タバサSide
「あなたは何者?」
「忍だ」
私は彼を広場から離れた人目の付かない所まで連れてきて何者かを聞いたらシノビと言ってきた。シノビとは一体なんだろうか? 東方でのなにかしらの役職だろうか。
「それは何?」
「ん~、そうだな。……なんていったらいいか。うーん……………。あ~、そうだな。騎士とかアサシンとか傭兵なんかを足した感じみたいなもんか?」
……騎士とアサシン、それに傭兵を足した? よくわからないが、つまりは私と同じような荒事の任務をするということだろう。確かにそれなら腕のある者なら危険な任務を言い渡されるだろうし、彼が強いのはそういう危険な任務をこなしていたからだろう。ということは、彼は東方のメイジ。そういえば、先ほど急に私の後ろに彼が現れたのは東方の魔法?
「……さっき、私の後ろに急にあなたが現れたのは何?」
「あ~、あれは忍術だ。お前らでいうところの魔法だな」
東方の魔法、ニンジュツ。とても興味深い。
「そのニンジュツとは一体どんなことが出来るの」
「言いにくいなら魔法で構わないぞ。えっとだな、幾つかの残像を作り出す分身の術、他の物体に化ける変化の術とかだな」
残像を作るということは自分の幻を作り出すということだろうか? あと他の物体に化けるというのは先住魔法の変化と同じ効果ということなのだろう。……彼の…東方の魔法は先住魔法に似ている。これは…。もしかしたら、母さまの病気を治すための手がかりを見つけられるかもしれない。私はそう思い、彼に他にも色々な質問をした。他にどんな魔法がるのか、どのような所にだったのか、どのような治療があるのか、そして、
「あなたのところでは、『心』の病気を治せる?」
と、ソレを聞いた。この質問に彼は
「うーん。症状によるな~。まずそれが、自然的なものか、術・・・魔法によるもの、又は薬によってか。それに、どれくらい重傷なのかってこともあるからな。治るものもあれば治せないものもある」
そう答えた。それは、治る可能性があると言う事で認識してもいいのだろうか。
「あなたの、「なぁ?」…なに?」
「次は俺が質問していいか?」
私はさらに詳しく聞こうとしたら、彼が私の言葉を止めてそう言ってきた。そういえばさっきから私ばかり質問していて彼はそれに答えるばかりだ。ここは一旦彼の話も聞いてみよう。もしかしたら私が知りたいことを話してくれるかもしれない。
「わかった」
キキSide
いやぁ~、タバサの俺への…というか忍術への食いつきがハンパないなぁ。特に医療に関して。確か母親が精神やられるんだったよな。まあ、後でこいつが寝てる間に記憶操作してちゃんと情報を引き出せばいいか。んじゃ、とりあえず、
「ここは、どこだ?」
と、土地勘がないことをアピール(?)しておく。まあ実際土地勘無いんだけど。
「此処はトリステイン魔法学院」
「国の名前は?」
「? …トリステイン」
「ふーん」
俺は此処の名前を聞いた後、空を見上げて月を見る。なるはど月は二つあるな。まあ、だからってどうなるってわけでもないけどな。さて、使い魔のルーンについて確認しておくか。とりあえず警戒されないように言葉を選んで、
「俺の肩に付いた物はなんだ?」
「使い魔のルーン」
「それはなんだ?」
俺はタバサに対して上手い具合に質問して行き一番聞きたかった事を聞く。
「へぇ~、じゃあ俺の見てるものが見えたり、聞いた事が聞こえるのか?」
「意識すれば」
はぁ~、厄介だな。
「消す事は出来ないのか?」
「無理、それが消えるのは私か貴方のどっちかが死んだ時」
とりあえず予想通りだな。……封印術掛けてみるか。効かなかったらどうしよう。まあいいや。それじゃあ聞きたい事は聞いたし、ちょっと試してみるか。
「んじゃ最後の質問、お前の本名は?」
「!? …何故?」
ふむ、動揺してる……のか? よく分からんがまぁいいや。
「そうゆうの俺は分かるんだよ」
ごめん。嘘です。前世で原作読みまくってました。
「で、名前は?」
「……それは言えない」
「へぇ、俺はお前の使い魔なんだろ? どうして」
「私は貴方の事まだ信用してない」
……あんだけ人の話に食いついておいて言うことかい。よくSSだとすぐに色々話し出すけど現実はそう簡単じゃないってことか。
「ふーん、なら信用してもらえるように俺も少し秘密を明かそうかな?」
「? …秘密って」
「まぁたいした事じゃないが、俺の使う術にはルーンを消せるものが有るってことぐらいだな」
まあ消せるではなく封印だし、試してないから成功するかなんて分からないけど、……大丈夫だろ。
「他には、人の心を限定的だか覗けたり、後はなんか色々できたりするぞ、シャルロットちゃん」
はい、嘘です。俗に言う原作知識です。よく覚えてたな俺。
「…ッ! …私の心を覗いたの?」
「残念ながら俺としても色々あるし、信用できないって言うのは俺も一緒でな。おまえだって気持ちは解るだろ?」
「……他には、何を見たの」
「そうだな、お前がガリアって国の元お姫様って事、ある理由から国の暗部組織で働いている事ぐらいかな」
「…そう」
さすが俺だ。完璧な大嘘。なんかそれっぽく言ったら結構簡単に信じたな。
タバサSide
驚いたどころの話では無かった。彼は東方のメイジだし、彼自身、私の質問で色々と話をしてくれていたからから、私が知らない知識や東方の魔法を使う可能性を考えていなかった訳ではないが。なんの詠唱も無く特別な動作も無しに人の心を覗く魔法を使っていたのもそうだし、本来消す事の出来ない使い魔のルーンを消す事が出来る事といい、一体彼はどれほどの力を持っているのだろう。……もう、私の事を知られているのなら隠す意味も無いか。それにいつかは知られてしまうこと。
「聞きたい事がある。あなたは、心の病を治すことは出来るの?」
私は彼に一番聞きたかったことをストレートに言った。
「あ~、そうだな。さっきも言ったと思うが、実際にその患者を診ない事にはなんとも言えん。だが、俺もそれなりに医療忍術…、えっと、治療行為は出来るぞ」
「……治…せる…の?」
彼の治せると言う言葉に対し、自分の声が震えてるのが分かる。長年、母の心を取り戻すために様々な文献や本を読み、珍しい薬や万能薬が在ると聞けば手に入れては母に飲ませても無理だった病を彼は絶対ではないけど治せると言った。
「ほ、本当に、…本当に治せるの!」
私は知らず知らずのうちに声が大きくなっていた。彼は私の態度に驚いていたが苦笑いで
「落ち着けって。あくまで治療行為ができるってことで、完治する確証は全く無いぞ。でもまぁ、試してみればいい。今の俺の技術で治せなかったとしても症状を軽くしたり、ここの技術を学んで治せるようになるかもしれないって…ッ」
私はその言葉を聞いた瞬間、座り込んでしまった。やっと、やっと母を救える、長い悪夢から起こして上げられる。そう思ったら足から力が抜けてしまい、挙句には
「あっ……治る…母様の…心が……」
ポロポロと涙を流していた。情けない、もう泣かないと誓ったはずなのに止めようと思ってもなかなか止まらない。
「ちょ、えっ、泣くなよ! あーえっと、えええええっ?」
彼が物凄く動揺している。私は今のうちになんとか涙を何とか止めて、深呼吸をして心を落ち着かせる。
「……もう、…大丈夫」
「そ、そうか」
「お願い。私の母を…助けて」
私は彼にお母様を助けてくれるよう頼んだ。
「そうだな。世の中等価交換が原則って背の低い人も言ってる。俺の言う条件を飲んでくれるんならいいぞ」
「何でも聞く」
お母様が助かるのであれば私は何でもしよう。たとえどんなことだろうと。
「おう、そうか。それじゃあ……」
ルイズSide
ドッゴォォォォォォォン!!!
また、失敗した。なんで! なんで! なんで!!!
「おいーwwwまた失敗か?」「ハハハハハ、見りゃわかるだろ」「ゼロ相手には使い魔の方も嫌がってるんじゃないか」「そうかもな!」「もう、諦めて留年しちゃえよ」
周りからたくさんの嘲りの声がする、うるさいうるさいうるさい!! 私は、私は!
「その…ミス・ヴァリエール? 今日はもうやめに止めにしませんか? 明日また気分を変えれば成功するかもしれませんし」
コルベール先生がもう終わりにしようと言って来た。明日また『サモン・サーヴァント』をさせてもらえるのは先生の優しさだろう、でも!
「あ、あと一回! あと一回だけやらしてください、お願いします!」
そんなの嫌だ! 周りに馬鹿にされたまま終わるだなんて…惨め過ぎる。
「それじゃあ、最後に一回だけですよ」
「はい」
私はもう一度呪文を唱える。
「我が名はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール、五つの力を司るペンタゴン、我の運命に従い……私の運命を変えてくれる! …強く、最高の使い魔を召喚せよ!」
お願い! 始祖ブリミルよ、私に、何でもいいから召喚させて!
ドォッゴォォォォォォォン!!!!!