しかし、反省も後悔もちょっとしかしていないキリッ(・`ω・)
『
子供とは、無邪気であり、残酷である。
子供と大人の定義は数多く存在するが、私は幼さ故の無邪気さを持っている内が子供と一般的に呼ぶのに相応しいと考えます。
勿論、反論は多くあるでしょうし、そもそもそれを子供の定義とするには抽象的に過ぎる事も分かっています。
しかし、ここで注目したいのは定義ではなく、子供たちのも持つ独特の無邪気さと残酷さです。
彼らは、全く無邪気に誰に教えられるでもなく大人でも顔を顰めるような、残酷な行いをさも当たり前のように平然と実行します。昆虫から足や触角を引き抜いたり、嫌いな相手の下駄箱に画鋲や蝉の脱け殻を入れたり、酷いものだと動物を殺してその様を見て楽しんだりする。
子供は無知故に、そういった残虐超人も真っ青な残酷な行いを平気でする。
結論を言おう。
俺は無邪気で残酷な子供が嫌いだ。
二年J組 戸塚 猛加』
※ ※ ※
八年前、秋。当時小学校三年の猛加は双子の弟である戸塚彩加をイジメから守っていた。
「やーい、女男! 女男~!」「お前、ホントは女なんだろ!」「なんで、ランドセル黒いんだよ。明日までに絵の具で塗って赤にしろよ!」
「こら~~! 彩加に何してんだ~~!」
「やっべ、兄の方がきたぞ!」「逃げろ! 逃げろ~!」「速く逃げないとケンちゃんみたいに血が出るまで殴られちゃうぞ!」
戸塚彩加はイジメの標的になりやすかった。何故なら、性別の区別が曖昧な小学生という事を差し引いても、女の子らし過ぎる可愛らしい容姿をしていたからだ。その手の趣味の人が見たら犯罪に走りそうなほどその容姿は可憐で整っていた。
しかし、人と違うというのは小学生という幼い残酷さを持っている彼らにとって、攻撃し、排除する標的にしかなり得なかった。
戸塚猛加はそんな弟をいつも先陣を切って守っていた。猛加は女の子のような弟とは違い、活発で明るく、少々喧嘩っ早い普通の少年だった。先日も弟をイジメていたケンちゃんと呼ばれている子と取っ組み合いの喧嘩になり結果的に鼻血が出るほど強かに顔を殴ってしまい、親と一緒に頭を下げに行くはめになっていた。
猛加はイジメっ子たちを追い払った後、弟の方に向き直り心配そうに声を掛ける。
「怪我とかしてねぇか、彩加?」
「うん、大丈夫だよ。いつもゴメンね、兄さん」
心配する兄に、彩加は花が咲くような笑顔を向けて答える。その様子に大丈夫だと判断した猛加はニカッと少年らしい笑顔で返す。
「そっか。じゃあさっさと帰ろうぜ、彩加。道場行く前に何か食べないと腹へって死にそうだ」
「あ、今日は兄さん、空手の日だっけ?」
「いや、今日は柔道で明日が合気道の日、空手は明後日だな」
「………いつも思うけど、そんなにかくとうぎ好きなの?」
「当たり前じゃん。強くりたいって思うのは男なら当然だろ? そのためにお母さんに頼み込んでたくさんの道場に通ってるんだから。それに、しっかり強くなって彩加を守ってやんなきゃだしな!」
「ありがとう。でも、強くなりたいとか、僕はそう言うのは良く分かんないな……」
弟の表情が少し暗くなってしまって、猛加は慌てて言い募った。
「さ、彩加は、何かやってみたいことないのか?」
「う~ん、テニス、かな。この前体育でやってみて凄く楽しかった」
「じゃあ、帰ったらお母さんに頼んでテニスの道場に通わせてもらおう」
「くすッ、テニスに道場はないんじゃないかな」
「あ、笑うなよ。似たようなもんじゃん」
夕焼けに染まる街並みを、二人きりの似てない兄弟は手をつないで歩いていく。
その後も彩加がいじめられる度に兄の猛加が飛んでいき、イジメっ子達を成敗する。見た目的には、まるで物語のお姫様と騎士のようなそんな関係は、彩加がイジメを受けないようになる中学二年生まで続いた。
そして、戸塚猛加と戸塚彩加という全く似てない二人は仲の良い兄弟として育ち、八年の月日が流れ、高校二年生になった。