青いチビの使い魔   作:だしィー

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何故かスラスラと書けてしまうアッシュ編www

とりあえず3話目の投稿は少し遅れます。


外伝? アッシュと老兵と少女と

 アッシュSide

 

「それはお嬢様でございましょう」

 

部屋までの移動中、俺は先ほど目が合った少女について執事に聞くとそう返ってきた。

 

「お嬢様は昔から少々人見知りでございまして、特に最近ではほとんど屋敷から出ずに自室か書斎にこもりっぱなしで…。たまには表に出て日の光を浴びる事もした方がいいと提案しているのですが聞き入れてもらえなかったのですが……」

 

珍しく外から来たお客に興味を持たれたのでしょうか? と執事の男は少し嬉しそうにしながら話した。

その後も、その娘が部屋から出たと言うのが嬉しいのか執事の男は笑顔を見せなくなっただの、ユルバン殿だけには心を許しているだのと、部屋に着くまでに色々と喋り続けた。

 

「…っと、アッシュ様ここでございます。部屋は自由にしてもらって構いませんのでお寛ぎください。ご夕食の準備が整いましたらまた伺わせていただきます」

 

「ああ、分かった。それとすまねぇが、門の所に繋いで来た馬の世話も頼む」

 

「はい、承知いたしました。では」

 

執事は一礼すると廊下を戻っていった。

俺は案内された部屋に入り、部屋の中央にある小さな椅子に座り一息つく。

 

「…娘ねぇ」

 

俺は先ほど、と言うより部屋に入るまで感じていた視線の主である少女の事を思案する。とは言え、人見知りで屋敷に引き籠っていてユルバンの爺さんにしか懐いていないって事しか分からねぇから推測しか立てられねぇな。

俺は一旦考えを打ち切り、部屋に在った本を手に取り軽く流し見をする。ある程度の読み書きを覚えたとは言え地域や国によっては多少の意味違いがあり、そう言った細かい所は未だに覚えきれていない。なのでこうして暇なときは本を読んで過ごすようにしている。

 

「アッシュ様。お食事の用意が出来ました」

 

本を読みながら暇を潰していると扉がノックされ夕食の準備がととのった事を知らせに来た。

俺は返事をすると本を戻し、部屋を出て執事の案内で食堂と思わしき場所へと向かった。

 

 

 

 

「どうぞ」

 

執事が椅子を引き俺は着席する。食卓には俺の他に夫人と先ほどの少女が座っていた。

 

「ああ、この子は私の娘でエドナと言います。エドナこの方は…」

 

「コボルドを退治にきた奴でしょ」

 

エドナと言う名の少女は夫人の言葉を(さえぎ)り、ぶっきらぼうに呟いた。

 

「エドナもう少し言葉を……。ってエドナ、どこ行くの? まだ料理が…」

 

「もういい。美味しくないし」

 

「……はぁ。あ、ごめんなさい。騎士様がいらしているから緊張しているのかしら。元々人見知りする娘なもので」

 

と、夫人は悲しそうにな表情を作りため息を吐いた。

俺は別にかまわんし気にしてはいないと夫人へと伝え、用意された料理へと手を付けた。

…………なるほど。これは確かに。

 

「どうかなされました?」

 

俺の食事の手が止まっているのに気づいた夫人が怪訝に思い声を掛けてきたが俺は何でもないと食事を続けた。

 

「あの騎士様。ユルバンの事でお話が…」

 

食事をしていると夫人が手を止めて話しかけてきた。

内容はユルバン爺さんの事であり、今夜辺りに俺の部屋に来て討伐任務に同行させて欲しいと頼みに来るはずだから断って欲しいと言う事だった。

 

「彼は何十年も私たちの為に尽くしてくれました。そんな彼にもしもの事があれば…私たちは、特にエドナにとっては…」

 

「安心しろ。言っちゃ悪いがあんな老いぼれを連れて行くほど俺は酔狂じゃねぇ」

 

夫人は俺の言葉を聞くとありがとうと頭を下げお礼を言ってきた。

俺としてはお礼を言われるよう事を言ったつもりは無いく、正直なところを話しただけなんだがな。

 

「それと、あの、厚かましいとは思うのですがついでにエドナの事も気にかけてくれませんか? あ、無理に何かして欲しいと言う訳ではないんです。

ただ、人見知りのあの娘がお客がいる食卓に来たと言う事自体珍しく、もしかしたら騎士様に興味が在るのかもしれません。ですので、もしですが話す機会があれば少しだけでいいので話し相手になっていただければと…」

 

「ああ、分かった」

 

俺が夫人の頼みを二つ返事で了承すると、これにも夫人はありがとうと微笑みながら頭を下げた。

その後、お互いに食事を終え、俺は食事の礼を言い部屋へと戻った。

 

 

 

 

「騎士殿、ユルバンです。少しお話よろしいですかな」

 

部屋に戻りしばらくして寝支度をしていたところにノックと共に爺さんが声を掛けてきた。

俺はいいぞと声を掛け返して部屋へと招き入れた。

ユルバンの服装は当たり前だが甲冑を脱いだ平服で、甲冑の上からでは分かり難かったが戦士を名乗っていただけあって年の割に体は引き締まっており、がっしりしていた……だが。

それでも所詮は年の割には、だ。教えてもらった廃坑までの道のりや、大量のコボルド相手には足手まといだ。

 

「お頼み申す。どうか明日、この儂めもコボルドの討伐に連れて行ってくだされ!」

 

「駄目だ。足手まといにしかならねぇ」

 

「…ッ!? ……け、決してそんな事にな成りませぬ! なにとぞ、なにとぞッ…」

 

「しつけぇッ! 同行されても邪魔だっつってんだ。大人しく言われたとおりに村を守ってろ」

 

「……ぐ、…お願い…申しあげる…」

 

なんだ? 

俺はこの爺さんのあまりの必死さに違和感を覚えた。

 

「おい爺さん。なんでそこまでする。戦士を名乗ってる以上自分の力量がわからねぇって訳じゃねーだろ」

 

「……儂は、儂は昔ある失態を犯してしまったのです」

 

俺の疑問に爺さんは滔々(とうとう)とこの村で起きた事を話し始めた。

今より10年前、今回の様に村がコボルドの群れに襲われたそうだ。

当時、爺さんは今と同じで門番としてコボルドの群れの前に立ち向かったものの、多勢に無勢。背後からのこん棒による一撃を受けて昏倒してしまった。

そして目が覚めると爺さんは屋敷のベットの上で治療を受けていたのだと言う。

 

「幸い、ロドバルド男爵夫人様の魔法よってコボルドは追い払われ、犠牲者は一人も出ませんでした。……がしかし、当時まだ幼かったエドナ様はその襲撃によって心を痛めてしまい、まるで何かに脅えるように屋敷から出ようとしなくなってしまいました。

全ては儂が不甲斐ないばかりにこんなことに。村を守るべき戦士の任を与えられながら、無様にも醜態をさらしてしまったのです」

 

なるほど。だからこんなに必死になってくるって訳か。

ユルバンは話している内に熱が入ってきたのかさらに語り続けた。

今回のコボルドの再来は神が与えてくれた機会だ、魔法の使えなくなった夫人への恩を返す時だなどを言い募った。

……ん? 魔法が使えなくなった? そんな事が……。いや、譜術もフォンスロットが怪我なんかで閉じちまって、使えなくなったり効果が弱くなったりする事もある訳だからな。全くないとは言い切れねぇか。

 

「ですから! 今一度お頼み申し上げる! なにとぞ儂もコボルドの討伐にッ」

 

「…わりぃが、何度頼まれようともテメェを連れて行く気はねぇ。いくらテメェが言い募ろうと足手まといっつー事にはかわりねえからな。なにより夫人と約束がある」

 

爺さんの思いは分かったが、それでも無理なものは無理だと断る。

なにより生きていて欲しいと願われているのに死にに行かせるわけにはいかない。

俺と同じようなバカなマネをさせる訳にはいかねぇ。

 

「そう…ですか。…やはり、男爵夫人は儂を…役立たずと……」

 

爺さんは俺の言葉に顔を俯かせたまま何か小さく呟くと、背を丸めたまま夜分に失礼したと弱弱しい言葉と共に部屋を出て行った。

あのまま大人しくしてくれればいいが…。

 

「これ以上考えてもどうにかなる物でも無いか」

 

俺は考えを打ち切り、明日に備えて寝るために灯りを消そうと燭台に手を掛けようとするとコンコンと小さなノックが響いた。

なんだ? また誰か来たのか。 

 

「誰だ」

 

俺は扉の向こうに居る相手に尋ねたが返事は無く、代わりもう一度小さくコンコンとノックをされた。

開けろってか。

俺が眉を顰めて、そう思っている間にまた小さくノックをされた。俺は仕方なく手に持っていた燭台をテーブルに戻し、扉を開ける。

 

「遅い」

 

扉を開けるや否や、この屋敷の娘であるエドナが俺のことジト目で見上げながら文句を言ってきた。

 

「いきなり来て何言ってやがっ……おいッ」

 

「何よ」

 

エドナは俺が文句を言い返す前に俺の横をすり抜け部屋の中へと入ってきやがった。

何なんだこいつは?

 

「いったい何の用だ。俺は明日に備えて寝てぇんだ。ふざけに来たんならとっとと出でいけ」

 

「用があるから来たんじゃない。じゃなきゃあんたみたいな奴の所に来るはずないでしょ?」

 

「そうか。なら手短にな。大体、俺はお前は人見知りだって聞いたんだが? この村の人見知りってのは人の部屋にズカズカと入り込んでくる奴のことを言うのか」

 

「それは間違いよ。わたしは人見知りなんかじゃなくて、この村とユルバンお爺ちゃん以外の人が嫌いなだけ」

 

エドナの言葉に俺は人見知りより質が悪くねーか? と呆れた。が、しかし人嫌いを自称するこいつが他人(ひと)の部屋を訪ねてきたんだ。よっぽどの話しなのか?

 

「ふん。じゃあその嫌いな奴の部屋に来てまで何お話だ?」

 

「……お爺ちゃんがこの部屋から出て行くのを見たのよ。すごく思い詰めたような背中だった。あんた、お爺ちゃんに何をしたの?」

 

ああ、そう言う事か。

エドナの口調と表情は糾弾するようなもので、言い訳も謝罪も許さないと俺を睨みつけてきた。

 

「別に何もしてねぇ。明日の討伐に連れて行けって頼みに来たから断っただけだ」

 

「……そう、やっぱり。……わかったわ」

 

エドナは俺の返答に納得したと小さく頷くも、表情はあまり良くなく暗いままだった。

 

「まだ何かあるのか?」

 

「……なんでお爺ちゃんはあんなに戦いたがるのかしら」

 

「あ?」

 

「お爺ちゃんはとっても優しくて、わたしの我儘だってしょうがないって言いながらもいつも聞いてくれた。でもコボルドの事だけは全然聞いてはくれないわ」

 

どうやらエドナも爺さんを止めてたみたいだが、あの爺さんはそれでもコボルドの討伐に執着し続けたのか。

 

「爺さんは10年前の事を悔いてるって言ってやがった。今回の事はその時の名誉を挽回する機会だと…」

 

「なによそれ。そんなことしたって意味無いのに。もう……終わっちゃってるのに」

 

「どういう事だ?」

 

「…何でもないわ。ねえ、あんたお爺ちゃんの同行を断ったって言うけど、お爺ちゃんは多分諦めてないと思う。明日、無理にでもあんたについて行くかもしれない。その時は…、多少手荒でも止めてちょうだい」

 

「いいのか? あの爺さんはお前にとって…」

 

「だからよ。もうわたしにはお爺ちゃんしか…。それじゃ邪魔したわね」

 

エドナは俺の言葉を遮って言うと、それを最後にそそくさと部屋を出て行った。

俺はエドナが出て行った扉を見ながらため息を吐いた。まったく面倒な事になりやがった。

まあいい。とにかく俺のはやることをやるだけだ。

俺は今度こそ寝るために燭台の火を消し、ベットに身を倒した。

 

 

 

 

「起きてッ! ねえってばッ!!」

 

俺はドンドンッと扉を叩く音と大声によって覚醒した。

声はエドナのものだったが昨日の夜と違い焦燥に駆られたものだった。

俺はそんな声に悪い予感が過り、一瞬の微睡も無く起き上がり急いで扉を開けた。

 

「どうしたッ?」

 

「お爺ちゃんが居ないの!」

 

「チッ、あの爺さんやりやがったなッ!」

 

俺は大きく舌打ちをし、すぐさま着替えと装備を整えて部屋を出た。

クソがッ。予想出来て(しか)るべきことだ。

夫人にも行くことを禁止され、俺にも断られて、そして溺愛しているであろうエドナからも止められて尚、執着がありやがったんだ。1人で向かう事ぐらいしかねない事を気にするべきだった。

 

「騎士様、どうかなされましたか? それにお嬢様まで!?」

 

俺とエドナが騒いでいるのに気づいたのか執事の男が慌ててやってきた。

 

「爺さんが1人でコボルドの討伐に行きやがった! 直ぐ追いかける、厩舎は何処だ!?」

 

「なッ!? お1人でですと! 分かりました。今すぐ馬の準備を…」

 

「時間が惜しい。馬具無しで行く。幸い住処の廃坑まではそんなに距離は無いからな」

 

本来は馬具無しなど危険すぎていけねぇが、緊急だ。

 

「わ、わかりました。こちらです」

 

俺が直ぐ案内しろと暗に言ったの分かったのか執事の男は小走りで厩舎まで案内し始めた。

そして俺は厩舎に着くなり俺はすぐさま自分が乗ってきた馬を出し、一気に飛び乗った。

 

「わたしも行く。乗せて」

 

俺が馬を走り出させようとした矢先、エドナ突然そんな事を言い出した。

執事の男もその言葉に驚き、何を言っているのかとエドナに声を掛けるがエドナはそれを無視して俺の事をジッと見上げてきた。

 

「こんな時に何言ってやがる。てめぇみたいなガキ邪魔にしかなんねぇだろうが」

 

俺が邪魔だと一蹴し、再度馬を走らせようとすると、エドナ何かしら小さく呟いて持っていた日傘を地面に思い切り突き立てた。

瞬間、目の前の地面が隆起し、岩が壁の様にせり上がってきやがった。

 

「これでもわたしはスクウェアメイジなの。邪魔にはならないわ」

 

せり上がった岩に驚き暴れた馬から落馬しそうになる中、俺がなんとか馬を落ち着かせるとエドナはいけしゃあしゃあと言い放ってきた。

 

「実力行使って訳かよ。チッ、ほれ、手を出せ」

 

「最初からそうすればいいのよ」

 

「口の減らねぇ奴だな。しっかり掴まっておけ」

 

「えっ!? お嬢様!!」

 

馬に乗ったエドナに執事の男はさらに狼狽え何か言おうとするも、これ以上余計な時間を取られるのも煩わしいので、俺はすぐさま馬を走らせ屋敷を出た。

 

 

 

 

 

 




とりあえず、原作だとコボルドの群れには20年前に襲われたことになってるけど、諸事情により10年前に変更します。

あと、エドナの口調とかキャラが安定しないってかボキャブラリーの貧困な自分じゃエドナの会話を書くのがむっちゃ難しい
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