無気力勤め人のウマ娘転生記   作:蓮木

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出会いと変化

 ウマ娘について調べて分かったことは大昔からいるということが分かった。それともう一つ。この世界に馬がいないということだ…競馬の代わりにトゥインクルシリーズと呼ばれるレースがある。

 俺の推測はこうだ。馬という生き物が何らかの力が働きウマ娘となり馬の代わりにレースを行っているのだろう。

 ということはそれが行われたのは紀元前…ここは俺がいたところと違う日本なのか…?

 もしこれが異世界転生というものなら俺のいた世界は…妹は…家族は…どうなる?もう引き返せないことだろう…考えるのはよそう…

 

———

 

 俺が転生してから6年の月日が流れ、俺は7歳となり、姉は10歳になった。このころから姉の口からトゥインクルシリーズという言葉をよく聞くようになる。

 それもそのはずだろう。姉も小学生の高学年だ、中学校から日本ウマ娘トレーニングセンター学園(通称トレセン学園)の入学を希望している。聞いたところ俺の父親がトレセン学園のトレーナーで母親がそこの生徒だったらしい。

 …生徒と教師の愛ってところか?当時担当だった母が父のトレーナー姿に心惹かれそのままゴールイン。この世界では珍しくないことらしい。

 一旦その話は置いて話を戻そう。姉の口からそのようなことが出れば現トレーナーの父親が黙ってはおらずその体に見合ったトレーニング方法を教えるばかりだ。まだトレーニングを実際には見たことないが俺はその父の考えたトレーニング表を見せてもらいここはどうだ。こういうのはこうだと一個一個説明が入る。

 

 まだ小学生には難しいぞ。父よ。

 

 そんなこんなで俺もトレーナーの知識が深くなっていく。まぁまだトレーナーになるなんて言ってないけどな。

 そんなある日のこと姉が小学校から帰ってくると見慣れないウマ娘の少女二人を連れて帰ってきた。

 

「ただいまー」

「この子達は?」

 

 父が尋ねると姉は、

 

「この子たちも今日一緒に練習していい?」

 

 三日月形の白髪をした子と額にひし形のような白髪をした子が隣に立っている

 

「こんにちは、シンボリルドルフです。

 トレーニング中にお会いしまして一緒にトレーニングをと」

 

 シンボリルドルフとな、どこかで聞いたことあるような…そんなことより俺と同じ年齢だと思うのになんだその社交辞令のような挨拶は…!

 父は呆気にとられた顔で

 

「そ、そうか…分かった。

 でもその前に親御さんに伝えなきゃな」

 

 もう一人が気だるそうに口を開く。

 

「ふん!トレセンに行くのに親なんて必要あるかよ」

「シリウス、一緒に練習させてもらうんだから従わなきゃダメだ」

 

 もう一人はシリウスと呼ばれてたがなんともこっちは口が悪い。だがトレーニングはやるというやる気はあるようだ。

 

「まだ小学生なんだから伝えなきゃな。分かったか?シンボリルドルフに…」

「シリウスシンボリ」

「うん、シリウスシンボリ、わかったかい?」

 

 一人は、はい!と元気よく返事をしもう一人は気だるそうに舌打ちをした。

 

 なんとまぁ3人の女児にトレーニングを教えてる親父を見たら俺なら真っ先に通報するね。

 

「おわ!」

 

 急に後ろから持ち上げられる。

 

「あなたもお父さんの隣で見てきたら?」

 

 誰かと思えば母親だ。はたから見たらモデル体型の母。持ち上げられたら結構な高さになる。

 

「あなたも将来はトレーナーになってほしいから今のうちにね?」

 

 そんなことをいう母。

 とは言ってもここの世界のことは何も分からない。トレーナーって言うのもよく分からない。

 ウマ娘が馬の代わりなら調教師ってところか?

 元々競馬にも興味もなかったのに調教師なんてもっと興味ないに決まってるだろ。

 まぁ父さんも分かりやすく教えてくれるし受けてみる価値はあるか。

 

「お父さん!僕も見てていい?」

「おう!見やすいようにトレーニング表を作ってきたからこれ見ながら姉ちゃんたちを見ろよ」

 

 そんなことしなくたっていいのにな。まぁはたから見たらただの4歳児。

 簡単にするのも分からなくもない。

 

 しかしトレーニングを見るのは今日が初めてだ。どれどれ子供の徒競走レベ…

 

 目の前を何かが駆け抜けた。あまりに急な出来事だったため誰が通り抜けたか、いや何人通り抜けたかさえ分からなかった。

 

 え、いやいや…自転車よりも早いですやん…

 

「どうだ?速いだろ」

 

 ニヤニヤしながらそう言ってくる父。

 速いってレベルじゃねぇよ…テレビで見てたより全然速いじゃねぇか…

 

「これがウマ娘よ。」

 

 頭を撫でられた。なぜ母はこういうのかと言うと実際には生でウマ娘の走りを見たことがないからである。

 

 度肝どころか色々抜かれた気分だよ。なんだよ。人じゃないじゃん。F1じゃん。

 

「ん?なんだお前」

 

 父の隣で見ていた俺に気付いたようだ。まぁ同い年だし普通に挨拶すればいいか

 

「こんにち…」

「お、そうだ、シリウスシンボリにシンボリルドルフ!こいつトレーナー志望だから良かったら一緒にトレーニング見ててもいいか?」

 

 挨拶しようとしたら父に遮られてしまった。声がでかいんだよ。

 

「へぇ、トレーナー志望ねぇ」

「ぜひとも、共にトレセンに入るかもしれませんからね」

 

 なんとシリウスの方には歓迎されないと思ったがそうでもないみたいだ。案外ストイックなだけなのかもな。

 

「よろしくね、シリウスシンボリにシンボリルドルフ」

「同い年だろ。シリウスでいい」

「僕もルドルフでいいよ。よろしくね」

 

 久々に他人と喋る気がする。悪くないね。

 

「うん、よろしく。シリウス、ルドルフ」

 

 着々とトレーニングが進んでいるが、一つ思ったことは俺は、ウマ娘という種族について何もまだ知らないようだった。

 

———

 

 姉たちのトレーニングが終わり少女二人も自宅へと帰った後俺はウマ娘についてもう少し知らなければと思いすぐに調べものに走った。なんも知らずにトレーニングを支えようとしていた。

 

 支えるとは言ってもただ手伝うだけだけどね。

 

 ただのサラリーマンにそんなのが務まるのかって話だけどな。まぁ、シンボリルドルフにシリウスシンボリか…俺と同じくらいの年齢なのに夢があるってすごいな…

 

 一つの本に手を掛けた瞬間大きな物音を立てて、その段の本がすべて崩れ落ちた。

 やばい、この年齢で難しい本を読んでることがバレるとさすがに怪しまれる…

 

「なんだ!!うぉ!大丈夫か!」

 

 部屋に父親が飛び込んできた。

 

「うん、ごめんなさい…」

 

 こういう時はすぐに謝る。社会人の基本だ。

 

「お前が無事なら大丈夫だ。」

 

 そういって頭をなでてくれた。父は、ガタイこそ良くて威圧感はあるが優しい父だ。

 

「お前もとうとう興味を持ってくれたか」

「いや…さすがに何も知らないよりは…」

「それでもうれしいよ。さぁ片付けよう。」

 

 父は、そう言い片づけを始めた。子供のしたことだしそうそう怒りはしないか…

 

「お前ウマ娘のこんな難しい本も読めるのか…」

 

 問い詰められそうな気がしたため俺は、やんわり肯定した。

 

「でもお前にトレーナーをやるやらないにしても少しは興味持ってくれてうれしいよ。

 小さい時って言ってもいまも小さいが…とにかく、何やらせても無関心で、ただ淡々とこなすお前を見て

 俺らは不安だったんだ。でも今日のお前見て安心したよ。」

 

 そういって頭を撫でてくれた。確かに今までは無関心で何にも興味が湧かなかったが今ウマ娘というものに興味を示している…昔の俺に比べたらなにもかも違う…進歩と言っていいのか…?

 

 まだ何も知らない世界で俺は一歩を踏み出しつつある。

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