心配しきり。杞憂の生きた見本かな?

 

 そんな製薬会社の社長を何とか説得し、少年探偵団と会えるのを毎日楽しみにしていたお嬢さんを連れて週末の土曜日に米花駅で待ち合わせをしていると…

 

 

 

「キャー!!!引ったくりよー!!!」

 

 

 えぇ…(少女困惑中…)

 

 普通に引ったくり事件が始まっていた。ヤベェな、米花町。日常風景になってないか?

 

 呆れ果てていると、ひったくり犯であろう金色に髪を染め上げたチャラい男がこちらに逃げてきた。後ろの方では被害者っぽい中年女性が追いかけてきていた。

 

 どうしようか…と思っていると、隣にいるお嬢さんが俺の服(ちなみに今回はスーツではなくいつもの服装)を引っ張りながら、「なんとかしてあげて」と目で訴えてきた。イエス、マム。

 

 

「オラァ!そこの女ァ!そこをどけぇ!」

 

「ええ、いいわよ」

 

 俺は隣のお嬢さんを守りながら身体を避け、足を突き出した。見事に足を引っ掛け転んだところを踏み付け、付近の目撃者達に警察への通報を依頼しようとしたところ、付近を巡回していた制服警官達がすっ飛んできた。もしかしてコイツ常習犯だった?

 

「そこの方、お怪我はありませんか!?」

 

「(風見幽香って怪我とかするのかな…?)えぇ、平気よ。ありがとう。ところでコイツなんだけど…」

 

「おお! コイツは連続引ったくり犯として警戒中の男ですよ! もう少しで逮捕状を請求するところだったのですが…ご協力ありがとうございます!」

 

 やっぱ常習犯だったか。本当に犯罪多発都市だな、この町。原作でも普通に連続スリとかあるし、本編以外の主人公達がいないところでも犯罪が多発しているんだろうなぁ…。

 

 俺が呆れ果てていると、背後から小学生らしき声が聞こえてきた。

 

「うっわぁ!幽香お姉さんだ!カッコイイ!」

 

「すっげぇな、あの姉ちゃん!さらっと引ったくり犯を捕まえたぜ」

 

「あの胆力、まさに探偵にとっては必須条件なんでしょうねぇ!」

 

 おおう…ここで会っちゃうか。まぁ待ち合わせの場所だし、これだけ騒動になったらそりゃ気がつくか。

 

 俺が振り向くと、先週あった吉田歩美とかなり大柄な男の子、礼儀正しそうなそばかすの男の子、そして…

 

「こんにちは。お姉さん、さっきはお手柄だったね」

 

「えぇ…ありがとう。小さな探偵さん」

 

 

 眼鏡をかけた非常に利発そうな男の子がいた。これが、俺とこの世界の主人公にして偉大な名探偵との初対面だった。

 




ちょっと困惑している幽香さん

萩原千速さん、遂に出て来ましたね!!!カッコ良いぃ…本当にカッコ良いです…
CV田中敦子さんってのも最高でした!
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