青いチビの使い魔   作:だしィー

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いざ潜入

 キキSide

 

チュンチュンと小鳥の鳴声で俺は目を開ける。

 

「あ゛~。ねむいぃ」

 

完全に寝不足だ。原因は分っている。俺の背中に引っ付いて寝ているロリ娘のせいだ。

 

「なんでギャルゲー主人公ってのはよくこんな状況下で平然と睡眠を取れるんだろうか。精神イカレてんじゃねーのか」

 

 昨夜、ベットに入った直後は『うれし、恥ずかし、やっふぅー』なイベントと思って寝付けなかったが、落ち着いたら眠気がきてウトウトし始めた。

 しかし、あぁ寝ると思ったらタバサが背中に引っ付いてきやがった。

 ちなみに言っとくが、俺はヘタレな訳じゃない。襲っていいのなら普通にヤる。けっして言い訳では無いが、もし行動した結果、お互いの関係がギクシャクしたらそれはそれでメチャクチャ気まずいし。なにより、

 

「お父様、なんぞ寝言いながら服つかまれたらなぁ」

 

 良心の呵責がね…ああ、ちくしょう。世の中ままならないなー!

 

「……起きよう」

 

 俺はタバサを起こさないようにゆっくりと、手早く素早く慎重にベットから出る。

 

「はぁ、しかしこの世界で生活し始めて文明の利器がどんどん恋しくなるなぁ」

 

 特に冷蔵庫が…。朝起きた時に冷たいアイスコーヒーが飲めん。まあいいや。俺はとりあえず、部屋から出て鍛錬のため中庭へ行く。

 

「おお、おはようさん。軽く手合わせいいか?」

 

「ん? お前か。ちょうどいい、頼めるか」

 

 中庭へ行くと、アッシュが剣を振っていたので、話しかけて鍛錬にと手合わせをした。

 そして、いい時間になり、お互い庭端にある井戸を使って汗を拭い部屋へ戻ると、ゴンッという衝撃を頭に受けた。

 

「くっ、痛い」

 

 俺は杖を持っている人物に恨めしげに顔を向けると

 

「…………」

 

 とても不機嫌なタバサがいた。表情はいつもと変わらないが、完全にオーラというか雰囲気がイライラという感じで出ている。俺、何かしたか?

 

「…行く」

 

「あ、ああ」

 

 俺はタバサに促されて部屋を移動した。

 移動中、俺はタバサの後姿を見て、なんていうか不貞腐れてる感じが強いなと思った。

 まさか勝手にベットから抜け出したのを怒って? ……だったらいいなぁ~。んなアホなことを考えてる内に、朝食を終え、兵士から衣服を貰い、シルフィに乗って任務先へ向かった。

 

「きゅいきゅい。また服なんか着なくちゃいけないなんて面倒なのね。しかも荷物持ちまでやらせるなんて。これじゃあ特別美味しいもの食べさせてくれないと割に合わないのね。っということで何処か美味しいお肉を食べられる所にいくのね!」

 

 街についた後、宿裏でシルフィを人間に変化させ皆で兵士に貰った服に着替えて、例の賭博場まで移動中にシルフィはグダグタと喋りまくっていた。

 

「任務が先」

 

「まあ、帰りにどっかで食べてるから安心しろ」

 

 タバサが端的に言い、俺はシルフィが納得するように補足してやる。

 ちなみに、タバサの服装は最近貴婦人の間で流行であるらしい男装で、俺は執事服。シルフィはメイド服である。しかし、スーツって動き難いから嫌なんだよなぁ。

 

「やったー! 楽しみなのね。きゅいきゅい」

 

「……着いた」

 

 タバサはシルフィの言葉に嘆息した後、とある宝石店の前で止まる。

 タバサは振り向き一旦俺と目を合わせてきた。俺は頷き、怪しまれないように服を一旦調えて、そして店のドアを恭しく開けた。

 

「いらっしゃいませ。お嬢様。本日は何をお探しですかな?」

 

 ドアを開けると店員らしき男がすぐさまタバサへ挨拶をする。俺はその後ろで不動の姿勢で待ち、シルフィは、

 

「わぁぁぁぁっ! 綺麗なのねっ! ああ、これとかとっても欲しいのね~」

 

 店内に飾ってる宝石や装飾品類を見て目を輝かせてはしゃいでいた。やっぱ竜だからか? とりあえず、

 

「きゅいっ!?」

 

 ベシリッ! と他の店員や客が睨んできたので叩いて、静かにさせた。

 タバサはその間にある大きなショーウィンドウに近づき、店員に

 

「これを」

 

 と、中に入っていたブルーダイヤモンドを指差した。

 

「お嬢様、失礼とは存じますが、その宝石は売り物ではございません」

 

「これが欲しい」

 

 店員が売れないと言うがタバサはそれでもダイヤを所望する。その瞬間、店員の目が一瞬だが鋭くなり、また笑顔に戻り

 

「二千万エキューはいたしますが…」

 

「買った」

 

 店員は額を提示すると、タバサはその額を聞いても眉一つ動かすことなく即答した。

 

「では、手付けをいただきますが……」

 

 タバサは言われると店員に銅貨を三枚渡した。

 

「確かに頂きました。では、こちらへ」

 

 店員は銅貨を確認するとタバサを店の奥へと招いた。俺とシルフィもその後に続き、店の奥へと入っていく。

 少し歩くと、三方を棚に囲まれた行き止まりに着き、店員は棚の横にある紐を引っ張った。すると紐のついていた棚が動き出し、後ろに扉が現れた。

 

「どうぞ」

 

 と、店員が扉を開けると地下へ向かう階段が現れ、タバサはなんの躊躇もなく階段を下りていく。

 下まで着くと、鉄の扉とその横に小さなカウンターがあり、そして扉の左右とカウンターには黒服の執事がいた。

 

「貴族のお客様でいらっしゃいますか。では、こちらで杖をお預かりします。後ろの従者のお方がたは刃物の類がお有りでしたらそちらもお願いします」

 

 カウンターで受付のようなことをしている執事の言葉にタバサは杖を渡し、俺も懐に入れといたクナイを渡す。

 シルフィは心配そうに俺たちを見てるが、俺は武器持ってなくても普通に戦えるし、と言うより基本武器はそんなに使わない。

 杖を受け取った執事はそれを羅紗(らしゃ)布で丁寧に包み、刃物の方は適当に仕舞われていった。

 そして、カウンターの執事が扉の左右に居る執事たちに目配せすると、二人は丁寧に扉を開けた。

 

「地下の社交場、『天国』へようこそ!」

 

 中に入った瞬間、賭博場独特の喧騒が耳に、きらびやかな衣装や装飾が目に届く。

 

「まあ! こんなお小さいのに! お坊ちゃん、誰かの付き添いで来たの?」

 

 俺が周りを見渡していたら、いつの間にかタバサが接客係の女性に絡まれていた。俺はとりあえず自分の役割として、タバサと女性の間に入り込み、

 

「失礼。お嬢様に何か?」

 

 女性に対して笑顔で威圧感を与える。

 すると女性は引きつった表情になり、俺たちから離れていった。が、入れ替わるように太った四十前後の男が近づいてきた。

 男は先ほどのやり取りを見ていたのか、女性に何かしら叱り付け奥へと下がらせると、

 

「接客係の失礼を申し上げます。当カジノの支配人である、ギルモアです」

 

 タバサに非礼のお詫びと自己紹介をしてきた。

 その後は聞いてもいないのに、ギルモアはペラペラと地下カジノの事を話し始めた。  

 俺はそんなどうでもいい話は聞き流しながら店内をもう一度ゆっくり見渡し、中々いい小遣い稼ぎが出来そうだと心の中でほくそ笑んだ。

 俺が色々と考えている内に話も終わったようで、タバサは近くにあったサイコロのゲームに移動した。

 

 

 

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