青いチビの使い魔   作:だしィー

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吸血鬼退治2

 タバサSide

 

私たちは村長の家を出た後、まず犠牲者が出た家を回り状況を確認した。どの家でも出入り口を全て塞いでいるのに侵入され、寝ずの番をしているのにいつの間にか眠ってしまうとの事。 

 

「眠りの先住魔法なのね」

 

と、話しを聞いたシルフィードは言った。空気があればどこでも唱えることが可能なその先住魔法で家人を眠らせ、犠牲者の血を吸うみたいだ。私とシルフィードは家の中を調べる。

 

「きゅい~。ん? チビ助どこ行ったのね?」

 

しばらくしてシルフィードが私の事を呼んだので、私は煙突の中から出て姿を現す。

 

「きゅいっ! チビ助! なんてとこ入ってるのね!? そんな所調べたって何も出るわけないじゃない」

 

と、そんなふうに村を回っていると

 

「出てこい! 吸血鬼!」

 

手に鍬や鎌、火のついた松明などを持って村人達が村はずれのあばら家を取り囲み口々にわめいていた。

 

「あらチビ助! 吸血鬼ですって! きゅい!」

 

シルフィードが震えながら抱きついてきた。鬱陶しかったがとりあえずほっといて、私は村人の様子を見ていると、あばら家の中から年のころ四十前ほどの屈強な大男が出てきて

 

「誰が吸血鬼だ! 失礼なことを言うんじゃねえ!」

 

村人達に大声で怒鳴った。しかし、村人達は臆する様子も無く

 

「アレキサンドル! お前達が一番怪しいんだよ! よそ者が! ほら吸血鬼をだせ!」

 

と叫び、アレキサンドルと呼ばれた大男も負けじと

 

「吸血鬼なんかいねえよ!」

 

と叫び返した。その後もアレキサンドルと村人の言い合は続き、ついには強硬手段であばら家に村人が押し入ろうとしたその時、

 

「やめるのねー! 争いはいけないのね!」

 

シルフィードが叫びながら騒動の中に飛び込んで行ってしまった。まったく、なにをやってんだか。もちろん急に現れたシルフィードに村人達は、

 

「なんだお前! 邪魔すんじゃねえ!」

 

「きゅいっ!」

 

おもいっきり怒鳴られた。シルフィードは身を竦めて私に助けを求めるように見てきた。はぁ、しょうがない。私はシルフィードの所まで行き、

 

「私達は騎士さまに吸血鬼の調査を命じられた従者です」

 

私は村人達に言う。すると、村人の一人が

 

「んあ? あー確かにこいつら、あのメイジと一緒にいた二人だ」

 

と言い、それを聞いた他の村人は怪訝な顔をしながら一時的に大人しくなった。が、

 

「で、肝心の騎士は一体どこにいるんだ?」

 

村人はキキがいない事を不審に思い聞いてきた。

 

「騎士さまは夜の警備のため今は休んでいます。なので私達が騎士さの代わりに調査をしています」

 

私はもっともらしい理由を説明すると、

 

「おいおい! こんな女子供に調査させるなんて、ふざけてるのか!」

 

と村人達はまた騒ぎ始めると、

 

「こらこら! お前たち! 騒ぎを聞いて来てみれば! 証拠も無いのに誰かを屍人鬼と決め付けるなんて」

 

村長が現れて村人たちを大人しくさせた。その後、村人と村長がしばらく言い合いをし

 

「とにかく! 調査に来たんなら、そいつ等を調べてくれよ! アレキサンドルもやましい事がないなら大丈夫だろ」

 

という事になり、私と村長、村で薬草師をしているレオンと言う青年で家の中のお婆さんを調べる事になった。もちろんアレキサンドルの事も調べて首に傷は在ったものの、さすがにあの程度の傷で屍人鬼かどうかは解らなかった。

そして、お婆さんも調べたがやはりコレといった証拠も無く。村長はその事を村人達に伝えて、村人達も渋々ながら納得しあばら家から離れていった。私達も一旦キキに報告をしに村長の家に戻ることにした。

 

 

 

 

 

 キキSide

 

「あ~あ、何で俺がこんな田舎でこんなメンドクセェことしなきゃならないのかねぇ」

 

俺は今、村長の屋敷の庭で酒を飲んで酔ってるフリをしている。何故こんなことをしているかと言うと、調査から戻ってきたタバサから囮作戦を提案されたからだ。タバサ曰く、調査の成果は無し。で、一旦この屋敷に村の若い娘を集めて、保護するのと同時に俺を囮にして吸血鬼をおびき出す、とのこと。ちなみにタバサは庭の隅にある納屋に身を隠している。

 

「ん~、あーそうだ。おい、じいさん」

 

俺は酒を運んできた村長に声をかける。

 

「は、はい。なんでしょう、騎士様」

 

「あの子供、なんでメイジを怖がってんだ?」

 

「も、申し訳ありません。あの子は両親をメイジに殺されておりまして…。それで」

 

俺が幼女のことを聞くと、村長はそう教えてくれた。

 

「ふ~ん」

 

と、俺は適当に返事をし、また酒を飲み始める。で、そんなこんなで夜も更けてきて、二つの月が高く上がり辺りを妖しく照らし始めた頃、

 

「…きぃやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

屋敷からか細い悲鳴が聞こえてきた。タバサはすぐさま茂みから出て悲鳴が聞こえた部屋に飛び込んでいった。俺はのんびり歩いていった。だって急ぐ必要ないし。

 

「はいはい、どうした~? ゴキブリでも現れたか~?」

 

俺は割れている窓から顔を出し、中に居る幼女とタバサに訊ねる。が、幼女はがたがた震えて答えないし、タバサも幼女を慰めて答えない。村長とシルフィは動揺していて答えられそうになかった。その後、集めた村娘達が騒ぎ出しシルフィと村長がそれを納め、タバサは幼女をリビングに連れて行った。

 

「……お、男の人がいきなり入ってきて。わたしの身体をつかもうとしたの」

 

始めは脅えていて震えていただけだったが、温めたスープをタバサが飲まして落ち着かせ、事情を聞けるようになったのでタバサが幼女の話を聞いている。俺は近づくと脅えられるから離れた所で二人の様子を見ている。

 

「寝てたら…、耳のそばで荒い息がしたの。わたし、びっくりして叫んだの」

 

幼女はタバサに抱きつき震えながら襲われた時のことを説明していく。

 

「口から…、口から牙が生えてて…、だらだら涎が垂れてきて……。ひっぐ、うっぐ、えぐ…」

 

喋ってるうちに泣き出してしまった幼女をタバサは頭を撫でながら優しい声で

 

「もう大丈夫。その人は見覚えのある人だった?」

 

と言った。まぁ、視たいもんは見れたし、俺は

 

「俺は周辺を見回ってくるから、その子供のことは任せた」

 

そう言って屋敷を出た。さーてと、準備準備っと

 

「しかし、うん。結構わかるもんだな。白眼で見たら、チャクラ…でいいのか、あれは? まあ似たようなもんだし、いいか。アレ人間と流が全然違ってたな。さて、どうしてやろうかなぁ?」

 

 俺は考えながらとりあえず色々と準備をする。

 気づかれない様に気配を消しながら、屋敷の周りに騒ぎが起きても村人達に気づかれないように結界術を仕込んでいく。後は変化の術でネズミに変化して屋敷に戻り、タバサと幼女の様子を観察する。

 

「一緒に寝ていい?」

 

「いい」

 

 しばらくして幼女とタバサが部屋へと向かい、一緒にベットに入って寝ようとしたところで行動を開始する。

 さて、幼女吸血鬼とO・HA・NA・SIだ。俺は変化を解くと同時にタバサと隣で既にグースカ寝ているシルフィに幻術をかけ、朝まで起きないようにする。

 

「あ゛っ! …ぐっ、…ううっ」

 

 そして突如現れた俺と気絶するように眠ったタバサに驚き呆けている無害な幼女…、のフリをした吸血鬼の首に手を伸ばし、その細い首をわしづかみにして持ち上げる。

 

「そんなに力入れてないし苦しくないだろ、吸血鬼?」

 

そして、俺がそう言うと幼女は目を見開き驚いた表情になり、すぐさま

 

「誰かっ! 助け…」

 

 大声出してさらに近くにあった家具を蹴ったりして大きな音を出すが、残念。そんなことは無意味なのだよ。

 

「そんなことしても、屋敷の中に居る人には気づかれないようにしてあるから無駄だぞ」

 

「くっ…」

 

俺がそう言ったら幼女は悔しそうな顔をした。

 

「さて、こんな所で話もアレだし、ちょっと森に…」

 

俺は話しながら窓を開け、

 

「行こうか!!」

 

「なっ! ひゃぁああぁぁぁああぁぁぁっぁぁぁあ!!!」

 

 その窓から吸血鬼を思い切り森の方に投げ飛ばした。俺もすぐに部屋を出て森の方に跳んで行く。途中吸血鬼を大男らしき影が受け止めて森に入っていたが気にせず俺も森に入る。

 

「さてと…、あっちだな。」

 

森に入った後、白眼を発動し吸血鬼ちゃんを捕捉する。吸血鬼ちゃんの方は離れていき、大男の方は迂回しながら俺の背後に回ってきている。

 

「大男の方はなんとでもなるから幼女を追うか。っとその前に」

 

俺は懐から小指程度の大きさの笛を取り出し、思い切り吹いた。

 

 

 

 

 

 エルザSide

 

何なのあいつ!? 急に部屋に現れたと思ったら、私を屋敷から森まで投げ飛ばしてきた。いくら私が子供の体だからってこの距離を投げるなんて人間技じゃないって! 途中グールを使って地面への突撃はさけたけど、チラリと空中で屋敷の方を見たら、あいつが追ってきたのが見えた。

私は森の着地した後、グールをあいつに向かわせ、私は近くの契約した土地にいどうする。

 

「ついた。ここなら、いくらあいつでも手も足も出せなくなるでしょ。覚悟してなさい」

 

私は精霊と契約した、木々の開けた場所へとついた。

 ここは言わば私の狩場の一つである。契約した土地に娘達を誘って、油断した時にグールか精霊魔法で仕留めるのである。あいつはグールでどうこうできるとは思わないけど、ここなら…。

 私が考えをめぐらしていると、どこからか高い笛の音が聞こえてきてた、

 

「よっ、投げ飛ばしておいて言うのはアレだけど大丈夫か?」

 

「ホントそうね。で、あなた一体何者なの?」

 

 それと同時にあいつが現れた。奴は村に来た時や、村人たちといる時の他人を見下したようなヘラヘラした表情ではない。

 自然な、本当に子共に向けるような笑顔で私に話しかけてくる。

 

「ははは、そうだな。それじゃあ自己紹介。俺の本当の名前はキキだ」

 

「へぇー、カイトって偽名だったんだね。わたしはエルザってゆうの。よろしくね、キキお兄ちゃん。そして……、さようなら」

 

奴がいきなり自己紹介してきたので、私も名前を教えてあげた。ま、直ぐ殺しちゃうから無意味だけどね。

 

「枝よ。伸びし森の枝よ。彼の身体を拘束したまえ」

 

私が呪文を唱えると、周りから枝が奴に向かって伸びていった。私は奴がどんな命乞いをするのか楽しみで笑顔でいると、奴は

 

「あははは」

 

いきなり笑い出した。私は気でも狂ったかと思ったその時、

 

「…ッ!! な、なにっ!?」

 

 奴の周りから蒼い炎が燃え上がり、枝はその炎で瞬く間に灰となってしまった。

 それを見た私は目を見開き、恐怖で顔を引きつらせながら後退りしていく。

 私はグールを呼び寄せようとしたが、グールの反応が無くなってしまっていた。

 私は近づいてくる奴を見て、殺されると思い、森の枝を何十、何百と向けて串刺しにしようとしたけど、

 

「はははっ、なかなか。でも、残念」

 

 と、奴の周りの蒼い炎がその全てを灰へと変えていく。

 私は奴から離れるためにどんどん後ろに下がっていき、トンッと背に木が当たる。

 

「…ッ!?」

 

 私は後ろを向き、木で行き止まりになっているのに気づき逃げ場を探そうと周りを見るが、いつの間にか炎で左右を囲まれてしまった。

 逃げ道を無くした私に、さらに近づいてくる奴を見て、恐怖により足が竦みその場に座り込んでしまった。そして、目の前に来た奴は私の頭に手を乗せる。

 私はビクリと身体を震わせ奴を見上げた。

 

「さて、どうしようか? 君のことは処分しないと色々な人に迷惑かかるし」

 

「…ひっ!」

 

 奴が呟いた処分と言う言葉に私は、恐怖で震えだしてしう。

 死にたくないっ。私は気づいたら涙を流し、小さな悲鳴を上げた。

 

「でも、吸血鬼って人間に血が食糧なんだし。一概に責められないしなぁ」

 

 しかし奴は、まるで助けてもいいと言うようなことも呟いてきた。

 私はその言葉に唯一の希望を託し、奴にたいして、

 

「…! た、助けて…おね…がい」

 

 と、震えながら呟いた。

 

「もう、もうこの村では人を襲わないです! すぐにでも出て行きますから! お願い、見逃してください!」

 

涙を流し震えながら懇願し、頭を下げる。そしたら奴は、

 

「あ、そういえばお前。両親をメイジに殺されてるって聞いたが……本当か?」

 

「…ッ!? …うん」

 

私の両親のことを聞いてきた。それはこの村に住む際に、私が村長に話した数少ないホントのこと。

 

「元々私は、両親と一緒に森の奥で暮らしていたの。吸血鬼だから月に何回かは近隣の村に食事しには行ったけど、でも殺さないように必要最低限の量しか血を吸わない様にもしてた。

 お母さんに編み物を教えて貰ったり、お父さんはよく遊んでくれた。代わり映えはしなかったけどとても幸せだった。 

 そんなある日、いきなりメイジが襲ってきたの。『森に住む化け物を退治に来た』って。

 それで…お父さんは私とお母さんを逃がすために囮になってメイジ達の相手をして、お母さんも追ってきた奴等に…。

 私は何とか逃げて……その後は村や寺院を回って今まで生きてきたの。

 始めは夜、人間達が寝てる間に少しだけ血を吸わせて貰ってたのだけど…私が吸血鬼だってバレると、化け物と言って私を殺しにくるの。どこに行っても、だから…」

 

私は今までのことを一通り話した。そして、私の話を聞いた奴は私の頭に手を載せたまま

 

「長いな。それと、俺はそうゆうお涙頂戴は好きくない」

 

まるでつまらない劇でも見たような表情でこいつは言うと次の瞬間、私の身体を蒼い炎が包んだ。

 

「へ! あああ! いやあぁぁぁぁぁ!! 助けて! 助けて! 嫌だ嫌だ!死にたくない! いやぁぁっぁぁ!!!」

 

熱い熱い熱い熱い熱い熱いあついあついあついアツイアツイ!! 痛い痛い痛い痛いたいいたいいたいイタイイタイイタ!!! 体が燃えていく。焦げていく。炭になっていく。

 

「あ゛っあ゛ぁぁ…だ、ずけて…いやだ、うっぐ」

 

私は自分でもう何を言っているか解らなくなっていたが、何かを叫んでいた。しかし、次第に意識がなくなって……

 

 

 

 

 

 キキSide

 

パンッと、涙で顔をクシャクシャにし、ガクガク痙攣し始めたエルザの顔の前で俺は手を打った。その瞬間、エルザはまるで悪夢から起きるかのように意識を取り戻し、

 

「……ッ!!? がっ、ゴホッゴホッ! え゛、お˝? …えっぐ。…? ふぇ、ふぁ?」

 

軽くえづいた後、辺りをキョロキョロと勢いよく見渡し始めた。さらに、エルザは恐る恐るという感じで、自分の体を見たり、触ったりして、

 

「あ? え? …何? え、燃えてない? なんで…わ、私…生きて、る」

 

エルザは今も涙を流しているが、段々と状況が理解できていき、

 

「……ッ!? な、何をしたの!!」

 

「いやいや~、悪いな。お仕置きとかも含めて、死ぬ恐怖を与えてみたんだけど…」

 

叫び震えるエルザに、俺は笑いながらぐしゃぐしゃになっているエルザの顔を無理矢理拭いてやりながら、色々説明してやる。

 

「簡単に言うと限りなく現実のような幻覚を見せたんだ。森に入った時に、ある方法でお前に幻術…あー、幻覚を見せる魔法をかけさせてもらった。後は勝手にエルザがふらふらとこの場所まで来てってな。まあ、途中色々喋ってたからこれまでの経緯も理解できてるから安心してな」

 

エルザは俺の説明に目を丸くしている。

 

「まあ、救いようのない悪党みたいな発言していたら、後ろのアレみたいにバラバラにしてたけどな」

 

「ひっ!?」

 

俺が背後にある四肢と頭がバラバラになっている大男を指すと、エルザはそれを見て可愛らしい悲鳴をあげた。

 

「さて、説明もそこそこにしてと。この後はどうするかな~? タバサと相談しないといけないし。けどまずは、吸血鬼の事をどう村人に説明するか。まあ、とりあえず」

 

俺はバラバラにしたグールの大男と幾つかの太い木(人の腕程度)を適当に並べて、

 

「火遁・豪火球の術」

 

口から等身大ほどの火の玉を吹き、並べたそれらを燃やしていく。もちろん大男と木が区別のつかないまでしっかりこんがりと。結果、巨大な円状の焦げ後の上には大柄な人間と細身の人間…っぽいもの、二人分の炭化した物体が出来上がった。

 

「よし、あとは村人たちに適当に説明すればOKだな。よし、帰るぞエルザ」

 

「へっ? あっ」

 

俺はエルザの手を掴んで、いかにも今、吸血鬼から助け出しましたよ~、ってな感じを出しながら村へと帰った。

 

 

 

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