無気力勤め人のウマ娘転生記   作:蓮木

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トレーナーへのスタートライン

 トレーニングに関わって数か月がたった。俺もどんどんトレーニングとウマ娘のことを理解し始めて円滑にトレーニングを進められるようになった。

 そしてある日父と姉は新しいトレーニングシューズを見に行くということで今は不在。

 ここには俺とルドルフとシリウスの3人が残されている。聞く話によると二人とも名家の出身らしい。いわゆるお嬢様だ。そんな子達を俺がトレーニングしていいのだろうか…とそんなことを父に言ったら大丈夫だろの一言

 

そんなんで大丈夫なのだろうか。

 

「ねぇ!君はトレーナー志望でしょ?僕もトレセンに入学希望の身だから君も一緒にトレセンに行こうよ!」

 

 ルドルフが元気いっぱいに俺を誘ってきた。だがまだやるかどうかなんて決まってもない…ここで適当に答えて落胆させるわけにもいかないしな…正直に言おう。

 

「あの、」

 

「なんだ?来ないって言うつもりか?」

 

 グイっと顔を近づけてくる。ナチュラルイケメンだから男でも照れるって…

 

「なにも言わねぇってことは行くってことでいいんだな?」

 

 ニヤリと笑い座っている俺を見下すように見る。

 

「いや…まだやるかどうかも分からないし…やりたいとはまだ、」

「「は?」」

 

 二人はよくケンカするが息ぴったりだとは思っていたがここまでとは…

 

「おい、分からないってなんだよ」

 

 また近づけてくるシリウス。今度の顔はナチュラルイケメンのような顔ではなく少し、いや少しどころではないキレ具合だと思った。なぜ?俺は正直に答えたはずだろ。

 

「いや、だって誰しもが家業というか…親と同じ仕事に就くとは限らないだろ!?」

 

「やだやだ!君は僕たちと一緒にトレセンに行くんだ!!」

 

「ルドルフやシリウスは目標があるんだろ?俺には目指したいものがない。

 実際トゥインクルシリーズ自体もよく分かってないんだから。」

 

 それもそうだ。ウマ娘やトレーニングについて調べたからと言ってウマ娘が目指しているトゥインクルシリーズのことなど名前くらいしか知らないのだから

 

「こうなりゃ実力行使だ。」

 

 は?今なんと?

 シリウスがいきなり俺の腕を掴み引きずっていく。

 

「おい、こいつ乗せろ」

「かしこまりました」

 

 執事のようなというか執事だろう。シリウスが乱暴に俺を車に乗せると二人も乗り込みドアを閉められた。

 

「どこ連れてくんだよ!誘拐と一緒だぞ!」

「あ?お前がトレセンに行かないって言うからだぞ」

 

 いや…わからないって言っただけなんだけど…

 

「分からないも同じだもん…」

 

 な!?心が読まれた…!?

 

ーーーー

 

 数十分後、車が止まった。

 ここから俺がトレーナーになるまでの物語…

 なんて聞こえはいいが俺自身はやる気はない

 

ーーーー

 

 車から引きずり出され顔を上げる。するとそこには前世の日本にあるのだろうかと言わんばかりの豪邸が建っていた。庭に噴水。

 中世ヨーロッパじゃあるまいし…だがここだけが異彩を放っている。

 

「おら、いつまで腰抜かしてんだ自分で歩け」

 

 と言われ手を離される。

 まぁ乱暴ってわけじゃないから痛くはないけど

 

「ここはシンボリ家。つまり僕たちの家!」

 

 ワオ、年頃の女の子にお家招待されちゃった。

 じゃないよ。精神年齢はアラサーがしていいことじゃないよこれ。

 

「ただいま戻りました!」

 

 ルドルフが元気よく扉を開ける。

 目に飛び込んできたのは大きなシャンデリアと大きな階段だ。

 こんな大層なものが日本にあるだなんて違う世界に来たみたいだ。実際そうなんだけどな。

 

 

ーーーー

 

 俺は一応客人ということで客間に連れて行かれた。

 二人はと言うと呆気に取られてる俺を尻目に何処かへと走っていった。それで執事とここにということだ。

 執事曰く連れてくる人を呼びに行ったという。はて誰なんでしょうか。

 

 そう考えたのもつかの間すぐに人がやってきた。なんとまぁ気品に溢れる人だこと。来ている服は大層な値段はするだろうがそれ以前に立ち姿がお綺麗。おっとこういうときは拉致されたとはいえ客から挨拶するべきだよな。

 

「こ、こんにちは、僕は」

「大丈夫ですよ、あなたのことはご存知ですよ。私はシンボリルドルフの母になります。以後お見知りおきください」

 

 鳩が豆鉄砲を食ったような顔をしていると

 

「無理もありませんね。ルドルフがああですから

 昔の私もルドルフ家の一員としていろいろ言われて

 きましたが私には合わなくて…」

 

 いやいや名家の出身らしい振る舞い…何も無駄はないだろ。

 ん?そういえば俺のこと知っている?ルドルフが話してて知っているのならそんなことは言わない…なぜだ?

 

「あの、僕のことをご存知と…」

「あら?聞いてませんの?

 あなたのお母さんと私はトレセン学園での同級生ですよ?あなたのお母さん強かったんですから」

 

 同級生…?てことはこのお母さんは…

 

「あら年齢は言わない方がいいですよ?」

「す、すみません…でも母からは何も聞いていません…」

 

 この家の人たちはテレパシーでも使えるのか…

 

ーーーー

 

 その後俺はこの家に通うことになった。元々母だけはこのことを知っていたらしく優秀なトレーナー志望がいるからどうだとシンボリ家に持ちかけたそうだ。

 シンボリ家は二つ返事で承諾。そして俺はシリウス、ルドルフがトレセン学園に入るまでの専属のトレーナーとして過ごすこととなった。

 

 母が言うには

 

「これは試練なのよ!三女神様があなたに与えた試練!頑張ってきなさい…!!」

 

 とだけなんだよ、三女神様ってまた新しいものが出てきて俺困惑。

 子は親には逆らえないのでそのままトレーナーを承諾。貴重な子供時代が…

 

 それからというもの俺はシンボリ家に行きトレーニングを見たり意見を出したりとまるで小学生ではない。だがこの体と精神年齢は比例するようだ。ある程度前世の記憶があったとしてもそっちに吸い寄せられる傾向がある。例えば今までは興味がなかったおもちゃなどに目を追うようになったりと体の変化が見えてくる。

 そして一番に考えることは気づいたら前世の記憶はなくこの体の持ち主にこの体をまた返して俺はまた死ぬんじゃないか。そう考える日もあったが一度死んだ俺だがまたこうして生きていることに感謝しよう。

 

 こうして俺とシリウスとルドルフの3人は順調に年齢を重ねていく

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